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海兵隊

かいへいたい

元々は海戦における『敵艦への殴り込み役』。時代の移り変わりとともに役割も変遷をとげ、現在多くは水陸両用作戦や有事の際の即時対応に当たる為の部隊となっている。
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『海兵』とは

大砲が発明される以前でも、人間の戦いは海でも行われていた。
だが、大砲で相手の船を破壊して沈める前は、一体どうやっていたのだろう。

その答えが『相手の船に乗り込み、火を放つ』というものである。
人間の持てる武器では、船を直接沈める事は出来なかったのだ。

その中での海兵隊の役割とは、
海戦の最中に敵の船に乗り移り、火を放つという役割だったのである。

もちろん、相手も簡単には火をつけられまいと腕っぷしを揃えて対抗し、
こうして海兵隊は『腕っぷしが強ければ出世できる、要は体力だけの軍隊』と見做されていった。
(現在でも名残があり、冗談でも言われている)

のちに大砲が艦船にも積み込まれるようになり、海兵の役割も少しずつ変わっていった。
海兵隊には「上陸時の安全確保」という任務もあり、そちらが主になっていったのだ。

HERE THEY COME!!



センパー・ファイ!(常に忠実に)

ただし、体力自慢の脳筋集団という理解だけでは海兵隊の実態を掴む事はできない。
中世の軍艦では水夫は軍人ではなく、もちろん国王に忠誠を誓っているわけでもない。

このような中にあって、海兵隊は艦内の規律維持にも働いた。
当然ながら国王への固い忠誠心をかわれての事であり、当時は志願兵のみで編成される事が多かった。実際、アメリカは現在でもとくに志願する者だけが海兵隊になれる。
(過去に例外はあったが)

この事は現在のアメリカ海兵隊の標語でもあらわされており、
『センパー・ファイ!』(常に忠実に)
の一語だけで全てを理解できる。

いろいろな海兵隊

現在、戦争規模の海戦において白兵戦闘が起こった事は無く、また起こることも無い。
(ミサイル技術の発達により、そもそも水平線の向こうで勝敗が決まる)
もちろん海兵隊の役割も変わり、その役割は軍港の警備や水陸両用作戦へと重点を変えた。

水陸両用作戦とは強襲上陸・隠密上陸といった、着上陸作戦の事を指している。
(場合によっては)味方の支援が乏しい状況での強行上陸などの困難な任務も想定されており、当然ながら徴募兵のような質の低い兵士では役に立たない

従ってアメリカでは、『志願した人間のみ海兵隊に入れる』というのが伝統である。
(戦争時には例外もあったが)
この事は徴兵制のあった頃から続いており、海兵隊はまさに精鋭集団の代名詞となっている。

他の国でも、例えばイギリスオランダでは半ば特殊部隊と化している。
タイ韓国なども上陸戦専門の部隊とされ、これも練度の高い部隊とされている。

Per Mare Per Terram(海に、陸に)

イギリスでは1664年、「ロードジェネラル近衛歩兵連隊」が海上勤務を命じられた事から始まる。
現在の英王室海兵隊(ロイヤルマリーンズ)の基礎である。

Troupes de Marine(フランス海兵隊)

Troupes de Marineは1622年にリシュリューにより創設された本来の海兵隊で、当初は同時代の他国の海兵隊と同様に艦上勤務を専門としていた。その後植民地警備も担うようになっていたが、各地の植民地が次々に独立していったために1967年には陸軍に移管された。歴史的経緯から「海兵」と名乗っているもので、上陸作戦能力は無く標準的な陸軍部隊となっている。

U.S.Marine.Corps(アメリカ海兵隊

現在のところ、世界で唯一の独立した軍となっている海兵隊である。
略称はUSMCで、通称としては『マリーン』『マリンコ』などが知られており、他にもさまざまな別名がある。
この御方のような鬼教官たちに鍛えられた連中が居るところ、と言えば一部の方にはよくお分かりだろうか。

ハートマン先任軍曹



アメリカ4軍の中では唯一、「本土防衛」を任務に含まず、侵攻作戦や上陸作戦を専門とする、緊急展開部隊として位置づけられている。
そのために揚陸艦や戦車、支援用の戦闘機戦闘ヘリ等を擁する大所帯となっている。
ちなみに衛生兵など一部は海軍任せである。

