概要
軍事において敵の兵器や軍用品を奪う事は、敵の戦力・物資を自軍のものにするだけで無く、敵の軍事力を研究して情報を得るという利点もある為、古代の戦争から行われていたと言われている。
戦闘中に強奪する他に、放棄された物を回収、敵軍が空中投下した物資を拾う、敗北・降伏した部隊から取り上げる等して行われる。
後者は「接収」と呼ばれる事も。
敵国の船舶を拿捕した場合、拿捕した船舶自体の性能が良かったり積み荷が戦略物資など価値の有るものであった場合には、後送可能な状況であれば船ごと自軍の拠点に送ってしまう場合も有った。
後送出来ずとも食料運搬船などが拿捕された場合、通商破壊艦が補給船として活用する場合も有った。
敵戦闘艦艇を降伏させた場合も、艦自体を鹵獲して自軍艦艇に編入するケースは(接舷斬り込みもまだ多かった)帆船時代の海軍ではよくあった。
日露戦争等でも鹵獲艦艇を戦利艦として、自軍に編入する事は行われている。
しかし施設や基地に放置された兵器や軍用品を奪う事は、所謂ブービートラップに掛かるリスクも背負う事に成る為、利点ばかりとは限らない。
使い方が良く分かっていない場合、トラップを仕掛けられた様に被害を発生させてしまう事もある。
設計が簡略化され過ぎて事故が起き易かったパンツァーファウストにアメリカ軍が出した様に、物によっては扱いに危険を伴うとして鹵獲しても使用を禁ずる通達が出される事も。
軍によっては最前線の部隊が物資不足で鹵獲兵器の活用が必要に成った場合の為に、敵軍の兵器のマニュアルを奪えていたり鹵獲品から解析資料が出来ている等、手に入る限りの情報を用いて鹵獲兵器の運用マニュアルを作成している場合もある。
また軍備として再利用する場合も製造時の規格が異なっていたり(メートル、インチの違い)、敵勢力固有のパーツ等が使われている場合、その維持には大きな問題を抱える事も多く、単純に再利用する場合は使い捨てと成る。
しかし製造能力が低く、他所の援助も受けられない状況では立派な補給源となる(冬戦争におけるフィンランドや、建国以来のイスラエル等)。
最近ではISILが侵略した国々(主にイラク等)から兵器を略奪、自軍化しているなど問題化している。
補給の不足から敵の装備を鹵獲し使用する場合もある。
フォークランド紛争でのイギリス側、第二次世界大戦の北アフリカ戦線の独英両軍などが良く知られている。
またウクライナ侵攻でのウクライナ側は、援助を受ける西側諸国からの装備品は規格の違いによる転換訓練の手間が掛かるので、旧ソ連時代から製造及び使用してきたノウハウを活用してロシア側から鹵獲した戦車等を直ちに前線に投入している。
元々ハルキウ(ハリコフ)は旧ソ連時代から戦車開発・生産の一大拠点だった上、ウクライナ自身も旧ソ連の戦車を改良してT-84等を開発している。
大型兵器はともかくとして、銃器と言った装備品は研究解析されて自軍の技術として活用する事も有れば、コピー品や類似兵器が作られる事もある。
バズーカを鹵獲したドイツ軍はこれを基にパンツァーシュレックを開発しているし、アメリカの様な国でさえ、(その当時の)先進的な兵器であればV1ミサイル等の様にコピーしていた(MG42のコピーも試みたが失敗している、詳細はMG42にて)。
雷電や四式十五糎自走砲等の様に、生産された国で残っていない兵器が、鹵獲された為に歴史的遺物として、軍事博物館の展示資料などとして現存していたりする。
鹵獲の概念がある作品
多くの作品では殆ど装備を持たずに潜入して、敵施設の倉庫等で現地調達する鹵獲が行われている。
4以前では基本的に敵兵から奪う事は出来ず、倉庫で未使用の物を回収しなければならない。
持ち込み可能な場合でも敵兵から奪う、倉庫等で拾う等、状況に応じて鹵獲を行う事も可能な場合も。
上記の様にほとんど装備を持たずに潜入するので現地調達に成る事に加え、ソ連が西側から鹵獲した装備を回収する事も出来る。
敵兵を排除した場合に武器を入手出来る事がある。
ただし物語の仕様でPMC側の装備にはプロテクトがかかっており、そのままでは使えない為に専門の業者にプロテクト解除を依頼しなければならない。
敵勢力の装甲車・戦車・戦闘ヘリのこれらを敵部隊を無力化してマザーベース(本拠地)が持つ大型兵器として傭兵派遣ミッションで利用する。
おおよそ修理までは出来るが大型兵器の生産能力が無い為、失ったらその都度鹵獲しなければならない。
