クローントルーパーとは
『STARWARS(スター・ウォーズ)』シリーズに登場する、旧共和国(後に銀河帝国)軍に所属する兵士たち。惑星カミーノの施設で生まれたクローンである。
通商連合による惑星ナブーへの侵略が起きるまで銀河系はおおよそ平和を享受していたこともあり、旧共和国には常備軍がなかった。しかし、政治の腐敗した旧共和国による統治に不満を募らせた辺境惑星諸国や企業連合はドゥークー伯爵の主導の下に分離主義勢力である『独立星系連合』として結束し、旧共和国に対する独立戦争を開始した。これに対抗するべく、共和国の保有する軍事組織として結成されたのが銀河共和国軍であり、その中核を担ったのが実働戦闘部隊クローントルーパーである。
ヨーダやオビ=ワン・ケノービらジェダイの指揮下で独立星系連合との戦いに従事し、旧共和国側の主戦力として通商連合率いるバトルドロイド軍等を相手に宇宙の各所で戦闘を繰り広げた。戦争中期からは元シス卿ダース・モールが、ダース・シディアス抹殺のためにシャドウ・コレクティヴと呼ばれる組織を立ち上げて第三勢力として台頭し、共和国と独立星系連合の両者を相手に武力介入を行った。
この戦役は彼らの名前をとってクローン大戦と呼ばれることになった。
概要
クローントルーパーは戦闘民族マンダロリアン出身で銀河系で有数の腕利きとされる賞金稼ぎジャンゴ・フェットの遺伝子を元にして「製造」されており、決められたプログラムに従って動くことしかできないバトルドロイドと比べて高い応用性を持つとされている。
また、遺伝子操作により通常の人間と比べると2倍の速さで成長するため誕生から10年程度の短期間で実戦投入が可能となるという大きな利点がある。しかし、これは一方で老化による消耗が早いという弱点にも繋がっている。
能力
生命を人工的に生み出し戦争の道具にするという、倫理的に逸脱した発想で生み出されたクローントルーパーだが、その戦闘力は苛烈そのものである。
クローントルーパーは生まれたときから一流の兵士となるべく教育プログラムを施されているため、優れた戦闘技術と死を恐れない獰猛な戦意を備えた理想的な兵士となったのである。クローン故に身体能力面で個体差が生じにくいため、安定した戦闘力を維持できるという強みもあった。これにジェダイの特殊能力と優れた戦術指南が合わさることで、数で勝るドロイド軍団に対しクローントルーパー達は互角以上の戦いを展開することが出来たのである。
クローン達は共和国に対する忠誠心も厚く、民主主義と社会秩序を守るという使命感を胸に秘めている。そのため、共和国が銀河帝国に再編されてからは退役後に帝国から離反したクローンも少なからず存在したことが確認されている。
個性と自我
約320万ユニットが製造されたクローントルーパーは全ての個体が同一の遺伝子を元にしたクローンであるため、非常に似通った声や体形をしている。独立心を弱めて忠誠心を高める遺伝子操作が加えられ、遺伝子に刻印された製造番号によって管理されているため、当初は全く個性が無いように考えられていた。
しかし、訓練や実戦での経験、そしてジェダイとの交流を通して一般の兵士においても、そのほとんどの個体に自我が芽生え、名前を持ち髪形を変えたり刺青を入れる、装備品に独自の装飾を施すなど自身の個性を主張するようになる。さらに、上官の命令に異を唱え、戦場でもジョークを飛ばす、自分たちを製造番号で呼ぶ者に対し嫌悪感を示すなど、人間と変わりない個性を発揮するようになった。これに関して、カミーノの技術者たちはジェダイとの交流が彼らの抑えられていた自我を開花したと考えている。実際、クローン大戦当時のジェダイ騎士団のグランド・マスターであるヨーダは部下のクローンたちに「顔は同じでもフォースにおいては大きく異なっている」と語るなど、ジェダイの中には自らクローンに人間としての名前を与えたり、フォースや自分達の教義に基づいた訓示を伝授する者も少なからず存在した。
