概要
Xウィング(X-Wing)とは、『STAR WARS』(スター・ウォーズ)シリーズに登場する軍用一人乗り小型有人宇宙船である。単座スターファイター(Star Figher)あるいはファイター(Fighter)に種別される。
ローグ・ワン,エピソード4~6に登場する反乱同盟軍(新共和国軍)およびエピソード7,8に登場するレジスタンスの中核を担う軍用機であり、偵察・対地攻撃・対艦攻撃・防空戦闘・制空戦闘などを引き受ける多目的(マルチロール)戦闘攻撃機である。
STAR WARS世界では標準的な飛行・航宙能力を備えた万能機であり、大気圏内飛行及び大気圏外の宇宙航行、高温に晒される大気圏再突入を含め、高速で自在に飛行(航宙)可能な航空機兼航宙機である。
直線的な細長い楔形の胴体後方に4枚の主翼が備わり、主翼の翼端にはブラスターを各1基ずつ計4基、胴体と繋がる主翼の根本には核融合主機が各1基、計4基備わる4発機。
片側2枚、左右併せ計4枚の主翼を持つ複葉機である。戦闘時を中心に主翼を扇を開くように上下に展開し、正面の胴体先頭の機首、あるいは背後の機尾から見て、「X」字型、離着陸・離着艦・駐機時には、主翼が接地面に接触せぬよう展開していた主翼を畳み、片側1枚左右併せ2枚の「一」字型の単葉機になるSTAR WARS世界でも独特の構造と外見を持つ無尾翼機であり、可変翼機である。
前述の扇の様に開いた左右4枚の主翼の外観をアルファベットの『X』と見立ててXウィングと命名をされている。
パイロット1名が乗り込む密閉与圧型操縦席の後方には、様々な補佐を担当するR2-D2,BB-8などのアストロメク・ドロイドを1体搭載する開放型非与圧専用ソケットが1基備わる。
宇宙戦艦や地上基地の対空砲程度なら容易に破壊するほどの強力な制圧力を持つ、制空・防空の格闘戦用ブラスター及び、対艦・対地攻撃用プロトン魚雷で武装し、偏向シールドによる防御、ハイパードライブ装置による単独長距離航宙能力を持つ高性能機である。銀河帝国軍の偏向シールド・ハイパードライブを装備しないTIEファイターに比べ、防御力・航続力で勝る。
しかし、こうした高機能さは裏を返せば製造や整備におけるコストの高さにも繋がっており、特に慢性的な資金難に見舞われていた反乱軍ではただでさえ不足しがちな機体を有り合わせの資材によってそれぞれのパイロットに合わせて調整した「専用機」として運用せざるを得なかった。
そのため、一度機体を失うと再調達が困難であり、パイロットの心理的にも愛着がわきやすい事からXウィングが戦闘不能に陥ってもパイロットが脱出を躊躇し、機体を無理に持ち直そうとしてパイロット自身も命を失うという悲劇も数多く引き起こしていた。
また、同じく慢性的な資金難に見舞われているレジスタンスでは、反乱同盟軍時代と比べると新しい機種とはいえ、型落ちにより正規の新共和国軍から退役した旧型機を払い下げられた物を運用していた。
ルーク・スカイウォーカーはこの機体で第1デス・スターを破壊し、新共和国発足後も愛機として活用し続けた。他にウェッジ・アンティリーズや、ポー・ダメロンなどもエース・パイロットとして名高い。
代表的な機種
T-65B Xウイング・スターファイター
- 銀河内戦時代における最も一般的な機種。ヤヴィンの戦いやエンドアの戦いに登場するXウィングの大半はこれ。
- レジェンズ作品においてはT-65 Xウィングスターファイターとして扱われている。つまりB型はB型で別にある。めんどくせえやっちゃな。
T-65 A2, A3, AC4 Xウィング・スターファイター
- レジェンズ作品のみに登場するバリエーション機種。やたらと派生機種設定作りたがる傾向は万国共通らしい。
- ちなみに後継機種が開発されなかったので改修を重ねて派生系が多いという共通点を持つ現実世界の戦闘機は、性能的には帝国軍のTIEファイターの方が近い。
- A2型はユージャン・ヴォング大戦勃発時の新鋭機種。A3型はヴォングの主力戦闘機"コーラル・スキッパー"に対応できるよう武装の改修を行った改良型。AC4型は初期型のエンジンや武装に手を加え、さらなる速度と重武装化を施した上位型である。
T-65C-A2 Xウイング・スターファイター
- スカリフの戦いに一機だけ投入されたB型の発展系。
- 設定によれば、宇宙での戦闘に特化した機種だという。外見ではB型とほとんど差がないが。
- もっと言えば、当該機のコールサイン「レッドワン」ってレッド中隊の隊長(レッドリーダー)のことなのか、違うパイロットなのかイマイチよく分からんのである。誰なんだあんた...
