感情はなく、平和がある。
無知はなく、知識がある。
熱情はなく、平静がある。
混沌はなく、調和がある。
死はなく、フォースがある。
概要
あらゆる生物(非生物も含む場合がある)が生み出す超常的な力“フォース”を利用して超人的な力を発揮する者たちである。
正確にはフォースを扱う者全般(フォース=センシティブ等と呼ばれる)を指すわけでは無く、利他的な目的のために発揮される光明面(ライトサイド)を信奉する者として後述する「ジェダイ騎士団」に所属したり、この組織が数千年にも渡る歴史の中で独自に研鑽した「ジェダイ・コード(ジェダイの掟)」を会得・継承し、銀河の秩序と平和を守るためにその力を行使したりする者が「ジェダイ」と呼ばれる。
また、このジェダイ騎士団や彼らの定めるジェダイの掟を指して「ジェダイ・オーダー」という用語も使われている。この「オーダー(Order)」という言葉は文脈によって「騎士団」とも「秩序」とも訳す事ができるため、「ジェダイ・オーダー」という用語も組織名としての「ジェダイ騎士団」と同義とされる場合もあれば、彼らの掟である「ジェダイ・コード(ジェダイの掟)」を指す場合、あるいは両方の意味を兼ねた表現として使われる場合など文脈によって意味合いが変化する。
新三部作の舞台、旧銀河共和国時代は「ジェダイ騎士団」と呼ばれる一大組織のもとでおよそ2万人のジェダイが銀河の秩序と平和のために活躍していた。
騎士や僧侶、賢者、戦士、軍人、外交官、指導者など様々な性格を併せ持つ。
ジェダイの武器および象徴であるライトセーバーを持ったキャラクターが描かれたイラストにこのタグがつけられることも多い。
現在、スター・ウォーズのスピンオフ作品はフォースの覚醒に繋がる歴史を描いた正史(カノン)とそちらに繋がらないパラレルワールドとなる非正史(レジェンズ)に分けられているが、本記事では両方の設定について記述する。
歴史
かつて、ジェダイは未知の力場『フォース』を研究する学者集団だった。
しかしフォースへの理解を深め、それを利用する術を身に着けていくとその性格を徐々に平和の守護者へと変化させていったのである。
普段は銀河元老院の要請により外交官や使者として活動しているが、紛争解決の為に派遣されることも多い。しかしジェダイ騎士団は銀河元老院の下部組織ではなく、完全に独立した組織である。
一方、利他的な目的のために発揮される光明面のフォースを信奉するジェダイに対し、利己的な目的のために発揮される暗黒面のフォースを信奉してジェダイ・オーダーから離反するダーク・ジェダイと呼ばれる者達も現れ、そうした離反者とジェダイ・オーダーによる衝突も歴史上幾度となく起きている。
こうした衝突でジェダイ・オーダーに敗北して惑星モラバンド(レジェンズではコリバン)に逃れた離反者達により興った文化が、「フォースの暗黒面を究め、その力で銀河系を支配する」というジェダイとは正反対の教義を掲げたシスという宗教組織である。
ジェダイの人生
カノンにおける旧共和国末期のジェダイについて主に述べる。
ジェダイ候補となるフォース感知者(イニシエイト)はデータベースにリストアップされ、志願者は赤ん坊のうちに親元から引き離されてコルサントのジェダイ・テンプルへと迎えられる。これはジェダイ候補が親元で成長すると、家族との別れを哀しむことになり、それが暗黒面へ通じるという考えのためである。
集められた子供達は成長するまでマスター・ヨーダが率いるベア・クランを初めとするクランという子供達の集団に入り、集団教育を受ける。ただしアナキン・スカイウォーカーは惑星タトゥイーンの親元で成長してから特例として修行を開始しているため、この段階を経ずにオビ=ワン・ケノービの弟子になっている。同様の例外としてキ=アディ=ムンディがいる。
