概要
トンキンハウス(東京書籍)が発売。初代のPCエンジン版はコンパイルが開発。シューティングゲームを思わせる硬質なグラフィックと音楽が特徴。
制作にはグループSNEが参加しており、監修は安田均、システムデザインに水野良、シナリオ及び小説執筆を山本弘、そしてメカニックデザインはガンダム等で有名な大河原邦男(Ⅱは松浦まさふみ)が担当するということで話題となった。
また、山本弘の小説版は、ノベライズの枠を超えた名著と称える者もおり、当時この本からSF小説の楽しさを知ったものも多い。
スーパーファミコンにおいて移植されたものはグラフィックが一新され、小説版のエピソードが加えられている。また1作目の直接的な続編である「サイバーナイトⅡ地球帝国の野望」も同機で発売された。
1作目は通常戦闘曲はランダムで2曲だが、Ⅱは作戦地域ごとに設定されているので、非常に戦闘曲数が多い。
小説版は世界設定と前日譚をジャーナリストの視点から見る『ドキュメント・戦士たちの肖像』、ゲームをベースとした『漂流・銀河中心星域』に分かれており、前者はジャーナリストであるランス・マカリスターの著書という扱いとなっているが、後者はランス達が知り得た事実だけでは理解しがたい銀河中心での体験を描く都合や(Ⅱ小説版での事件による)ランスの健康問題のため友人に依頼して「実話を元にした小説」として書いてもらったという扱いになっている。
Ⅱの小説版は再びランスの著書という扱いになったが、不明な点や公開できない点も多い事件を扱う都合上「実話を元にした小説」として書いたとされている。
用語
ソードフィッシュ
主人公たちが乗るモジュールを運用できる強襲揚陸艦(宇宙戦艦)。バックアップさえとることができれば、死亡してしまった傭兵を特例としてクローン再生する設備も搭載している。珍しい施設としては軍用艦に見合わない高度な研究設備を搭載している。
動力源はモノポール反応炉で、一瞬で他の恒星系へワープできるジャンプ・ドライブも使用できる。しかし、重力が低いところには飛べない、飛ぶ距離が長くなるほど失敗が起きやすくなる、星系の位置を示すスターマップが必要という制限があるために、ジャンプ・ミスで漂流した銀河中心星域からは通常の手段では帰還ができない。
モジュールを操縦できるクルーはコマンダー「ブレイド(主人公)」、ソルジャー「キリ」「クレイン」、メカニック「ヴィンド」、サイエンティスト「シャイン」、ドクター「ニジーナ」の6人。他に船のクルーとしてデネット教授や整備員のゲンチェル、ドクターのヘルミナ等がいる。小説版ではジャーナリスト「ランス・マカリスター」も作戦に参加する。
元々は傭兵のユーリ・ドニエプロフ所有の船であったが、宇宙海賊との交戦によりユーリは死亡。戦闘の影響でデータが失われてクローン再生が不可能となったため、ブレイドがコマンダー代理となった。
バーサーカーの解析のデータや銀河中心星域の技術での修理や改造によりオーバーテクノロジーと呼べる技術が蓄積されており、モジュール同様にⅡでの戦乱を招くことになってしまった。地球圏帰還後は拿捕・解体されたために「ガルボダージュ」が母艦となる。
ガルボダージュ
Ⅱで秘密組織がブレイド達のために用意した、新たなる母艦。スペースシャトル然としたソードフィッシュとは対照的な、武装組織が運用する兵器らしい戦闘機を彷彿とさせるシルエットが印象的。AIDAがMICAに劣る代わりなのか、ソードフィッシュよりも優れた設備を有し、性能面でも高いポテンシャルを秘めている。
MICA
ソードフィッシュのメインコンピュータ。科学技術セクション担当のデネット教授が設計したAIで非常に高性能で優秀であるが、自我を持つ人工知能の実地試験を兼ねているため女性の人格を持っている。そのため、人間らしい判断ミスがある反面、コンピュータらしからぬ柔軟な思考をおこなえるようになっていく。また、ファンタジーや童話を好むので、それに関連した用語を未知の存在に対してのコードネームに使用する癖がある。Ⅱにおいてはソードフィッシュは解体されてしまったため、銀河中心星域からの帰還の際に開いたスターゲート研究に必要だとの教授の要望により小惑星パラスへと移されているが、後に重要な役割を果たす。
AIDA
ガルボダージュのメインコンピュータ。MICA同様の役割を果たすが、自我を持たないために対応や問いかけに対する反応が異なり機械的で柔軟性に欠けており、そのことについては作中でも言及されている。
