「私は何一つ変えることができない…ただの傍観者だ 」
プロフィール
概要
ウォール・ローゼ南方面第104期訓練兵団の教育を担当した訓練兵団の教官。スキンヘッドに顎髭が特徴。
入団式で訓練兵達を某軍曹のように次々と罵倒していった。この恫喝は、毎年行われる通過儀礼であり、「それまでの自分を否定して真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるため」に必要な過程である(このあたりの設定も某軍曹と共通する)。しかし、エレンやミカサなどのように2年前の巨人侵攻の地獄を味わった者達には必要無いとして行われない(他に確認できるのは、ライナー、ベルトルト、アニ、ユミル。後に判明するがキースの人を見る目は確かであった事が窺える)。
訓練兵達を厳しくしごいている一方で、それぞれの長所や短所、特性を把握して分析し評価している。
エレンの父親のグリシャとは面識がある模様で、エレンがグリシャの息子である事も知っていた。また、エレンの悪夢にも過去の姿が登場しており、グリシャがウォール・マリア陥落からエレンのもとに向かうまでの間、彼に会っていた事が判明する。
実は、845年の巨人侵攻前は調査兵団団長を務めており、当時はちゃんと髪があった。
第1話で「なんの成果も!! 得られませんでした!!」と絶叫しているオッサンこそキースである。
作中でも特に長い期間を生き延びた経験豊富な調査兵で、長距離索敵陣形が考案される以前の壁外遠征を何度も潜り抜けていることから、相当な腕利きだったことが窺える。
しかし、兵団団長としては地域に活動拠点を築くために遠征するも成果はまったく上がらず、いたずらに兵士達を戦死させる結果となり、シガンシナ区陥落の一件を機に団長を辞任。歴代調査兵団団長で初めて先代が生きたままの交代となった。部下に後任団長のエルヴィンがいた。
僅か2年で風貌が大きく変わっているため、同一人物と気付いた読者は殆どいなかったと思われる(アニメが放映された際、団長とキースの声優が同じだったことに気付いた視聴者によって同一人物と判明)。因みにエレンも当初は気づいていなかった。
また、多くの部下を死なせてきた責任感から結婚はしていない。
なお、人知れず後にグリシャの妻となる酒場の娘を愛していたが、様々な要因の上で結ばれることはなかった。この事も独身を貫く姿勢に繋がる一因となったのかは不明。なぜだかエルヴィンも(本人の生死以外は)似たような恋愛事情を経験している。
物語序盤の姿勢制御試験の際にエレンの使っているベルトの金具を破損させた張本人。
自身の愛したカルラの息子を想う気持ちを知っていた彼は、エレンが壁外で無惨に命を散らさぬよう細工をしたというのが真相だった。
しかし、諦めずに挑戦し続け短時間とはいえ破損させたベルトで姿勢制御をして見せたエレンを見た彼はベルトの破損を指摘し、エレンを合格させた。
────グリシャへの祝福の言葉の裏に、「傍観者」という無力感を感じながら。
私は何一つ変えることができない…ただの傍観者だ
それから4年後のマーレ編でも訓練兵団の教官として登場。訓練兵達に例の洗礼を行っていた。しかし既に壁外の真実は知れ渡っており、敵は巨人ではなくなった現在で時代錯誤なことをしていることを訓練兵達に半ば呆れられていた(加えて言うならパラディ島の無垢の巨人はほぼ全滅している)。
そんな折、フロックが率いる「イェーガー派」が訓練兵団を襲撃してくる。フロックが演説を行うと、訓練兵の中からイェーガー派に加わる者が続出、さらにフロックはその忠誠を示すためにキースを痛めつけろと命令する。
フロックが自身に向けて何の躊躇いも無く発砲した事から、従わなければイェーガー派は訓練兵達を粛清しかねないと察したキースは訓練兵達をわざと挑発。怯むことなく迎えうつふりをして、敢えてリンチを受けて訓練兵達を庇い、重傷を負う。そのままイェーガー派に連行される。
