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概要編集

火を着けずに、粉末状のタバコ葉を鼻から吸い込み粘膜に擦り込んで楽しむ、最も古い喫煙形態の一つ。


元々はポルトガルから外交官によってフランスに持ち込まれ、しつこい頭痛に苦しんでいた王妃に治療薬として処方されたのが始まり。

服用するや(恐らく現代科学で言うならば、ニコチンによって血管が収縮した事により)偏頭痛の症状が立ちどころに改善されたため、その効果に感激した王妃や家族を始め、宮廷を中心にたちまち服用が広まった。


そのため、古くは王侯貴族に使用され、時代が降りタバコ葉が庶民の手にも届くようになると、鉱山や工場、牧草地のような火気厳禁の場所で働く労働者にも愛用された。


基本的に小さなケースや缶に入れられグラム単位で販売されており、使用したい量を取り出して吸引する。

親指と人差し指で粉末をつまみ直接吸引する他、手の甲の親指の付け根や、拳を作った際に人差し指と中指の付け根に出来るくぼみに豆粒ほどの量を載せ、片鼻ずつ近付けて吸引するのが一般的な嗅ぎたばこの摂取法である。

ちなみに、手の甲の親指の付け根にある三角形の窪みは解剖学の分野で「解剖学的嗅ぎ煙草入れ」と正式に呼ばれている。

粗く砕いた湿り気のあるタバコの粉末が入った袋を歯茎と唇の間に挟む方法も、日本では嗅ぎたばこに分類される事がある。こちらは「スヌース」と呼ばれ、約2、3cm大のティーバッグのような透過性の高い小袋(ポーチ)に子分けされた状態で販売されているのが一般的だが、ポーチに包まれていない粉末を指や器具で押し固め、歯茎と唇の間に挟む、もしくは直接塗り込む摂取法もある。


元来、いわゆるブルジョワの嗜好品であったため、シガレットケースやパイプ、ヒュミドールなどと同じく、嗅ぎたばこの粉末を保管するケースも好事家のコレクション対象となっている。

中でも、著名な王侯貴族が使っていた嗅ぎたばこ入れに至っては、希少価値の高い金銀宝石や精巧な細工などが惜しげも無く施されており、時には目玉が飛び出るような博物館級の価値が付く事もザラにある。


現代においては、「粉末を鼻から吸引する」様子がコカインの摂取方法を連想させる事から誤解を受けやすいため、公共の場で嗜むには注意が必要である。


生命の粉塵


上記に加え、風味が人を選ぶ事もあり、日本国内ではあまり流通しておらず、専門店でも取り扱っていない場合があるが、海外の販売サイトなどから個人輸入する愛好家も存在する。

また昨今の禁煙スペースの増加を受け、JTでは『ゼロスタイル』といった日本人向けのスヌースを開発している。


但し、粘膜に直接タバコを接触させてニコチンを吸収するため、口腔ガンや鼻腔ガンのリスクは高くなると言われている。

また、アレルギー症状や蓄膿症などの耳鼻系統の持病が悪化する可能性もあるので注意が必要である。



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