蟹坊主
かにぼうず
バケガニとも呼ばれる巨大な蟹の妖怪で、日本中に伝承が伝わっている。坊主の名が付く通り古寺などに出没することが多く、夜にのっそりとあらわれては謎かけをし(「両足八足大足二足、横行自在にして、眼は天を差す。これ如何に」。正解は『カニ』)、解ければ帰って行くものの、失敗すればたちまちその鋏で相手を貪り食ってしまうとされている。
山梨県の伝承によれば、謎かけの末に正体を暴かれ、独鈷を投げつけられ、割れた甲羅から血を流して死んでしまったとされている。異説によれば、カニの死体から長源寺の本尊たる千手観音が現れ、蟹坊主を退治した僧がこれを祀った後に長源寺の住職になったという。
なお、海のない都道府県にも伝承が存在しているが、水木センセイが描いた蟹坊主はサワガニではなく、海に住むガザミに近いデザインをしている。
ゲゲゲの鬼太郎
CV:飯塚昭三(第4期8話、14話)川津泰彦(第4期77話)小西克幸(第5期)田中秀幸(第6期)
背中に巨大な顔の付いた蟹の妖怪として登場。3期のEDはみんなのトラウマ。
これとは別に鬼太郎が海で出会った巨大な蟹の妖怪が別のエピソードで登場する。こちらはもっと蟹っぽいデザイン。色は妖怪画ではガザミに似た色(3期EDでは赤)、4期が青、5期と6期が赤となっている。
4期
徐福がたまたま食べなかった上海蟹が2000年の年月を経て妖怪化したとされる。黒雲に身を隠したり、泡で河童を凶暴化させて操ったりなどしていた。
シリーズを通してみると、敵として登場したり、4期のように後に味方になったりする事がある。もっとも、4期は元から蓬莱島の徐福を慕っていたので、味方になる要素があったのかもしれないが(だが、初登場回では河童達を環境破壊をした人間への報復に利用したので元の上海蟹に戻らされた)。その後に蟹坊主として復活したらしく、とある少年の父親を蓬莱島から戻すために鬼太郎達に協力、徐福と再開し、ねずみ男に逆鱗を剥がされて怒り暴れた守護龍蛟を鎮めるために共闘したり、ぬらりひょんの世界征服を阻止する際に、悪の西洋妖怪四天王であるブイイに追い詰められた鬼太郎達を助けるために、化け鯨、雪女、つらら女、輪入道等と駆け付けた。
講談社のコミックボンボンで連載されていた漫画『新妖怪千物語』の第12話でも上海蟹が化けたという設定で登場(ボンボンコミックス第3巻より)。
改心したはずの人喰い島の伝承を利用し、漁師や妖怪を泡団子に捉えて、上海妖怪博物館を作るという名目で暗躍していた(展示イメージの中には女夜叉や白粉婆、ヨナルデパズトーリの姿が確認できる)。
装甲とそれを補強する泡、超ハンマーパンチといった武器で鬼太郎を苦しめたが、関節に髪の毛槍を刺され、電撃ショックを浴びせられて敗れる。
しかし、なおも抵抗した為に人喰い島の胃酸で溶けてしまった。囚われた人々は腸の流れに乗って排泄物(オナラ)として脱出したのだった。
6期
歴代で初めて元の伝説にある問答と人間への変身を見せていた。また、4期の徐福のようなケースを除くと、最初から人間と敵対以外の関係性を持っていたのも初めてである。普段は僧形をした大男の姿をしているが、正体を言い当てられると本来の姿である巨大な蟹になる。口から吐く泡は、対象をブロンズ像のような状態に変化させる(水木しげるロードへのオマージュだと思われる)。鬼太郎の髪の毛針を跳ね返すほどの強固な体をしているが、電気に弱い。
かつて戦国の世にとある小国に遣えていたが、遣えていた小国が敗戦した際、姫と護衛と共に逃亡し、敵国の追っ手を銅像に変えて殺していた。そして境港の寺院に姫を匿い、姫に近付く人間を敵か味方か判別するために、「両足八足、横行自在にして、眼は天を差す。これ、如何に?」という問答を合言葉にしていた(答えは彼の正体である『蟹坊主』であり、味方は蟹坊主の正体を知っているので答える事ができた。よって伝承の答えである『カニ』は不正解)。
