概要
完全変態昆虫の分類の1つ。学名は「Diptera」。ハエ目ともいうが、ハエのみならずアブやカ、ガガンボなども含まれ、双翅類と総称される。
世界中に12万以上の種が知られ、昆虫の中では甲虫(約36万種)と鱗翅目(約18万種、蝶と蛾)の次に大きなグループである。
有翅昆虫の成虫の翅は2対(4枚)が基本であるが、本グループは名前(ギリシャ語 di ふたつ + pteron 翅 で Diptera 双翅類)の通り、飛行用の翅は1対2枚の前翅だけで、残りの後翅は平均棍(へいきんこん)というマッチ棒のような小さな構造に変化し、飛翔時のバランスをとるに使う。
幼虫はシンプルな構造で胸部の脚を持たず、種類により細長いワームからいわゆる蛆であるものまで知られている。
熱帯雨林から寒帯まで、空中から水中まであらゆる自然環境に生息する。
馴染みのカやハエにより衛生害虫としてのイメージが強いが、植物の授粉者、死体や糞を分解する掃除屋としての役割も大きく、獲物や捕食者として食物連鎖における重要な位置をも占めており、実際は思ったよりも多彩で重要な昆虫である。
分類
双翅類の内部は、古典的にはカやガガンボなど触角が長い類を含む「長角亜目」(糸角亜目、カ亜目)と、短い触角が特徴的なハエやアブを含む「短角亜目」(ハエ亜目)に分かれていた。ただし下記の系統図の通り、長角亜目は単にハエとアブ以外の様々な双翅類をまとめた雑多な括りで、ハエとアブはその間から派生したものである。
ここでは有名な種類のみ列挙する(▲:長角亜目に属するもの)。
双翅目
┗┳┳━▲カなど
┗┳━▲キノコバエなど
┗┳━▲チョウバエなど
┗┳━▲ガガンボ
短角亜目
関連タグ
ネジレバネ:双翅類とは逆に前翅が平均棍のような構造に変化し、後翅だけで飛行する昆虫。
アザミウマ:全く別系統の昆虫だが、旧名「総翅目」の読み方は双翅目と同じ「そうしもく」。