概要
『STARWARS(スター・ウォーズ)』シリーズの主要登場人物で、旧三部作の主人公。
反乱同盟軍(新共和国軍)のエースパイロット、そしてジェダイ。
愛機はXウィングスターファイター。
父親はアナキン・スカイウォーカー、母親はパドメ・アミダラ、双子の妹がレイア・オーガナ。
ジェダイとしての師はオビ=ワン・ケノービとヨーダ。
親友であるハン・ソロとは後に義兄弟となる。
人物
ド辺境の田舎惑星タトゥイーンで育ったためか、素朴で素直な青年である。
好奇心旺盛で冒険を求める性分なので、進んで危ない橋を渡ることもしばしば。愚痴も叩くし弱音も吐く、ごく普通の等身大の若者である。
父親譲りのパイロットの才能と強いフォースの素質を持っており、物語が進むにつれてジェダイとして覚醒してゆくことになる。
旧来のジェダイは生まれたときから修行を開始するのだが、ルークは成人してから修行を開始した遅咲きのジェダイである。
- 多くのジェダイが親元から引き離され騎士団の中で共同生活を送るのに対し、ルークは19歳になるまで義理の叔父叔母夫妻に愛情深く育てられた。ジェダイが親元から引き離されて修行するのは、「肉親への愛情が喪失への恐怖を生み、ゆくゆくは暗黒面に陥る可能性がある」とされているため。ゆえにジェダイは「執着」につながる一切の感情を持たないように訓練される。それは人間関係においても同様であり、ジェダイの結婚が禁じられているのはここらへんが理由だったりする。そして奇しくもそのことが本編で証明されている。
演者 日本語吹き替え
演:マーク・ハミル
- 島田敏(ビデオ・DVD版、EP7〜8)
- 神谷明(レコード版EP4)
- 奥田瑛二(劇場公開版EP4)
- 渡辺徹(日本テレビ初回放送版EP4)
- 水島裕(日本テレビ版)
- 石田彰(日本テレビ版特別編EP4)
- 塩沢兼人(テレビ朝日版EP5)
経歴
生い立ち(エピソード4以前)
映画エピソード3のラストで生後間もなくオビ=ワン・ケノービの手によって、シスの手を逃れるために砂漠の惑星タトゥイーンの叔父と叔母のもとに預けられる。
叔父のオーウェン・ラーズはルークが父親と同じ道を辿ることを心配し、ルークには両親の素性を隠して銀河帝国だけでなく惑星タトゥイーンで隠遁生活を送りルークを見守っていたオビ=ワンからも遠ざけ、自分と同じ農夫として育てようとした。
そのためルークは自分がジェダイの息子であることはおろか、双子の妹が存在することすらも知らずに成長した。
純朴すぎる性格の彼は宇宙のド田舎とされるタトゥイーンですらあまり目立たない存在であり、友人たちからはワーミー(青虫)ルークと馬鹿にされる鬱屈とした日々を過ごしていた。
反射神経とスピーダーの操縦には自信があったため、田舎育ちの若者らしく都会に出て得意の操縦技術を活かして一皮剥けたいという年相応の憧れがあり、伝え聞く帝国軍の悪行には良い感情を持ってはいなかったものの、帝国アカデミー(士官学校)に進学し戦闘機のパイロットになる事を夢見ていた。
だが地元の友人たちが先にタトゥイーンを出てアカデミーに進学していく中、叔父オーウェンが何かと理由をつけてルークをアカデミーから度々遠ざけようとする事に不満を募らせていた。
エピソード4~エピソード6において
叔父の農家の手伝いをする日々の中で、帝国の手を逃れたR2-D2とC-3POをたまたまジャンク市で購入したことからレイアからのメッセージを発見する。メッセージをきっかけに久々に砂漠の変人ベンことオビ=ワンと再会、オビ=ワンと父が友人でジェダイであったことを教えられ、アナキンのライトセーバーを受け取る。
その後、育ての親である叔父夫婦が惨殺されたこと、デススターでオビ=ワンがダース・ベイダーに殺されたこと、(この時はお互いに自分達が双子の兄妹であることは知らなかったが)レイアと知り合ったことから反乱軍に加盟。
ハン・ソロがベイダーのTIEアドヴァンストx1の僚機であるTIEファイターを撃墜したことでチャンスができ、ケノービから手ほどきを受けたフォースの導きに従ってプロトン魚雷を撃ち込み破壊した。
その後3年間は独学でフォースの修行を積んでいたと思われ、ライトセイバー程度の物体であれば手元に引き寄せられるまでになっていた。正史(カノン)の小説ではオーダー66によって殺害されたジェダイの関係者から話を聞いたり、そのジェダイが遺したライトセイバーを入手して構造を調べたりといった活動が描かれている。そして氷の惑星ホスでケノービの霊体に対面し、ヨーダからの指導を受けるよう指示を受ける。
