フロック・フォルスター
ふろっくふぉるすたー
「巨人を滅ぼす事ができるのは、悪魔だ!」
様々な激戦を経て大幅に人員を減らしたが、王政へのクーデターによって人類の希望としての立ち位置を改めて確立した調査兵団への新たな入団募集が行われ、それに共鳴し入団した多数の兵士たちの一人。
エレンたちと同じ104期生であるが、成績10位に入っていなかったように当時は目立つ立ち位置ではなかった。
後の回想のシーンではいつものように喧嘩を始めるエレンとジャンにツッコむ形で訓練兵時代が描かれている。
調査兵団への参加
「そんなに駐屯兵団くずれは頼りにならねぇかよ。お前らと同じ104期だろ?」
駐屯兵からの移籍組仲間であるサンドラとゴードンと共に、エレンたち訓練兵から直接調査兵団になった組に挨拶し、過酷な経験を経て変わった彼らに驚きつつ、共にウォール・マリア奪還及びエレンの家の地下に眠る秘密を明かす作戦に挑む。
壁外調査や対巨人の戦闘経験が無い為新兵の中の一人という立場になった。
ウォール・マリア奪還作戦
「いや…どうせ死ぬなら…どうやって死のうと、命令に背いて死のうと…意味なんてないですよね…?」
ウォール・マリア奪還作戦では兵団の馬を護衛する役割を与えられたが、獣の巨人の猛攻により前衛のベテラン調査兵達が全滅してしまい、サンドラとゴードンに続き戦意喪失し、調査兵団に所属した事を後悔する。
しかしそれでもエルヴィンの作戦と激励により立ち上がり、獣の巨人に勝つ為の囮特攻作戦に従う。
その結果、獣の巨人の投石攻撃によりマルロ含めたフロック以外の新兵たちは全滅する中で、奇跡的に五体満足で生存。マルロや新兵達の戦死報告をする生き証人となった。
リヴァイの選択
「巨人を滅ぼすことができるのは悪魔だ!!」
「悪魔を再び蘇らせる…それが俺の使命だったんだ!!」
「それがおめおめと生き残っちまった、俺の意味なんだよ!!」
生き残ったフロックは意識不明且つ瀕死状態のエルヴィンをリヴァイの元に運び無事合流を果たすが、そこには同じく瀕死の状態のアルミンもいた。捕獲済みのベルトルト(=超大型巨人)を捕食させる事で身体の回復が可能となる一本しか無い巨人化の薬を「アルミンとエルヴィンのどちらを復活させるべきか」で奪い合う事態となり、フロックもその議論に巻き込まれる事となった。
リヴァイはエルヴィンを巨人化させようとするも、アルミンの重要性を主張するエレンとミカサに反論出来ずにいたが、そこで、フロックが何故エルヴィンをリヴァイの元に運んだか理由を説明した。
エルヴィンを運んだのは良心や兵士としての当然の義務から来るものではなかった。曰く、自分たちを死地に追いやり仲間たちを死なせた彼が生きていることを確認した時、フロックはエルヴィンに報復として止めを刺そうという衝動に駆られた。
しかし、巨人と戦わせる途方も無い生き地獄を味わうことがエルヴィンへの死者に対する償いだと信じ、そして何より敵である巨人達を滅ぼすことができるのは彼のような人間性を捨てた悪魔だけだと確信し、自分だけが生き残ってしまったのは悪魔を生き延びさせることが自分の使命だと思い立ったからである。
以降、フロックはこの「悪魔」というキーワードを自身の道標にすることとなる。
しかしリヴァイは彼の言葉、及び意識が混濁したエルヴィンの発した言葉でエルヴィンの生死の行方を考え直し、エルヴィンを地獄から解放させるため、敢えてアルミンを巨人化させる選択をした。
フロックはリヴァイの行動に疑念を覚えたが、リヴァイはエルヴィンを悪魔にさせたのは自分達だと発言し、エルヴィンを許してやってくれと頼んでいる。また、彼を同じく悪魔として蘇らせようとしたのは俺達自身だとリヴァイに諭された。
奪還戦後
「アルミンが選ばれたかはわかる。」
「お前ら二人とリヴァイ兵長が私情に流され注射薬を私物化し、合理性に欠ける判断を下したからだ。」
「要は大事なものを捨てることができなかったからだろ?」
自分たちを導くエルヴィンという悪魔を失ったことに納得できず、奪還作戦後の慰霊式ではヒッチに生き証人としてマルロの最後を伝えると共に、私情を優先したエレンとリヴァイを痛烈に批判する。
エルヴィンの悪魔の如き指揮の下、命の的にされ仲間達全員と死別したことは、フロックの人格を歪ませてしまうことに繋がった。
仲間達が殺される原因を生み出したマーレに激しい憎悪をつのらせると同時に、仲間が命をかけて守ったパラディ島と同胞のエルディア人を絶対視する排他的で過激な愛国者へと変貌を遂げることとなっていく。
アニメ版では無垢の巨人殲滅後のウォール・マリア外部の壁外調査に同行している。
エレンによって同胞であり殺す必要はないとされた、運動性能の低さから生き残っていた無垢の巨人を殺すことに何故か拘りを見せ、他のメンバー全員から無視されるなど冷遇されているように描かれている。
レベリオ区襲撃
「俺達にはあの悪魔が必要だ。」
マーレ編でも登場。変わらず調査兵団員である。
ウォール・マリア奪還作戦で死地を生き抜いた経験が活きているのか、以前は実力に大きな差をつけられていた他の104期生と遜色ない戦闘をこなせるようになっている。