クローン再生
記録した時点の年齢の肉体を短時間で培養し、事前に脳をスキャンした記憶データを脳に書き込むことで人間を複製する。あくまで記録した時点の情報を元に再生するため、それ以降に経験した記憶等は残らない(ゲーム的には出撃中に死亡した場合は帰還時に経験値が手に入らない)。犯罪への使用や倫理的な問題から地球人類文明圏のほとんどでは禁止されているが、経験が物を言うにもかかわらず死亡率が高い軍事の分野でだけは熟練兵のクローン再生が公然の秘密として普及している。そのため傭兵は死亡しても契約期間中は何度でもクローン再生される事が契約条件に含まれている。また脳腫瘍患者からスキャンした記憶データは発症前の健康な脳を複製したものには書き込めない、優秀な兵士を大量生産するという計画も実行に移されたが、被験者たちが発狂したため不可能と判明、年齢調整して作り出した若い肉体に現在の記憶を書き込んで若返るということも不可能、とできない事は多い。
モジュール
主人公の傭兵たちが身にまとうモノポール反応炉が動力源の宇宙服兼パワードスーツ。「マスター・スレイブ・モジュール」の略で、歩兵用よりも強力な兵器を扱え、戦車よりも小回りが利き安価であるために戦場において多種多様な機種が運用されており、民間でも武装の代わりにクレーン等を装着した作業用のモジュールが登場している。ゲーム内では万能型の「レックス」、ヒート系使用型の「ウィナー」、対空戦型の「シェリフ」、射撃戦型の「タイタン」、格闘戦型の「サウルス」を選択できるが、各機種1体ずつしか使用できず、出撃は三機のみとなっている。
倒したバーサーカーのパーツを解析し利用することで、最終的には人類圏ではありえないほどにチューンナップされることになる。
皮肉にもこれが結果的にⅡでの戦乱の混迷化を招くことになってしまった。
Ⅱでは支援モジュールが登場し、屋外フィールドでは出撃しなかったキャラクターによる支援攻撃が行なわれる。シナリオが進むと新型機を入手できるが、特に回避特化型の「サイベル」はほとんど敵の攻撃が当たらないチート機である。
ジャンプ
他作品で言うワープの類であるが、空間を飛び越えるのではなく超高速航行。小説版の設定によると一瞬で光を越える速度を出し、一瞬で減速をすることで特殊相対性理論を無視した長距離移動を実現している。空間を飛び越えるよりは技術面のハードルが低いが、仕様上の問題から制御と使用タイミングには細心の注意を要する。実際、過去には少なくない回数の事故が起きており、その中には行方不明となった移民船等がある。
モノポール反応炉
モノポール(磁気単極子)を用いて陽子崩壊によってエネルギーを取り出すために水さえあれば半永久的に発電可能で、破壊されても極少量のモノポールが放出される程度と非常に安全。モノポールエンジンを用いた航空機は理論上は大気中であれば給油なしで半永久的に航行可能。所謂対消滅エンジンのようにも見えるがモノポール側は破壊されないのでモノポールの補給は基本的に不要。
LANアソシエイツ
小説版に登場する傭兵派遣企業。傭兵の派遣を仲介して利益を得る企業で、主人公たちが登録している企業でもある。争う双方へ派遣するなど中立なように見せかけて兵力の差をつけて派遣するなどの怪しい方針を取っており、かなりの秘密主義ではあるが業界の中ではブッチギリのホワイト企業なようで、信頼度は業界随一。その活動目的は戦争の早期終結で、正義や是非よりも戦争の早期終結による平和の維持を目的としており、前述のような兵力に差をつけての双方への派遣もその手段の一つ。
秘密組織
Ⅱにおいてブレイド一行を手助けする謎の武装組織。正式な名称が不明であるため、本文では便宜上「秘密組織」と表記する。ガルボダージュを擁し、惑星キャゼリンに秘匿性と居住環境を高度に両立した拠点を構えるなど、資金面では潤沢な模様。小説版にて正体が判明するが、拠点の所在自体が正体と密接に関わっていた可能性がかなり高い。
銀河中心星域
サイバーナイトにおいて、地球圏での宇宙海賊掃討作戦で大きなダメージをうけた「ソードフィッシュ」が全滅を免れるため、座標を特定しない「ジャンプ」をおこなった結果たどり着いた、地球人にとっては未知の領域である銀河の中心部に位置する星域。中心に重力源である巨大なブラックホールが存在し、下記のような多くの知的生命体が住んでいる。
ファーワールド人