指揮官クラスや特殊部隊など、戦場でのより高い判断力を求められる役職に充てられる個体の場合は最初から独立心を抑制する操作が緩められており、他の個体と異なる特別な訓練を受けていることから性格などに個体差が見られ、最初期から製造番号とは別に人間的な通称を与えられていた。
自我を持ったクローントルーパーの中には、一般兵として製造されながらも大戦中に武勲を挙げ、指揮官への昇進や特殊部隊への転属を認められる個体も存在した。しかし一方では、自分達の境遇を疑問視し脱走兵となったり、欺瞞に満ちた共和国を裏切り敵に内通する個体も現れている。そもそもクローントルーパーという存在自体が生命を軽んずる発想の元に生み出されている以上、無理からぬ話である。
装備
クローントルーパーは後のストームトルーパーに受け継がれる全身甲冑のごとき白いアーマーに身を包み、ロングライフルのようなブラスターを装備している。
このアーマーはジャンゴ・フェットが属するマンダロリアンの伝統的な装甲服を参考に設計されており、T字型のバイザーにその名残が見られる。ただしこのアーマーは人間とは体形が大きく異なるカミーノアンによって設計された物であるため可動性などに問題点が多く、クローン大戦時には共和国の技術者によって人間工学に基づく改良を施した新たなアーマーの開発が進められていた。
アーマーはクローン達の嗜好や階級に合わせてカスタマイズされたり、部隊ごとに個別の塗装を施されたりとバリエーションに富んでいる。
余談だが、後のストームトルーパー達のアーマーはクローンの時代に比べ質が落ちているらしく、アニメ「反乱者たち」にて反乱同盟に属するクローン兵が潜入任務のためにストームトルーパーのアーマーを着た際に性能や着心地の悪さをぼやく一幕があった。
編成と兵科
クローントルーパーからなる共和国グランドアーミーは以下のような編成を取っていた。
単位 | 人数 | 構成 | 指揮官 |
分隊 | 9名 | - | サージェント(軍曹) |
小隊 | 36名 | 4個分隊 | ルーテナント(大尉) |
中隊 | 144名 | 4個小隊 | キャプテン(大佐) |
大隊 | 576名 | 4個中隊 | コマンダー(中将) |
旅団 | 様々 | 様々 | ジェダイ・コマンダー |
連隊 | 2304名 | 4個大隊 | コマンダー |
軍団 | 9216名 | 4個連隊 | ジェダイ将軍かコマンダー |
兵団 | 36864名 | 4個軍団 | ジェダイ将軍とマーシャルコマンダー(大将) |
セクター軍 | 約15万人 | 4個兵団 | 評議会メンバーなど高位のジェダイ将軍 |
星系軍 | 約30万人 | 2個セクター軍 | ジェダイ高位将軍 |
総軍 | 320万人 | 10個星系軍 | 最高議長 |
これらの軍編成の中には一般歩兵の他に様々な兵科があった。以下特化兵科の例を列挙する。
兵科名 | 略称 | 任務内容 |
アドバンスト・レコン・コマンドー | ARC | 高度な訓練を受けたエリート兵士 |
アドバンスト・レコン・フォース | ARF | 偵察任務に特化したAT-RT操縦士 |
クローン・コマンドー | CC | 特殊部隊所属のエリート兵士 |
スカウト・トルーパー | - | 偵察任務特化兵士 |
メディック | - | 衛生兵 |
ショック・トルーパー | - | 首都惑星コルサントの治安維持 |
航法士官 | - | 宇宙艦艇のクルー |
ライオット・トルーパー | - | 暴徒鎮圧部隊 |
パラトルーパー | - | 降下作戦専門 |
メディカル・オフィサー | - | 医官 |
特殊作戦部隊 | - | 隠密作戦などの特殊作戦 |
コールド・アサルト・トルーパー | - | 寒冷地における任務 |
スキューバ・トルーパー | - | 水中での任務・戦闘 |
