概要
十脚目とは、軟甲綱に分類される甲殻類のグループの1つ。学名は「Decapoda」、十脚類と総称される。全てがエビというわけではないが、「エビ目」ともいう。
エビ、カニ(短尾類)、ヤドカリなど(異尾類)という甲殻類として馴染み深いグループが含まれる。
人間の食文化と深く関わり、魚介類として利用される甲殻類はほとんどが十脚類である。
頭部と胸部は完全に癒合して頭胸部を成し、1枚の大きな甲羅(背甲)でそれを包み、左右の隙間に鰓が格納される。触角は2対で最初の1対は2本の鬚に枝分かれ、複眼は可動の眼柄で突き出す。
8対の胸肢のうち前の3対が食事用の「顎脚」に特化し、残りは名前(古代ギリシア語 déka 十 + poús 脚で Decapoda 十脚類)の通り5対10本の脚となっている。中でも1対以上がハサミを持つ腕のように特化した場合が多い。ただし異尾類の場合、最後の1-2対が退化的である。
腹部は6節で、エビの場合は5対の腹肢と扇子のような尾(尾扇)を持つ。異尾類の腹部は多くがやや短く、そのうちヤドカリのはほとんどが柔軟で左右非対称に変形している。カニの場合は「短尾類」の名の通り腹部は退化的で、頭胸部の腹面に折り畳まれる(いわゆる「カニのふんどし」)。
節足動物として大型の種類が多く、中でもロブスター、ヤシガニとタカアシガニが現存最大級の節足動物として知られている。
ノープリウス→ゾエア→メガロパ/ミシスというプランクトンとして生活する幼生段階に経って、成体を小型にしたような雛カニ/エビとなって成長し続けるものが多い。幼生段階を卵の中で完走し、雛カニ/エビとして孵化するものもいる(ザリガニ、ロブスターなど)。また、イセエビやセミエビなど(イセエビ下目)のゾエア幼生はやや特殊でフィロソーマという。
分類
十脚類は大まかにエビ類・異尾類(ヤドカリなど)・短尾類(カニ)の3グループに分けられる。ただし系統上、「エビ」とは単に異尾類とカニ以外の様々な十脚類を便宜上にまとめた総称である。また、異尾類はカニでもエビでもないが、中ではそれらしき姿をもつため「エビ」や「カニ」の名が付く種類が多い(コシオリエビ、タラバガニなど)。
エビ類
- 根鰓亜目(クルマエビ、サクラエビなど)
- イセエビ下目(イセエビ、セミエビなど)
- ザリガニ下目(ザリガニ、ロブスターなど)
- コエビ下目(ヌマエビ、モエビ、ボタンエビ、テッポウエビなど)
- オトヒメエビ
- テナガエビ
- アナジャコ
異尾類
短尾類(カニ)
(該当記事参照)