300年前のジャンプ・ミスで行方不明になっていた地球人移民船の末裔。地球に似た環境のファーワールドで20世紀レベルの生活をおこなっている。6本足の恐竜型生物が住む惑星ジャンスに行ったまま帰還できなかった、探検隊の子孫の原始生活を送る一団もいる。
トレーダー族
小惑星ラーブンの都市に住む、他種族と物々交換や情報交換を繰り返すことで、高度な文明の機器を得るに至った2足歩行のネコに似た異星人。序盤はこの種族のクエストを受けることでストーリーが展開する。ゲームでは関西弁風、小説では「魚」を中心とした言い回しを使う。
クジラ族
海洋惑星ジャーゼラに住む軟骨魚類が収斂進化により、ピンク色のクジラと形容される姿に進化した異星人。海洋生活に特化しているため道具は扱えないが知能は高い。詩を詠むのに最適な歌のような言語を話す。繁殖地に陣取る割れない泡の硬い悪魔に悩まされている。
シリコニー、シリコニアン
惑星レイラインに住む岩のような珪素生物。攻撃的な個体もいるがブツブツと哲学的な思考をめぐらせている。
スラウレ
意思を持つ有機物の海に包まれた惑星スラウレ自身。この星域についての重要な情報を教えてくれる。
レプタント
ゲーム中一番の難所の惑星アルバドスの地下洞窟に住む原住生物。敵として出現するスカウト、レイバー、ロイヤルの3種がいる。兵器で武装しているが意思の疎通はできなかった。Reptile+Ant(爬虫類+蟻)の造語か。小説では数行で済まされた。
ゴーディク人
爬虫類のような姿の、宇宙戦艦をはじめとする軍隊を持つ異星人。ゲームでは土佐弁風の言葉を話す。小説では古代種族の末裔で「白い宇宙卵」と呼ばれる宗教を信じる統一国家。死を恐れず勇敢に戦う好戦的種族ではあるが上記の国家形態により紛争が無かったことと、死後の救いを深く信じるあまり戦死を避ける工夫に積極的でない思想のため、地球人よりも兵器の設計や戦術は未熟である。
パイレーツ
ジャンプ・ミスでこの星域にたどり着き、宇宙海賊として生きることを選んだ地球人たち。コマンダー・ブレイドは海賊の宇宙船に見覚えがあるようだが・・・
サソリ
有毒の大気を持つ高重力の惑星ハルクに住むサソリ型の異星人。とても気のいい連中だが水蒸気を冷やしたものを飲む地球人を変わり者扱いする。宇宙に進出する夢を持っている。
メクハイブ
惑星リックラッセ全体を機械化して住んでいる、ハチのような生態を持つ機械生命体。「四行原則」を行動の指針にしている。
小説ではその工業力が主人公達の大きな手助けとなるが、大昔に起きた戦争に起因するゴーディク人との諍いの解決のため、ソードフィッシュが奔走することになった。
古代種族
銀河中心星域で超文明の一大帝国を築いていた両生類のような異星人。ゲームではガライアンとシークランと呼ばれる生き残りが細々と暮らしている。小説では彼らの残した遺跡が登場するほか、ゴーディク人も彼らの末裔とされている。
メンターナ
銀河の中心に存在する超知性体。
交流対象となる自分以外の知性の出現と発展を求めており、小説ではそれを阻害するバーサーカーへの対抗策として取ったある手段が原因で、ブレイドに「地球圏への送還」を報酬とした雇用契約を要求された。
バーサーカー
オプション兵器放出型バーサーカー「アルラウネ」
サイバーナイトにおいて銀河中心星域で敵対することになる謎の戦闘機械群。動力源はモジュールと同じモノポール反応炉だが製造方法は不明で、どことなく生物を思わせる奇怪な姿をしている。
交渉などは一切無しに、一方的な殺戮を行う様子を見た主人公たちの「まるでバーサーカーのようだな。」という会話から名づけられた(なお由来は命名時のメンバーで変わり、ニジーナがいると「地球の神話」から、ニジーナが居ない状態でクレインがいると「地球の古いSF」から、どちらもいないと主人公が「RPG」から、それぞれ引用することになる)。
また種別ごとのコードネームは、MICAにより地球の神話に登場する幻獣や妖精などから名づけられている。
人類圏では実用化されていない技術や兵器を持つ反面、航空力学を無視してジェット噴射で強引に飛行したり、戦術が幼稚などチグハグな面も交戦していくうちに見出されていく。
また、モジュールに対抗したと思わしき形状だが、頭部にあたる部分が無いデュラハンや、ファーワールド人やゴーディク人を素体とした人型のメロウやナイトガーントなどの新型機も物語が進むと投入されてくる。