しかし、パラディ島内で勢力を増す過激な反マーレ派に加担、必要以上にマーレ人を殺害するような行動もしており、相変わらず他の104期生(現エルディア政府に好意的であり反マーレ派からは距離を置いている)との間には壁がある。
イェーガー派の台頭
「壁中人類の勝利のためなら本望です。」
レベリオ区襲撃からの凱旋後は、迫りくるパラディ島滅亡の危機の中で、エレンを拘束し隔離する兵団政権に反発。メディアを通じてエレンの情報を流し、島の住民の民意を煽った上でハンジに改めてエレンの解放を訴え、罰則として勾留される。
実はエレンに同調・英雄視するメンバーを集めた集団(当初は名称は無かったが、ピクシス司令が「イェーガー派」と呼称したことで彼らもそれを用いるようになる)を結成しており、内通させていた現政権内部のスパイから、兵団はエレンを信頼できる別の人間に喰わせて始祖の力を移すことを決定したことが判明したため、ザックレー総統を暗殺すると共に脱走し姿を隠す。
後任のピクシス司令はその意図を理解し、イェーガー派との衝突を避け要望を飲むように表向き動くも、裏ではザックレーと同じくエレンを他の人間に食わせようとしていることがスパイから判明したため、以後全ての交渉を拒否し、脊髄液ワインを利用したクーデターへと移る。
収監されたエレンが脱走するのに合わせてエレンと合流しシガンシナ区へ移動。
ジークの居場所を知る数少ない人物であるハンジを脅迫しながら案内させ、途中でジークによって瀕死にされたリヴァイの発見とハンジの逃亡を経てジークと合流を果たす。
地鳴らしの発動
「これが何かわかるか? 自由だよ!!」
エレンとジークを接触させるべく行動し、地ならしの阻止と始祖を奪うことを目的に飛行船団で襲来したマーレとの激戦の末に地鳴らしの発動を成功させる。更に、自分はエレンの代弁者であり、10ヶ月前からこの計画を聞いていたと宣言。
兵団政権のエレンへの不信不仲を事前にバラしていたことや、兵団政権が手をこまねいていた中でのマーレの襲撃とそれをギリギリで返り討ちにしたこともあって民衆の支持を獲得し、島の実質的な指導者を担う事になる。
実はマーレに渡る前にイェレナとエレンの密会を手引きした際、エレンと彼女の会話から兵団政権中枢は既に脊髄液ワインでジークの手の内にあることを知り、その後エレンからイェレナに従うフリをしろという指示と世界を滅ぼす計画を聞かされ、エレンこそがマーレ含む壁外の世界、そしてイェレナたちに脅かされるパラディ島を救う悪魔だと確信し、彼のための計画を作り上げた。
地鳴らし発動後は島の体制を盤石にするために義勇兵たちに恭順か死かを迫る。反抗した者には容赦なく銃弾を浴びせる一方、脊髄液ワインの首謀者であるイェレナ以外には恭順を示せば全員受け入れるとしており、唯一最後まで反抗したオニャンコポンにも気が変われば迎え入れることを示しつつ、イェレナと共に処刑しようとしていた。
しかしそこに突如として現れた車力の巨人がジャン、イェレナ、オニャンコポンらを捕食して逃亡したことと、近くにいたはずのミカサが消えた違和感から、地鳴らしを阻止せんとする意思の存在を察する。
何としても地鳴らしを完遂するため、地ならしの阻止に繋がる可能性の排除に動き出した。
作者はストーリーガイドのインタビューにて、
フロックは当初「流行に乗っかった人代表」程度で、キャラクターについてあまり深く考えていなかったが、描き進めてゆくうちに「客観的な意見を述べる読者目線の代表者」「対立意見を出してくれるからこそわかることがある、それを教えてくれる立ち位置のキャラクター」という風にハマっていた。
メインのキャラクターは「いい人」「正しい人」に成長しがちだが、フロックは別方向に成長した。彼の様なキャラがいないとみんなが統一した意識をもつ気持ち悪い状況になってしまうので(それを防いでくれる欠かせないキャラである)
と述べている。
進撃の巨人 エレン・イェーガー イェーガー派 ダークヒーロー
この先、ネタバレ注意
最期
「行くな…行かないで……くれ…」
「俺…達の悪魔……それ…だけ…希…望…」
最期はイェーガー派としての信念を貫き戦死する。
イェーガー派に反抗したハンジ達に飛空艇を船で搬出されそうになった際、雷槍で船底に穴を開け阻止しようとするが、ガビの狙撃に遭い無念のまま海に落ちる。
しかし、執念で追い縋る形でマーレ大陸へ渡っていた(おそらくは立体機動装置を使って船底にしがみついた)。そして翌日、ハンジ達が飛空艇の離陸準備しているところを拳銃で襲撃し、飛空艇を狙って弾丸を放ち燃料タンクを損傷させる。
元々満身創痍だったところに即座に反撃に転じたミカサの立体機動装置のアンカーの直撃を頸に受けたことで、そのまま死亡した。奇しくもエルヴィンとアルミンの生死を巡ってベルトルトを争ったミカサに、あの時と同様に意見の対立で殺害されることとなった。
今際の際もあくまでパラディ島内の人間の生存に拘っており、島外全人類の虐殺を悪魔の所業と分かっていながらも、その悪魔に縋ってでも生きていたい、悪魔に縋るしか生きる術がないと言い、エレンの意志に殉じた形となった。
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