概要
現在はタイバー家が管理しており、継承者は当主であるヴィリー・タイバーの妹ラーラ・タイバー。
他の巨人とは扱いが異なり、マーレ軍の管理下には無く、戦争で前線に出る事も無い。これは管理者であるタイバー家共々最初にエルディア帝国に反旗を翻したことに起因する。
現在は本来であれば当主のヴィリーが継いでいるはずだった様だが、実際にはその妹ラーラが継承していた。
ラーラの巨人体は白い肌を持つ、頭髪のない整った長身痩躯の姿。
目と口元は筋繊維が露出しているものの、その上から白い肌がスリット状にかぶさった独特の構造になっており、どこか仮面や騎士兜を被っているようにも見える。
能力
エレン曰く「硬質化で、何でも器用に作っちまう」巨人。
硬質化能力の応用を得意としており、硬質化物質を自在に操る事で様々なものを作り出す。
その名に違わず長柄の戦鎚を生成して戦闘に用いるが、実際にはその他の武装も作成可能。
わずかな活躍の間にも直剣やムチ、果てはクロスボウなどのある程度複雑な機構や(クロスボウの弦をふくむ)柔性を持つ武装を生み出す多芸っぷりを見せた。火薬さえ用意できれば、銃砲の類すら扱えそうである。
また、地形を操って地面から槍ぶすまを出現させるという奇襲戦法も用いている。
生み出した武器は進撃の集中硬質化による防御も容易く粉砕するなど、超大型とは別の方向で非常に攻撃力が高く、知性巨人同士の格闘戦においてはトップクラスに強力。
硬質化能力に関わる知性巨人には鎧の巨人もいるが、戦鎚の巨人はその力を極端に攻撃方面に発展させていると言える。
さらに、他の巨人と大きく異なる点として能力者と巨人体は別々に存在できる点が挙げられる。
少なくともラーラが巨人化した際は本体がうなじにおらず、硬質化能力で作り出した結晶体に身を包んで巨人を地中から操っており、この特性を見破らなければ撃破は不可能であった。
地上の巨人は巨人と言うよりは硬質化物質で作った戦闘端末に近いらしく、エレンが硬質化で生み出した物質と同じく本体と切り離されても崩壊せず、再接続する事で戦闘を再開できる。
ただ硬質化物質の生成に特化・依存した戦闘スタイルは非常に消耗が激しいらしく、レベリオ収容区での戦いでは戦闘端末から2度切り離された後は新たな硬質化物質を生み出す事も出来ず、行動不能になってしまった。
活躍
「兄様…… タイバー家の務め……ご立派でした……」
ヴィリーが主催したエルディア王国への宣戦布告の式典を襲撃したエレン・イェーガーを撃破するために、ラーラが発動。
巨人体の生成途中でエレンに組み伏せられ殴打されるも、一瞬の隙を突いて地面から槍ぶすまを生成して反撃し、一転して攻勢に転じる。
長柄の戦鎚のリーチを活かして進撃の巨人をガードの上から難なく粉砕。マーレ軍の支援砲撃も味方に着け、さらに戦鎚で頭部をも吹き飛ばして一時は完全にエレンを追い詰める。
彼が持つ始祖の巨人はマーレが奪還を目指す重要目標ではあったが、ラーラは何か思惑があったのか、エレンを喰おうとはせずに処刑めいて殺害しようとした。
「反逆者、エレン・イェーガー…… 言い残すことは ありますか?」
「――――今だ、ミカサ」
だがトドメを刺そうとしたまさにその時、背後からミカサ・アッカーマンが急襲。戦鎚はミカサの放った雷槍四本の直撃をうなじに食らい、倒れ伏した……と思われたが、まもなく起き上がって活動を再開する。
必殺の雷槍が効かないことに衝撃を受けたミカサ。その一方でエレンは戦鎚との戦いでの違和感……「巨人体が足元から生成されていったこと(他の場合は首筋から生成されていく)」、「槍ぶすまが巨人体ではなく地中から直接生えたこと」などを分析し、そこから「本体と巨人体が別々になっている」という、戦鎚最大のカラクリを看破した。
ミカサの陽動に気を取られた隙にエレンは2度目の巨人化を行い、舞台地下で巨人体を操っていた戦鎚の本体……硬質化の結晶で己を守るラーラを捕獲。結晶と巨人のかかとを繋いでいた管を千切られた事で、戦鎚は今度こそ沈黙する。
本体だけの無防備な姿になったラーラだが、硬質化の結晶はエレンの巨人体では噛み砕くことができず、さらに再び硬質化の槍ぶすまと不完全な巨人体を生成して、エレンの巨人を串刺しにして激しい抵抗を試みた。だが、作り出した巨人が不完全であったことは、逆説的に彼女の体力の限界……直後に3度目の巨人化を果たしたエレンに対して、戦鎚には為すすべがない事をも物語っていた。
そして戦鎚の救出、および始祖の奪還を狙う顎の巨人との戦いの最中、エレンは盾代わりに掲げた結晶が顎の爪で抉られた事に気づいてしまう。
調査兵団の援護もあって無力化した顎の両手足をもぐと、彼は顎関節を断ち切られた顎の口に挟み、圧し潰すようにその大顎を押し込み始めた。
己が何をさせられるか気づいたポルコだったが、もはや彼にも、死にゆくラーラにも、抗う術はなかった。
((――――嘘だろ!?))
((やめろ! やめろ!!))
((やめてくれええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!))
ポルコの声なき慟哭も虚しく、まるでくるみ割り人形のように顎の牙で本体を守る結晶ごと砕かれ、ラーラは死亡。エレンはそのまま彼女の体液を絞って摂取したため、戦鎚の巨人の能力はエレンに受け継がれた。
その後、エレンはシガンシナ区での戦闘で戦鎚の巨人の力を発揮して、ライナーの鎧の巨人とポルコの顎の巨人2体同時に互角以上の戦いを見せた。その際、先代のように結晶の中に入って遠隔操作はせず、従来通りうなじにエレン本体がいたようだ。
歴代の「戦鎚の巨人」
「天と地の戦い」において、終尾の巨人の背中で始祖ユミルが呼び出した「九つの巨人」たちの中には、ラーラを含む歴代の「戦鎚の巨人」の姿があった。
どの巨人も武器持っていたり、特徴的な仮面状の頭部を持っているために判別はしやすい部類。硬質化の応用力はどの巨人も洗練されており、遠距離の敵には長弓による狙撃、巨人体で肉弾戦を挑んだライナーには大斧や長剣、大鎌などを生成して応戦し、終尾の首の爆破に向かったピークの巨人体をトライデントで拘束して足止めしたり、集団でライナーをボコボコにするなどの活躍を見せていた。
余談
2018年3月中旬現在、別表記である「槌」の字が使用されている場合の方が多いので注意。
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