概要
ジョージ・ルーカス監督が原作を務めるSF映画『スターウォーズ』シリーズの9番目のエピソードでありいわゆる「続三部作」の最終作。
監督と脚本は当初『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレヴォロウと発表されていたが、スケジュールの都合で降板し、『フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムスが復帰した。脚本はエイブラムスと『バットマンVSスーパーマン』のクリス・テリオが共同執筆した。
野心的な内容だった前作『最後のジェダイ』に対し、今作はいわば王道路線、オーソドックスなスターウォーズへの回帰を意識した内容となっている。評論家からは「焼き直し」「縮小再生産」といった批判も上がったが、前作の内容に否定的だったファンからは高い評価を得ている。
続三部作のフィナーレとなる作品だったが、興行的には『最後のジェダイ』からさらに冷え込んだ。ディズニーによって復活した新たなスターウォーズは、結局『フォースの覚醒』がピークで、尻すぼみに終わる形となった。
あらすじ
死者の口が開いた!銀河中に響き渡る復讐を誓う声。声の主は元皇帝パルパティーン。
レイア・オーガナ将軍は情報収集を命じる。そんな中、ジェダイ最後の希望レイはファースト・オーダーとの最終決戦に備えていた。
ファースト・オーダー最高指導者カイロ・レンは自らの銀河支配を脅かす皇帝の幻影を追っていた。怒りを力に変えて…
(映画冒頭オープニングクロールより)
登場人物
レジスタンス
「フォースの覚醒」から始まる三部作での主人公である惑星ジャクー出身の元スクラップ漁りの少女。前作でルークが退場したため、ルークに「最後のジェダイ」として修行の日々を送っている。
ファーストオーダーから脱走した元ストームトルーパー。レイの親しい友人であり、自らの生い立ちや宿命に直面する彼女を支えようとする。
レジスタンスのエースパイロット。レイ、フィンと共にルークが失踪する前まで従事していた任務を追いかける。なお、彼のやんちゃな過去も明かされた。
レジスタンスの指導者であり、元元老院議員であり、ルークの双子の妹。前作でレジスタンス上層部が彼女を除いて軒並み戦死してしまったため、レジスタンス唯一の指導者として対ファーストオーダーの指揮を執る。ルーク亡きあと、かつて彼から受けていた訓練をもとにレイを指導していたが、その体には限界が迫っており...
ハン・ソロの相棒だったウーキー族の戦士。彼亡き後は彼の持ち船だったミレニアム・ファルコンの実質的な船長となっている。ファルコンの操縦士としてレイたちの任務に同伴する。
ソロの昔馴染みであり、反乱同盟の英雄。ルークが失踪直前に従事していた任務で彼に同伴していた。現在は惑星パサーナで隠遁している。
ご存じ金ピカ。通訳としてレイたちの任務に同行する。その結果歴代最高に男前な姿を見せることに。
ご存じ青いの。C-3POの相棒であり親友。彼の記憶をバックアップしていることが判明する。
R2の後輩に当たる続三部作のマスコット的存在。レイたちの任務に同行し、その途上である出会いが...
- D-0
レイたちが追っていた暗殺者オーチの宇宙船に遺されていたドロイド。BB-8の手により再起動を果たし、レイのメンテナンスにより完全復活する。その恩義から最終決戦に関わる重大な情報をレジスタンスに渡す。
元の持ち主であるオーチからは酷い扱いを受けていたのか、触ろうとすると「いいです!いいです!」と拒否感を表す。
- ゾーリ・ブリス
惑星キジーミを根城にする「スパイスランナーズ」という密輸グループを率いる女性。ポーの昔馴染みであり、単なる仲間とは言えない関係だった相手。ポーがグループを抜けレジスタンスに加わったことを恨んでいる。
- ジャナ
エンドア星系に属する海の衛星ケフ・バーに住む女性。かつてはストームトルーパーだったが、市民への虐殺行為に加担することを拒否し、部隊ごと脱走した過去がある。最終決戦では敵旗艦への上陸作戦の指揮をフィンと共に執る。
ファーストオーダー
ハン・ソロとレイア・オーガナの実の息子である墜ちたジェダイ。本名ベン・ソロ。前作終盤で前任者を殺したことで最高指導者に就任しており、更なる力の獲得のためシス・エターナルと結託することを決意する。
- アミテージ・ハックス
ファーストオーダーの最高幹部の1人。レンのライバルであったが、彼が最高指導者に就任してからは鬱屈した日々を送っている。