バイカー•アドバンスト•レコン•コマンドー | BARC | スピーダー運用特化 |
フレイムトルーパー | - | 火炎放射器の運用 |
ガンナー | - | 重砲や艦載砲の運用 |
ジェットパック・トルーパー | - | ジェットパックを使った航空戦闘 |
オードナンス・スペシャリスト | - | 爆弾の解除 |
シャープシューター | - | スナイパー |
パイロット | - | スターファイターなどの操縦士 |
フライト・クルー | - | 共和国宇宙軍スターシップのメンテナンス |
ヘビー・ガンナー | - | 携行銃火器による重火力支援 |
ステルス・クローン・パイロット | - | ステルス・コルベットの操縦 |
成立とその目的
映画エピソード2から遡る事10年前、惑星ナブーが通商連合により封鎖された事件が起きるより更に少し前の頃。ジェダイ・マスター・サイフォ=ディアスは共和国が常備軍を保持する必要があると考え、評議会に提唱するも却下される。しかし彼は大規模なクローン製造施設のある惑星カミーノにクローンの兵士を独断かつ極秘裏に発注した。
だが、サイフォ=ディアスは評議会にこの事を報告しておらず、直後に外交任務の途中で謎の死を遂げたためにクローントルーパーは共和国にその存在を知られないまま製造が続けられており、ジャンゴ・フェットが語る所によると「ティラナス」と名乗る人物が遺伝子提供者の選別を行ったという。
しかし、実際にはシスの暗黒卿であるダース・ティラナス(ドゥークー伯爵)とダース・シディアス(シーヴ・パルパティーン元老院議員、のち最高議長)がその背後で暗躍していたというのが真相であった。
シディアスは惑星ナブーを代表する元老院議員としての表の顔を使ってドゥークーのジェダイ時代の友人であるサイフォ=ディアスを唆し、クローンを発注させた(あるいはサイフォ=ディアスの名を騙って自分が発注した)後、ドゥークーのシスへの転向の意思を確かめる踏み絵もかねてドゥークーにサイフォ=ディアス殺害を命じ、クローンの製造計画を乗っ取ったのである。
その真の目的はジェダイを戦争で疲弊させ、殲滅せんとするダース・シディアスの作戦であり、最後の仕上げとしてジェダイを背後から抹殺するという命令「オーダー66」を実行させる事であった。クローンたちは「命令に従った」だけであり、その行動には「悪意」や「殺意」などジェダイがフォースで感知できるような「感情」を伴っていなかったことから多くのジェダイが不意の攻撃に対応できず、ケノービやヨーダらごく一部をのぞく大半のジェダイが為す術無く殺害されてしまった。
「クローンウォーズ」「反乱者たち」のアニメではこのオーダー66がプログラムされた行動抑制チップがクローン達の製造段階で脳内に埋め込まれ、パルパティーン最高議長の声による命令をトリガーとして作動するようにセットされていたことが明らかになっており、それが誤作動したトルーパーがジェダイを射殺する事件が起きた。このチップは表向きには「ジャンゴ・フェットの持っていた凶暴性を抑制するための物」とされていたが、事件を調査していたARCトルーパー・ファイブスは真相を知り、ジェダイに伝えようする。だが、クローンの製造に携わっていたカミーノアンとシスの妨害に遭い、結果暗殺され、全てが闇に葬られたかに思われた。
しかし、ファイブスの死の直前の言葉を耳にした彼の上官レックスは自身が指揮する第501大隊の一部クローン兵と共に独自に調査を進めた。それでも最終的にオーダー66そのものの阻止には至らず、約1万人いたジェダイの殆どが殺害された。レックスもオーダー66に従い彼のアドバイザーとして協力していた元ジェダイのアソーカ・タノの殺害を迫られるが、最後の理性を振り絞りアソーカにバイオ・チップの情報を伝えたことで彼女の手でバイオ・チップが取り除かれる。