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白粉婆

おしろいばばあ

奈良県の吉野郡十津川流域の伝承で語られる老婆の姿をした妖怪。
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概要編集

白粉婆さんとも呼ばれる事もある奈良県吉野郡十津川流域の伝承で語られる老婆の姿をした妖怪


鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』では白装束を身に纏い、大きな敗れ傘を被って杖を突き徳利を片手に雪の中を歩き酷く腰の曲がった老婆という姿で記載されており、鏡をジャラジャラと引きずって現れ顔一面に白粉(おしろい)を分厚く、しかも乱雑に厚ぼったく塗りたくった化粧をしている為に夜中などに出会うと非常に恐ろしく感じるものだという。


また、その正体は紅白粉の神である“脂粉仙娘”に使える侍女だとする説もある。

藤沢衛彦の『図説民俗学全集』によれば、能登地方では普段や奥深い山に棲んでいるが、雪が降る肌寒い夜になると、脂粉仙娘に捧げる酒を求めて山から里へと降り、家々を訪ねてくる雪女の一種ということである。


また、同一存在かどうかは不明だが、室町時代に奈良県の長谷寺という所に彼女が現れたというものがあり、次のような伝説が伝わっているという。


天文6年(1537年)頃。 長谷寺の座主・弘深上人は戦乱渦巻く今の世を少しでも良くしたいと願い、本堂一杯の大きさの紙に、寺の本尊である観音菩薩を描く事を思い立ち、全国から数多くの画僧たちを寺へと集めさせた。


しかしある日、足利将軍家の軍勢たちが寺へと押しかけると寺や街の穀物を根こそぎ徴発してしまった。その噂を聞いた画僧たちが食事ができないのではないかと不安を募らせていると、何故か寺の小僧は観音様の救いによって食事の支度が出来ると伝えて来た。


画僧たちは不思議に思い、小僧の案内で寺の井戸端へと赴いてみた。すると、そこには1人の娘が米を研いでいた。娘が桶で研いだ米をざるに上げたのを見ると、桶には1粒だけ米が残っていたが、それを水に付けると、不思議なことに桶一杯に米が膨れ上がり、更にそれを研ぐと米はどんどん増えていく。


その様子を見た板画僧の1人は、彼女が観音様の化身であるならば是非とも顔を拝見したいと思い、仲間が止めるのにもかかわらず、娘に向かって小石を投げつけた。


すると浄土を思わせるようなまばゆい光が差し、娘は顔を上げた。その顔は白粉を縫っていたが、画僧たちの為に大変な苦労を重ねていた為に皺だらけの老婆のような顔になっていた。

しかし画僧たちはその眩さ、そしてありがたさを前にしたことで娘に対して1人残らずひれ伏してた為、誰1人としてその事に気付いた者はいなかった。


これ以来、画僧たちは仕事に打ち込み見事な大画像を完成させたという。



フィクションでの扱い編集

ゲゲゲの鬼太郎編集

CV/弥永和子(3期鬼太郎)、吉田理保子(4期鬼太郎)、龍田直樹(6期鬼太郎)

こちらでは5期を除いて伝承とは違って神の眷族などではなく、邪悪な妖怪という設定となっており、戦闘能力もその見た目によらず以外にも高い。


3期鬼太郎編集

第103話「純愛ヌリカベとおしろい娘」に登場。最強の女妖怪とされる脂粉仙子を幼いうちから自身の手元において手懐ける事で、彼女の力を利用して“妖怪大統領”になろうと目論む。


しかしその儀式の最中に偶然その現場を目撃した茂作という名の猟師に本物の赤ん坊を生贄に捧げようとしていると思われ脂粉仙子を連れ去られてしまい、それ以来、脂粉仙子の行方を捜して茂作の居所を追い続けていた。


脂粉仙子が連れ去られてから3年後、遂に茂作を見つけ出すと白粉の塊で彼を拘束し、偶然居合わせたねずみ男の入れ知恵で美女に化けるとかつて妖怪に攫われた娘を取り戻したいと偽って鬼太郎に近付き助力を頼んだ。


しかし茂作の孫娘として育てられた脂粉仙子は大好きな「祖父」から引き離されることをかたくなに拒み続け、彼女の意思を尊重するぬりかべと「母親」の元へ帰すべく打と主張する鬼太郎が戦うことになってしまう。


一向に自体が進まないこの事態にはやる気持ちを抑えきれず、気が急いでしまった白粉婆は、邪魔するぬりかべに燃える白粉を浴びせて粉砕し排除してしまい自身の正体が鬼太郎に露見してしまうという失態を演じてしまい、功を焦った白粉婆は脂粉仙子を奪おうと紅子に飛び掛かるが、最後は一時的に妖力を目覚めさせた紅子の妖力の妖力波を受け消滅した。