そしてある程度の年齢になると(種族によって違いがあるのだろう、オビ=ワン・ケノービは13歳、アソーカ・タノは14歳だった)特定のマスターに見出されてその弟子になる。この時にマスターが現れなかったジェダイ候補についてはジェダイ評議会が師事すべきマスターを決定する可能性が示されている。また、レジェンズの作品では集団農場に送られ、そこで農業に従事することになるともされている。
こうしてジェダイ候補はマスターの元でパダワン(弟子の意)として修行を続け、任務をこなしたり瞑想による精神鍛錬で力を高めていく。旧共和国末期には一人のマスターが同時に持てるのは一人の弟子のみだったが、より以前においては複数の弟子を同時に育てることもあった。
十分な実力をつけたと認められたパダワンは試練を与えられ、それをクリアすることでジェダイ・ナイトの称号を得て一人立ちをする。
その後、ジェダイ・ナイトはマスターへと昇格する試練の一環として、ジェダイ・マスター(特に評議会)が指定したジェダイ候補を弟子に取りナイトへ昇格させるよう命じられる場合も多く、実際にオビ=ワンはナイトへと昇格した直後の段階でクワイ=ガンの遺言によってアナキンを弟子に取っており、そのアナキンもナイトへの昇格後、評議会の指示によってアソーカを弟子としている。
そしてジェダイ・ナイトが自身の弟子を同じくナイトへ昇格させるなど大きな功績を成し遂げた場合、ジェダイ評議会からジェダイ・マスターの称号が贈られる。
ここで注意すべきは、『マスター』の称号の用い方である。
地位・称号としての『マスター』と、パダワンの師匠であるという意味の『マスター』、さらに場合によっては(主に一般人からの)敬称としての『マスター』が使い分けられている。
同様に『ジェダイの騎士』という呼称も、地位・称号としての『ジェダイ・ナイト』のみを指す場合とジェダイ騎士団に所属するジェダイ全般、またはジェダイ・マスターを含むナイト以上の地位として独立したジェダイを指す場合が混在する。
レジェンズでは旧共和国末期以前や、ルーク・スカイウォーカーが再建したニュー・ジェダイ・オーダーでは厳格な年齢制限はなく、成年に達したフォース・イニシエイトも訓練を受けてジェダイになっている。
ジェダイの組織
首都惑星コルサントにあるジェダイ聖堂(テンプル)がジェダイ騎士団(オーダー)の本部である。
旧共和国末期、ジェダイの総数はおよそ2万人。うち200人ほどが常時ジェダイ聖堂に詰めていた。ジェダイの騎士達は銀河中に散らばって活動していたので一堂に会するようなことはあまりなく、ジェダイ寺院も歴史資料の保存や子供達の学校として利用されていた。
ジェダイ騎士団の組織運営及び活動方針は最高幹部会であるジェダイ評議会が合議で決定される。このジェダイ評議会はマスター・オブ・ジ・オーダーであるヨーダ及びメイス・ウインドゥが統率を行なっている。
「グランドマスター」と呼ばれる階級も存在し、旧共和国時代末期にはヨーダがこの地位に就いていたが、実務上は評議会の一員として他の評議員と同等の権限を持つのみであり、あくまで最も知恵のあるジェダイとされる者に与えられる称号である。
かつてはコルサント以外にも複数の惑星にジェダイ聖堂が存在していた事が明かされており、レジェンズでは他にも巨大なジェダイの育成用宇宙船ジェダイ・プラキシウムや、惑星オッサスの大図書館や教育センターなども存在したが、旧共和国末期には教育や公文書館などはコルサントのジェダイ・テンプルに集約されていたようであり、クローン大戦の時代にはコルサントの聖堂以外には一部の聖堂の跡地が前哨基地として再利用される程度にしか機能していなかった。
そのため、銀河帝国によるジェダイの粛清によってジェダイについての記録は一気に失われることになり、数十年でその存在はおとぎ話と称されるほどになる。
ごく僅かながらジェダイの粛清を逃れたジェダイはいたものの、フォースから隔絶したり、帝国に見つからないよう隠棲したり、あるいは帝国の軍門に下ったりして彼らが再び大規模な組織となることはなかった。
ジェダイの掟
