概要
和名 | ゴミアシナガサシガメ |
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学名 | Myiophanes tipulina |
通称 | 「幻のカメムシ」「伝説の虫」「古民家の精霊」 |
分類 | 半翅目 Euhemiptera Prosorrhyncha カメムシ亜目(異翅亜目) トコジラミ下目 サシガメ上科 サシガメ科 アシナガサシガメ亜科 アシナガサシガメ族 ゴミアシナガサシガメ属 |
体長 | 14~24mm |
分布域 | 日本(佐渡島や三宅島を含む本州・四国・九州)、朝鮮半島、中国大陸、台湾、東南アジア、オーストラリア |
環境省レッドリストカテゴリ | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) |
昔は個体数も多く、身近に見られたというが、近年は発見例が少なく、幻の昆虫とも呼ばれる希少種となっている。
その珍しさは、生きたまま発見すれば地方紙やネット上でニュースになるほど。
日本では一年に数匹見つかればまだ多いほうで、数年間発見されない事もある。
例え研究者であっても見つける事は難しいが、近年、愛媛県で本種が多産する古民家が発見され、面河山岳博物館の特別展にて世界初の生体展示が行われた。
人を刺す事は無く、危険性は無いとされている。
生息環境
主に里山の古い木造家屋の室内や床下、蔵、廃墟、納屋などに生息する屋内性の昆虫で、古民家の減少によって数を減らしていると考えられている。
屋外で見つかることもあり、古民家周辺の田畑や山地の岩場、洞窟、沼地、ススキ群落の根元付近などでの確認事例がある。
形態
体長は約1.7cmほど、体は褐色で、脚は褐色と白色の斑模様になっている。
触角・体・脚・その全てが極めて細長く、まるでガガンボやアメンボ、ナナフシのような印象を受ける。
前脚はカマキリの様な鎌状に変化している。
全身が細い長毛に覆われており、一見するとゴミ・埃を纏っている様に見える。
さらにその毛に本物の埃を付けている事もある。
成虫には翅があり、灯火にも飛来する。
生態
生態は謎に包まれており、何を食べるのかも分かっていなかったが、近縁種が蜘蛛の巣に侵入して蜘蛛を狩る事から、本種もそれに近しい生態を持つものと考えられていた。
そしてつい最近、日本産の本種も蜘蛛を狩る事が判明した。
昔は汲み取り式便所に湧くハエを食べる為に集まった蜘蛛を狩っていたが、トイレの近代化により減少したという説がある。
夜行性で、昼間は暗く細い隙間に隠れてじっとしている。
鎌状の前脚を使って蜘蛛を捕獲し、針の様な口を刺して消化液を流し込み、体内をドロドロに溶かして啜る。
卵から孵化した幼虫は、成虫と同じく蜘蛛を食べて成長し、五回目の脱皮で成虫に羽化する。
幼虫・成虫共に一年中見られる。
関連タグ
カモドキサシガメ・ヒゲナガサシガメ・イトカメムシ・イトアメンボ:細長いカメムシ仲間
フサヒゲサシガメ:幻のサシガメ仲間