向かったダゴバで自らの暗黒面と対面するとともに、ヨーダからジェダイの修業を受ける。だがその半ばでレイアやソロの危機を予知、ヨーダの静止を振り切り修行を中断して救出に向かうが、一足遅くソロの救出に失敗。自身もベイダーに敗れ右手を切り落とされた上、父の仇であったはずのベイダーこそが実の父親であることを知らされる。
しかし果てしない絶望の中でも暗黒面に屈することはせず、ベイダーから逃れるため半ば自殺同然に身を投げるが、レイアとランド・カルリジアンのミレニアム・ファルコンによって助け出され、九死に一生を得た。
その後失った右手を義手で補い、約1年間の孤独のジェダイ修行に打ち込む傍らでライトセーバーを自らの手で制作する。そしてソロを奪還するためにジャバ・ザ・ハットの宮殿に乗り込むとボバ・フェットらを退け、ジャバの犯罪シンジケートを壊滅させた。
レイアが自分の妹である事をオビ=ワンの霊体から聞かされた後、第2デススターの中で父親であるベイダーと対決する。彼はパルパティーン(ダース・シディアス)の計略に乗ってしまい、救うはずだった父親を殺害する形でダークサイドに陥りかけるがそれを拒否した。
パルパティーンの怒りを買ったルークは彼から雷撃を受け窮地に追い込まれてしまう。だが息子の危機に面したベイダーは父親としての、アナキンとしての心を取り戻しパルパティーンの不意を突き討ち倒したのだ。
アナキンはルークを救う際に自らも致命傷を負い、第2デススター内で息絶えてしまった。悲しいことにルークは父親の命を救えなかったが、アナキンの精神を非暴力的な手法でライトサイドへ帰還させる事に成功させたのだった。
これらの戦いでの活躍などから、ルークは銀河帝国壊滅に大きく貢献した英雄の一人として語られるようになった。
シークエル・トリロジー
エピソード7
エンドアの戦いから30年が経った舞台でも彼は登場している。
その伝説的な活躍を理由に、銀河帝国の残党で構成された組織『ファーストオーダー』から野望の最大の障害になるとして命を狙われる存在となった。「フォースを操る素質を持つ若者達を見出し、次世代のジェダイとして訓練する活動を行っている」事と「彼が『最初のジェダイ寺院』を探している」事以外の情報は謎に包まれている。
自身の姿を眩ましてる作中では、その居場所を示す地図がキーアイテムとして活躍する。
エピソード8
ジェダイ騎士団の最初期の拠点と言われる惑星の一つオク=トーで暮らすルークは、瞳に希望を宿したレイと邂逅した。ファーストオーダーとの戦いに参加して欲しいレイからライトセーバーを受け取るが、あろうことかルークはライトセーバーを後ろへ放り投げ、ライトセーバーは危うく海に落ちそうになる。
あの快活だった頃からは想像がつかないが、マスターとなったルークはこれまでのジェダイの歴史や失敗から「ジェダイは自分を最後に居なくなるべきだ」と考えていたのだ。レイが改めて説得をしても「私が光線剣の一本でファーストオーダーの大軍に立ち向かうとでも思うか?」と戦う事を断固拒否し、果ては彼女を島から追い出そうとする。
完全にねじれ捻くれ親しい者との繋がりを放棄した様に見えるものの、その心の奥底は昔と変わらず温かく高潔なままである。
事実、レイの口から「ミレニアム・ファルコン」の名前が出た時、側にいたチューバッカとその場に居るべき人物の姿が無いことに気づいたルークは最悪の事態を察し焦りの色を見せたのだった。
ハン・ソロが実の息子により殺されてしまった事実を聞き失意の念に暮れたその日の夜。
ルークはレイとチューバッカの目を盗みファルコン号へ侵入した。
変わらぬ船内から失った大友人の面影を偲ぶ中、そこに控えていたR2と再会。数多の苦楽と死線を共にしたかつての戦友の姿にようやく満面の笑みを見せる。頑なに戦いへの参加を拒むルークだが、R2の反則技ともいえる彼なりの説得(EP4のレイアからの助けを求めるメッセージの再生 言わずもがなファンには効果絶大な演出であり、ルークも「そりゃズルいぞ」と嬉しさまじりの苦言を呈した)によりルークはレイにジェダイの修行をつける事を決める。
ルークは手始めに何も知らないレイへ、フォースについて教えを説いた。修行は順調に進んだが、ルークは彼女の持つフォースの強さと島に潜むダークサイドとの接触を目撃してしまう。