旧共和国末期にはかなり厳格な掟が定められていた。
これは特定のものへの愛=執着はそれを失った際に大きな悲しみとなり、暗黒面に通じるという考えからきたものである。
ただし、個体数が少ない種族のジェダイは妻帯や生殖が特例として許されており、他にも隠れて家族を持っていた者もいたようである。
ジェダイの滅亡と再誕
旧共和国末期、シスの暗黒卿ダース・シディアスことパルパティーン皇帝によってオーダー66が発令され、多くのジェダイが信頼する仲間であったはずのクローントルーパーたちによって殺されていった。その表向きの理由は、ジェダイが共和国を奪うため反乱を起こした反逆者であるとされた。
オーダー66を生き残ったジェダイ達も帝国の残党狩りによって徐々に姿を消していき、終にはオビ=ワン・ケノービやヨーダなどのごく僅かを残してジェダイ・オーダーは壊滅した。
だが正義の光は消えていなかった。
かつてのアナキン・スカイウォーカーの息子、ルーク・スカイウォーカーが生き残っていたのである。
ルークはその後オビ=ワンとヨーダの指導を受け、新たな時代の最初のジェダイとなり、皇帝を倒し銀河に平和を呼び戻した。
ジェダイ・オーダーの再建
ルークは当初ジェダイオーダーの再建に興味がなかったが、甥であるベン・ソロの才能を見て考えを変え、ベンとフォースの素質を持つ12人の子どもたちを弟子としてジェダイオーダーを再建した。後述するレジェンズ同様、ルークは「親との関係を断つ」方針には明確に反対しており、親と連絡を取ることは自由とはされたものの、自身の修行の都合もあり辺境の惑星で古代のジェダイの史跡の探索と並行しながら修行を行う形となったため、早々気軽に通信が行える状況ではなかった。
…大体エピソード7公開前後には上記のような説明がなされていたが、ルークの「ジェダイと家族」についての考えは相当紆余曲折があったらしく現在では時系列順に言うと以下のような経緯が明かされている。
EP6~その5年後のベン出生より前
最初に弟子に取ったのはベンではなくレイアであった。このときルークはレイアに対し、家族としての、ほぼ対等に接している。しかしレイアは結局この訓練を放棄してしまう。レイアには彼女なりのルークに言えぬ懊悩があったのだが、少なくとも形式上「いくら勝利ムードとは言え、戦争の真っ最中に訓練が辛いと言いだして訓練をやめた」ことはルークと言えど「失望」したらしい。素直に考えればこの失望は相当根深くベン誕生に至るまでジェダイオーダーの再建を放棄してしまったことになる
EP6から5年後のベン出生~1,2年
この間に甥っ子の才能を見てオーダー再建を決意。
ベン1~3歳
「マンダロリアン」にて、甥っ子の兄弟子候補としてグローグーを勧誘するがこの段階でジェダイとなるなら家族との関係は断ってもらうとはっきり要求するようになる。
ベン10代前半
「shadow of the sith」にて甥っ子を弟子として迎えるが即座に「今日からは叔父ではない。私のことは常にマスター・ルークと呼ぶように」と要求している。逆に言えばグローグーには家族の関係を断てと要求したにもかかわらず、当人は直前まで「ルーク叔父さん」呼びを受け入れ親戚づきあいをしていた事になる。また、ある程度礼節を要求したとは言え基本的に関係は良好であった。
EP7の6年ほど前ベン離反直前
上記からの方針転換の経緯は不明であるが、「家族の絆を否定せず連絡自由」に落ち着いている。
ルークの弟子達の内、ベンを除くと現在明白に名前が設定されているのはタイ(人間男性)、ヴォー(人間女性)、ヒニックス(エイリアン男性)である。
当初は順調に事が進んでいたものの、両親や伯父から祖父ダース・ベイダーの存在について伏せられていたベン・ソロが、自身の母レイアがダース・ベイダーの娘である事を新共和国元老院で暴露されて激しい非難を受け、追放同然の形で政界を去るという現実を受け、ベイダーの存在を知った事から状況は暗転し始める。