T-65BRレコンX
- レジェンズに登場する強攻偵察機仕様のXウィング。
- 特徴としては機首部分の武装を取っ払い、その代わり高性能センサーを搭載し偵察任務に特化していることが挙げられる。その分、武装は少なくなっており、翼端のレーザー砲4門と貧弱。
T-65D-A1 Xウイング
- レジェンズに登場する後継機。ヤヴィンの戦いから17年後の新共和国における新鋭機種。
- アストロメク・ドロイドを高性能コンピューターに置き換えたことを売りにしていたが、なんとそのコンピューター自体が帝国残党の仕掛けた罠であり、コマンド一つで全機の起爆装置が作動するというとんでもない仕様が判明。ウェッジ・アンティリーズらの活躍でなんとか起爆装置を回収しことなきを得た。
- 機体性能自体は良好だったようで、起爆装置を除去された機体は信頼できるコンピューターに換装したうえで新共和国軍の主力として運用された模様。
T-65アドバンストXウイング
- レジェンズのゲーム作品「Star Wars: Galactic Battlegrounds」のみに登場する機種。名前の通り上位機種。
- スターウォーズ系のゲームではエース部隊や上位機種として「アドバンスト」や「マークII」「マークIII」「エリート」などが登場する傾向がある。本機種もおそらくそのカテゴリーの一つである。
TX-65トレーナーX
- レジェンズ作品に登場する訓練機仕様のXウィング。本来のXウィングは単座なので、教官役と訓練生の2名が搭乗できるように複座型式コックピットを装備しており、そのせいで横幅が増えている。なお、訓練機なので武装は出力を弱められたレーザー砲4基と貧弱。
- Xウィングが反乱同盟で広く使われたのは、銀河で広く使われているT-16スカイホッパーという、現実世界におけるオートバイや軽トラばりに普及しているエアスピーダーと操縦系統が似ており、辺境宙域の若者でもT-16の操縦経験があればすぐに操縦できる、という背景がある。実際、T-16が訓練機が使われたという設定もあるのだが、流石に新共和国という国家になってからは専用の戦闘機が必要となった様子。
- この「T-16とXウィングの操縦系統が似ている」という設定は、ヤヴィンの戦いで反乱同盟に入ったばかりのルークがなぜかすぐパイロットになってることへの理由づけとして使われている。
タンデムXウイング
- レジェンズ作品に登場する重戦闘機仕様のXウィング。
- エンジンは従来の4基から7基へ増加。乗員も2名になっており、堅牢な装甲も装備。でも兵装は標準型と同じ。あれ?
T-65XJ Xウィング
- レジェンズ作品群に登場するユージャン・ヴォング大戦の際の新鋭機種。T-65型を根本から見直しシールド出力、飛行速度、起動性能、重武装化などを行った名機。もはや別モンじゃないだろうか?
- これのさらなる派生機種としてXJ3~XJ7、さらにはステルス仕様のステルスXまである。特に後者のステルスXはジェダイの単独・隠密作戦用として開発されており、ステルス性を高めるため操縦者であるジェダイがフォースを使って通信する事を前提にして交信機器を取り払っている。ここまでくるともはや別物なのに、なんでT-65の型式を使い続けているのか疑問である。
X-83ツインテール・スターファイター
- レジェンズに属する新共和国建国から100年以上後の時代が舞台である「レガシー」時空の作品に登場するXウィングの後継機。
- もはや外見が別物だが、機体前半分は寸詰まりのXウィングみたいな形状をしている。特徴的なX字翼も健在。だが最大の特徴は、名前の由来にもなった、機体後半を占める2本の巨大な尾翼。なんで宇宙戦闘機がこんな形になったのだろうか?
