演 - ヴィンセント・ドノフリオ / 日本語吹き替え - 村田雄浩
概要
微笑みデブとは、映画『フルメタルジャケット』に登場するレナード・ローレンス二等兵のこと。
ハートマン軍曹は練兵のはじめ、八週間もの間生活をともにする志願兵たちに、親しみやすいよう愛称をつけていく。
レナード・ローレンスの場合、体型が明らかに太っていることと、どうも顔が緩んでいるように見えることから、この名がつけられた。
非常に鈍臭い上に、靴紐さえ自分で結べない程不器用で生活能力に欠けている。
当初は訓練にほとんど付いていけず、事あるごとにハートマン軍曹に怒られる日々が続いていた。
班長に任命された主人公のジェイムズ・T・デイヴィス(あだ名:ジョーカー)に面倒見てもらってそれなりに成長を見せるが、兵舎にドーナツを持ち込んでいたのがハートマン軍曹にバレてしまう。
以降、ハートマン軍曹は微笑みデブを叱咤しないと宣言、代わりに連帯責任として本人を除く全員が罰を受けるという精神的な制裁を食らう。
その後も悲惨な状況が続き、追い込まれていく微笑みデブを励まし続けるジョーカーだったが、一向に改善する兆しも無く同期の訓練生の恨みが蓄積され、ついには夜中に微笑みデブをベッドに拘束してからのリンチが行われ、ジョーカーも参加せざるを得なかった。
信じていたものに裏切られた微笑みデブは様子がおかしくなり「銃に名前を付けて恋人にしろ」というハートマン軍曹の教えを真に受けたのか、銃の整備中に愛しそうに話し続けていた。
それを見たジョーカーは「あいつは もう限界だ」「病気除隊も可能だ」と同期に話していたが、微笑みデブは射撃の才能を開花させ、ハートマン軍曹も認める模範的な兵士に変貌していた。
卒業後は0300歩兵隊への配属が決定していたが、訓練所を離れる最後の夜、見回りに来ていたジョーカーの前でM14自動小銃に『完全被甲弾(フルメタル・ジャケット)』を装填、意味不明な言動と行動を繰り返して、止めに来たハートマン軍曹の命令を無視して彼を射殺、自らも銃口を口にくわえて引き金を引いた。
ハートマン軍曹からは何かと叱責を受け、怒鳴られていたが、決して目の敵にされていた訳ではなく、それだけ気に掛けられてもおり、彼が射撃の才を開花させた際は「やっとお前の取り柄を見つけた」と褒めている辺りそれが窺える。
そもそも、なぜ彼が海兵隊に志願したのかは不明である(ベトナム戦争当時のアメリカは徴兵される時代のため、おそらく彼も徴兵された可能性が高い)。
余談
- 演者のヴィンセント・ドノフリオは微笑みデブを演ずるにあたって体重を32kgも増やしたとのこと。なお、この体重の増加の為に足を負傷して手術したらしい。
- この「微笑みデブ」というあだ名は日本語独自のもので、本家では「ゴーマー・パイル」と呼ばれている(アメリカのコメディドラマ『マイペース二等兵』の主人公に由来する)。ただし日本語訳はキューブリック監督が監修しているので、実質的に監督公認である。
- 実際の訓練キャンプでは微笑みデブのような悲劇は起きていないとされている(心身共に異常をきたした場合は間違いなく訓練から外される)。ただし元海兵隊員曰く「映画のしごきはまだ優しい方」とのこと。
- もっともアメリカ海兵隊は、アメリカの5軍(陸・海・空・海兵隊・沿岸警備隊)の中でも「真っ先に敵地に上陸する」のが役目であり、いわば、5軍の中でも一番の荒くれ集団である事が求められており、他の4軍に比べてしごきが厳しいとも言える。
- なお、ハートマン軍曹の演者で、アメリカ海兵隊の新兵訓練の教官を勤めた事もあるロナルド・リー・アーメイは、劇中でのハートマン軍曹の死を「自業自得」と評するほどにハートマン軍曹の訓練方針やレナードを精神的に追い詰めてしまった事や異常性を見せ始めていたのに射撃という取り柄が有った為に除隊させなかった事に対して辛辣な評価を下している。
- 微笑みデブがドーナツを隠し持ち込んでいたが、実際の訓練キャンプでは私物は初日の到着の段階で徹底的に没収される為、本来ならばありえないとされる。
関連タグ
ジュラシック・ワールド:中の人が、主人公の真似をしてなだめようと肉食恐竜の前で片手を伸ばすというウジ虫でも分かる自殺行為をしてドーナツを食うような感覚でパクリと食われた。
ジャック・ホーン:『マグニフィセントセブン』の登場人物。中の人繋がり。