弟子が暗黒面へ堕ちてしまった経験を持つ彼にとって、この出来事はカイロ・レンことベン・ソロへ持つ畏れを思い起こさせるものであった。
島の生活を通じルークは元弟子であったカイロ・レンについて、そして何故ジェダイは滅ぶべきと考えるのかをレイヘ説明する。
しかしある夜フォースの力によってカイロ・レンと交信したレイは、弟子のフォースが増強される事を恐れたルークがベンをを殺そうとした事・この出来事がベンの暗黒面転向(カイロ・レン誕生)の契機となった事を自分に話さなかった事を知ったために、彼女から「真実を話して欲しい」と問い詰められてしまう。
多少の齟齬があったものの、カイロ・レンの発言は部分的に事実であった。
ある夜ルークは、ベンの中にスノークの育てたダークサイドが広がることを察知した。その早さと愛する者へ広がる不幸を本能的に受け取った彼は、恐怖のあまり甥でもあるベン寝首を掻こうとしてしまった。直前に自分で思いとどまったものの時すでに遅く、まさに自分を殺そうとする瞬間を偶然目の当たりにしてしまったベンにとっては、離反するに十分な動機を与えるものになってしまったのである。
残酷な事実を打ち明けても尚ルークはレイから戦いに参加するよう手を差し伸べられるが、彼は依然として断ったため彼女はベンを暗黒面から助け出さんと島を後にする。
またも同じ過ちをしてしまったと悩むルークのもとに、彼の師匠でもあるヨーダの霊体が現れる。自分の過ちで破滅したジェダイオーダーに纏わる遺跡を燃やすべきと考えつつも躊躇していたルークの代わりに、雷を落として全て燃やしてしまう。
ルークは眼前の事態に深く動揺するが、ヨーダから助言を受ける。
「自身が得た強さ・技量・弱さに愚かさ・そして最高の師でもある失敗を伝えよ。過去の知識やマスターは常に、新たな世代の者に超越される為に存在する。これは全てのマスターが持つ真なる責務なのだ。」
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これより先、この男に訪れる運命が記載されているため閲覧には注意されたし
「レイア… すまなかった…」
エピソード8の終盤にて
ヨーダの言葉を受けルークは、レジスタンスと愛する者たちを助けるべく戦いへの参加を決意。
ファーストオーダーの追撃を振り切れず、惑星クレイトの要塞で文字通りの袋小路へ追い込まれたレジスタンスの元に彼は現れた。どこからともなく、壊れたはずのアナキンのライトセーバーと後光を携え現れたのだ。
ルークは久しく再会した妹レイアへ甥がダークサイドから離脱できる一縷の希望を、親友のC-3POへ含みのあるウィンクを残し一人表へ出る。
ファーストオーダーの進軍と対面したルークは、カイロ・レンからの猛攻を喰らう。ルークへの憎しみを激らす彼が持ちうる火力の一斉放火を全軍に命じたのだ。
だがルークは砲撃を全身に喰らっても生きていた。肩のホコリを払う余裕すら残っているではないか。
弟子の荒々しい歓迎を受けたルークは、この状況に対し冷静さを著しく失ったカイロ・レンとライトセーバーで対峙する。
ルークはセイバーの刃を出しながらも振るう事なく、カイロ・レンの繰り出す暴力的な太刀筋を身軽に躱し続ける。そしてルークを殺さんとするカイロ・レンが吐き捨てた「レジスタンスは死に絶え戦争は終わる お前を殺せばジェダイはもう終わりだ」という言葉に対し、ルークは冷静な顔つきで言い返した
「今日反乱軍は生まれ変わり、戦いはここから始まる そして私が最後のジェダイではない」
「怒りで私を討ち倒しても、私はお前と共にある お前の父親の様にな」
カイロ・レンはこの発言へ激昂し、迫り来る甥を見つめるだけのルークは咆哮と共に真っ二つに斬り捨てられた……
かに見えたが、驚くべきことにルークには傷の一つもついていない。
なんと彼はオク=トーからフォースを用いり、実体を持たない自身の姿を戦場であるクレイトへ投影させていたのだ。彼は囮としてファーストオーダーとカイロ・レンの侵攻を一人で喰い止め、敗走するレジスタンスに撤退の機会を作っていた、という寸法であった。
しかしフォースの投影は身体へ甚大な負担がかかる技。決死の思いで敢行したルークは、自分の妹や甥に直接会えないまま未知領域の孤島で力尽きてしまう。
それでもジェダイとして非暴力的な手段を用いり愛する者を見事救った彼は、双子の夕日を顔に受けながらその命を安らかに散らしたのである。