その後、レックスとアソーカは互いの命を守りながら第501大隊の部下達の殺害を避けつつ戦い続けたが、同じ船内にいたダース・モールが船を破壊し逃亡。レックスとアソーカは船の墜落から辛うじて脱出し、自分達が3年間命を預け合った千を超えるクローンたちの命を犠牲にすることで死を装いオーダー66を切り抜けた。これはレックスとアソーカにとって苦渋の決断であり、部下達が死んだ後、アソーカとレックスは死なせてしまった第501大隊全員をその場に埋葬しライトセーバーを供えて、墜落現場を去っていった。この墜落はダース・ベイダーがアナキン・スカイウォーカーだった頃にクローン戦争の3年間を共に戦い、心を許していた数少ない元パダワンや部下達の大半を失ったことを意味した。数年後、墜落現場の調査に訪れたダース・ベイダーはこのライトセーバーを回収している。
一方でダース・ベイダーことアナキンはこの出来事の直前、パルパティーン最高議長がグリーヴァス将軍に拉致されたとの急報を受け、第501大隊の一部部隊を自身やオビ=ワンと共にコルサントへ帰還させ、クローン・サージェント・アポーを指揮官に据えた本隊として議長の奪還やコルサントの防衛に従事させていた。こちらの部隊はダース・ベイダーへと変貌したアナキンと共にジェダイ聖堂を襲撃して数多くのジェダイを殺害。帝国初期の時代にも引き続きダース・ベイダーの直属部隊としてジェダイの生き残りや帝国の成立に反発する反抗組織の鎮圧に当たり、「ベイダーの拳」の異名で恐れられる事になる。
上記の行動抑制チップの設定が公表される以前に制作されたレジェンズ(非正史)作品では、オーダー66発令時に極一部のトルーパーが当人の意思でこれを拒否し、ジェダイの逃走を助けたことになっている。
後身
後に銀河帝国軍の主力となるストームトルーパーは、クローントルーパーの後継とされ、映画エピソード3やアニメ「クローン大戦」「クローンウォーズ」ではクローントルーパーの兵装が後のストームトルーパーに近い物へと移り変わっていく様子が描かれている。
しかし、一方で「クローン・ウォーズ」では良質なクローンの製造・訓練を維持するための費用が共和国の財政を圧迫している事が語られており、その影響や老化が早い点なども踏まえ、戦争終結と同時にクローンの製造は中止された。ウィルハフ・ターキンはコストの高いクローン製造に代わる兵士補充手段として、非クローンの志願兵を募りクローン大戦で戦果を挙げたクローン達に訓練・指揮させるウォー・マントル計画を提唱。これを発端として帝国の主要部隊は一般人からの徴兵や志願兵を多く採用したストームトルーパーに置き換えられ、クローン達は段階的に退役していった。退役したクローン達は帝国に残りつつも一線を離れ教官や事務の仕事をする者もいれば、帝国を離れ家族を持ち、第2の人生を送るものもいた。しかし、いずれにせよ多くのクローンがオーダー66で自分達が戦友として認識していたジェダイを自ら抹殺した悪夢を忘れることができず、後悔の念を抱いて生きていくことになる。
一方、オーダー66から10年後を描く「オビ=ワン・ケノービ」では暗黒街の広がる惑星ダイユーで物乞いにまで落ちぶれた傷痍軍人と思われる元クローントルーパーが登場しており、帝国の福利厚生が全体に行き渡っている訳ではない可能性も出てきた。
- ※声や容姿は他のトルーパーと同じなので本物のジャンゴのクローンであることは確実だが、この元トルーパーが脱走兵など共和国の軍法を犯しており福利厚生の対象から外れていた可能性もあるため、福利厚生がなっていないとは言い切れないが。
帝国成立後を描いた「バッド・バッチ」ではこの頃のクローントルーパー達は盲目的に帝国に従うようになりクローントルーパーの利点とされていた独立性や創造性を失う者達と、正反対に新たな帝国の方針や自分達がジェダイを攻撃した事実に疑問を抱き脱走等の反抗的な行動に出る者達へと二極化されていき、こうした事実もクローン製造の中止を後押しした事が語られている。