シガンシナ区兵団本部に幽閉された後、マーレ軍の襲撃に伴う暴動によりアルミンらに解放される。アルミン達から何故傷を負ったか聞かれると「熊の相手をした」と訓練兵達を庇い、本部に残る。
その後、獣の巨人の叫びにより多数の無垢の巨人が発生し本部を襲撃して来た際には、旧式の立体機動装置を装備して怯える訓練兵達を指揮し、ジークの巨人達の討伐を成功させる。その後、彼らに生き残るためイェーガー派に決して背くなと言いつつも、「いつか立ち上がるべき日が来る、それまで決して自分を見失うな」と教えを与えた。
その夜、窓の外からアルミンらがアニを馬車に乗せて行く姿を見て彼らの目的を察する。地鳴らしを止めるため、調査兵団の仇敵とも言えるアニへの憎しみを飲み込み、手を取り合う程に大きく成長したかつての教え子達の姿に胸を震わせる。彼はその行動を援護すべくイェーガー派の増援が乗った列車を爆破する。更に追っ手となるであろう高速船を爆破するため、テオ・マガトと共に巡洋船の弾薬庫に籠城。彼との短い会話ののち握手を交わし、共に自爆、その生涯を閉じた。
これから(イェーガー派につくことを選んだ)教え子達を殺しに行くのに訓練兵団の教官服に袖を通せるわけもなく、キースが最後に選んだ死装束は調査兵団のものだった。
能力
自分の事を「特別になれなかった人間」と自嘲しているが、殉職率が極めて高い調査兵団で20年以上もの間前線で戦い続け、五体満足で退役すると言うよく考えなくても凄まじすぎる生存能力の持ち主である。
また作中で突撃戦法しか取れないと揶揄されていたが、逆に言えば突撃しかしていないのに自分は確実に生き残っているということであり、個人としての技量もリヴァイ程でないにしろ非常に高かったと推測される。
実際、上記のマーレ襲撃の際にはブランクを感じさせない見事な立体機動を披露し、巨人の討伐に一役以上買っている。そのあとの港での戦いも駅から対人立体機動装置を身につけたイェーガー派を薙ぎ払い1人で海岸付近までたどり着いている。
具体的な比較はできていないが、調査兵団No2のミケ・ザカリアスと同等かそれ以上の戦闘力を有していた可能性もある。
補足
なお、彼は71話でエレン達に「グリシャと出会ったのは20年前」と語っているが、それを額面通り計算するとグリシャの寿命に矛盾が生じてしまう(グリシャは九つの巨人の一つ「進撃の巨人」を壁内に来る直前に継承して寿命が13年になっているが、グリシャからエレンへの継承が行われたのが5年前であり、それに13年を足しても18年になり2年のズレが出る)。
これに関しては4年後の93話でジークが「グリシャが楽園送りにされたのは22年前」と発言しており、そこから計算すると実際に18年前だったことになる。
これはキースとハンネスがグリシャの発見をなあなあで済ませて記録を残さなかったため記憶が曖昧になっていたからだと考えられる(マーレ側は「楽園送り」を刑罰としていて記録がはっきり残っている上に、ジーク個人にとっても忘れがたい出来事でもあったため覚えていたのだろう)。ちなみに、この頃のキースの髪型はおかっぱだった。
公式パロディである、アニメ版『進撃!巨人中学校』ではエレンたちのクラスの担任として登場している。
余談
アニメ本編では初期あたりしか出番はないが、原作初回限定版についているDVDでは出番がかなり多い。
悔いなき選択の番外編(コミック未掲載)によると、通過儀礼は彼が調査兵団団長を現役で務めていたときから存在していたもので、当時は全員に行われていたが、調査兵団に入って間もなかったリヴァイと対面した際の一件で、その必要がない者は免除されるようになった。
2021年3月15日のアニメ『進撃の巨人 FinaiSeason』第73話「暴悪」の放送では上述の「フロックはその忠誠を示すためにキースを痛めつけろと命令した」所で和歌山県で震度5弱の地震が起こったために放送が中断した。
最後の音声は
ハンジ「いいかげんにしろフロック!!バカなマネはよせ!!」
キース「ハンジ」
だった。
やむにやまれぬ事とはいえ、なんてタイミングで…。
(なお、後日73話は74話と共に再放送された)