各地でドーム状の施設を建設しており、中枢部のボスを撃破することでドームは機能停止する。
その正体は珪素生物の一種で、真空環境下で進化し機械生命体となった「メクハイブ」が過去に接触した有機生命体の不条理な思考シミュレーションをおこなった結果、反乱を起こして逃亡、独立した存在であった。
小説においては全てのバーサーカーの中枢である「クィーン」が、協力し合う多種族の思考シミュレーションを「サブシステム」でおこなった結果、反乱を起こされるという皮肉な結末となった。
地球圏
傭兵たちの故郷の惑星国家を有する星域。地球派である惑星国家「タカマガハラ」「ハイランド」、有色人種差別政策をおこなう「バロネット」と、反地球派である惑星国家「キャゼリン」「ボーガバティ」「ファラウェイ」「ブラックホーク」が敵対しており、その他中立の惑星国家が複数存在している。
地球人以上の知的生命体は発見されておらず、知性があるといわれるのは巨鳥「カル・カル」と、いまだ意思の疎通が成功していないが岩を使って天体図を作る巨大ナメクジ「スラージ」くらいである。また「レジナン」と呼ばれる古代種族の石版が見つかっている。
地球連邦
24世紀においては地球は、植民星が次々と惑星国家として独立し、文化的にも経済的にも人類発祥の地以上の価値がなくなりつつある。サイバーナイトⅡにおいて、銀河中心星域から帰還した「ソードフィッシュ」を待ち受けていたのは、タカ派のフォレスト将軍に政権を奪取されていた地球連邦であった。ソードフィッシュが持ち帰ったテクノロジーを使い開発された新兵器「メタリフォーム」を手に入れた「地球連邦」は他の惑星国家に対し侵略戦争を開始する。ほぼ1作目の小説版のみでしか語られていないが、実はフォレスト将軍とブレイド一行の間にはナンバリングをまたいだ因縁がある。
メタリフォーム
ケンタウロス型メタリフォーム「ストーム」
Ⅱにおいて、本来であれば他の生命体に対して攻撃的なバーサーカーに、人為的な改良を加えたうえで「BRAINIAC」のQCシステム(量子通信)で制御、兵器とした戦闘機械群。体内からばら撒いたナノマシンで周囲の物質を分解し、一定量蓄積したあと数体で集まり新しい機体を製造することができるため、工場などの生産拠点を必要としない。しかし、バーサーカーの種族的特性を考慮せずに開発されたせいか極めて重大な、それでいて思わぬ欠点が隠れていた。こちらのネーミングは発売された90年代当時のアメコミに登場するスーパーヒーローやスーパーヴィランの呼称からとられている。
BRAINIAC
地球連邦の地球防衛司令部のメインコンピュータ。MICA同様に会話によるコミュニケーションが取れるが自我を持たず、ただの高い演算能力を持つコンピュータに過ぎない。
サイビーイング
Ⅱに登場するメタリフォームがばら撒いたり、注入してくるナノマシンによりメタリフォーム化した人間。ゲームでは『最初こそ本来の姿であるが、行動開始と同時に姿が怪物然としたものに変貌する』演出がされている者もいる。元が人間であるせいかモノポール反応炉を持たずメタリフォームよりも小柄な者が大部分であるが、それ故に有機物を摂取する程度のエネルギーで活動可能。ゲームでは終盤の敵となったものもいるが、個体によっては人類の進化した姿ともとれる描写もある。ゲーム中ではその繁殖方法から「ゾンビ」に例えられており、それもあってか小説では単にゾンビと描写・呼称されている。
その他
各惑星に生息する原住生物や、モジュールや兵器に乗り込んだ敵軍兵士とも戦闘することになる。
余談としてゲーム版では他惑星の原住生物との戦闘中に、それらを食材とする旨のメッセージが流れることがあるが、小説版ではファーワールドの動植物は食べられる一方でクジラ族の惑星ジャーゼラの生物はアミノ酸の構造からして大きく異なる(=食用にはあまり適さず病原菌感染の危険性もない)といった描写がある。
関連タグ
サイコアーマーゴーバリアン:メイン画像投稿者亜留間 次郎氏によるニコ動MMD版の主題歌
超時空騎団サザンクロス:同じくニコ動版のタグ
メタルマックス:戦車に乗り込み戦うシステムのロールプレイングゲーム。製作者の宮岡寛は意識していたようで、「サイバーナイト」ならぬ「メタルウィザード」を、原作を担当したゲーム制作会社漫画「あそびじゃないの」で、ライバルが制作したゲームとして登場させている。
別な用法
超星神シリーズ第2弾の幻星神ジャスティライザーに登場する敵怪人。