概要
サシガメと呼ばれる種は、通常知られている草食の陸生カメムシと異なり肉食性で、シャープな姿をしている。口吻が草食のカメムシより丈夫で、種類により脚が非常に細長く、前脚がカマキリと似た鎌やハサミに特化したものもいる。
多くのサシガメは他の昆虫などの小動物を狙う捕食性であるが、オオサシガメ亜科の種類は脊椎動物の血を好む吸血性である。獲物の体液や肉などを消化酵素(毒)で液状化して吸汁する。
アブラムシがアリと共生するために分泌する甘露と類似しているが、麻痺性の成分を含む体液を分泌して欺し、アリを捕獲して餌とする種も存在するという。
捕食性の種であれば、音もなく獲物にゆっくりと接近してから口吻で素早くとどめを刺す。その有り様からか、英語では「Assassin bug(アサシンバグ、直訳すると"暗殺虫")」と総称される。他にヒゲブトサシガメは「Ambush bug("待ち伏せ虫")」、吸血性のオオサシガメ亜科は「Kissing bug("接吻虫")」と呼ばれている。
人間との関わり
人間にとっては害虫で、植物を食害するアブラムシやイモムシなどを餌とすることもあるため、益虫ともされている。
しかし、不用意に接触しようとすると、鋭い口吻で刺して毒により激痛を与えるだけでは無く、吸血性であるオオサシガメ亜科の場合は吸血したり、心臓が破裂し死に至るというシャーガス病の原因である原虫を媒介する種(人間を死に至らしめている生物第6位)もいるため注意が必要である。
関連タグ
水生カメムシ:同様に肉食種メインのカメムシのグループ。