この事でベンは新共和国に失望すると共に祖父ダース・ベイダーの存在に惹かれ始め、ルークはその暗黒面がいずれ手に負えなくなるのではないかと危惧し、就寝中のベン・ソロに対して思わずライトセイバーを向けたのである。直前で殺害を思いとどまりはしたものの、時すでに遅く目覚めたベンがルークに反撃し気絶させたことが元で、ルーク・スカイウォーカーのジェダイオーダーは崩壊してしまう。その後ルークが目覚めた時にはベンと彼の三人の兄弟弟子がルークの元を去り、それ以外のルークの弟子は全滅していた。
しかしその過程について、映画で語られた上述するルークの弁明には正確ではなかったことが判明する。
ベンは暗黒面に足を踏み入れつつもまだ踏みとどまっている状況であった。しかし、ルークがライトセーバーを向けた事で師から裏切られたと絶望し、それが決別の決定打となってしまったのである。
ニュー・ジェダイ・オーダー(レジェンズ)
レジェンズではエンドアの戦いでシスが滅亡し、その後新共和国の樹立が宣言されると、ルークによってニュー・ジェダイ・オーダーが再建されている。
このニュー・ジェダイ・オーダーでは、旧共和国時代における厳格な掟が軒並み改革あるいは撤廃されており、特に恋愛や結婚が自由化されている。これは、ジェダイの厳格すぎる掟が生み出した数々の軋轢や弊害に対する反省はもちろん、恋愛や結婚によって生まれる愛情が、ジェダイにとって正しく大きな力となるとルークたちが考えたためであり(この頃になると「フォースの資質が子孫に遺伝する」ことが判明しているため、「ジェダイの増殖と育成」という目的も少しはあった模様。そのため親子で共にジェダイとして在籍する者も多く存在している)、そもそもルーク自身も同じくジェダイであるマラ・ジェイドと結婚している。
また、ジェダイとしての訓練を始めるにあたっての年齢制限も撤廃されている。
これは「家族との別れによる暗黒面への傾倒を警戒するあまり、幼少の頃から親元から引き離された者よりも、親の愛情を一身に受けて育った者のほうが、より強く暗黒面の影響を退けられるはずである」というヨーダの考えが基になっており、恋愛や結婚の自由化と併せて、愛情からくる力を重要視している傾向が強い。
そのためニュー・ジェダイ・オーダーでジェダイとしての訓練を始める人物の中にはかつての反乱同盟軍で帝国を相手に戦った経験を持つ者も多く存在し、中には老齢となってから訓練を開始した者も存在した。
ジェダイの特徴
ジェダイは“フォース”の力によって様々な能力を使うことが出来る。
念動力や予知能力、テレパシーや心理操作(マインドトリック)、フォースの力を自らの身体に上乗せして超人的な体力を振るうことも可能である。
念動力やなどはフォースの使い手ならば誰でも程度の差はあれ使えるが、予知能力に関しては光明面のフォースに強く依存するため、光明面が強かった旧共和国末期にはヨーダが頻繁に予知をしていたが、旧共和国が崩壊に向かい暗黒面が強まるにつれてその予知も曖昧になり、未来を見通せなくなってしまった。
またマインドトリックは意思の弱い者にしか通じず、ハットやトイダリアンのように先天的にそれを受け付けない種族も存在する。
ジェダイの武器
彼らのシンボルでもある武器が、銀河で最も洗練された武器ライトセーバーである。
エネルギーの刃を投射するこのシンプルな武器は、十分に訓練を受けたジェダイが用いることで恐ろしくも優雅かつ極めて強力な武器となるのである。
代表的なジェダイ
階級は死亡時かジェダイ・オーダー離脱時のもの。
グランドマスター
ジェダイ・マスター
- オビ=ワン・ケノービ
- メイス・ウィンドゥ
- クワイ=ガン・ジン
- ドゥークー伯爵(後のダース・ティラナス)
- プロ・クーン
- キ=アディ=ムンディ
- シャアク・ティ
- キット・フィストー
- ルミナーラ・アンドゥリ
- クインラン・ヴォス
- テラ・シヌーベ
- イーヴン・ピール
- ポング・クレル
