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概要編集

1909年に兵庫県神戸市に生まれる。

親の影響もあって幼いころから映画に触れ、少年時代からマニアぶりを発揮していた。


社会人になってからは映画の広報などの仕事をしていたが、1966年から始まった長寿番組『日曜洋画劇場』の解説をきっかけに、一躍お茶の間の顔となる。

日曜洋画劇場では、番組の冒頭と終わりに、映画の解説や作品の裏話を非常に親しみやすく語ることに定評があった。

また、番組の終わりに、必ず『それでは次週を御期待下さい。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ』と言うセリフで締めるのが定番で、『サヨナラおじさん』の愛称で親しまれた。


1998年、いつもどおりにスタジオでの映画解説をおこない、その翌日に人生の銀幕に幕を下ろした。享年89歳。

最後の言葉は『もっと映画を見なさい』だった。


2014年から、huluCMに登場しており、音声合成の手法を用いて解説を行っている。



人物編集

映画人として編集

映画への造詣が非常に深く、間違いなく日本一の映画解説者である。

彼の独特な解説は、お茶の間の視聴者からも好評であり、未だに根強いファンを持つ。

どんな映画であっても酷評することはなく、良い点を必ず褒めていた。

2006年には、彼の映画解説のみを収めた『淀川長治の名画解説』というDVDが発売された。


洋画の邦題についてもこだわりがあり、西部劇の『駅馬車』の邦題を巡って大もめして会社を辞めたという話もある(その後ちゃんと再入社したらしい)。

映画評論に関しては解説する姿とは対照的に結構辛口で筆舌が高かったという。


有名な映画監督俳優との交流もあり、黒澤明などは生涯を通じての親友だった。黒澤の葬儀において出棺前の最後の別れの時「僕もすぐに行くからね!」と棺に眠る親友に言葉をかけた。

その言葉通り、淀川が逝去したのは黒澤明が亡くなった二ヶ月後のことである。

最後に解説をおこなった映画『ラストマン・スタンディング』は、黒澤明の映画『用心棒』のリメイク作品である。

またビートたけしとも交流があり、彼の北野武としての作品を高く評価している。


生前のチャールズ・チャップリンとも交流があり、淀川は日本におけるチャップリン評論の第一人者と言われている。

また、俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーに『シュワちゃん』の愛称を付けたのも、淀川である。


日曜洋画劇場のラストの名文句「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!」は当初は「サヨナラ」を言う回数が回によってバラバラだったのだが、それを何回言うかを子供達の間で賭けていたという話に対して「賭けにするのはよくない」として三回に決めたという。


私生活編集

  • 時代の流れとともにギャラの銀行振り込みが一般化する中、淀川にだけは彼の主義に合わせ、特例として「その日に現金手渡し」が続けられ、本人もこれを自慢にしていた。
  • 一人暮らしであった淀川は、晩年は利便性を考え、仕事場近くのホテルを住居としていた。部屋にはホテルの一室とは思えない程、沢山の資料が山積みになっていた。また、入浴の際にはバスルームに本と、のどの渇きを潤すためのミカンやアイスクリームを持ち込み、ゆったりとお湯につかりながら読書するのを密かな楽しみにしていた。
  • ある時、淀川のファンだという少年と遭遇したがその少年は左手で握手を求めてきた。「左手での握手」はいわゆる不躾な意味を持っている事を淀川は知っていた為、それを失礼な行為と憤慨して断りその場で車で去ろうとした。だが、去ろうとした時にバックミラーに写った少年の淋しそうな顔とある事実を目にした事で淀川は慌てて戻る事になる。その少年が左手で握手を求めた理由は何らかの理由で右手を失ったハンディキャップを背負っていたのだった。不躾を指摘した自分こそが一番失礼な振る舞いをした事に少年に泣いて謝ったという。この出来事は生涯忘れられず後年になってもなお悔やんでいたとのこと。
  • 生涯独身を貫いた。これは淀川がホモセクシャルだったことも一因しているが、複雑な家庭環境(※)で育ったことなども少なからず関係しているようで、自著などではそういった事情を赤裸々に語っている。結婚もしなければ子を成さなかったのも複雑な家庭環境ゆえの「淀川家」への復讐の意味もあったという。何度か結婚する機会はあったものの、いずれも断念している。
  • 非常に母親想いであり、放送タレントの永六輔によると、自身の誕生日には必ず母親と一緒に祝っていたという。永と淀川は誕生日が同じであり、永が『お互いの誕生日を一緒に祝いませんか』と声をかけたところ、『誕生日というのは自分の誕生を祝う日ではなく、自分を生んでくれた母親に感謝する日だ。だから、僕は君とは一緒に過ごせない』と答えたとのことである。


※…淀川の父には正妻がおり、淀川の実母はいわゆる「お妾さん」だった。その父と正妻との間には子供に恵まれず正妻は淀川が生誕した時は既に病身に倒れており、生まれた淀川を見て「跡取り」ができたと安堵して息を引き取ったという。この事が後に淀川は「実母は跡取りを産む為だけの存在だったのか」と淀川家に不信感を持つ事に至ったという。淀川の母親を大事にする姿勢はこの事も大きいとされている。



関連タグ編集

映画 評論家

小松政夫…俳優・コメディアン。淀川長治のモノマネをレパートリーに持つ。

Hulu…動画配信サービス。既に没後であったためCGアニメ(ポリゴン調の上に音声合成で台詞を喋る)という形でCMキャラクターとして「起用」した事がある。

ホラーマン…口調の元ネタが淀川氏。



外部リンク編集

Wikipedia

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