T-70 Xウィング
- カノンに属するヤヴィンの戦いから30年後に登場する機種。ファーストオーダーに対抗するためレイア・オーガナが率いている私兵組織「レジスタンス」の主力戦闘機。
- なお、型式がT-70と改められているが、前述した通り初登場時ですでに型落ちという結構悲劇的な機種。
- これはレジスタンスの設立経緯によるもので、そもそもレジスタンスはファーストオーダーを軽視する新共和国の政界から追放されたレイアが個人的に立ち上げた組織なのである。加えて、新共和国は軍縮を主軸とした政策を行なっている関係上、大っぴらに武装組織であるレジスタンスに物資援助をできないという背景もある。そのため、新共和国で退役した型落ち機種を融通するくらいしか援助ができないのだ。
- 型落ち機種ではあるものの、エンジンの小型化・高出力化により、性能はT-65型より向上している。また、特徴的な兵装として機首下部に対人用の機関砲を格納している。この機関砲は「フォースの覚醒」冒頭で使用されている。他にも細かい所では、アストロメクドロイドを搭載するためのソケットにも改良が施されており、従来の円筒形の胴部を持つタイプのみならず球形の胴部を持つBB型等の最新機種にも対応している。
T-85 Xウィング
- レジスタンスが活動していた時代における真の最新鋭機種。新共和国防衛艦隊の主力戦闘機として採用されていた。
- ...のだが本編ではろくに活躍の機会を与えられていない。先述の通り、新共和国は軍縮を主軸とした政策を実施していたので、T-85に与えられたのは宇宙海賊に備えたパトロール任務や各惑星防衛隊での任務くらいである。
- これに加え、新共和国防衛艦隊に所属していた機体は尽くホズニアン事変で首都惑星や艦隊ごと壊滅してしまったのか、それ以降本編には全く登場していない。かろうじて「スカイウォーカーの夜明け」前日譚である小説「レジスタンスの復活」に登場するくらいである。
- なお、劇中での描写から「ポー・ダメロンと言えば『ブラック・ワン』=T-70」と思いがちだが、新共和国軍在籍時の彼の愛機はT-85型である。
前身
攻撃型偵察機170スターファイター
- 通称ARC-170スターファイター。ARCはAggressive ReConnaissanceの頭文字。クローン戦争で銀河共和国軍で採用されていた主力戦闘機である。
- 単座のXウィングに比べ、こちらはパイロット1名、副パイロット1名、砲手1名、アストロメクドロイド1体と大所帯。しかし、Xウィングと共通したSフォイルを装備していたり、翼端にレーザー砲を搭載していたりと、後年のXウィングに共通する特徴も多い。メーカーもXウィングと同じインコム社だし。(サブプロ社と共同であるとはいえ)
- コルサントの戦いでは、グリーヴァスの旗艦に囚われているパルパティーンを救助に向かうオビ=ワンとアナキンを援護するため、クローン・コマンダー"オッドボール"率いる飛行中隊が参戦した。
クローンZ-95ヘッドハンター
- 銀河共和国軍で制式採用された単座戦闘機の一種。こちらも後年Xウィングを開発するインコム社が(ARC-170同様サブプロ社が共同で)開発している。
- 元々はレジェンズ作品における傑作戦闘機Z-95ヘッドハンターに由来している。
- Z-95はSTARWARS世界におけるロングセラーの傑作戦闘機の一角のようで、作中では発売開始からかなりの年月が過ぎているのにもかかわらず、各惑星防衛軍のみならず賞金稼ぎや密輸業者もこぞって愛用するなど根強い人気を誇っている。下手すると戦争している両陣営がどっちもZ-95で戦ってるレベルで使われている。
- なお、性能は全般的に後継機であるXウィングの方が優れていることは言うまでもないが、ターンの鋭さはZ-95の方が上というこれまた尖った性能を誇っている。そのためか、レジェンズ作品ではハンとレイアの娘ジェイナの最初の愛機に選ばれるという結構おいしい役をいただいている。
- Z-95自体はカノン入りを果たしているようなのだが、日本語版非公式wikiでは通常型のZ-95の記事は「レジェンズ」扱いとなっている(英語版wikiではカノン扱いの記事も平行して作成されている)。
- こちらも翼端に設置されたレーザー砲や4基のエンジンなど、後年のXウィングと共通する特徴が見られる。
関連項目
STARWARS
- ジョージ・ルーカス/ルーカスフィルム
- ディズニー/ディズニー映画
- 映画/アニメ/ゲーム
- 戦争/アクション/SF
- 宇宙/銀河
- 昔話/寓話
- メカ/兵器/乗り物
- 宇宙船/航空機/戦闘機/可変翼
- レジスタンス
- 自由/共和制
- 独裁/帝国
- ドロイド/R2-D2/BB-8
- パイロット
類似宇宙SF作品
- ギャラクティカ...制作スタッフの一部が同じ。
- 宇宙からのメッセージ...1978年公開の邦画。
- 機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM...作中に登場するとあるMS(ネタバレ防止につき閲覧注意)の背部に装備されているものが、Xウィングの形状に非常によく似ている。