概要
壁の外に存在する古代大国。またはその人々。
エルディア帝国崩壊後に、「タイバー家」の権限の下で、「七つの巨人」の力を所持している。
所謂、壁の外の世界の国。
現実の歴史通りの20世紀初頭に近い工業化を達成しており、写真機や電池、自動車、蒸気船、装甲車、飛行船、複葉機などの機械や兵器が既に実用化されている。
壁内の世界が、中世ヨーロッパのレベルの文明をほぼ維持したまま独自の技術発展を遂げていたのは、王政府が壁内人の壁外進出を妨げるため、影で技術発展を妨害し続けていたからである。
巨人の力で国家を簒奪したエルディア帝国を打倒し、復活を遂げた歴史があるが、その後はかつてのエルディアと同じく巨人の力を笠に着た侵略戦争に明け暮れている。
かつては帝国制(いわゆる皇帝や王によっての統治)だったが、現在では議会制に基づいた軍事国家であり、保有する巨人の絶対的な力で他国を侵略し植民地を増やしてきた。
その軍事力を背景に世界の中心に居座っているが、当然ながら敵対する各国からは蛇蝎のように嫌われている。
しかし、近年では各国の発展した工業力により、化石燃料を使った航空軍事力によって支配力の低下が懸念されている為、莫大な化石燃料を埋蔵している可能性が高く、尚且つ巨人の力の元締めである「始祖の巨人」がいるパラディ島の侵略を目論む。
マーレ国は巨人化能力者(マーレの戦士)達をパラディ島に送り込み、壁内を侵略して始祖の巨人を手に入れようとしたが、かつて楽園送りの処刑から逃れたグリシャ・イェーガーによって、無抵抗を貫いていた王家から既に始祖の巨人は奪われていた。
そして、その火種によって巨人に対する知識と力を得た壁内人類の反撃により、結果的には七つの巨人の力のうち二つを失う形で敗走する事になってしまう。
そして、逆に巨人の力を失った事が近隣諸国に知れ渡った事で戦争が勃発し、巨人の力を過信して軍事開発を滞らせていた事が災いして、海上戦では他国の最新鋭の戦艦に苦戦して制圧までに4年も費やす。
更に無敵であった筈の地上戦では、対巨人徹甲弾砲などの発展により鎧の巨人が大怪我を負う形での辛うじての勝利であり、マーレ国の弱体化や巨人の力が絶対的優位性を持っていた時代の終わりが逆に喧伝される形となってしまった。
だが戦場の舞台が空に移り始め、巨人の力の優位性が無くなったこの時代においても、軍の中には始祖の巨人を奪取できれば、再び大国の地位を取り戻す事ができると信じている者もいる。
また、4年の間にパラディ島制圧の為に何度か艦隊を送っているが、返り討ちにされ一隻も戻ってきていない。
始祖の巨人の処遇はともかく、いずれにせよマーレは近いうちに驚異の象徴であるパラディ島に再び本格的に侵攻する予定だった。
しかし、マーレの人々はパラディ島を甘く見ていた。パラディ島の兵士たちは、もうとっくにマーレ国に潜伏していた事に、一部の者を除いて当初は誰も気がついていなかったのである。
歴史
大昔から帝国として存在していたが、九つの巨人の力をもつエルディアによって一度は倒されて、国を解体されて制圧される。
だが、当時の145代目エルディアの王であるカール・フリッツがエルディア帝国の蛮行を嘆き、エルディア帝国の貴族家であるタイバー家や、後にマーレの英雄とされるへーロスらと裏で密かに手を組み、巨人大戦を意図的に引き起こした事でエルディアは内部崩壊する。
その後は、フリッツ王は自身に従うエルディア人達と共にパラディ島に移住して、三重の壁を築いて、そこに遷都した。一方で、マーレは内戦による混乱に乗じて九つの巨人の力のうち七つの力を奪い、国家として完全に復活する。
そして、そのマーレを権限下に置き、影から管理していたのは実はタイバー家だったのだが、これは国家の最重要機密として一部の者しか知らない(ただし国家を動かす実権はタイバー家からマーレに委託されており、あくまでもマーレ側にある)。
現在に至るまで、タイバー家以外の大陸側に残されたエルディア人達はマーレ政府により、巨人の力の源として利用する為に隔離政策が施され、強制収容区レベリオの中で管理されて暮らしている。
国家に翻意を抱くものは、「楽園送り」と称して巨人の脊髄液を投与されて無知性巨人化させられてパラディ島に送られる。もしくはジークの力を利用して戦場で任意のタイミングで巨人化させる事で、質量爆弾や直接の敵陣制圧に利用される。
このようにエルディア人は過酷な扱いを受けているが、これでもマーレでのエルディア人の待遇は世界的に見ればまだマシな方である。
あくまで収容区内でならばある程度の自由な生活が認められており、教育などを受ける事もできる。また、許可を得れば収容区外へも出られる。さらに功績を挙げたりマーレの戦士に選ばれれば、名誉マーレ人に昇格して様々な恩恵を得られる為、差別されながらも祖国マーレに対して忠誠心や愛国心を持っているエルディア人は少なくない。
加えるとマーレという後ろ盾を失えば、エルディア人達は生きる場所が無くなるという事情もある。実際、マーレ国外に暮らした経験のあるウドは、マーレ国外のエルディア人の待遇について「マーレの比ではない」と言っている。
前述の通り、現在では議会制に基づいた軍事国家に体制を移行しており、巨人の力を使った侵略戦争を繰り返してきたが、巨人の力に頼りすぎたツケとして軍事技術が各国に比べて軒並み遅れており、進化した各国の航空軍事力によって巨人の力を無力化されるのも時間の問題となっている。
また、マーレ軍の主力はエルディア人部隊が大半を占めており、彼らに戦闘を任せきりだったのもあってマーレ人の軍人達の練度は軒並み低い。
マーレ軍内部でも深刻な問題だと認識されており、前述のように海軍の陳腐化が著しく、無能の肥溜め等とエルディア人のウドが罵倒してもマーレ人の上官達はまったく注意せず、海軍将校からの「我々海軍は烏合の衆だと言いたいのか!」という非難に対して戦士隊の隊長は「それは問題の本質ではありますまい」と返し、面戸向かって海軍は烏合の衆だと元帥の前で発言している。
上層部の腐敗と堕落も深刻であり、エレン・イェーガーによるレベリオ襲撃事件の際には、幹部や幕僚や参謀達は誰一人として元帥を避難させようとしたり庇ったりせず見捨てて逃走しようとした。
後に、パラディ島勢力の襲撃で当時の軍上層部が全滅した事でテオ・マガトが新元帥となり、彼の下でマーレ軍の再編が進められたのだが、その時には対巨人砲を操れるまともな砲手がなんと元帥のマガトしかいないという惨状だった。
マーレの戦士
マーレ政府が管理する「七つの巨人」を継承するエルディア人(ユミルの民)のこと。
詳細は当該記事を参照。