4期鬼太郎編集

第21話「白粉婆とのっぺらぼう」に登場。


自身の妖力を込めた白粉をねずみ男を使って何見知らない人間たちに売らせて、それを使ったものの顔を奪い取り、エキスを採って自身が若返る為の秘薬にしようと目論む。


なお、この方法は表面がザラザラした荒っぽい方法で奪われるらしく、この症状をみた同業者(?)ののっぺらぼうは怒りを露わにしていた(のっぺらぼうと違い、口も奪っている)。

ちなみに、この白粉は猫娘や砂かけ婆、何故か子泣き爺も使っており、彼女たちも顔がなくなっていた。白粉婆の居場所を探すために鬼太郎も白粉を使い、顔だけ動かして白粉婆の住処を特定した。

人間だけでなく妖怪の顔も紛れ込んでいたことに気づかなかったようで、砂かけ婆と子泣き爺も白粉を使っていたことに驚いていた。さらにのっぺらぼうを見て「あんたも男なのに私の白粉をつかったのかい!?」と言い、のっぺらぼうは「元からです」とツッコんでいる。


老婆の見た目によらず素早い動きとそれから繰り出される杖による攻撃や白粉の目潰し攻撃で鬼太郎を苦戦させるが、鬼太郎とのっぺらぼうの連係プレイの前に歯が立たず、最終的に鬼太郎に協力していたのっぺらぼうに顔を奪われるという形で敗北(ちなみに味はしょぱかったらしい)。降参して顔を元の持ち主へと返した。


5期鬼太郎編集

第9話「ゆうれい電車 あの世行き」で幽霊列車の駅に出現したり、第25話「妖怪大運動会」で北日本代表のリレー走者として参加したり等、モブキャラとして登場。なお、作品自体が打ち切りになってしまった為に詳細は不明だが、案外伝承に一番近い形で登場したかもしれない。


6期鬼太郎編集

第44話「なりすましのっぺらぼう」に登場。

今回の設定では凶悪な人食い妖怪という設定で、人間社会の闇に溶け込みつつ暗躍しており、普段はアイドルユニット・パラダイスの王子様キャラの悠という名の美男子に化けて芸能稼業を行い、何も知らずに自身に着いてくるファンの女性たちを誘い出しては文字通り喰い殺していた。


なお、何時の頃から人間社会に紛れ込んでいたのかは不明だが、巧妙に人間の心の闇を巧みに利用して長きに渡って潜伏していたようで、物語の終盤に正体を現すまでは相方ばかりか視聴者にすらその正体を悟られることは無かった (作品自体がダークな雰囲気であった事や彼女が化けていた悠自身がある理由で相方に土下座を強要する等、とても善人には見えなかった事。そして正体を現す直前まで何の伏線も無かったこともあり、彼の正体に心底驚いた人は多いかもしれない)。


ちなみに化けている人物は男性(ちなみに中の人もだが、)だが、本人はれっきとした“女性の妖怪”である。また、彼女の愛用している車の後部座席には犠牲者のスマホなどが大量に残されたままとなっている。


そんなある日、とある理由や様々な誤解やすれ違いの結果、相方のアツシが芸能界を辞める相談して来たことから、彼に見切りを付けて彼を喰い殺して“相方が謎の失踪を遂げた悲劇のアイドル”という名目でさらに自身の人気を上昇させることで更に食料となる女性ファンを集めようと目論む。


しかし命の危険に曝されたアツシはとっさに唯一心を許せる親友の“ののくん”に助けを求めるメールを送った事で彼の窮地を知り、助けに来た“ののくん”事、のっぺらぼうに阻まれてしまった為、自身の邪魔をしたのっぺらぼうから喰い殺そうとする。しかし自身の窮地を救ってくれたのっぺらぼうの行動や、彼の言葉からのっぺらぼうこそがかつて自身が幼い頃によく遊んでいた大親友の“ののくん”張本人だったことに気付き彼を助け出そうとするアツシに後ろから石で頭を殴打され失敗。


怒り狂った白粉婆はならば二人とも死ねと言わんばかりにアツシとのっぺらぼうの2人に『毒白粉』を振りかけるが、駆けつけた鬼太郎とねこ娘に阻止されてしまい、標的を2人に変えて対決。


杖を出現させ振り回しての攻撃や鬼太郎の『髪の毛針』をも防ぐ防御力を持つ『白粉笠』で応戦するが、如何やら『白粉笠』で防ぐ事が出来るのは飛び道具限定だったようで、ねこ娘の爪攻撃であっさりと傘を切られて失い、無防備になった所へ『指鉄砲』を撃ち込まれ呆気なく滅ぼされ消滅してしまった。


妖怪始末人トラウマ!!シリーズ編集

妖怪始末人トラ・貧!!の第3巻、「妖怪 白粉婆」に登場。

この白粉婆は恐ろしいことに人食いの妖怪で、昔は肉の柔らかい子供をさらっては食っていた。現代では一見おとなしく美容クリームを販売して生計を立てていたが、実はそのクリームは子供の肉からしぼった脂で作ったものであり、直接子供を食うより、こうすれば毎日美味いビフテキが食えるとほくそ笑んでいた。



関連項目編集

妖怪

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