概要
エピソード1〜3にかけての主人公。惑星タトゥイーン出身の男性。ジェダイマスターのクワイ=ガン・ジンがジェダイの予言にある「選ばれし者(フォースにバランスをもたらす者)」として彼を見出したことで、数奇な運命を辿っていく。
人物
基本的には善良で純粋な心を持っている人物であるが、同時に奴隷という抑圧された境遇にあった為か、生存欲求や上昇志向も人並み外れて強く、これに愛する者への激しい思い入れから、それらを失うことへの恐怖心が合わさり、強大な力を渇望する心へと繋がっている。
また、有り余る才能を持つ一方、その激しい感情に駆られやすく冷静な判断を上手く取れないため、物事を早急に独力で解決しようとするなど、自分の力を過信し傲慢に陥ってしまいやすく、そのためダース・シディアスの様な奸智に長けた者に騙されやすい要因になっている。
更に最大の理解者であり最愛の母であるシミ・スカイウォーカーの危機を予知で察知しつつも、タスケン・レイダーの手から救い出せずに亡くしてからは、愛する者を失う恐怖心にますますかられてしまい、妻のパドメ・アミダラに対する執着というジェダイとして致命的な弱点をさらに強めてしまった。
そしてパドメの死を予知夢で見て以降、彼女を守り死の運命から救うためにと強い力を渇望していたところを、「暗黒面にその方法がある」とダース・シディアスに付け入られ、皮肉にも愛する者を守ろうとする彼の強い意志が、暗黒面に堕落してしまうきっかけを作ってしまう。
略歴
少年~青年時代(EP1〜3)
奴隷であった母シミ・スカイウォーカーの子として生まれる。父親は文字通りおらず、フォースの意思によってシミが妊娠し、生まれたとされる。
3歳の時にガーデュラ・ザ・ハットの所有する奴隷としてガーデュラやジャバ・ザ・ハットといったハット族が支配する惑星タトゥイーンに連れてこられた。
ハット族は気に入らない部下を嬉々として猛獣の餌にしたりする残忍な種族であり、特に奴隷は逃げ出せば爆発するようセットされた爆弾を体内に埋め込まれた死と隣り合わせの生活を強いられていた。
そしてアナキンはガーデュラの所有する機械の整備により、機械いじりにかけてはかなり高度な才能を開花させ、ある時ポッドレースの賭けの景品として母親であるシミ共々トイダリアンのジャンク商であるワトーの手に渡った。
ワトーはアナキンとシミの親子に商品である中古機械の補修作業などをさせ、親子を常に怒鳴り散らしていたものの、口とは裏腹に作業を命じる必要が無いときにはアナキンが外で遊ぶことを許したりシミが機械の洗浄で僅かな収入を得る事さえ許可するなどガーデュラの時に比べれば奴隷への扱いとしては破格ともいえる好待遇をしていた。
しかし、それでも体内に爆弾を埋め込まれていた事実には変わりなく、こうした生い立ちがアナキンの心に将来暗黒面へと繋がるような強い生への執着や力への渇望を植え付けることとなる。
母と共に奴隷として日々暮らしていたが、この星を立ち寄ったジェダイマスター・クワイ=ガン・ジンによってその強大なフォースの資質を見出され、ジェダイの予言にある『フォースにバランスをもたらす者』と目された結果、自由の身となる。
このときナブーから亡命中だった女王パドメ・アミダラ(護身のため影武者を置き、自身は侍女に変装していた)と遭遇し、恋心を抱く(この時は年が離れていたこともあり、アナキンの片思いである)。
その後女王を追跡していたシスの暗黒卿、ダース・モールとの戦いでクワイ=ガンは死亡。その弟子であるオビ=ワン・ケノービがヨーダを説得しアナキンの師匠(マスター)となった。
10年後、立派に成長した彼は元老院議員となったパドメと再会。彼女の身辺警護にあたるが、徐々に二人は恋に落ちる。しかし、それはジェダイの掟に反するものだった。
また、これと前後して元老院最高議長のシーヴ・パルパティーンに個人的に目を掛けられるようになる。
生まれつき父を持たぬ身であったアナキンは、自分を我が子のように可愛がるパルパティーンを深く慕うようになり、いつしか同胞のジェダイや師であるオビ=ワン以上に心を開き、多くのことを打ち明けられる間柄になっていく。
そんな中母が苦しめられる悪夢にうなされ続け、故郷のタトウィーンへ向かう。
そこで母がタスケン・レイダー(タトウィーンの野蛮な原住種族)にさらわれたと知り、単身救出へ向かうも拷問を受け、すでに衰弱し切っていた母は成長したアナキンの胸に抱かれて息を引き取り、怒りに駆られたアナキンはタスケンを皆殺しにする。
その後、窮地に陥った師:オビ=ワンを救うために惑星ジオノーシスへ赴くも、シスの暗黒卿であるドゥークー伯爵らに囚われる。