ジェダイ・ナイト(ジェダイの騎士)
パダワン
(※)レジェンズのスピンオフ作品ではルーク・スカイウォーカーは新たなジェダイ騎士団を再建した後、最終的にはこのジェダイ騎士団のグランドマスターに就任している。
モチーフ
名称の元ネタとなっているのは、日本語の「時代劇(じだいげき)」からと言われているが、ルーカス監督がそれを否定している。しかし、ジェダイが着ている装束は着物(和服)をイメージしたデザインとなっている。
また、思想においてもフォースに関するものには日本の固有信仰である神道の八百万、仏教の禅などが参考にされている面があり、ライトセーバーをジェダイにとって重要なものとしている面は、日本の武士道における武士にとっての日本刀に対する考え方に通じているとされる。
こうした日本文化や仏教文化から参考に形作られていることから、スター・ウォーズにおけるジェダイの思想は、映画ながら非常に奥深いものがあり、日本の仏教宗派における禅宗の一つである曹洞宗の僧で、作庭家(日本庭園の作家)でもある枡野俊明氏は、スター・ウォーズを通して仏教の禅の思想を読み解く書籍『スター・ウォーズ 禅の教え~エピソード4・5・6~』を出版している。
ジェダイの犯した過ち
作中では平和の象徴とされるジェダイ。
しかし、結論から言うと、ジェダイは正義とは言い難い。
嘗てはライト・サイドとダーク・サイドの双方を学び、それを調和させることを目的としていたが、やがてジェダイはライト・サイドのみを厚く信仰するようになり、それに異を唱えた者を異端者として排除することも厭わなくなるほどに排他的になっていった。
レジェンズではあるが、「ゼンダー」というジェダイの青年がジェダイ・オーダーのライト・サイドに偏った教えに疑念を抱き、「他のフォースにも焦点を当てた新たなアカデミーの開設」を求めた際はそれを突っぱね、それに落胆して脱退したゼンダーが遠く離れた惑星で新たなアカデミーを自ら設立し、その勢力が一大勢力に迄成長した際は討伐軍を結成して殲滅しようとした。
しかもこの際、ゼンダー自身は戦いの中で民間人が犠牲になることを避けたいと願っていたが、ジェダイ・オーダー側はジェダイの正当性を見せつけるためにわざと民間人が巻き込まれる様に仕向けるという卑劣な真似をしている。
クワイ=ガンが「光のルールしか知らない者は闇の堕ち方も知らない」と指摘していたように、ジェダイ・オーダーは知らず知らずのうちにライト・サイドに疑いを持たなくなった結果、ある意味ダーク・サイドよりも度し難い存在になり果てていたのかもしれない。
ダークサイドを悪だと仮定したとしても、ダークサイドを排除するようになっていったことでむしろそれへの免疫、対抗策、向き合い方を学ばなくなり、自滅への道を進んだとも取れる。ダークサイドに染まらないようにするためには、ダークサイドを学ぶ必要があったが、それを否定した結果でもある。
さらにいうと、ダークサイドが広くなりすぎて未来が見えなくなるという説もあるが、その逆に「むしろ光だけを重視した結果、その強すぎる光によって大切なことが見えなくなったのではないか」との声もある。実際、闇に染まれば物事が見えなくなるのは確かだが、(現実の科学面においても)光だけになっても視界を失うことになるので、シスの存在に関係なく光に偏った結果それを強めすぎて先が見えなくなった可能性もある。
また、上記のことを抜きにしても育成方法にも問題があった。フォースの素質を持ったものは、赤ん坊のうちに親元から引き離していた。仮に親の同意なしでそれを行っていた場合は、ダークサイドやシスに関係なくヘイトを買うには十分な動機を与えてしまっており、「あのやり方では引き離された側がいずれ反乱をおこしてもおかしくない」との見方もある。
このことから、一説では「『シスが現れるからフォースのバランスが崩れる』のではなく、『悪行を行うのはシスだけどバランスを乱すのはむしろジェダイの方、ジェダイ・オーダーによって光に偏ったからバランスを取る為にシスが現れる』のではないか?」とも言われている。
