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概要

葉巻とは、1枚もしくは複数枚のタバコ葉を筒状に成型して巻いたものを指す。

価格帯や産地によって差があるものの、基本的には普通の紙巻き煙草とは違い、紙やフィルターを使わずにタバコ葉のみで構成されている。

本来、タバコはたばこの葉を乾燥させ、葉の中の酵素を一部不活性化させることで葉の酵素由来の発酵工程(菌による発酵ではないことに注意)に進み、さらに発酵工程を経ることで香り(様々である。コーヒーのような香りやシュガーのような甘み、草っぽい酸味や土っぽさなど)やニコチンなど、タバコをタバコたらしめる物質が生まれてくる(だから葉たばこの生産は誰でもできるし乾燥工程までなら誰がやっても違法ではないが発酵させた瞬間にタバコを製造していることになり違法となる。タバコ製造は国から許可された会社、団体のみが行えることになっており、日本ではJTだけが許可されている)のだが、その味を十全に楽しむためには喫味が強くならないよう燃焼速度を抑えつつ、しかし完全燃焼させる必要がある(だからパイプや葉巻など限られた形態のみ本来のタバコの持つ味、香りを引き出すことができる)。さらにその香り、味を楽しむために特徴的な吸い方が推奨される。

吸い方も紙巻き煙草と違い肺には通さず、口の中で煙をくゆらせて芳香を味わうのが一般的だが、強い気管支を持つ欧米人や、紙巻きタバコの禁煙目的で葉巻を始めた愛好者は煙を肺まで入れる場合もあるとのこと。

ゆっくり煙を含み、ゆっくり吐き出し、先端部の火種を大きくし過ぎない、いわゆるクールスモーキングが推奨されているが、あくまで嗜好品であり、若干強めに吹かす事で風味に好ましい変化が出る銘柄もあるので、各々に合った楽しみ方を見つけるのがベターである。

クールスモーキングが推奨されるのは味や気管支の問題だけではなく、ニコチン受容体が交感神経側にも副交感神経側にも存在するという事情も関係する。ニコチンを摂取して最初に反応しやすいのが交感神経側で、紙巻きタバコのように少量を肺まで入れると(肺から摂取している関係で)すぐに気分が爽快になるなどの作用が見られる。一般にタバコの効果で知られているのは交感神経側の作用である。副交感神経側にも受容体があり、こちらは大量に入れると今度は気分が鎮静したり眠くなったりする。しかし副交感神経側の効きは遅い。このため、紙巻きタバコのように勢いよく吸うと、最初は気分良く吸えるがそれはニコチン摂取量が少量のうちで、その調子で吸い続けると気が付かないうちに大量にニコチンを取り入れてしまい副交感神経が活性化してくるころにはニコチン中毒を起こしてしまい、身体が重く眠いのに発汗して気分が悪い、いわゆるヤニクラという症状を起こしてしまう。また、ヤニクラと混同されがちだが、煙の中の一酸化炭素が同じように悪さをすることがある。このため安全にタバコの味、香りを楽しみながらゆっくりと副交感神経側の作用を得るためにクールスモーキングが必要になるのだ。

ただし、クールスモーキングだからといって、弱く吸うばかりだと香りが立たないことがあるので緩急つけたり、舌先で味わうばかりでなく喉の方まで煙を引き込んでから煙を吐いたりすることで口から抜ける煙の味を楽しむのである。

葉巻について調べると頻繁に目にするマニュアル的な喫煙ガイドは、あくまでも初めて吸う人向けのチュートリアル程度に捉えておけばよい。

燃焼時間は、葉巻の大きさや吸う速度によってピンからキリまで差があるものの、ロブストと呼ばれる一般的なサイズで40分〜1時間程度。

吸い口の部分をヘッド、火を付ける部分をフットと呼び、ヘッドは火を点ける前に切り落とす必要がある。

ヘッドのカット方法には以下の種類が上げられる。

  • フラットカット:ギロチン状のカッターでヘッドを挟むようにカットする。断面が平らで断面積が広くなる為、口に流れ込む煙の量が一定に保たれ、喫味も穏やかになりやすいとされる。最も一般的なカット。
  • パンチカット:パンチカッターと呼ばれる専用の器具で、ヘッドに小さな穴を開ける。