- エンリク・プライド
ファーストオーダーの最高幹部の1人。元帝国軍人で、ファーストオーダーの予備戦力である第二群を任されていたが、シスエターナルとの同盟締結に伴い最高幹部の1人に抜擢。その後最終決戦ではファーストオーダー=シス・エターナル連合艦隊の総司令官として出陣する。
エンドアの戦いでライトサイドに帰還したアナキン・スカイウォーカーの手で滅ぼされたはずだったが、死の直前に自身の魂を未知領域の惑星エクセゴルに飛ばしており、そこで狂信的なシスカルト教徒の手で命を繋いでいた。だが、その肉体は完全とは言い難く、生命維持装置につなげられたミイラのような姿をしている。
エンドアの戦いからおよそ30年もの歳月の間、カルト組織の力を使い1000隻を超える新型スターデストロイヤーをはじめとする大規模戦力を構築していた。シス帝国の復活のためファーストオーダーを傘下に取り入れる反面、独自の行動を開始する。
なお、予告では最後の最後で特徴的な笑い声が響くことで復活が仄めかされていたのに対し、いざ公開されるや開幕復活バレされてしまった。
- オーチ
シスのカルト組織に属していた暗殺者。故人。
ルークが失踪直前まで追いかけていた人物であり、シスの秘密の惑星エクセゴルのことを知っていた。
また、ある人物の過去と深い関わりを持つ。
余談
- 2016年12月にレイア役のキャリー・フィッシャーが亡くなったのを受け、一度はレイアの登場を見合わせていたこともあったが、のちに過去の撮影分を合成することで出演させることとなった。
- ちなみに、作中で若き日のレイアが回想で登場するシーンがあるのだが、このシーンはキャリーの実娘であり、映画にもケイデル・コー=コーニック役で出演しているビリー・ラードが演じており、若き日のキャリーの顔を合成しているという。
- オーチの船に遺棄されていたドロイドD-0の声を演じているのは監督のJ・J・エイブラムスである。
- C-3POのメモリーに記録されている座標を知るため彼に違法改造を施す違法改造屋のバブ・フリックが「メモリーをいじったら強制的にワイプがかかる」ということをレイたちに話すシーンは、原語版の俳優が公開された20の言語版で全て演じている。すごい。
幻のトレヴォロウ版
実際に公開されたエイブラムズ監督の「スカイウォーカーの夜明け」以外に、ネット上にはトレヴォロウ監督版のプロットとされるシナリオ「Duel of the Fates」が存在している。このプロットは「スカイウォーカーの夜明け」公開直後の2020年1月にネット上にリークされたコンセプトアートから存在が判明し、後日トレヴォロウ監督自身がリークされたコンセプトアートは「Duel of Fates」のものであると認めた。
実際の内容を知る術はないが、コンセプトアートなどから以下の点がまことしやかに語られている。
- レイの正体が「スカイウォーカーの夜明け」とかなり異なる。
- レイのライトセーバーもかなり異なる。なんと、青刃のダブル・ブレード・ライトセーバーである。
- 最終決戦が惑星エクセゴルではなく首都惑星コルサントである。またクローンウォーズで登場した惑星モーティスでレイとレンが最後の戦いを行うとされていた。
- 銀河屈指の造船所を誇る惑星クワットでファーストオーダーが秘密裏に建造されていたエクリプス級スターデストロイヤーをレイたちが奪取する。このエクリプス級はかつてレジェンズ作品群で登場した復活した皇帝の座乗艦だった巨大戦艦であり、もし登場していたらいわゆる正史に組み込まれていたとも考えられるため、惜しむファンも多い。
- 皇帝は復活しない。
これらの点を踏まえ、有志がコミックとして描き起こしたり、大まかな流れを解説したりしている。
なおトレヴォロウの降板理由は上述の通り「スケジュールの都合」というのが公式発表だが、実際のところあまり友好的なものではなかったことが報道されている。トレヴォロウが自己中心的すぎたとも、ルーカスフィルムが支配的すぎたとも言われているが、ともかくトレヴォロウの提案する脚本案をルーカスフィルムが気に入らず、書き直しが繰り返され、両者の関係はかなり悪化していたそうである。
また、本作の製作開始前に公開されたトレヴォロウのオリジナル作品『ブックオブヘンリー』の出来が非常に悪かったことから、彼の手腕をルーカスフィルムが疑問視したとも言われている。
関連タグ
エピソード8『最後のジェダイ』→エピソード9『スカイウォーカーの夜明け』