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概要編集

ハサミムシ(鋏虫)とは、ハサミムシ目(革翅目)に属する不完全変態昆虫のこと。

中国語名は「蠷螋」。英語は「earwig」("")と呼ばれているが、これは風評被害によるものである(詳細は後述)。

翅展開

名前の通り多くの種類は革状の前翅を持つ。その小さな前翅から想像し難いが、大きな扇子状の飛行用の後翅は、折り紙の仕組みでその下に折り畳まれている。地上生活を極めて翅が完全に退化した種類もいる。


最大の特徴は言わずと知れた腹部末端のハサミ(尾鋏)。これはコオロギカゲロウのお尻にも見られる「尾毛」というセンサーであった器官が発達したものである。また、このハサミは性的二形を示し、オスのは常にメスより強大である。


2,000ほどの種が知られて、昆虫にしては比較的規模が小さいグループである。


体長は多くが1cm弱から5cmほど。最大種は8cmに誇るセントヘレナオオハサミムシ。


生態編集

湿った場所を好み、陰に潜んでいる事が多い。

多くのものは雑食性で、種類により果物や他の昆虫、果ては他の動物のを食べるものもいる。

特徴的なハサミは決して飾りではなく、防御・捕食・喧嘩などに使われる強力な武器である。サソリのように、腹部をしなやかに曲げてハサミの向きを操る。


が巣を作り、子供の世話をする習性を持つ。


主な種類編集

  • クギヌキハサミムシ
    • 2~3.5cm。頭はオレンジで胴体は黒く、前翅に黄色い模様がある。オスのハサミは途中から左右に反る。
  • オオハサミムシ
    • 2.5~3cm。体は赤茶色。オスのハサミは真っ直ぐで強大、内側に1本の棘がある。
  • コブハサミムシ
    • 2cm弱。翅の先端が黄色い。オスのハサミは二形を示し、大きく曲がる「アルマン型」と真っ直ぐな「ルイス型」が存在する。
  • エゾハサミムシ
    • 2cm以下。オスのハサミが非常に細長く、前翅の両縁に黄色い模様がある。
  • ハマベハサミムシ
    • 2.5cm。体は黒く翅はない。オスのハサミは左右非対称に大きく湾曲する。世界中に広く分布する。古くは単に「ハサミムシ」とも呼ばれてきた。
  • セントヘレナオオハサミムシ
    • 8cmで最大のハサミムシ。全身が黒く、オスのハサミは前述したオオハサミムシと似る。南大西洋セントヘレナ島に生息したが、1967年から生体が再発見できず、人類活動(外来捕食者の持ち込み)によって絶滅したと2014年に判断された。

人間との関わり編集

一部の種類は果物の中に住んで侵食するが、基本人間に無害である。


英語圏では、ハサミムシは風評被害の代表格ともいえるほど酷く誤解された虫の一つである。

人間の耳に住む・脳に産卵するなどが有名な都市伝説で、当然ながらどれも真っ赤な嘘である。「耳虫」を意味する英語名「earwig」がこれに由来するが、この名前もまたハサミムシへの風評被害に加担している。


また、どことなく種類により有毒な甲虫ハネカクシと似ているためしばしば混同され、毒虫だと誤解されることもある。


関連画像編集

コブハサミムシオオハサミムシくん


外部リンク編集


ハサミムシをモデルとしたキャラクター編集


関連項目編集

昆虫 不完全変態

ハネカクシ:他人の空似。同様に飛行用の大きな後翅を小さな前翅に収納する昆虫。

 ハサミ 折り紙

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不完全変態 ふかんぜんへんたい

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