断面積が狭く、吸った煙が一点に集中して流れ込む為に比較的濃厚な喫味になるとされ、ヘッドの葉クズが口に入りにくくなるメリットもある。

  • Vカット:これまた専用のカッターで、吸い口部分にV字型の溝を入れるようにする独特なカット。

フラットカットのまろやかさとパンチカットの

葉が口に入りにくいメリットを同時に兼ね備えているとされる。

上記は基本的なカット方法ではあるが、専用のカッターを購入する余裕が無い場合も、普通のハサミなどで応用は可能。

またアニメや映画などではヘッド部分を前歯で噛みちぎり「ペッ」と吐き出すというワイルドなカットをする描写もみられるが、実際に行うには多少のコツが必要。

1本ごとにカット方法を変えるのはもちろん、

長い葉巻を吸う際に、最初はパンチ、燃え進んで味が濃くなり過ぎたらフラット(もしくはV)と、

前半と後半でカットを変える事で、喫味を調整・変化させる楽しみ方も存在する。

着火にはマッチガスライターオイルライターの何を使っても良いが、オイルライターの場合オイルの臭いが葉巻に移ってしまい香味を損ねるとされ、マッチやガスライターが推奨されるが、吸い進めれば自然とオイル臭は消えるため、さほど気にしない愛好者もいる。

またマッチを使う場合も、頭の部分が燃え尽きてから着火すると葉巻に燐の臭いが付着するのを防ぐ事ができるので、葉巻・パイプ用の軸が長いマッチを使用するのがおすすめである。

保管に関しては日光・乾燥・多湿を避け、一定の温度・湿度で保存するのが良いとされる。(一般的に最適と言われているのが、20℃かつ湿度70%前後。)

その為、ヒュミドールと言われる葉巻専用の保管用木箱の他、ヒュミドール内の湿度を保つ為の蒸留水や調湿剤も必要とされるが、ジップロックなどの密閉できるチャックつきの袋に入れるだけの簡易的な方法でも、数週間〜数ヶ月の保存なら問題は無い事が多い。

また、熟成を念頭に置いた長期の保存であっても、大型のタッパーやクーラーボックスに調湿剤を幾つか入れ、そこに葉巻を箱ごと(もしくはバラのままジップロックなどに密閉した状態で)放り込んでおけば、ヒュミドールがなくとも(湿度さえ極端に変動しなければ)多少の温度の誤差は気にせず、年単位での保管・熟成が可能である。

何度か述べたように、味わいは大変濃厚。(ただし上記の通り、形状・カット・吸い方、また銘柄や産地によりかなり異なる

紙巻きビールチューハイとすれば、葉巻はウイスキーブランデーと言い得る。

口内や鼻腔の粘膜から緩やかに成分を吸収する為、ニコチンの回りは非常に穏やかだが、煙そのものは非常に濃密。そのため、紙巻きを吸い慣れている人でも、葉巻を始めたばかりの頃はフワフワとした陶酔や若干の目眩を覚える場合がある。

(愛好家からは『ニコチン酔い』と呼ばれる事があるが、程度の軽いヤニクラと表現すれば分かりやすいか。)

海外、特にアメリカでは、普段は喫煙しない人々であっても、結婚式やパーティ、野外でのスポーツ観戦や打ち上げなど、物事の節目や慶事に葉巻を贈答しあったり喫しあう習慣があり、特にミリタリーやビジネス物の映画では、戦勝記念や商談成立後に同僚や家族と共に一服つけるシーンが見受けられる事が多い。

また現実のアメリカにおいても、あくまで一例ではあるが、葉巻やパイプを吸う人には医療保険や生命保険が適用されるが、紙巻きタバコを吸う人には適用されない、などというケースが存在するらしい。

禁煙に関しては厳しいイメージのあるアメリカではあるものの、葉巻やパイプに関しては別物扱いであり、

インディアンから続くタバコの文化は、このような慣習として根強く残っている。

形状

パレホ

ヘッドからフットまで同じ太さの平坦な葉巻。

もっとも主流な形状である。

トルペド、トルピード、ベリコソ

魚雷」を意味する名前の通り、

ヘッドが尖っている葉巻。

パーフェクト、パルフェクト

コブラ』やアル・カポネが咥えている葉巻。

巻く技術が未熟であった18世紀〜19世紀までの主流であったが、昨今は、滅多にお目にかかれない。

主な産地

非常に大雑把な分類となるが、キューバ産とノンキューバ産に分類される。キューバはキューバ革命以前からタバコの産地として有名であったが、革命後は半ば国策で葉巻を製造してきた。ノンキューバ産は他の中南米(とフィリピン、インドネシアなど一部東南アジア)の国々で生産されたもので中にはキューバ革命により国を追われたなどのルーツを持つブランドもある。