そしてクローントルーパーが同一の遺伝子を元にしたクローンとして生まれよく似た体形を持ちながら個性を主張し、彼らを指揮するジェダイの将軍や共和国の非クローンの将校達も多くがクローントルーパー達の個性を尊重していたのに対し、帝国軍のストームトルーパー部隊では非クローンの人間として生まれた兵士達を人間としての名前ではなく識別番号で呼び、装備に独自の装飾を施すことを禁止して任務の性質ごとに規格化を進め、軍務中にヘルメットを脱ぐ事も必要最低限に制限するなどかつてとは正反対に個性を排する事を徹底した。
エピソード4の約5年前以降を描いたアニメ「反乱者たち」では、320万人いたクローン兵たちはこの時代には既に全て退役・解散となり、各々が銀河各地で余生を過ごしているという認識が帝国内における定説となっている事が語られている。しかし、一方で実際には数えるほどにごく少数のクローンが帝国軍内で活動し続けていた事も確認されている。一例として、ダース・ベイダーはクローン大戦時にまだ実戦投入段階にない「子供」だった個体や、クローン製造が打ち切られる直前に新造された個体によるクローントルーパーの「最終世代」を集め、自身や尋問官達の配下としてオーダー66を生き延びたジェダイの抹殺を専門とする暗殺部隊「パージ・トルーパー」を組織してジェダイ狩りの補佐に当たらせた。また、クローン大戦に参戦したクローンの生き残りの中にはストームトルーパーやその指導教官として軍務を続ける道を選んだ者や、シーヴ・パルパティーン皇帝や帝国の最重要拠点を護衛する親衛隊「ロイヤルガード」の隊長として彼らを指揮していた個体も確認されている。とはいえ、一般市民だけでなく帝国軍将校の間ですら「クローンがすべて退役した」という認識が一般化されていた通り、軍内でもその姿を見かけることは稀であり、偶然にも見かけた際には驚愕する者さえいた。
クローン軍時代の指令系統や部隊などの多くはそのまま帝国にも引き継がれており、クローンたちが独自に作り上げた規律までもが帝国でも継承されていたほどである。また、クローン戦争を生き残ったクローン兵たちは帝国のストーム・トルーパーや一部の将校たちから英雄視されており、わずかに帝国で活動していた彼らと任務を共にすることを栄誉あることだと考えるストーム兵達が作中で描写されることもあった。
一例としてTX-828通称"トレント"は、銀河帝国と反乱同盟が銀河内戦を繰り広げていた時代にも帝国保安局の女性士官アレシア・ベック中佐に仕えており、反乱同盟の偵察部隊に深刻なダメージを与えている。
一方で、上述した通り帝国樹立後に退役ないし離反したクローンの中には、その後帝国の方針に疑問を抱いて反抗組織に参加し、反乱同盟軍の結成やその後の銀河帝国の打倒に寄与した人物も存在している。
また、帝国に対し反旗を翻し、反乱同盟軍の結成に携わったり参加した人々の中にも、同盟軍の中心的な指導者を務めたモン・モスマやベイル・オーガナを筆頭に、チャム・シンドゥーラ率いるライロス解放運動の主要メンバー達や、同盟軍結成後には距離を置き、過激派組織パルチザンを独自に指揮していたソウ・ゲレラのように、クローン大戦時に共和国側として参戦しクローン・トルーパーと共闘したり彼らに命を救われた経験を持つ者も多く存在している。そのため反乱同盟軍側でもクローントルーパーについては分離主義の侵略から故郷や人々を救った存在として英雄視し、ストームトルーパーとは別物として敬意を払う者が多い。
ただ大戦時に突如としてジェダイを裏切る形になった為にケイナン・ジャラスの様なオーダー66を生き延びた一部のジェダイからは嫌悪・危険視されている。
作中によく出てくる有名なクローントルーパー
先述の通り、数百万単位の兵士が存在しているうえに、アニメ「クローンウォーズ」では彼らがメインのエピソードも多数あるためニックネームがついているトルーパーだけでもめちゃくちゃいる。日本語版非公式wikiのクローントルーパーのカテゴリー記事だけでもおびただしい数の記事が存在する。