その後クローン軍団を率いたジェダイ騎士団の救援もあり、脱出に成功するが、途中伯爵と戦闘になり、オビ=ワンと共に応戦したが伯爵のセイバーによって右前腕部を切断され失う。
この戦いの後にアナキンとパドメは極秘に結婚する(ただしこの結婚式を取り仕切った聖職者を通じ、パルパティーンは二人が結婚したことを知っていた)。
クローン大戦では共和国軍を率いて数々の武勲を立てる。その最中、パドメが妊娠するという幸せに恵まれるが、そのパドメが出産によって死ぬという悪夢を見てしまい、彼女を死から救うための強大な力が欲しいという思いを募らせる。
しかし、その思いに付け込んだパルパティーン(正体はシスの暗黒卿ダース・シディアス)によって、次第にオビ=ワン、ひいてはジェダイ評議会に対する猜疑心に取り込まれ、正体を現した議長を逮捕に向かったメイス・ウィンドゥの腕を切り落とし、彼の死を招く。
そしてシディアスの説得に負けると共に完全に後戻りが出来なくなり、遂にフォースの暗黒面に転落した。この際、シディアスからシスの弟子としてダース・ベイダーの名を賜る(この時点で名実共にダース・ベイダーであり、黒スーツ姿になってからではないことを追記しておく)。
とうとう彼は正真正銘のシスに変貌してしまったのだった…。
そして、シディアスことパルパティーンはメイス達の排除を機に「ジェダイの反乱」をでっちあげ、ジェダイ殲滅指令「オーダー66」を発動し、同時に自身に背いていた(パドメの同志を含む)一部の元老院議員またはその星々を弾圧し始める。
一方で命を受けたアナキンは自身がクローン大戦を通じて指揮する501大隊として知られるクローントルーパー部隊を率い、ジェダイ聖堂を急襲。
突然の事態に不意をつかれたジェダイ騎士、さらには幼いパダワン達をも虐殺する。
引き続き、シディアス自身の命令で分離主義勢力の幹部達を用済みとして抹殺するため、惑星ムスタファーへ向かう。
オビ=ワンからアナキンが暗黒面に堕ちたと聞かされたパドメは、真相を確かめるべくムスタファーへ赴き彼と出会うが、自身の知っている彼とは別人のように変貌しているのを見て、オビ=ワンの話が事実であることを知る。
この時点でアナキンの目的はもはや「パドメを救う」から「師匠のパルパティーンを倒して銀河系の支配」に移行しており、彼女から同意を得られることは無かった。
その後、アナキンは宇宙船に密航していたオビ=ワンの姿を見て、自身を抹殺するためにオビ=ワンを手引きしたと誤解。
フォースグリップで締め上げ、パドメを昏倒させる(ただし、後に彼女を診察したドロイドが述べたように直接的な死因ではなかったため、無意識のうちに愛する妻に対し加減はしていたようである)。
その後はとうとうオビ=ワンと対峙、かつての師であり、親友でもあった彼と1対1の決闘へ突入。
マグマがほとばしるムスタファーの地で2本の青いライトセーバーはぶつかり合い、憎しみと悲しみが入り交じった死闘が繰り広げられたのだった…。
そしてこの時のアナキンの実力は、オビ=ワンどころかヨーダやシディアスさえ凌ぐほどだった(ジョージ・ルーカス曰く「単純な戦闘力とフォースの強さでは最強」)のだが、
- ジェダイ聖堂や分離主義者を虐殺した事を後悔していたことに加え、パドメやオビ=ワンに裏切られたと思い込んでいたことにより精神状態が非常に不安定だった
- ライトセーバーのフォームが攻撃型のシエン(ドジェム・ソ)に対し、オビ=ワンは防御型のソレスで互いの長所を潰しあう型同士だった
- 師匠と弟子ということで互いの癖や手の内を知り尽くした相手だった
などの要因により実力を発揮しきれず、長期戦にもつれ込む。
それでも戦いの場を秘密基地からバルコニー・屋外へ移し、終始戦いを優位に進めていったが、地の利を取ったオビ=ワンの挑発に乗り、一瞬の隙を突かれて左腕と両足を斬り落とされ、敗北。
さらに溶岩の超々高熱により人体発火が起こり、全身に大火傷を負ってしまう。これが、オビ=ワンが見たアナキンの最後の姿だった。
フォースの乱れから弟子の危機を感じ取ったパルパティーンがムスタファーに駆け付けた時、アナキンは恐るべき生命力で生き延びていたが、全身を焼き尽くされて自然に息を吸うことすらままならない状態であった。
その後、コルサントに収容されて最新鋭の医療ドロイドの改造手術によって機械の腕と脚、呼吸用マスクと人工肺(生命維持装置)を装着され、辛うじて一命を取り留めた。
こうして、ベイダーことアナキンは生命維持装置という殻に永久に閉じ込められるサイボーグの姿となったのだった…。
しかし両手両足を失ったダース・ベイダーはそのフォースの源であるミディ・クロリアンも大量に失っており、やがてヨーダや師である自分をも上回る強大なシス卿になるだろうというパルパティーンの予想は外れることとなった(もっとも、パルパティーンとしてはシスの常である弟子が師を殺す危険が大きく減ったことに満足した面もあった)。