陸海空軍は動かすためには時間がかかるが、海兵隊は最も迅速に行動できる。海兵隊が速攻打撃を加えて、陸軍が占領任務を引き継ぐというのも基本パターン。

なお、アメリカでは儀仗も海兵隊の任務となっており、大統領の行くところには常に海兵隊員の姿もある。

新兵訓練キャンプはパリス・アイランド(サウスカロライナ州パリス・アイランド)とキャンプ・ペンデルトン(カルフォルニア州サンディエゴ)の東西の二箇所にあり、ミシシッピー河を境に東側の出身者はパリス・アイランドに、西側の出身者はサンディエゴに送られる。
(なお、女性兵士はパリス・アイランドへと送られる)
サンディエゴには悪魔の丘と呼ばれる急な坂道がある事からパリス・アイランド出身者を坂を免除されたもの達と、田舎のパリス・アイランドに対してサンディエゴの近くにハリウッドがある事からキャンプ・ペンデルトン出身者をめかし屋どもと互いにからかっている。

事務方からコック、将軍に至るまで全ての海兵がライフルマンとなっている。

別名

  • マリンコ:Marine Corpsを英語読みをすると海兵の死体となってしまうのでフランス語風発音から。
  • ジャーヘッド:所謂GIカットやブルードレスの襟ががポットの蓋に見えることから。
  • レザーネック:支給されていた黒い皮製のカラーから。日焼けによって革のように硬くなった皮膚という説もある。
  • デビルドッグ:1918年にフランスを支援したアメリカ海兵隊第5海兵連隊第2大隊51中隊の勇敢さを例えた言葉から。
  • イエローレッグ:陸軍では廃止されたアンクルブーツのレギンスから。
  • グラント:不満を意味するスラングで、転じて文句が出るほど重い荷物を持つ歩兵。


その他の海兵隊

海兵隊が陸軍海軍のどちらに属するかは、国によって異なっている。
例えばフランスでは陸軍の下部組織となっているし、逆にロシアは「海軍歩兵」として海軍の下部組織となっている。

ただ、成り立ちがそうであるため、おおむね海軍の下部組織となっている国が多く、
『海兵隊は海軍の下にある組織』と理解しても間違いではないだろう。

日本の場合

一般にはあまり知られていないが、明治期の日本海軍にもイギリス海兵隊を基にした海兵隊制度が存在した。
但しこの海兵隊は上記の通り敵艦移乗を行うための部隊であり、艦砲の発達と艦自体の高性能化に伴い、早々と姿を消した。
尚、日本海軍にも陸戦隊と言う部隊があるが、基本的に必要時に艦艇乗員から編成される臨時部隊であり、海兵隊とは若干性格が異なる。
また、特別陸戦隊の様に常設部隊として鎮守府・湾港の警備にあたる部隊もあり、こちらも海兵隊に近い存在である。
その他、地理的要因から上陸作戦に大きな興味を持っていた日本陸軍では海上機動旅団なる上陸専門部隊が構想されており、現在の海兵隊に近い存在は結構ある。

現在では2014年度以降の陸上自衛隊において、3000人規模の「水陸機動団」を設立することが予定されている。この水陸機動団の司令部は佐世保の相浦駐屯地に設けられる予定で、各種水陸両用車両に加えてV-22の導入も中期防において明記された。

モデルとするのはアメリカ海兵隊だが、運用に関してはあくまでも「専守防衛」。開戦初期に占領された離島の奪還が主任務とされている。また、小野寺防衛大臣は水陸機動団について『島しょ部の防衛に加え、災害救助にも役に立つ』(2013年12月22日、西日本新聞1面)としており、日本西部の防衛や災害対策について、より一層注力する方針が示されている。

水陸機動団一問一答

「海兵隊的な機能」と自衛隊

なお、アメリカ海兵隊になぞらえて『主に攻撃作戦を担う海兵隊的な機能を持つことについては、専守防衛の基本方針にそぐわないとの批判がある』(同上)としているが、それは三軍と同等の規模と装備を有するアメリカ海兵隊が持つ能力であって、ごく小規模の日本版「海兵隊」には敵地に侵攻して領土を簒奪・占領するなどといったことは不可能である。
(3000人規模と先に述べたが、実際には航空機や戦車の搭乗員や整備員もこの内に含まれるので、歩兵戦力としてはもっと少ない)