この項目では、「クローンウォーズ」およびそれに関わりある諸作品(「反乱者たち」や「バッド・バッチ」等)に登場するトルーパーたちを中心に記載する。
アルファ
遺伝子提供者であるジャンゴ・フェットの要望により最初に作られた、遺伝子操作を全く施していない純粋なクローン。
ジャンゴによりボバ・フェットと名付けられて彼の息子として引き取られ、マンダロリアン戦士の戦闘技術や賞金稼ぎとしての生き方を叩き込まれる。
そのためジャンゴのクローンではあるが正式なクローントルーパーではなく、ジオノーシスの戦いでジャンゴがメイス・ウィンドゥに殺害されるとジャンゴの跡を継ぎ、子供の身ながら賞金稼ぎとして独立。メイスへの敵討ちを計画した事もあった。
なお、カミーノでは彼とは別に、人為的な遺伝子操作を施していないクローンがもう1人製造されていた事が後に判明する。
レックス
認識番号CT-7567。階級はキャプテン→コマンダー(Season7のみ)。
通称「キャプテン・レックス」。呼ぶ時は「キャプテン」か「サー」をつけること。
劇中ではアナキン率いる第501大隊所属トレント中隊の隊長を務め、彼の実質的な副官として数々の戦場を駆け抜けた歴戦のトルーパー。彼のパダワンであるアソーカとも親交を深め、彼女にとって1番信頼がおける人物の一人でもある。
「クローンウォーズ」でのクローントルーパーたちが中心となる回では彼を中心にストーリーが回ることが多く、アナキン、アソーカに続く3人目の主人公と言っても過言でもない。
クローン戦争のその後を描く「バッド・バッチ」や「反乱者たち」にも登場。
詳細は個別記事参照。
コーディ
認識番号CC-2224。階級はコマンダー。
通称「コマンダー・コーディ」。
劇中ではオビ=ワン指揮下の第7空挺団、および空挺団直属の第212突撃大隊の指揮官を務める。
オビ=ワンとアナキンが師弟関係であるため、アナキン麾下の第501大隊とは共同で作戦を実施することが多く、キャプテン・レックスとは階級を超えた硬い友情で結ばれており、レックスは階級が上である彼に対して容赦無くタメ口で話しているが、コーディは時に気にしているそぶりはない。
オビ=ワンとは深い信頼関係で結ばれており、オビ=ワンも彼の命を救うために危険に飛び込んだり、作戦開始前には軽口を交わし合ったりと良き戦友だったが...
詳細は個別記事にて。
ファイヴス
認識番号CT-5555。
第501大隊所属で、一般兵から努力を重ねエリート兵士ARC(Advanced Recon Commando)トルーパーに任命された実力者。
訓練生時代は落第すれすれの問題児揃いの「ドミノ分隊」に所属しており、兵士としての最終試験に合格できるか危ぶまれていたが再試験を経て無事に合格。自分たちの「故郷」である惑星カミーノ防衛の前線基地である惑星リシの衛星にある前哨基地に配属され、ドロイド軍の奇襲を受け多くの仲間を失うもレックスとコーディの助力もあって辛くも生き残った。その後501大隊にヘッドハントされ、レックス直属の部下として数々の戦いに参加するも、作中の共和国全てを巻き込む巨大な陰謀の真相にただ一人迫ってしまったため、謀殺されてしまった。
エコー
認識番号CT-1409。
ファイヴスとは同じ「ドミノ分隊」に所属していた頃からの付き合いで、同じくリシ・ムーンでの戦いを経て第501大隊に迎えられた。リシ・ムーンでの新兵時代には軍規マニュアルを徹底的に読み漁り、事あるごとにその内容を繰り返したことから「エコー」と名付けられる。彼もまたARCトルーパーに任命されるが、惑星ローラ・サユーでの潜入作戦中、ファイヴスやレックスの目の前で爆発に巻き込まれ消息不明に。