ほとんど機械人間に成り果てていたものの正気に戻ったアナキンは真っ先にパドメの安否を尋ねるも、パルパティーンからパドメはアナキンの怒りが原因で死んだことを伝えられる。
ここでようやく自分が取り返しのつかないことをしたと気づき、怒りと悔恨からフォースの嵐を巻き起こす。
近くの機器やドロイドを破壊しただけにとどまったのを見てパルパティーンがほくそ笑んでいるのは、ダース・ベイダーのフォースが弱まっていることに満足していることと怒りの感情は全く衰えていないためであるが、シスの教義に忠実な彼としては自身の寝首をかいてくれても構わなかった模様。
また、パドメが死んだと聞いてその胎内の子供も一緒に死んだと思い込む。
自らの手で家族を殺めてしまい、パルパティーンを打倒する力さえも失った事に絶望した彼は後悔の叫びを上げるしかなかった。
かつてのアナキン・スカイウォーカーの面影はほとんど無くなり、もはや彼には機械人間のシス卿ダース・ベイダーとして生きるしか道は残っていなかった。
壮年時代(EP4~6)
かつての優しい心も生身の姿も失い、銀河帝国の圧政を象徴する冷酷な鉄面皮の使者ダース・ベイダーとなったアナキンは、皇帝パルパティーンの命に従い20年近くにわたってジェダイの生き残りや帝国に逆らう者達を無慈悲に殺戮していった。
ヤヴィンの戦いの時にデス・スターを守るためにTIEアドヴァンストx1で出撃した彼はこの巨大宇宙ステーションを破壊した若い反乱軍兵士が強力なフォースの持ち主であることに気づいた。
その後、帝国の依頼によりデススターを破壊したパイロットを追跡したボバ・フェットの報告によってこの若者が死んだと思われていた自身の息子ルーク・スカイウォーカーであった事が判明する。
こうして、人間アナキン・スカイウォーカーとしての彼の運命が再び動き出すことになる。
詳しくはダース・ベイダーの記事を参照。
死後
アナキンがダース・ベイダーとして行ってきた行動が銀河系にもたらした影響は彼の死後も非常に大きく、正史(カノン)・非正史(レジェンズ)のいずれにおいてもアナキンの子孫、特に娘のレイア・オーガナや彼女とハン・ソロの間に生まれた孫(名前や人数はカノンとレジェンズで設定が異なっている)の人生に大きな暗い影を落とすこととなる。
そしていずれの歴史でもレイアとハンの長男が祖父同様に暗黒面に堕ち、家族を裏切る結果となっている。
余談
少年時代に廃棄されたプロトコル・ドロイドのスクラップから集めたパーツを組み合わせ、C-3POを作成した。ちなみに、彼がエピソード4でタトウィーンに不時着した際にこの星を覚えていないのは、エピソード3の終盤でルークやレイアをシスから守るためにベイル・オーガナ元老院議員の命令で記憶を消去されたためである。
なお、R2-D2は製造されてから一度も記憶を消されていないが、この時には彼自身の判断か、タトゥイーンを訪れたことがあるとは言っていない(もっとも、危険なデューン・シーを渡ったり、スカイウォーカー農園からベン・ケノービの家に行ったりと地理に通じている描写はある)。
レジェンズ(非正史)では、R2-D2はアナキンがジェダイ聖堂で虐殺を繰り広げた場面とアナキンがパドメの首を絞めた場面のホロを記録しており、ヤヴィンの戦いの36年後にルーク・スカイウォーカーにそれを見せている。
フォースグリップで締め上げられ昏倒したパドメは、アナキンの言葉で受けた精神的ショックもあって精神的に衰弱してしまい、出産の後に絶命した。結果として救おうとした彼女を自らの手で殺めてしまい、悪夢を現実としてしまったことになる。
EP6の終盤で、フォースと一体化したアナキン、ヨーダ、オビ=ワンが登場するが、公開版・特別編ではダース・ベイダーを演じたセバスチャン・ショウ氏が同じく暗黒面から帰還したアナキンを演じているのに対し、DVD修正版では青年時代の(エピソード2から3まで)アナキンを演じたヘイデン・クリステンセンに差し替えられている。
これはフォースの霊体になれるのはジェダイだけであるためである。つまりダース・ベイダーはフォースの光明面へと帰還し、偉大なジェダイの騎士であるアナキン・スカイウォーカーに戻ったのである。
日本語吹き替え
サイボーグ化前もしくはEP6における最期シーンのキャスト
関連タグ
主人公 ラスボス系主人公 悲劇のヒーロー 闇堕ち 哀しき悪役
家族
パドメ・アミダラ:最愛の妻
ルーク・スカイウォーカー:息子
レイア・オーガナ:娘
かつての相棒
R2-D2:ジェダイ時代の相棒だったドロイド
C-3PO:幼い頃に組み立てたドロイド