そしてエピソード9では父や師匠たちと同じくフォースと結びつき霊体化した姿で登場する。
自身の出生の呪いと師匠の一人であるレイアを失い絶望に打ちひしがれるレイの前に現れ、自身の過ちを元にした心強い助言をかけ彼女を鼓舞した。
役者やファンの反応
「名選手が名監督になれるとは限らない」という現実を悪い意味で体現したエピソード8のルークの行動は世界中で大きな賛否両論を引き起こした。
役者のマーク・ハミルも当初は自分が考えていたルーク像とあまりにもかけ離れていたからかなかなかこのルークを受け入れることができず、「君が書いたルークの話は1から10まで俺は納得できないけど、ベストは尽くすよ」と語っている。
ただし映画公開後のインタビューでは「僕は間違っていた」と考えを改めており、このエピソード8のルークを肯定的に受け止める姿勢を見せている。
ちなみに、この件に関してディズニーを責めるファンも多かったがEP9の数年後「レイアとハンの息子にしてルークの弟子が闇落ち」「零落し世捨て人になるルーク」「そこに現れる無関係の少女」自体はジョージ・ルーカスの提案ほぼそのままであったことが明らかにされた。
弟子の闇落ちの原因までルーカスの指定なのかは明らかではない。ただし、ルーカス案ではEP6後反乱軍はただの一度も銀河を平定できていない。つまり銀河中で北斗の拳が数十年以上続いている中すべてを放り出して世捨て人をやっていたと設定されており、ファーストオーダー出現まで世捨て人をやっていられる程度には政情が安定していたとしたディズニー版はまだ彼のメンツを守っていたのかもしれない。
「そうだ」
「マンダロリアン」Season2最終話にて、モフ・ギデオンのクルーザーにてダーク・トルーパーの集団に取り囲まれ絶体絶命の危機に陥っていたマンドーやグローグーたちの前に姿を現す。同作の舞台はエンドアの戦いから5年後の時点であり、旧三部作よりさらにパワーアップした堂々たるジェダイ・マスターの姿を見せつけた。その力はマンドーが一体相手でも手こずったダークトルーパーを数十体相手にしながらたった1人で無双し、しかも狭い通路に待ち受ける十数体の同機種をバッタバッタとなぎ倒し、最後の一体はフォースで握り潰すなど凄まじいもの。そしてマンドーたちと合流したルークは、グローグーの訓練を引き受けることをマンドーに伝え、彼を連れてクルーザーを後にした。
- 彼の出演は同作における最高機密であり、脚本も直前まで別のジェダイマスターが出るとフェイクのものを使用し、カモフラージュを徹底していた。なお、その際にカモフラージュに使われたジェダイマスターはなんとマスター・プロ・クーン。おそらく、フィローニ監督が彼の大ファンであったから登用されたのだろう。なお、現場でのコードネームは「ボスプロ」。厳しい緘口令がニ年近く敷かれていたため、情報開示後もスタッフたちはコードネームで呼んでいるという徹底ぶりである。
- 彼の正体がわかるまで、これでもかとさまざまなファクターを重ねがけるにくい演出のオンパレードがある。
順番 | 演出 | ファンの反応 |
1 | Xウィングがクルーザーに着艦 | この時点で助けに来るのはジェダイと察しがつく展開なので「Xウィングに乗ってるジェダイって...!!」とざわめく |
2 | 黒いフードを被った人影が通路をいく | シルエットがどっかで見た形なので、大体察するけどまだ半信半疑 |
3 | ライトセーバーでダークトルーパーなで斬り | 監視カメラのモノクロ映像なのでセーバーの色がわからないが、パワフルなフォームなのがわかる |
4 | 緑のセーバーと右手の黒い手袋がドアップ | 大体のファンはここで正体を察して悲鳴をあげる |
5 | エレベーターから出てトルーパー相手に無双 | カメラワーク含め彼の父親が見せた無双にそっくり |
6 | 右手をかざしてトルーパーを握りつぶす | 4同様右手のみ手袋と明確にわかるので、大抵のファンは推測が確信に変わる(でもまだ「まさか」とぎりぎり思ってる) |
7 | ブリッジに招き入れられ、フードを脱いで素顔を晒す | ファンは声にならない悲鳴をあげ、しめやかに限界化する |
- 分かりづらいって方は、海外の同志たちのリアクション集をどうぞ。海を越えても限界化したオタクの反応は万国共通だってことがわかるだろう。