そのまま死亡したとされていたが、分離主義勢力の一派「テクノ・ユニオン」に捕虜として収監され体の大部分を機械化されたうえで、脳内に記憶されているレックスとともに作成した戦術を自らの意志に反して吸い上げられるという非人道的処遇に長いことさらされていた。Season7にてようやくアナキンとレックス、彼らに率いられる「不良分隊」の面々に救出され、お返しとばかりに分離主義勢力の打倒に貢献。だが、体の大部分が機械化されていたため古巣の第501大隊ではなく「不良分隊」に所属することを選んだ。
「バッド・バッチ」にも登場。
ジェシー
認識番号CT-5597。
ファイヴス、エコーと並ぶ準レギュラー格の第501大隊のクローントルーパー。顔とヘルメットにデカデカと銀河共和国のエンブレムがペイントされているのが特徴。
一般兵の頃から小隊指揮を任されており早い時期からファイヴス、エコーとともにレックスを支えた。2人が大隊からいなくなったクローン戦争終戦直前のマンダロア封鎖戦ではルーテナント(中隊長)に昇進し、レックスの実質的な副官として活躍した。一般兵から実力でARCトルーパーに昇進した兵士の一人でもある。
しかし、マンダロアからの帰還中に発令された命令に従い、ともに戦ってきたアソーカに銃を向ける。だが、上官であるレックスは命令を司る生体チップを取り除かれたため、ジェシーが実質的な指揮官となり、これまで共に戦ってきた仲間の最強にして最後の敵としてアソーカとレックスの前に立ち塞がる。ジェシーと事を構えたくないレックスの説得を受けるが、結局チップの呪縛から逃れられず、敬愛するレックスを反逆者と認識したうえで事を構えることになってしまい、最終的に部下たちもろとも乗艦の墜落で命を落とした。彼以下死亡した第501大隊隊員の亡骸はレックスとアソーカの手で出来る限り埋葬されたが、そのカットは墓標となった彼のヘルメットに描かれた銀河共和国の紋章が、共和国の終焉と帝国の誕生を象徴しており、Season7屈指の名場面となっている。
99
通称「99番」(英語版では「ナインティー・ナイン」)
いわゆる「できそこない」のクローンで、背が曲がり、加齢の速度が他のクローンよりも早くなってしまったためか、軍務につくことは叶わず惑星カミーノの訓練施設で清掃や備品の整理に従事していた。
だが、自分もまたクローントルーパーの一人であることを強く誇りに思っており、「できそこない」である自分が違う形であれ「兄弟」たちのために尽くせることに喜びを感じているなど、クローントルーパーきっての人格者。ドミノ分隊の問題児筆頭だったヘヴィーに含蓄のあるアドバイスを与えて彼の脱走を思い留めさせたことから彼と友情を結ぶ。同じくドミノ分隊出身のファイヴスやエコーとも面識がある。
後に分離主義勢力によるカミーノ奇襲の際、訓練生である若いトルーパーやレックス、コーディたちと敵を迎撃に当たるが弾薬を補給するために駆け出したところを背後から撃たれ殉職。彼の死にレックスは「本当の兵士を亡くした」と深く嘆いた。
クローンフォース99
通称「不良分隊/バッド・バッチ」。
クローントルーパー生産時に変異が生じた個体のうち、頭脳や体格など兵士として「好ましい」変異を強化して誕生したトルーパーたちによる特務部隊。変異の影響で一見するとクローントルーパーには見えないが、担当声優はしっかりディー・ブラッドリー・ベイカー氏だし、日本語版での吹き替えも勿論金田明夫さんである。
なお、部隊名は先述の「99」に敬意を評して付けられた。
詳細は彼らが主役を張るアニメの記事参照。
カット・ロクウェイン
惑星サルーカマイに住む元クローントルーパーで、共和国軍からの脱走兵。
戦争最初期のジオノーシスの戦いの直後、乗っていたガンシップを撃墜され自分以外の全員が戦死するという悲劇を経験し、戦いに嫌気が指し軍から逃亡。そのまま辺境を彷徨いサルーカマイでスーというトワイレックの女性と恋に落ち、農夫として生きて行くことを決意した。なお、シェーアという娘とジェックという息子がいるが、2人ともスーの連れ子であり、カットの実子ではない。が、実の親と変わらぬ愛情を注ぐなど家族を大切に思っている。
