シリアゲムシ
しりあげむし
全体的にシャープな体型で、脚と触角が細長く、顔も縦長い。名前(ギリシャ語 mecos 長い + pteron 羽 で Mecoptera 長翅類)の通り、ほとんどの種類は長大に発達した翅も持つ(ユキシリアゲムシの場合は退化している)。
オスのお尻の先端の生殖器が特徴的で、交尾の際にメスにしがみつく為のクラスパー(ハサミ)となっている。シリアゲムシ科の場合は名前の通り、これがサソリ(scorpion)の尾のように持ち上がっている。英語名「scorpionfly」はこの特徴に由来するが、サソリのような毒針はない。
他の科はオスが生殖器を持ち上げておらず、クラスパーもほとんどが目立たない。しかし Meropeidae というグループはクラスパーが長大に発達し、ハサミムシ(earwig)を彷彿とさせることから英語では「earwigfly」と呼ばれている。
ガガンボモドキというグループは脚がより細長く、爪先が鉤状に発達する。全体的にガガンボに似ているが、2対の翅で飛ぶことから区別できる(ガガンボ含めて双翅目は1対)。前脚だけで高所を掴んで体をぶら下げる(hanging)姿勢から英語では「hangingfly」と呼ばれている。
幼虫は芋虫状で種類により地上か地下に住み、苔や糞、昆虫の死骸などを食べる。成虫になってもその細長い口で昆虫の死骸を食べる他、果汁や花の蜜なども餌とする。蜘蛛の巣から餌を取ることもある。ガガンボモドキの場合、後ろ脚で獲物を捕まえる。
交尾の前にオスはメスに餌をプレゼントし、交尾中メスはこのプレゼントを食べながらする。どうやらメスはより大きい餌をくれるオスを好む模様。メスは1匹のオスに留まらず複数のオスと交尾するが、プレゼントに満足すると交尾相手を探さなくなる。この行動に関してはガガンボモドキの方がより知られている。オスが交尾が終わるとメスに一度あげた贈り物を持っていくこともあるらしいが、何なんだ一体。
シリアゲムシ科の場合、オス同士が反り上げたクラスパーを使って喧嘩することもある。