女将軍ゼノビア
おんなしょうぐんぜのびあ
第37話から登場する有尾人一族ジャシンカ帝国の幹部。一人称は「私」。カー将軍と並ぶ7本尻尾の持ち主。妖魔力の使い手で、大鎌のような杖を武器に戦う他、催眠術によって相手をマインドコントロール下に置くことが可能。
かなりの野心家で、8年前に自らが女帝にならんと帝王アトンを殺そうとした。しかし返り討ちに遭い、罰として千年洞窟に侍女ビルギス共々閉じ込められていた。
その後脱出して改めて帝王アトンに忠誠を誓うも、あくまでもそれは表向き。ジャシンカを乗っ取って君臨する野望は捨てていなかったのである。
そしてその邪魔となるメギド王子とカー将軍の排除を画策する。
まず、第一の障害であるメギド王子の度重なる作戦失敗を糾弾し、尻尾を全部切って、かつて自分が閉じ込められた千年洞窟に幽閉した。
そして終盤で、謎の戦士ダークナイトの協力も得て、第二の障害であるカー将軍に裏切りの濡れ衣を着せて失脚させようとした。その目論みも図に当たり、カー将軍は汚名をそそぐべくダイナマンと戦って、壮烈な戦死を遂げる。
かくして邪魔者を消し去ったゼノビアは、アトンや王女キメラに対して本性を現したが……
ダークナイトと結託したゼノビアは、『レトロ遺伝子』を手に入れようとする。それを使えば有尾人の最大の夢である、神にも匹敵する力を持つ「十本尻尾」になることができるのだ。その『レトロ遺伝子』を開発したのが、ダイナマンの上官である夢野博士と知って誘拐し、彼を催眠術にかけて『レトロ遺伝子』を浴び、遂にゼノビアは念願の十本尻尾になった。
ところが、力が満ち溢れたのも束の間、ゼノビアは急に苦しみ出し、体は急激に醜く老いさらばえてゆく。ダークナイトが「苦しめ」と嘲笑う姿に「まさか、お前は……!」と自分が陥れられたことに気づくも時既に遅し、無念の絶叫を上げながら、白骨と化してしまうのだった。
ダークナイト「もっと、もっと苦しんで、地獄へ落ちろ!それがお前の末路に相応しい!」
ゼノビア「もしや、お前は、ッ・・・謀ったなァァァァァ!!!」
既に帝王アトンとの一騎打ちにも勝利し、自分の望み通りの結果に満足げに高笑いするダークナイト。
その様子から正体に気づいたダイナレッドが彼に攻撃を仕掛けると、割れた仮面の下から現れたその顔は何とメギド王子。
千年洞窟から密かに脱出していた彼は、ゼノビアや自分を見捨てた者達への復讐を目論み、ダークナイトを名乗って彼女に力を貸すふりをしていたのである。
そして自ら倒した父・アトンに十本尻尾の真実を語った。
「十本尻尾になった者が不老不死の超魔力を手に入れるというのは間違った言い伝えであり、もし十本尻尾になれば逆に力に耐えられず、必ず命を落とすのだ」と。
彼は千年洞窟に隠されていた古文書からその事実を知った上で、ゼノビアへの復讐と尻尾の数に頼り続ける帝国の誤ちを証明するために暗躍していたのだ(ただし第47話でカー将軍がレトロ遺伝子の副作用について説明しているシーンがあった点から、ゼノビアの自滅の要因がその副作用による線も否定的できない)。
策士策に溺れる……メギド王子とカー将軍を陥れ、ジャシンカの頂点に立ったつもりの彼女は、罠に嵌ったのが自分の方だったとも気づかずに破滅してしまったのであった。
- スーパー戦隊シリーズにおいては、顔出し系女性幹部としては「最も性悪な女性幹部」というイメージが強いらしく、『非公認戦隊アキバレンジャー』においてはツー将軍もマルシーナをゼノビアと例えるほど。
- 藤山律子の起用はデザインを担当した出渕裕の意見によるもので、デザインも藤山を想定して描かれた。デザイン画での名称は「大神官ゼノビア」で、胸元が大きく開いた布地の衣装となっていたが、造型ではキメラの鎧と同じ型から作られた鎧に変更されている。そのためかスカートが垂れ幕状のミニなのもキメラと同じである。なお、演じた藤山は後年、「ゼノビアのセリフ回しは時代劇での男優の演技を参考にした」と述べている。