サルーカマイの戦いで重傷を負ったレックスを一晩家で匿うが、その際レックスに元クローントルーパーであることが軍規違反を咎められ復隊を勧められる。しかし家族という守るべきものができたことを理由にカットはレックスの提案を拒否。議論は平行線を辿ったが、偶然ロクウェイン家の近くに降下したバトルドロイドを撃退するため共闘し、レックスからは「見なかったことにする」と言われ翌朝別れた。
その後、帝国の建国宣言がなされると脱走兵であることがバレないようサルーカマイからの脱出を計画。レックスからの要請を受けたクローンフォース99の面々の助けを借り、身分証を偽造し惑星から脱出した。
なお、彼の存在はその後広く知られるようになったらしく、エンドアの戦い直後を描く小説「アフターマス」では帝国支持派と新共和国支持派に分かれ言い争う兄弟に対して、父親がカットの話を引き合いに出して戦いの虚しさを説くという場面もあった。
グレガー
認識番号CC-5576-39。階級はキャプテン。
元第212突撃大隊フォックストロットグループ所属のクローン・コマンドーという特殊作戦に特化した兵士。
共和国軍が大敗した戦いで一時行方不明になり、自分が何者かわからない状態で辺境の惑星の食堂でこき使われていたが、作戦行動中の共和国の部隊に発見され一部記憶を取り戻し共闘。その戦闘で殿を務め爆死した...
と思われたが、「反乱者たち」でレックスと一緒に隠遁生活していることが判明。しかもなんか性格があっかるくなった。レックスとともに反乱活動に参加するもロザル解放の最中に敵の銃弾に倒れる。その際にはかつての生真面目な口調に戻り、レックスの下で戦えたことに感謝していた。
帝国成立直後を描いた「バッド・バッチ」ではこの頃には軍部と合流し、TKトルーパー(のちのストームトルーパーに繋がる非クローンで構成されたテスト部隊)の教官を務めていた事が判明。こちらでも軽口を叩きまくってたので、案外あっかるい性格の方が素なのかもしれない。
ウォルフ
認識番号CC-3636。階級はコマンダー。
プロ・クーン指揮する第104大隊を率いる指揮官。また直属部隊ウルフパックの隊長でもある。右目についた大きな傷が特徴。
「クローンウォーズ」ではアソーカを見出したのがプロ・クーンな関係上よく登場する。
「反乱者たち」にも登場し、レックスやグレガーとともに隠遁していたがエズラたちとの出会いで反乱活動に参加することになった。当初はジェダイであるケイナンを恐れて彼らを帝国に密告してしまった。
ハウザー
認識番号は不明。階級はキャプテン。
「バッド・バッチ」に登場したクローントルーパー。トワイレック種族の母星である惑星ライロスを解放するための戦いに長く参加していたため、ライロス解放の戦士であるチャム・シンドゥーラやその家族との付き合いも深い。
自らの仕える帝国への忠誠と、その圧政に苦しむかつてはともに戦い守べき人たちだったライロスの民衆の姿に板挟みになるが、最終的に収監されていたチャムたち一家の亡命を手助けするも、自らは時間稼ぎのため、そして部下たちの説得のためライロスに残る。その際の彼の演説はクローン戦争終結後、急速に銀河帝国へと変貌していく銀河共和国の渦中にいるクローントルーパーの心境を代弁するものであり、視聴者の心に深く刻まれた。なお、この演説を聞いた部下たちは一様に動揺を見せるも、うち6名のトルーパーが彼の説得に応じて自ら武器を手放したことに救いを感じる視聴者も多い。(ハウザー以下6名が「真面」だったのはライロスにジェダイがいなかったこともあって命令を受けてなかったのかもしれない)
出演回数は少ないものの、視聴者の心に深く刻まれたトルーパーといえるだろう。
関連項目
レッド・キャップス:ある意味クローントルーパーの応用とも呼べる兵士。