制空権と国土防衛

また、この後に『実際に有事となれば戦闘機などによる制空権の確保が最重要となるため、海兵隊機能の保有は戦略面から疑問視する声もある』(同上)とも書いているが、最後に歩兵がモノを言うのは有史以来証明され続けてきたことで、また同じく同質の戦力が万能であるとする論が間違いであることもよく知られていることである。
(早い話が「そんな事より俺等に予算回せ by空自」ということ)

制空権のまやかし

現在では『航空優勢』と呼ばれている。なぜなら航空機は飛行するだけで燃料を消費するため、常に戦場に留まることが出来ないからだ。これは艦船(海戦)の場合でも同じで、燃料や弾薬が尽きると補給のために後退しなければならない事は同じだ。

かつて、太平洋戦争では1944年11月24日~1945年8月15日の9か月、日本はB-29による熾烈な空襲を受けたが、結論から言えばまったくのムダだった。島国の日本にとって資源は南方(東南アジア方面)からの海上輸送が頼みの綱だったので、海上封鎖さえしっかりやっておけば物資を使い切るだけだったのは明らかだ。事実、別に本土空襲など無くても、日本はすでに経済が行き詰まっていた。戦争継続には経済発展が欠かせず、そしてそのための物資は船ごと沈められていたのだから。

『制空権さえあれば』
そんなものはまやかしである。いくら空を制しても、地上を占領し、人間の活動そのものを抑制できなければ、空襲の後片づけ(=次の戦闘用意)を始めるだけからだ。現在、戦術としての都市空襲は放棄されているが、これが理由のひとつである。

総合

要するに取られないのが一番だが、盗られた時に取り返せないというのは困る、そのための海兵隊組織である、という話。

まぁそもそも「航空機至上論」「本土決戦必至論」「艦隊防衛絶対論」はどこの国でも陸海空軍が常に唱えていることであり、旧日本軍以来続く「俺等スゲェ」という自己主張と防衛予算の奪い合いと何も変わらないので、従ってなんら根拠にはならない。まあ戦争なんてやらないのが一番なのだが。

陸・海・空のどれが一番我が国の平和を守るために役に立つのかって?
すべて絡み合って防衛力になるのです。イチバンなんてないのですよ!

沿岸防衛について

直接配備(水際配備)方式と後退配備方式があり、一般に後退配備の方が有効とされている。
島しょの防衛にあたっては島一つごとに部隊を分散させる(直接配備)のは各個撃破されやすく、また部隊の規模は約200人(中隊)単位であるため、駐留させられる広さにも限界がある。

そこで一度は島の占領を許すが、のちに奪還するという方針が採られる事になった。
このため部隊は占領された島への逆上陸を想定して編成されることになり、水陸両用車両やV-22の配備はその表れだと言えるだろう。

なお、こうして人員や装備を上陸させ、橋頭堡(前進基地)を作る能力はそのまま災害時の救助体制にも直結する。実際、東北大震災ではアメリカ海兵隊の水陸両用部隊は荒れ果てた空港や港湾に進出し、のちの救援部隊や援助の受け皿を作ることに貢献している。

直接配備

戦闘力を発揮できない水上で敵を撃破できるが、事前の砲爆撃で無力化されてしまう可能性が大きい。例えるなら「とにかく強固な壁を用意する」方式。

後退配備

敵第1陣の上陸こそ許すものの、事前に無力化される心配は少なく、さらに上陸直後で態勢の整っていない敵を攻撃できる。直接配備に比べ、こちらはすばやい反撃に重点を置いている。

硫黄島の戦訓

なお、この戦訓は後退配備の有効性も示している。
硫黄島では島の奪還・反撃は(戦力不足のせいで)考えられなかったが、こうして敵の混乱と足止めを誘ったら、今度はそれに乗じて反撃するのが有効である。こうすることで敵は島の内外で同時に対処しなければならなくなり、「どちらかは必ず手薄になる」隙を作ることになる。

これは篭城したときと同じなのだ。
時間を稼ぐことによって敵を足止めし、その隙に反撃の準備を整える。
硫黄島要塞の意義とは本来こういう事で、無視して前進すれば、今度は要塞内部の戦力に背後を突かれることになる。それを恐れた事もあり、アメリカは「必ず」占領する必要があったのだった。

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