ハートマン軍曹
はーとまんぐんそう
演:ロナルド・リー・アーメイ / 日本語吹き替え:斎藤晴彦
泣いたり笑ったり出来なくしてやる!
原語版 You will not laugh! You will not cry! You will learn by the numbers! I will teach you!
ベトナム戦争を題材とした映画『フルメタル・ジャケット』に登場する架空の人物。専任教官。 海兵隊に志願した新兵を、8週間の訓練期間中に一人前の海兵隊員にシゴキあげる鬼教官である。
演者のリー・アーメイ氏は、実際に海兵隊の訓練教官を務めたこともある。彼は元々演技指導で呼ばれていたが、その際の鬼気迫る罵声にスタンリー・キューブリック監督が惚れ込んでしまい、ハートマン軍曹役として急遽抜擢されたという経緯がある。
(ちなみに、本来ハートマン軍曹を演じる予定だった役者は『いいぞベイべー!逃げる奴はベトコンだ!!逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!!』の機関銃手を演じているティム・コルセリ)
なお、この役の超絶極まるインパクトからか、リー・アーメイは映画公開後に、海兵隊初の退役後昇進として、劇中と同じ一等軍曹に昇進している(退役時は二等軍曹であった)。
ハートマン軍曹の魅力として、本人はおろか家族や出身地さえも徹底的なまでにコキ下ろしまくる罵詈雑言が挙げられる。とてもここには書けないような卑猥かつ侮辱的な言葉を矢継ぎ早に新兵達に浴びせかけ、彼らの自尊心を粉々に砕く様は必見。
その強烈なインパクトから、脇役ながら世界中に数多くのファンが存在する。
ちなみに、現在の海兵隊新兵教育ではこれよりも遥かに強烈な罵倒が浴びせられるとか。
(罵倒する理由は、兵士としての教育を受ける上で余計なプライドを壊し、いわば価値観をリセットするためと言われている。軍人とは「現場」においては自分の意思で武器を振るう『人間』ではなく、確実に任務を遂行するため上からの命令で動く『兵器』でなければならない。そうでなければ「容易に人を殺せる武装集団」こと軍隊は成立しない)
原作小説ではガーハイム砲兵軍曹(日本語の「一等軍曹」に相当するアメリカ海兵隊の階級は「Gunnery Sergeant」で、逐語訳すると砲兵軍曹となる。)という名で、硫黄島の戦いでの戦歴があり、体型もビール腹で、ジョーカーが配属されることになった報道部「スターズ・アンド・ストライプス(米軍の準機関紙)」に対して「あいつらのために軍規が緩む」と不満を溢したり、銃を突き付けてきたレナードに対して得心の笑みを浮かべるなど、映画の設定とは若干異なる。
映画公開から20年以上経過した現在でも多くの作品でオマージュされ続けており、演者のアーメイ氏が2018年に没した後も、その人気に衰えは見られない。映画を知らない世代でも、オマージュ元として彼を知っていたりする。ちなみに彼は映画前半の新兵訓練部分が終わると以降は出演がないのだが、作品を代表する存在として記憶している人も多数。
映画「さまよう魂たち」のワンシーンでは彼と思わしき幽霊が登場。墓場の幽霊たちを相手に衰え知らずの罵声を浴びせていた。また、ディズニーとピクサーが共同制作したアニメ「トイ・ストーリー」シリーズでも“軍曹”と呼ばれる兵隊のおもちゃ(グリーン・アーミー・メン)をロナルド・リー・アーメイが演じている。
なお、日本語吹き替えが一応存在するが、先述のアーメイ氏の本物仕込みの罵倒の逸話の通り、吹き替えだとその迫力がどうしても半減してしまっていると評される。まさに本物には敵わないというべきか。その為、この作品は非常に吹き替えの演技が特に軍曹に関しては難しい部類にある様子。
実際に教官経験のあるアーメイ氏のハートマン軍曹だが、若干ではあるがやはり映画作品というだけあって演技が入ってるとの元海兵隊員からの指摘がある(例えば怒鳴りながら歩きまわるのは違う様子)。
また、ハートマンは専任教官という立場であるのは先述したが、実際の専任教官は実際に訓練で指導する一般教官と違い、一歩離れた形で一般教官を監視する立場である。この為、ハートマンが劇中訓練生達に怒鳴り散らすのは正確ではない。一般教官は複数で指導する為、ごちゃごちゃした光景になってしまう為、あえてハートマンがメインで指導をしている描写となったらしい。
また、教官に任命された者は実際かなり大変な任務であるらしく、訓練期間は上層部からの監視(現在では罵倒にも汚い言葉は避けなければならないらしく、使う場合は周りに監視官がいないかすら目視で確認する程)や、期間中は鬼教官として四六時中罵倒を候補生達にぶつけまくる自分の姿が内心惨めにすら思える時もあるとの事で中には3ヶ月で体重が15キロも落ちてしまった教官もいたという。そして晴れて訓練生が海兵隊員に育ち卒業する際に初めて教官は鬼の仮面を外して訓練に耐えてきた立派な新米隊員達に労いやエールを贈る。中には自身も辛い訓練を通ってきた経験からか思わず感極まり目に光るものがある教官もいるとのこと。
なお、演者のアーメイ氏はハートマン軍曹に対して「訓練生内の対立を不必要に煽り、レナード(微笑みデブ)を追い詰めた結果、報いを受けた」「レナードに射撃という取り柄が有ったとしても、異常性を見せ始めた時点で除隊させるべきだった」と辛辣な評価を下している。
トート星人ブンター、キース・シャーディス:同じく訓練生を厳しくシゴき上げる、口調も荒い鬼教官繋がりのキャラクター。しかしブンターは訓練生の信頼を確認させる理念を持っているため、情がないわけではない。
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