概要
有尾人一族ジャシンカ帝国が、地上侵攻の尖兵として使役する人工生命体。本作におけるゲスト怪人に相当する存在である。
いずれも動植物をモチーフとし、名称は「〇〇(モチーフ名)+シンカ」のフォーマットで統一されている。
開発は帝国の最高幹部にして随一の科学者・カー将軍が担当。生成の際にはまず、彼の作り上げた進化獣製造機「プログレッサー」に、「生命のスープ」と呼ばれる物体を投入することで生成プロセスが開始される。
この生命のスープとは、「大昔の地球の海に生命の元が誕生した時の状態」を濃縮させたものであり、投入後にカー将軍の号令の元でモチーフとなる動植物が選出され、それを受けてプログレッサーが「地球に生命が誕生して以来の、35億年の進化の過程」を一気に辿らせ、さらに未来へと急速に進化させることで、進化獣が誕生するのである。
作中に登場した個体は、いずれもシッポ兵をも凌ぐ戦闘能力と知性を併せ持ち、人語による会話能力も獲得している。また本作の明るい作風もあってか、個体の多くにはコミカルな描写も多く見られるのも特徴の一つと言える。
物語後半からは、カー将軍によって機械と生命体とを融合させた、強化版の進化獣が新たに投入されるようになった。
巨大化
ダイナマンとの戦闘で過大なダメージを受け、進化獣が生命の危機を感じ取った際、その身体には「ビッグバンプログレス」と呼ばれる現象が起こり、「超進化獣」として巨大化する。
巨大化後は両足が肥大化するのが特徴であり、さらにサイシンカのように身体の一部が変形することもある。
一覧
名前 | モチーフ | 登場話数 | CV |
---|---|---|---|
カニシンカ | カニ | 第1話 | 西尾徳 |
サイシンカ | シロサイ | 第2話 | 依田英助 |
コウモリシンカ | エラブコウモリ | 第3話 | 西尾徳 |
サンヨウチュウシンカ | 三葉虫 | 第4話 | 依田英助 |
バクシンカ | ヤマバク | 第5話 | 丸山詠二 |
ヘビシンカ | ヘビ | 第6話 | 依田英助 |
カイメンシンカ | カイメン | 第7話 | 西尾徳 |
チョウシンカ | チョウ | 第8話 | 〃 |
サソリシンカ | サソリ | 第9話 | 依田英助 |
タコシンカ | タコ | 第10話 | 西尾徳 |
イルカシンカ | イルカ | 第11話 | 依田英助 |
ノミシンカ | ノミ | 第12話 | 〃 |
カエルシンカ | カエル | 第13話 | 丸山詠二 |
ゲンゴロウシンカ | ゲンゴロウ | 第14話 | 大宮悌二 |
ヤモリシンカ | ヤモリ | 第15話 | 西尾徳 |
シソチョウシンカ | 始祖鳥 | 第16話 | 依田英助 |
キョウリュウシンカ | 恐竜 | 第17話 | 西尾徳 |
エイシンカ | エイ | 第18話 | 依田英助 |
ヤマアラシシンカ | ヤマアラシ | 第19話 | 〃 |
イカシンカ | イカ | 第20話 | 〃 |
ワニシンカ | ワニ | 第21話 | 西尾徳 |
ネコシンカ | ネコ/ヤマネコ | 第22話 | 依田英助 |
ナメクジシンカ | ナメクジ | 第23話 | 〃 |
キツネシンカ | キツネ | 第24話 | 〃 |
ハチシンカ | ハチ | 第25話 | 〃 |
ヒトデシンカ | ヒトデ | 第26話 | 〃 |
セミシンカ | セミ | 第27話 | 丸山詠二 |
ヤブカシンカ | ヤブカ | 第28話 | 西尾徳 |
サボテンシンカ | サボテン | 第29話 | 丸山詠二 |
トゲアリシンカ | トゲアリ | 第30話 | 依田英助 |
カマキリシンカ | カマキリ | 第31話 | 丸山詠二 |
クモシンカ | クモ | 第32話 | 依田英助 |
マンモスシンカ | マンモス | 第33話 | 〃 |
備考
進化獣の基本コンセプトは、本作のプロデューサーの一人である鈴木武幸の考案によるもので、本作が放送される前々年、1981年に発表されたドゥーガル・ディクソンの著作『アフターマン』の、「人類滅亡後の未来の世界で進化した動物」を描くという内容からの影響を強く受けたものでもある。
他方で、キャラクターデザイナーの一人として参加した出渕裕の語るところによれば、自身がデザインを手掛けた進化獣について、やりたかったのは「東映怪人の基本」――即ちショッカー怪人(『仮面ライダー』)などに代表される、エキスプロの高橋章が手掛けた怪人の路線であるといい、どちらかと言えば怪人としてはオーソドックスな方向性が志向されている。同時に制作サイドからも、必ずしも「こういうコンセプトで怪人を描いてくれ」という具体的なオーダーがあった訳ではないことを、後年のインタビューにて述懐している。
企画段階の頃の出渕は、幹部などのレギュラーキャラクターのデザインに加えて、『聖戦士ダンバイン』など他作品での仕事も抱え多忙を極めていたことから、番組初期に登場する進化獣については、こちらも本作よりスーパー戦隊シリーズに初参加した原田吉朗がサポートとして参加(※)している他、前年の『大戦隊ゴーグルファイブ』より引き続き参加の渡部昌彦も脇を固める体制が取られた。
渡部曰く、怪人の造形にも手間を割ける環境が整ってきたのが、本作や『宇宙刑事シャリバン』の頃であったといい、本作では出渕がデザインの面で突破口を開いてくれたことや、前出の鈴木が理解を示してくれたこともあり、コウモリシンカの巨大な翼のようにそれまでは通らなかったようなアイディアも通るようになるなど、デザイナーの側においても選択肢の幅がかなり広がったと証言している。渡部は進化獣の他に、巨大化後の脚部についても昆虫・蹄・恐竜など複数のバリエーションをデザインしており、都度都度それぞれの個体の形状に合ったものが選択されている。
(※ 原田の本作への参加は、前年の『機甲艦隊ダイラガーXV』での出渕との協働がきっかけであるというが、当時原田は腕の故障により満足に描ける状態になかったことから、カニシンカやサイシンカについては原田が描いたラフスケッチを元に、出渕が仕上げを行うという形でデザイン作業が行われた)