概要
ウィルハフ・ターキンとは初代デススターの司令官にして、銀河帝国創設期においてシーヴ・パルパティーン皇帝やその右腕であるシスの暗黒卿、ダース・ベイダーと並んで恐怖政治体制の構築に大きく貢献した人物と称される、帝国最大の実力者の一人である。
銀河共和国時代
辺境域(アウター・リム)の惑星エリアドゥで長年にわたってこの惑星を開拓し統治して治安維持を担ってきた貴族の家系に生まれる。そして一定の年齢に達すると一族の通過儀礼として惑星のサバンナでの一族の先人たちが実際に何人も命を落としてきた過酷なサバイバルを経験し、過酷な生存競争の在り方とその中で戦い生き残るための術を身体に叩き込んだ。
そして成人後は辺境域保安軍で軍人としてのキャリアをスタートさせた。
クローン大戦を描いたアニメ『クローンウォーズ』では銀河共和国軍の少佐としてジェダイ・マスター・イーヴン・ピール配下の部隊に従軍し、銀河共和国と独立星系連合の拠点を結ぶネクサス・ルートの捜索に関わるが、その直後に独立星系連合に捕縛されてイーヴン・ピール共々対ジェダイ用の監獄シタデルへと幽閉、ネクサス・ルートの座標を聞き出すため拷問にかけられる。そしてオビ=ワン・ケノービ率いる共和国部隊により救出されるが、脱出時の戦闘でピールが戦死した。その後提督に昇進し、アソーカ・タノがジェダイ聖堂を爆破したテロの容疑をかけられた際にはその裁判を担当することになる。この時ターキンはアソーカの師であるアナキン・スカイウォーカーが真犯人を明らかにするまで終始アソーカの有罪を確信した態度を貫いており、後の銀河帝国時代初期にはこの頃のアナキンとの関係に遺恨を残す。
そして、クローン大戦が終盤に差し掛かった頃、ターキンはエリアドゥの総督に着任。同時に惑星ジオノーシスでジェダイの目を逃れて密かにデススター建造を開始した。
銀河帝国時代
銀河共和国が銀河帝国へと再編された際、ターキンは総督職の最高位として1つの星系や宙域全体を統治する役職「モフ」の最初の20人に任命される。
その後、ターキンは複数の宙域をまとめたオーバーセクターと呼ばれる領域の制定と、その統治を総括する上位階級の創設を皇帝に進言。帝国において彼のための職位ともいえるグランド・モフ(大総督)に任命され、銀河帝国において皇帝に次ぐ名実とも最高権力者の1人になった。ターキンは帝国及び共和国の統治が行き届かず、長年にわたってジャバ・ザ・ハットのようなマフィアの影響も大きいアウター・リムのほぼ全域の統治を担当。その影響力は絶大で、皇帝以外で明確にダース・ベイダーに対しても命令を下すことのできる唯一の人物とされるほどであった。
アニメ『反乱者たち』でも帝国への反抗組織(後の反乱同盟軍の前身)の構築を試みる者達にとって最大の障害となる人物の1人として登場。アウター・リムの住民やそれを締め付ける軍人達に対する恐怖による支配力ではダース・ベイダーさえも凌いでいる様子が描かれている。ベイダーに叱責され言い訳を並べる人物も、ベイダーがターキンの名前を出せば反論すらできないほど恐れられているのである。
そして惑星ロザルにおいて活動する小規模な反乱グループ「ゴースト・チーム」の潜在的な危険性を早期から見抜いて鎮圧に当たる。その後惑星ムスタファーでの自身の旗艦ソヴリンの沈没やジェダイ討伐に派遣された尋問官達の相次ぐ死を受け、スローン大提督率いる第7艦隊の出動を要請した。
ターキン・ドクトリン
ターキンは帝国の政治体制を構築するに当たり、メディアから「ターキン・ドクトリン」と呼ばれる教義を打ち立てた。かつての銀河共和国では各加盟惑星や企業連合体から選出された元老院議員達がそれぞれの利益や保身を追及して共和国全体の腐敗と停滞を招いた事を痛烈に批判し、新たな帝国では皇帝から任命された総督が銀河全体の安定と繁栄を見据えた秩序という皇帝の示す方針に沿って各惑星の統治を行うというものである。そして帝国の巨大な軍事力も帝国の秩序を乱したり、人々を不法に搾取しようとする存在から銀河を守るためにのみ行使するとした。
実際、ターキンはアウター・リムを中心として長年にわたって犯罪組織が跋扈する無法状態がほぼ放置されていた宙域や星系の統治にもメスを入れ、帝国軍の強大な軍事力を行使する事で犯罪活動に対するある程度の抑止と治安の改善といった成果を挙げていた。
その結果として帝国軍の尖兵であるストームトルーパーは犯罪者から一般市民を守る存在として尊敬を集めており、「ターキン・ドクトリン」は帝国の人々から一定の評価を得る事に成功している。
一方で、銀河全体の秩序維持を常に第一とするこの教義は帝国全体のために一部に苛烈な搾取や負担を強いる全体主義と極度に肥大化した軍事力を背景にした恐怖政治により裏打ちされており、中でもアウター・リムの惑星やクローン大戦で独立星系連合側に参加していた惑星を母星とする者たち、特に人間以外のエイリアン種族に対する奴隷化や重税などといった差別政策も横行する。
当然の帰結として人間含めこうした帝国の方針に反対する者達も現れるが皇帝やターキン、ダース・ベイダーを初めとする帝国の統治者達は不満の声を上げる者があれば強大な軍事力の行使によってこれを弾圧。それを実行する総督や軍部の高官には目的のために手段を選ばぬ冷徹さを備えた人材を多く重用していった。
なお、レジェンズ(非正史)のスピンオフ作品でも「ターキン・ドクトリン」という用語は登場しており、ターキンの統治方針を端的に示す教義として語られている点も共通しているが、こちらでは強大な軍事力がもたらす恐怖によって銀河を統治する事を直接的に訴える内容となっており、カノン(正史)でのそれとは異なっている。
最期
その後、デススターの設計開発に協力を強いられていた科学者ゲイレン・アーソの裏切りを発端として起きたスカリフの戦いではダース・ベイダー配下の艦隊との連携で反乱同盟軍の艦隊を追い詰め、この時に盗み出されたデススターの設計図を持って逃亡したレイア・オーガナが捕縛された際には彼女の故郷にして反帝国派の根拠地となっていた惑星オルデランをレイアの眼前で破壊するなどの冷徹な行動によって反乱同盟軍を壊滅寸前にまで追い詰めたが、ヤヴィンの戦いにおいてデススターの爆発と共に戦死した。
アウター・リムの人々の不満を恐怖で押さえつけていたターキン及び、彼の軍閥に属しデススターの司令部に就いていた多数の有能な帝国軍高官達の死は反乱の拡大をもたらし、帝国にとっては崩壊の始まりとなる。
役者について
スター・ウォーズシリーズの記念すべき第1作である新たなる希望ではピーター・カッシングが演じていた。
その後、シスの復讐で若い頃のターキンが登場した際にはピーター・カッシングに比較的雰囲気の似ていたウェイン・パイグラムが演じており、新たなる希望の直前を描いたローグ・ワンではガイ・ヘンリーが演じた映像にピーター・カッシングの顔を合成している。
日本での吹替は映画、アニメ共に大木民夫が有名な演者。