キューバ産は良質なタバコを無農薬で生産できるなど付加価値が高い反面、味、香りやラッピングなどの品質のばらつきが指摘されてきた。また、葉巻を綺麗に包めるようなラッパーはキューバでも海外産が多く使われている。更には特にコロナ禍以降、物流の停滞やパンデミック対策のための工場の閉鎖など、様々な要因が重なり、2024年現在、需要の高まりに反してキューバ産葉巻は輸入すら困難になっている。逆に近年、品質のばらつきが少なく、質を向上させてきたノンキューバ葉巻が人気を獲得しつつある。比較的供給が安定しているドミニカ共和国やニカラグアの存在感は葉巻愛好家たちの間で増している。

全体的にはやはり葉巻の製造はコストが低く抑えられており(ブランドがあってはじめて価格がつく)、一般の小売で流通する価格と、現地の職人が製造した葉巻の間には大きな価格差がある。中南米を中心にした生産となっているのは、それらの国が豊かではないからという事情は知っておくに値するだろう。

キューバ(ハバナ)

タバコの王国、約束された土地と言われる。極めて良質なタバコ葉の生産に向いている気候と土壌をもつ。

特にハバナで生育されたタバコ葉は、ハバナシガーと呼ばれ、味・香り共に別格とされる。

ドミニカ共和国

キューバ革命や、その他もろもろの理由によりキューバから亡命した葉巻職人が数多く身を寄せた土地であるため、急速に葉巻産業が成長した国。

穏やかで上品な喫味のブランドが多い。

実質的なNo.2の生産国。

ニカラグア

ドミニカ共和国と似た境遇を持つ国で、将来有望な葉巻ブランドや職人を多く抱える。

キューバ(ハバナ)産に勝るとも劣らない品質の、濃密で力強い喫味のブランドが多い。

ニカラグアでのたばこの生産はヌエバ・セゴビア県の一部地区で行われており、葉巻の生産でも隣国ホンジュラスとの連携が指摘されている。ヌエバ・セゴビアや隣接するホンジュラスのエル・パライソは生産に適した土地である、ということが影響している。

フィリピン(マニラ)

比較的マイナーながら、意外にも歴史ある生産国の1つ。

有名な葉巻ブランドであるタバカレラは、安価ながらもマイルドで吸いやすく、葉巻好きであったW・チャーチルやマッカーサーも愛好した由緒ある銘柄。

インドネシア

ラッパーではインドネシアの存在感は大きい。

またマニラシガーの代表格、タバカレラではインドネシア産タバコを主役にした葉巻もあり、インドネシアの名前を聞いたことがある愛好家は多いのではなかろうか。

主なブランド

コイーバ(キューバ)

葉巻を知らない人も、名前だけは聞いた事のある向きも多いかもしれない。

元々はカストロ議長専用に作られたブランドで、外国人は外交官のみに贈答された幻の葉巻であった。

現在では一般市場にも解放されて久しく、

高い値段に相応しい安定した味と香りを誇る、

キューバ葉巻の中でも最高の呼び声が高いブランド。

モンテクリスト(キューバ)

キューバ産葉巻の中で、輸出トップのブランド。

名前の由来は巌窟王の登場人物。

豆や浅煎りコーヒーを思わせる香りと甘い喫味が特徴。

世界中に愛好家をもつポピュラーなブランド。

ダヴィドフ(ドミニカ共和国)

キューバ革命以前はキューバに籍をおいていたブランドであったが、1990年代初頭ごろドミニカに移住。

徹底的な品質管理のもと、穏やかながらも華やかな喫味で知られる評価の高い葉巻を作り続けている。

パドロン(ニカラグア)

量よりも質を求め、市場に出回りにくくなるほど生産数が少ないブランドで価格設定も高め。

しかし、その品質はキューバのコイーバに勝るとも劣らない水準と称され、ブラックチェリーやドライフルーツに例えられる濃厚ながら落ち着いた喫味が多い。

葉巻のイメージ

その高級感から、ギャングのボスや会社の社長と言った成金趣味が吸うと言うイメージが強いが、ドライシガーと呼ばれる湿度管理が不要で手軽に吸える葉巻も存在するので、興味のある人はそちらから試してみるのも手。

…etc

葉巻愛好家(現実・フィクションの人物を含む)

ハイチのブードゥー教における死神。

第二次世界大戦を戦い抜いたイギリスの政治家。キューバのロミオ・イ・フリエタと言う銘柄や、タバカレラがお気に入りだった。自身の発言や演説に聴衆の目を向かせるために敢えて咥えていたとも言われ、葉巻では有名な巨大サイズである「チャーチル」という規格と名称は、 彼が演説の際にタバカレラの同サイズのシガーを好んで咥えていた事が名前の由来とされる。

