『進撃の巨人』最終話までのネタバレあり
概要
2000年の昔、奴隷ユミルと接触し巨人の力をもたらし、すべての巨人の根本となった存在「大地の悪魔」の正体。
絵画に描かれるそれは巨大な悪魔の姿であったが、実際の「悪魔」はこの記事名の通り、発光するムカデ状の生命体であった。
エレン・クルーガーの台詞から、有機生物の起源とも呼ばれる。
正体・容姿
「今から遥か昔 まだこの世に物質しか存在しなかった頃」
「有象無象の『何か』が生じては消えを繰り返し、やがてあるものが生き残った」
「これを『生命』と呼ぶ」
ジーク・イェーガーがこう語る一幕では、生まれた原初の「生命」たちが描かれた一コマがある。
そしてそれらを代表するかのように、ある奇妙な生物がそのコマの中央に描かれていた。
その名を「ハルキゲニア」。名はラテン語の「夢見心地/夢想」に由来し、実際にカンブリア紀に生息していた原始的な生物の一つとして知られる。
そして何を隠そう、後述する始祖ユミルとの接触時、「光るムカデ」の外見は幾対かの触手を備えた細長い形状で、このハルキゲニアに非常に似通ったものであった。
作中ではっきりとした言及こそないが、クルーガーの推測通り、その正体は有機生命の起源ともいえる、ごく原始的な生命体だと推測される。
後述するように人間の脊髄に寄生した影響か、「光るムカデ」の外見はその後大きく変貌。体長と触手の数、長さが増えており、全身図は脊髄を含めた人間の神経系のようにも見える。
メイン画像はエレン・イェーガーの中から姿を現した際のものである。
ジークが語るところによれば、「光るムカデ」の目的は至極単純に、自身という生命を「増やす」こと。
つまりは「繁殖による種の発展」であり、「生命」全てに共通する、ある種根源的な欲求と言えるだろう。
また推測の域を出ないが、巨人の弱点であるうなじの肉が皆一様に1m10cmというサイズであった事、そしてハンジ・ゾエがその部位に「完全に融合した何か」があると発言していた事から、
始祖ユミル以降、全てのエルディア人のうなじにムカデの子孫が融合している可能性は高い。
言わば「巨人化器官」として、エルディア人とともに繁栄していたのだ。
巨人のうなじが弱点であったのも、恐らくはムカデが死亡する事で巨人化が解けてしまうからだと思われる。
作中での活躍
時系列上、物語に初めて登場したのは2000年前。
森の中にそびえ立つ巨木の裂け目、その中の水溜りにひっそりと生きていたが、そこに落ちてきた始祖ユミルと接触する。
彼女の脊髄に寄生・融合し、「生きたい」という強い想いに応えてか、より強く、より巨大な不死身の体を生み出す能力と、精神を「死さえ存在しない世界」へと逃避させる能力を与えた。
元からこのような力を持っていたのか、それともユミルとの接触で偶然産まれた能力なのかは不明。
その後、死亡したユミルを娘たちが摂食した事により、恐らくムカデも娘たちに、さらにその子孫たちへと伝染。
やがて全てのエルディア人が巨人化体質を持つようになったと思われる。
9つの巨人たちとの関係性は不明だが、始祖の巨人をもたらしているのは恐らくオリジナルの「ムカデ」に限られるようだ。
最終決戦「天と地の戦い」にて、うなじを爆破された終尾の巨人の本体側から2000年ぶりに出現。
この時点で胴回りが鎧の巨人が抱え込めるほどに巨大化し、長い胴体に無数の触手を備えたムカデ状の怪物と化していた。
自身の存続を賭け、再び始祖の首と一体化する為に鎧の巨人たちと交戦する。
戦闘では超大型巨人の爆発でも死なないしぶとさ、さらに全身からガス(おそらくジークや他の巨人の脊髄液と同じ成分)を噴出し、近くにいたユミルの民を無垢の巨人にし手駒にするという狡猾さを見せている。
しかし面々の必死の抵抗により、エレンの首との再接触は叶わず、最終的には始祖の巨人たるエレンの死と共に消滅した。
余談
- 『光るムカデ』という呼び名は、その姿を見たガビが「光るムカデのようなもの」と呼称した事に由来する。
- ファンからその姿からそのまま『ハルキゲニア』と呼ばれることもあれば、エレンがかつてライナーに投げかけた罵倒を引用して『でけぇ害虫』と呼ばれる事もある。
関連タグ
ヒラタヒゲジムカデ:日本の沖縄県に生息する本当に光るムカデ。本体が光るのではなく、危険が迫ると蛍光色に発光する液体を周囲に放出する。
天と地の戦いが終わり、エレンの亡骸(首)はエレン、ミカサ、アルミンの思い出の地である丘の木の下に埋葬されたが、永い年月を経てその木は異様なまでに肥大化していった。
(この描写から、女型の巨人との戦いの舞台になった巨大樹の森の木にはムカデの同族がいるのではないかという考察も上がっている)
これは始祖の巨人でもあったエレンの亡骸の中に「ムカデ」の一部が残っていたか、またはその残滓によるものかは分からないが、いずれにせよ「ムカデ」の何かしらの要因が木の異常成長に作用したのはほぼ間違いないと見て取れる。
やがてまた新たな戦争の時代を経て、焼かれることもなく大きくなり続けた木は、太古の時代…かつて始祖ユミルが対峙したような大きなウロを形成した巨大樹へと変貌を遂げていた。
そして、犬を連れた少年がそのウロに向かって歩みを進めたところで『進撃の巨人』の物語は終わりを迎えた。
二千年…若しくは…二万年後の君へ…