- なお、この作品においてルークを演じたのはマーク・ハミル本人である。なお、顔についてはディープフェイクという最新技術で合成した。簡単にいうと「AIを使って膨大な画像から最適な画像を選んで適時映す」という離業である。一方声の方はというと、昔のマーク・ハミルの声を合成した。精度に差はあるかもしれないが、実質これと言えるだろう。
- 彼の出演についてはファヴロー監督もフィローニ監督もすぐさま「出そう」と意見が一致したのだが、彼らはルークというキャラが持つ影響力を十分に理解しており(彼らの言葉を借りれば「出しすぎると話の中心を持っていってしまう」)、話の中心をこのドラマの主人公たちから奪わないギリギリのラインで出演させた。
- また、演出に関しても「『ジェダイの帰還』直後のルークを完全再現する」という目標を立て実現に取り組んだ。これまでも亡くなった俳優の顔をCGモデル化して演者の顔に合わせたり、生前撮りためておいたライブラリーから映像を切り抜いて背景と合成したりとさまざまな手法が取られてきたが、本作ではそれ以上を目指した。その実現のため、ルーカスフィルム、そして最高クラスのCGI技術を誇るILM社の持てる技術の全てを注いで制作された。加えてこれまで同作中で絶対に投入しなかった最後の切り札を最後の最後で使うなど、さまざまな面で総力戦を展開した。その詳しい経緯はDisney+で配信されているメイキング集に詳しいが、その内容はこれと比べても遜色ないレベルのドキュメンタリー大作である。正直製作舞台裏を映画化しても十分ドラマになると思われる。
- 彼らの奮闘の結果は...本編とそれを見たファンの反応を見れば、語るまでも無いだろう。あれだけXウィング登場からブリッジに登場するシーンまで「ルークか?!」「いや、まさか...」と散々言っていたファンたちが、フードを取った瞬間「やっぱりルークだ!」と狂喜するのではなく、「ルーク?!」「マジかよ?!」「『あの』ルークだ!!」と驚愕するということだけでも、その成果は自ずとわかるだろう。
「マンダロリアン」の実質的な続編にあたる「ボバ・フェット」のエピソードでは、預かったグローグーにジェダイとしての訓練を授けている姿が描かれると同時に、次世代のジェダイを育てるためのアカデミー設立に励んでいる姿が描かれている。また、同エピソードでは父のパダワンだったアソーカ・タノと面識があることが判明した。オビ=ワン・ケノービ亡き後、"アナキン"時代の父を知る数少ない人物である彼女から、ルークがどんな話を聞いたのか気になるところである。
- こちらではスタントなどもこなす必要もあるため、ハミルの他にグラハム・ハミルトンがルークを演じた。なお、顔についてはディープフェイクやハミルトンの顔をCGで合成した。
- なおこっちでも台本ではルークのところが「プロ・クーン」とぼかされていた。そのためルークと共演することになったアソーカ・タノ役のロザリオ・ドーソンは「なんでプロ・クーンが出てくるんだろう?」と疑問に思いつつ撮影現場に行ったら、まさかのマーク・ハミルという状況に頭が真っ白になったそう。
- なお、ハミル自身はかつてヨーダに教えを受けたルークがヨーダと同じ種族であるグローグーに教えを授けるという展開に大いに喜んでいるという。なお、ハミル自身、「マンダロリアン」の大ファンでもあり、脚本を読ませてもらって一気に引き込まれたらしい。
- なお、「マンドーと共に行くか、ジェダイとなるか」という二者択一をグローグーに迫った点を「こんな子供に残酷な選択を...」「どっちにも兼ねた最初の一人になればいいじゃない!」と苦言するファンもいるが、見方を変えればこれもルークなりの優しさとも言える。先述の通りルークは19歳まで義理の叔父夫妻の下で愛情深く育てられており、肉親の愛情がもたらす良い影響を身をもって知っていた(もっと言えば、ルークは肉親の情愛で命を救われている)。加えて、グローグー自身がフォースの探求にそれほど熱心ではないことも薄々感じ取っており、それを踏まえグローグー自身の意志で自らの行くべき道を選ばせたとも言える。あるいは「スカイウォーカー」という血筋に縛られ、最後のジェダイとして周囲からの期待を一身に受け続け、ジェダイとなる以外に道のなかった自身の境遇ゆえに与えた選択肢なのかもしれない。なお、外見こそ幼児であるが、グローグーはこの時点で50歳であるため、ルークの倍ほどの年月を生きていることになり人生経験も彼以上にあると考えられるため、「こんな子供に...」とは言い切れないのも事実である。