執着は暗黒面に通じるとして個人個人には物の所持や恋愛、結婚を禁じておきながら、全体としては光明面、ジェダイという組織、もっと言えばフォースそのものなど執着塗れであり、生物として当たり前の欲すら否定し執着しない事に執着した時点でジェダイの歪みは始まっていたと言える。
ゲームの「フォールンオーダー」では過去にフォースを探求していた古代文明の賢者の言葉が残されているが、その内容は「教えによって眼が曇り、調和の道を外れ、しだいに慢心し、我らは腐敗していった。強く秩序を求める程に、我々は没落していった」と言うものであり、これはそのままジェダイの辿った末路である。そのため、「フォースを光明面、暗黒面のどちらかに傾けるのはそれ自体が危険な行いなのでは?」とする説もある。
特に偽善と傲慢が強調されたのが『クローンウォーズ』であり、アナキンのパダワンとなったアソーカ・タノがジェダイ聖堂襲撃事件の犯人に仕立て上げられてしまった際は、「ダークサイドに堕ちた」と一方的に見なして強い疑いを向け、結果的にはアナキンが真犯人を捕らえて冤罪である事が発覚したが、彼女に対しては謝罪や沈黙した一部を除いて謝罪すらないどころか、「試練」として美化した上で「組織に戻ってこい」というなど、評議会の非を認めないばかりかその行いを正当化するような発言までした事により、結果的にアソーカがジェダイに不信感を抱き、ジェダイ聖堂を去ってしまう決定的な要因を作ってしまったのである(後にこの対応を内心では後悔、反省した者もいたが)。
この出来事は、アナキンのジェダイに対する疑心を更に強めることにもつながり、去っていくアソーカからも、アナキンはジェダイに強い疑いを持っている事実を指摘されてしまっている。
その後のアナキンことダース・ベイダーの悪行そのものはアナキンの罪でしかないが、アナキンをそのような有様に追い込んだのはジェダイの固執しすぎた悪い意味での古い因習であり、これは光明面に偏りすぎた思想が原因である。上記の事件やそれまでのアナキンへの態度も、アナキンにジェダイに関する不信感を持たせるには十分な動機を与えてしまっていた。
仮にジェダイが勝利していたとしても、その習慣が変わらなければ第二、第三のアナキンが生まれて同じことが起こっていたのは言うまでもないし、アナキンも後に自分を含むジェダイとシスの両方を滅ぼすことでバランスをもたらした。
後にルークは『最後のジェダイ』にて「滅亡したことで美化され神格化されているが本質は偽善と傲慢だった」と語っている。本作は非常に否定的な意見が多いがこの指摘は事実と認めるファンも多い。さらには「あんなに腐敗していればシスが現れなくてもあのままではいずれ滅んだ」との意見もある。
ファントムメナスの100年前を描いた『ザ・アコライト』では、ジェダイの悪行が隠蔽されるなど、既にアナキンの誕生する遠い昔から腐敗が始まっていたことが描かれている。こちらも全体的な否定的な意見こそ多いものの、作品の質そのものは酷評しつつも「ジェダイの悪行隠蔽など、ジェダイが正義とは言いがたいというには十分に共感できるし腐敗は丁寧に書かれている」という意見も存在する。
いずれにしても、ファントムメナス以降の作品は、買収前、ディズニー版、レジェンス問わずどの作品を見たとしても「滅ぶべくして滅んだ」ということが理解できる内容となっている。
また、スターウォーズシリーズ以外でも、近年の創作物は「必ずしも光が正義、闇が悪とは限らない、全ては向き合い方次第でどうにでもなる」が主流となっており、光の力でも使い方、学び方を誤れば十分に害をもたらすものとなることが証明されており、ジェダイはまさしくそれということができる。光側面を、自分たちが正義であると信じて疑わなかった以上、ある意味ではシスやダークサイド以上にタチが悪くなったということでもあった。