曖昧さ回避
- ヨーロッパ人が海洋を通じて世界進出を始めた時代。この記事で解説。
- 上記の時代を舞台としたコーエーのシミュレーションゲーム『大航海時代』シリーズのこと。この記事で解説。
- コーエーのオンラインMMORPG『大航海時代Online』の略。2004年開始。
1.の解説
15世紀〜17世紀初め、スペインやポルトガルなど西ヨーロッパの国々が世界の大洋に乗り出し新しい航路を開拓、海外侵攻・植民地化を行った時代のこと。
かつては新大陸や新航路を「発見」したヨーロッパ諸国視点の呼称をそのまま訳して「地理上の発見」「大発見時代」などと呼ばれていたものを、西洋中心主義的な色合いが濃すぎることから日本ではこう呼び換えるようになった。そもそもアジアにもアメリカにも、この時代より遠い昔に人々が土地を発見し住んでいたわけで、当然ながら欧州視点での用語に批判も多い。ただし英語での代表的な表現は現在でも「Age of Discovery」であり、その他の言語もこれに準ずる例が大半である。
このような西欧諸国の海上進出が起こった背景には、地中海貿易の衰退がある。それまで地中海を舞台に東ローマ帝国とマムルーク朝エジプトとを中継地にして行われていた、イタリア諸国と南アジア、東南アジア諸国との香辛料を中心とした東方貿易は、オスマン帝国がこれら全ての貿易拠点を独占し統制するようになると制約が厳しくなった。イタリア商人たちはより良い貿易条件を求め、大西洋に面したスペインやポルトガルにインドに代表されるアジア諸国と直接交易できる航路開拓の支援を求めた。この結果、ポルトガルのバルトロメウ・ディアスは喜望峰に到達し、アフリカの南端から東に向かう航路を開拓する。続くバスコ・ダ・ガマはさらに東に向かい1498年にインドに到達した。逆にスペインの支援で西にインド航路を求めたコロンブスは、1492年に新大陸アメリカに到達した。近世の文明発達を受けて羅針盤による航海術と火薬による銃火器を携えたスペインとポルトガルの船は、現地の諸国をしばしば武力で圧倒し、植民地化を進めていくことになる。
スペインとポルトガルが共に海上進出を進めると両国の衝突も増え、ついにローマ教皇の仲介で1506年にトルデシリャス条約を結んで全世界を分割した。これによってブラジルを除く新大陸はスペインの勢力範囲、ポルトガルはブラジルと、アフリカ、アジアを勢力範囲と認められた。スペインは新大陸で現地のアステカ帝国、インカ帝国を滅ぼし、インディオと呼ばれた住民を使役して金や銀を採掘した。ポルトガルはアフリカ沿岸で奴隷を購入して労働力を必要とした新大陸のスペインに売る奴隷貿易を行い、さらにインドのゴアや東南アジアのマラッカを征服して香料貿易を制した。東アジアでは倭寇や琉球王国などが交易に活躍していたが、ポルトガルの来航による銃火器が武器としてもたらされた。1513年、スペインのバルボアはパナマ地峡を探検して太平洋の存在を報告する。そしてついに1522年、フェルディナンド・マゼランの率いた艦隊が世界一周を果たす。
こうした両国による世界分割は、17世紀に入ると各地で反攻を受けることになる。1641年にオランダがマラッカを制圧し、インドネシアを植民地化してポルトガルから香料貿易を奪取する。さらに北方の台湾も拠点としたが、これは明朝復興を掲げた鄭成功が1662年に征服する。しかしオランダは、鎖国を行った日本との交易を長崎の出島を拠点に独占する。インド洋の交易についてはヤアーリバ朝オマーンが1650年にポルトガルからマスカット港を奪還し、オマーン海上帝国がイギリスと同盟してポルトガル勢力を一掃する。スペインは1588年のアルマダ海戦に敗れてから衰退がはじまり、ドイツの三十年戦争に派兵して大きく国力を失い、ついにはイギリスやフランスなどの新大陸進出を許すこととなる。1606年、オランダのウィレム・ジャンスが欧州人として初めてオーストラリア大陸に上陸する。これで、南極大陸を除く全ての大陸と大洋が世界に知られた事となる。かくして大航海時代は終わって列強の植民地争奪戦に変化し、海上の二強となったオランダとイギリスの英蘭戦争へと続いていく。
2.の解説
コーエーのシミュレーションゲーム『大航海時代』シリーズとは、自ら船長として船を操作し、風向きや食料と水などを考慮しながらこの時代の海を冒険していくゲームである。未知の土地や未知の博物を発見する冒険者の楽しみだけでなく、各地の特産品の貿易を行う商人や、異国の艦隊・海賊と戦う海軍などの楽しみ方もある。複数の船を指揮する提督になったり、世界各地に傘下の艦隊を送ったりできる事もある。
シリーズ作品記事は関連タグ参照。5作目の『大航海時代Ⅴ』から基本無料のオンラインゲームとなった。2019年時点で6作目まで制作されている。（『大航海時代Online』は含まない）