敵勢力の車両・ウォーカーギア・設置された機銃等をフルトン回収する事でマザーベース各所の固定武装としたり、派遣の際に使用するだけでなくスネーク自身も使用可能で、出撃時に選択すればヘリの降下地点に置かれているが、支援要請すればパラシュートで投下される為、それ自体を敵の上に落とすという使い方も出来る。
今作でも回収しなければ使えないが、オンライン状態であれば条件を満たす事で資源として手に入るのでPWと比べると補充は容易。
歴史の長いシリーズ故に『敵勢力の機体を強奪または鹵獲』も有れば、その逆の『味方の戦力が鹵獲される』という展開も多々ある。
有名な所ではガンダム試作2号機、ブルーディスティニー2号機、シナンジュ・スタイン等が挙げられる。
またザクⅡやジム、バタラやグレイズ改の様に量産機が鹵獲されるケースも多数。
- スーパーロボット大戦シリーズ
条件を満たすと敵勢力の機体が入手できるケースがある為、これもある意味鹵獲と言える。
何らかのイベントを経由して手に入る事が多く、大抵の場合は「味方側に寝返った敵パイロットが一緒に持参してくる」ケースがほとんどである。
なお「スーパーロボット大戦GC」および「スーパーロボット大戦XO」では、名無しのザコ兵士が搭乗している機体に限り、特定の条件を満たす事でいつでも鹵獲(ゲーム内では「捕獲」名義)する事が出来、売り払って資金の足しにしたり、有人機であればそのまま自軍戦力として、自軍キャラを乗せ換えて運用する事も出来る。
- SDガンダムGジェネレーションシリーズ
一部作品では上のスパロボ一部作品同様「条件を満たす事で、敵のモブ機体を捕獲」する事で鹵獲出来る。
「OVER WORLD」の様に(手間と難易度を考慮しないなら)序盤ステージからAGE-1やストライク、クロスボーンガンダムX1を鹵獲出来るなんて作品も。
一部の機体が持つ鹵獲弾を瀕死の敵ユニットに使用する事で、そのステージの間は味方ユニットとする事が出来る。
鹵獲した敵ユニットは瀕死から半分程度まで回復し、CPU専用にユニットも使用可能となるが、フォース等と合体している場合は本体ユニットのみ、1ヘックスユニットのみが鹵獲可能と制限もある。
ステージクリア後は鹵獲した敵ユニットは資源へと変換される為、使い潰すか生き残らせるかはプレイヤー次第。
「敵を倒して武器を鹵獲(この場合は「奪取」と言うべきか)し、プレイヤーがそれを使用する」のはこれらのゲームでは基本であり、ぶっちゃけてしまえば現地調達である。
ただし「敵味方の技術差や体格差が有り過ぎる」等の理由で、敵を倒しても武器や装備、車両等を鹵獲出来ないゲームも存在する。
- CIVILIZATIONシリーズ
シリーズの一部作品では、敵軍のユニットの一部が鹵獲可能な設定に成っている物がある。
- 大航海時代シリーズ
海戦で勝つと、敵船を拿捕して我が物に出来る場合もある。
海賊か私掠船として活動する場合、これで戦力を拡充したり、捕まえた船を売り飛ばすのがプレーヤーの主な収益手段になる。
これもある意味特殊武器の鹵獲(奪取)と言える。
ヴィークルやサイバネティックタイプの賞金首を倒した時にドロップする、オーバーテクノロジー兵器を自身の戦車に搭載し強化していく。
なお敵戦車の多くは無人兵器として設計されている様で、敵陣営が製造したものではない野生化した無人巡回バス「野バス」等の一部のものを除き、車両自体は鹵獲出来なかった。
しかし『メタルサーガ』シリーズや『メタルマックスゼノ』では、賞金首であるオーバーテクノロジー戦車の一部も鹵獲出来る様に成った。
ジャンプミス(ワープ失敗)でたどり着いた地球圏から遠く離れた星域で、敵対する攻撃的戦闘機械バーサーカーの残骸を回収・分析する。
そうして得たオーバーテクノロジーの素材や兵器で自軍のパワードスーツモジュールを強化していく。
小説版では終盤は化け物じみた外見になりかけていると描写された。
ドラクエシリーズ等で敵を倒した時にアイテムを落とす事があるのも鹵獲の一種かもしれない。
関連タグ
一般的でない用法
pixivにおいては、萌えミリ作品、特に艦隊これくしょん等の兵器擬人化作品におけるキャラクターを敵陣営が捕虜にする等して拉致監禁する、悪堕ちさせる、等のイラストに本タグが用いられる場合もある。
その為か、本タグが付加されているイラストの約3割はR-18イラストとなっている。