概要
ノミ(蚤)とは、ノミ目(隠翅目、学名:Siphonaptera)に分類される2,500種ほどの昆虫のこと。隠翅類(いんしるい)・微翅類(びしるい)ともいう。英語は「flea」(フリー)。
シラミと並んで外部寄生の吸血性の小さな虫としてよく知られるが、不完全変態のシラミとは全く別系統の完全変態昆虫であり、後述の見た目も大きく異なる。
シリアゲムシに最も近縁で、遺伝子解析ではシリアゲムシの系統から派生したことが示される。
特徴
体長数mmの小型昆虫。成虫の体は茶色で左右に平たく、腹部の方が頭部と胸部より大きい。口元は鋭いチューブ状の口吻で、脚は後ろの方が発達する。翅を持たないが、これはシミやイシノミのような原始的な特徴ではなく、元々翅を持つ祖先の翅が退化したからである。前述した一部の名前はこれらの特徴に由来する(ギリシャ語 siphon チューブ + a 無 + pteron 羽 で Siphonaptera 隠翅類/微翅類)。
昆虫の中で最も跳躍力に優れており、後脚で体長の60倍もの高さまでジャンプすることが出来る。バッタも単純距離では勝てるが、身長比では蚤の相手ではない。
しかし、相手に飛びつくことしか考えていないため、着地は不得手で、飛びつくことに失敗した場合、必ず地面に転がることになる。もちろん、強靭な外骨格と体の軽さで、ダメージを負うことは無い。このことはトリビアの泉でも紹介された。
成虫は吸血性であり、種類ごとに様々な哺乳類と鳥類の毛皮に外部寄生して血を吸う。
その習性ゆえに動物の持つ病原菌を媒介することがあり、中世ヨーロッパではネズミを中間宿主としてペスト(黒死病)を大流行させ、何万もの死者を出した。
幼虫は細長い蛆状で、成虫の糞や他の動物の表皮から落ちた有機物を食べて育つ。成長はかなり早く、孵化から2週間だけで繭を作って蛹になる。蛹は宿主の気配を察知すると羽化して成虫になり、宿主の体表に飛び込み寄生生活を始まる。
人の文化との関わり
瓶に閉じ込めておくと、跳躍しても瓶の蓋に何度もぶつかってしまうことにより、「自分の跳べる高さはここまで」と思い込み、外へ出した後も瓶の高さまでしか跳べなくなる。
しかし、別のノミと一緒に置いておくと、自分より高く跳ぶ同類の姿を見て、やがて元の高さまで跳べるようになる。
この話は「無意識に自分で限界を決めてしまう」ことへの戒めとして、しばしば引き合いに出される。
また、この習性と人間の息に含まれる二酸化炭素による反射行動を利用した「ノミのサーカス」という出し物がパリで17世紀ごろにはおこなわれていたとされ、ルイ14世も見物したと伝わる。現在ではDDT散布で演者がいなくなったためにすたれている。
操ることができる小型の虫ということで、創作においては『ダーティペア』や、フランス映画『ロスト・チルドレン』などで、血を吸うことで精神に影響を与える毒を持たされた生体兵器として登場している。
ノミをモチーフにしたキャラクター
- ノミドクロ(変身忍者嵐)
- ノミシンカ(科学戦隊ダイナマン)
- リグロー(星獣戦隊ギンガマン)
- 魔獣レプトリリックス(魔弾戦記リュウケンドー)
- グレムリンのワライコ僧(天装戦隊ゴセイジャー)
- ノミ怪人(仮面ライダーBLACK)
- プレクスワーム(仮面ライダーカブト)
- 蚤怪人(仮面ライダーBLACKSUN)
- 折原臨也(デュラララ!!)
- 冥加(犬夜叉)
- P.T.フリー(バグズ・ライフ)
- ライス1号(ダーティペア)
- くすぐりノミ(ドラえもん)