概要
半翅目(学名:Hemiptera)は50,000種以上の昆虫を含んだグループである。半翅類といい、「カメムシ目」とも呼ばれるが、本群はカメムシだけでなく、セミ、アブラムシなど様々な昆虫をも含んだ多彩なグループである(カメムシは本群の異翅亜目/カメムシ亜目のみに当たる)。
姿は多様であるが、いずれも触角の節が少なく、口のパーツ(顎)がストロー状の口吻に集約する。多くのものは植物の液をすする草食性であるが、捕食性(サシガメ、ハナカメムシなど)、吸血性(トコジラミなど)のものもいる。
成長様式は不完全変態、幼虫は成虫と同じ基本体制で蛹を経ずに成虫に羽化する。
ただし半翅類はアザミウマやシラミと並んで、他の不完全変態昆虫(トンボ、バッタ、ナナフシなど)よりも完全変態昆虫の系統に近い。
人間活動に関わるものが多く、特に草食性と吸血性のものはよく害虫として知られている。
主な種類
2010年代以降、半翅目昆虫は主に次の4亜目に分かれている。ここでは著名な種類のみ列挙する。
異翅亜目/カメムシ亜目
いわゆるカメムシ。甲虫と似たコンパクトな体型で、前翅は背中に平たく畳まれて前半部のみ硬化。
刺激を受けると匂いを出す。
サシガメやグンバイムシ、タガメ・アメンボ・タイコウチ・マツモムシなどといった水生カメムシ類などのように「カメムシ」の名が付かない種も多い。
腹吻亜目
口吻は付け根が脚の間にあるほど後方に収納される。体が柔らかい小型種が多い。
頸吻亜目
多くが流線型の体型で、振動や音を出してコミュニケーションをとる。
- セミ型下目
鞘吻亜目
湿った苔に生息する小型種。
苔から吸汁し、プラストロン呼吸が可能で、住処の苔が浸水しても耐えることが出来る。
かつてはカメムシ類に分類されたが、カメムシとは別系統。
日本には分布せず、オーストラリア、ニュージーランド、南米に分布する、典型的なゴンドワナ依存の分類群。
個別に和名が付いた種類はない。
- グンバイモドキ科 Peloridiidae のみ