(チャーチルサイズのタバカレラは現在では廃盤となっている。)

普通の喫煙用や、葉巻に偽装した特殊アイテムまで含まれる。常に口に咥えているイメージが強い。

ちなみに喫味に関しては、原作では「トルコ葉の味がする」と解説がなされている。

生前は葉巻を愛飲していた。

最初は紙巻きタバコのショートホープを吸っていたのだが、その巨体ゆえに数口で吸い終わってしまい、満足出来ないが故に葉巻に変えたというとんでもない方。何処の勇次郎だよ。

最初は外人レスラーのアントニオ・ロッカから勧められたキューバの最高級葉巻を吸っていたものの風味があまり好きになれず、後にカナダ産のリーズナブルな葉巻を気に入り愛用したが、のちに親交のあった逸見政孝の胃癌発覚をきっかけに、快癒の願掛けのため禁煙して以降、逸見がこの世を去った後も

「吸ってしまうと彼が居なくなった事を認めてしまう事になる」と感じ、自身も亡くなるまで吸わなくなったという。

喘息持ちであったためか肺まで入れずに楽しめる葉巻を愛飲していたが、これは虫除けの他、メディアや国際社会に自国の名産品をアピールする目論見があったらしく、プライベートで実際に愛好していたのは専らパイプだったらしい。

彼とは対照的に、盟友のフィデル・カストロはプライベートでも葉巻を愛したが、自身と国民の健康のために模範を示すとして60歳頃に禁煙した。

喫煙に関しては無線で熱弁を振るうほど葉巻に強い拘りを持っており、その嗜好は文字通り死ぬまで続いたが、戦場を駆け回っていた事もあってか着火には頑丈なオイルライターを用いていた。愛用銘柄は作品によって異なるが、4やPW劇中のグラフィックを見るに「ホヤ・デ・ニカラグア」をモデルにした架空の銘柄だと思われる。

アメリカの上流階級出身らしく葉巻好きで、多い時は1日3〜5、6本を消費したとされるほどキューバ産の葉巻を愛した。

(愛用したのは、『アップマン』の『ペティアップマン』と呼ばれた、政務の最中でも片手で吹かせるほどの小さな葉巻だったらしい。)

また、共産主義化したキューバに対して経済制裁を行う直前、葉巻好きのあまりキューバとの交易停止に躊躇していたケネディは、側近に1000本以上の愛用葉巻を確保するように命じ、手元に運ばれたのを確認してから書類にサインしたという逸話も残っている。

戦後最初の日本国総理大臣。葉巻がトレードマークで、「和製チャーチル」とも言われた。マッカーサーとの会談の際にマニラ葉巻を勧められた際、「私はハバナしか吸わない」と突っぱね敗戦国の宰相としての意地と矜恃を見せた逸話が有名。

また、大磯に隠棲した晩年は健康のためか喫味の軽いハイライトに変えたという。

主人公・コロンボの必携アイテム。

薄汚れたコートと愛車・プジョー403と肩を並べる存在。

本人の事件以外には大雑把な性格故か、吸殻をポケットに入れてたり、室内だろうと屋外だろうと犯行現場でお構いなしに灰を落とす(『二つの顔』では女性使用人にこっぴどく怒られた)。

その上、犯人と睨んだ相手と対峙していても高級品を勧められたら断われずにその場で楽しんだり、お土産にいただいた事もある

だが、現場に落ちていた吸口の斬り方の違いから真犯人を特定するなど、葉巻が事件解決の思いがけない糸口になった事もある。

現実の職場であれば懲戒は免れないであろう問題行為をたびたび働くコロンボだが、それを補って余りある巧みなアリバイ崩しや鋭い推理能力とのギャップこそが彼の魅力のひとつかもしれない。

依頼人の話を聞く時や作戦を練る時など、考え事をする際に吸うケースが多い(情事を終えた後などのリラックス時にも吸っている)。トルコ産のタバコ葉を使用した架空の銘柄「トレンド」を愛飲しているが、掲載されていた時節柄や演出の都合もあるものの、吸い殻を指で弾いて屋外で捨てるなど喫煙マナーは良いと言えない。

ONEPIECEでは喫煙キャラが多数おり、特に葉巻を咥えたキャラはおそらく紙巻きタバコのキャラより多い。

紙巻き煙草を燻らす描写もあるが、葉巻を口にしている方が多く、顔のやけどと共にトレードマークの1つとなっている。着火にはのマッチを使うこだわりがある。

能力発動用の薬品も兼ねており、他の甲殻類系能力のメンバーも発動薬は煙草で統一されている。

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