「妖怪が人間同士の争いに首を突っ込むな」と諌めていた大山の烏天狗の長老に対し、「人間も妖怪も関係ない」と言い返し、姫への忠誠心は本物。
しかし、敵国に雇われた呪い師によって封印されてしまい、姫を殺されてしまった。現代で封印が解かれた蟹坊主はその事を知らず(もしくは知っていて認める事ができず)、姫を探して境港をさ迷い、出会った人間を前述の問答を問いかけて答えられない者を銅像に変えていった。一反木綿を始め、子泣き爺(『タコ』と誤答)やぬりかべ(『ムカデ』と誤答)、猫娘(『カニ』と答えたが前述の通り不正解)、そして鬼太郎までも銅像に変えてしまう(ついでに、鬼太郎達を襲撃する前にたまたま通りかかったねずみ男も)。しかし、砂かけ婆を姫と勘違いして動揺した事で彼女と目玉おやじを取り逃がしてしまったものの、すぐに追いかけて犬山まなの伯父の庄司を銅像に変える。
その後、烏天狗の小次郎を味方に付けて、庄司を実験台に大山の霊水で銅像にされた者を元に戻せると確認し、もっとたくさんの霊水を運ぼうとする彼らの前に再び現れる。砂かけ婆に自分が姫ではない事、遣えていた姫様はもうこの世にはいない事、そしてその事を実は気付いていたのではないかと告げられ動揺。更には砂かけ婆に自分の正体を答えられ、涙を流して「嘘だ、嘘だ!」と悲鳴をあげながら本来の姿に戻って暴れだす。苦戦する砂かけ婆と小次郎を見た烏天狗の長老が起こした竜巻で霊水が境港に雨のごとく降り注ぎ、ねずみ男を除いた銅像にされた者達が復活。鬼太郎の体内電気をくらい、妖気を放出しながら倒れた。
最後は砂かけ婆に涙ながらに「姫様が眠るこの街に眠らせてくれ」と願い、自分の泡に包まれて自ら銅像に成り果てた(目玉おやじは、わざと倒されるために暴れたのかもしれないと考えた)。それを聞き届けた庄司達境港の人々によって、商店街に蟹坊主の変化した銅像が新たに作られた姫の銅像と共に飾られ、彼の生き様は伝承として語り継がれる事となった。さらに蟹坊主が寂しくないように他の妖怪の銅像も大量に作られて、堺港の観光名所になった(言うまでもないが、水木しげるロードがモデルであり、現実にも銅像が存在する)。
- 蟹坊主は厳密には山梨県の妖怪であるが、甲州には蟹坊主のような問答を行う天狗の伝承も存在する。
- 彼を雇った小国の人々が蟹坊主をどう思っていたのか定かではないが、過去の回想から彼を妖怪と知りつつ大事な姫様の護衛を任せ、蟹坊主の指示に従っている所を見ると(兵士達の様子から『脅されて渋々』といった様子は見られない)、恐らくではあるが蟹坊主の事を信頼していたと思われる。
- 今回鬼太郎が『髪の毛槍』を披露したが、『髪の毛槍』は元は別の技の名称であり、どちらかというと今回のは4期の鬼太郎も蟹坊主戦で披露した『髪の毛縄』に近い。今回の髪の毛縄とほぼ同じ攻撃は、5期の鬼太郎が披露している。
行け!牛若小太郎
顔面がウチワエビのようになった妖怪として登場。武器は槍。
妖怪の飼育員さん
普段は大入道の姿でなぞなぞを出す(人間の不安や迷いを化ける力にするタイプ)が、答えられると大蟹の姿に戻ってしまう。一度正体を現すと大入道の姿を取るのに時間が掛かる為、客に答えさせないよう要求。紆余曲折あって青北風が提案した「角ありて爪無し、刀ありて弓無し、牛ありて馬無し、虫ありて鳥無し」と言う謎かけで丸く収まったかに見えたが……
Fate/Grand Order
水怪クライシス〜無垢なる者たちの浮島〜にて登場。
僧の姿に化け、なぞかけを解かれると正体がバレるのは伝承と同じだが、こちらではグラフィックの関係でヤドカリとなっている。その名も『寄居虫坊主』である。
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