バトル・ドロイド (battle droid)は、SF映画『スターウォーズ』及びそのスピンオフ作品に登場するドロイドの中でも戦闘用に作られたもののことである。
概要
スター・ウォーズの銀河系において、バトル・ドロイドは他の機種同様に様々な勢力によってそれぞれの目的に合わせたドロイドが開発・運用されてきたという。
映画ではエピソード1にて通商連合が使用する兵士として初登場。エピソード2では新たに結成された独立星系連合が運用する様々なバトル・ドロイドが登場し、クローン大戦では各地で銀河共和国のクローントルーパーと戦っている。
通商連合を統率しているニモイディアンは極端に死を恐れ、単純労働を嫌っている為多くのバトル・ドロイドを保有している。
主な機種
映画及び正史作品において登場する機種について解説する。
B1バトル・ドロイド
バクトイド・コンバット・オートマタ社で製造され、製品名はBシリーズ・バトル・ドロイド、型式名はB1バトル・ドロイド(B1 battle droid)である。
安価で大量に製造でき、人間やそれに近い種族が扱うよう設計された様々な武器や兵器を扱えるというのがコンセプトであり、折りたたんで大量に輸送できるように細いボディとなっている。1体1体のコストが抑えられているため単独での戦闘能力はかなり低く、軽く突き飛ばされただけで壊れてしまう事も。
その外見はヌート・ガンレイらの種族ニモイディアンの野外に放置された死体をモデルにしたとされ、骸骨=死という印象を敵に与えている(その割には実戦での性能の低さから侮られる場面も多いが)。
単体や少数ではとても役に立たないため、コンピューターによる中央制御によって大量に運用するのが前提となる。その「数の多さ」はこの機種にとって唯一かつ最大の利点と言え、単体の戦闘力がいかに低くとも圧倒的な数で取り囲んで一斉にブラスターを発砲すれば敵にとってはかなりの脅威となる。
知能も低く単独での思考能力はほぼ皆無に等しいが、これは裏を返せばどのような命令を受けてもそれを疑う知能が無いため躊躇せずに従い、いかなる不利な状況に置かれても命令が続く限り破壊されるまで攻撃を続けるという事でもある。その上一体一体があっさり破壊されたとしても、その数の多さにより新たな機体が次々に後続する形でカバーする。
そのため当初は個性を全く持たなかったが、中央コンピュータが停止してもある程度自立的に行動できるようプログラムが改良されてからは次第に個性的な行動を取る場面などが増えてきており、クローンウォーズでは仲間同士で冗談や愚痴を口にしたりもしている。
映画などで単に「バトル・ドロイド」という呼称が登場する場合は大体これを指す。
カラーリングによって役割が異なっており、映画版で描写されている限りでは黄色は隊長、青は操縦兼整備士、赤とクリームは保安要員となっている。(他にも様々な用途で色が違うが割愛)
前身機種にOOMシリーズ・バトル・ドロイドがあるが、外見上の違いは殆どない。(強いて言えばバックパックの有無程度)。
B2スーパー・バトル・ドロイド
腕にブラスターを内蔵し、銃撃戦での戦闘能力に特化する形で強度、武装、人工知能などに改良が施されたB1バトル・ドロイドの発展型。
B1ではむき出しだった部分を装甲で包み、右腕にダブル・レーザー・キャノンを装備している。これにより、弱点であった防御力の弱さはある程度改善されており、少なくともフォースを使えない通常の人間が殴りつけた程度では壊れないばかりか、ブラスターに対しても1発当たった程度ならば耐え抜くことができる。それでもブラスターを数発も集中して被弾すれば壊れてしまうが、B1と同様に圧倒的な数の多さでカバーする。
クローン大戦の緒戦となるジオノーシスの戦いではB1ともども独立星系連合軍の主力としてメイス・ウィンドゥ率いるジェダイの部隊を圧倒し、クローントルーパーの援軍が無ければ全滅する寸前にまで追いやった。
バリエーションが多く、片腕をグレネードランチャーにした型やジェットパックを搭載して飛行能力を持たせた型も登場する。
映画版とアニメーション作品とで見た目が大きく異なる。
デストロイヤー・ドロイド
昆虫型エイリアン種族コリコイドが開発した機種で、姿はコリコイドの骨格をベースにしている。
リング状に変形して転がりながら素早く移動し、即座にシールドを展開するなど他の機種とは大きく異なるギミックを備えたドロイド。ドロイディカとも呼ばれている。
ブラスターによる攻撃を無力化できるほどのシールドによって高い防御力を誇り、速射性に優れた連装ブラスターの弾幕も相まってジェダイでさえも退却を余儀なくされることは珍しくない。
当然シールドは内側からの攻撃も弾いてしまうが、ドロイドは銃口のみをシールドから出し、撃った瞬間に引っ込めるという動作を繰り返すことでシールドを張りながらの射撃を可能としている。
ただしスターファイターが搭載するクラスのビーム砲は流石に防ぐことはできず、また速度の遅い物体はシールドを通過してしまうため、「スイッチを切ったライトセーバーをシールドに突っ込んでからス光刃を出す」などの方法で撃破されることもあった。
強力なドロイドではあるのだがその分高価で量産が難しく、特殊な形状なので使える地形が限られるといった欠点がある。
クローン戦争終結に伴う銀河帝国の成立後も、その優れた性能が買われ、犯罪組織や帝国軍では保安ドロイドとして改修、再利用されている。
BXシリーズ・ドロイド・コマンドー
Bシリーズの上位機。コマンドー・ドロイドとも呼ばれる。B1の後継機種として作られたが、高コストになってしまったため少数生産(スターウォーズ基準)されたという経緯がある。そのため、B1によく似ているが頭部が短くずんぐりしている。頭部のアイカメラが白く発光しているのが特徴的。
非常に俊敏で防御力も高く、並みのクローントルーパーでは歯が立たない。ブラスターのほか、スタンバトンやヴァイブロソードなど近接武器も使いこなす。
そして、最大の特徴はクローントルーパーへの擬態が可能という点である。このドロイドは体型がトルーパーの体格に似せて設計されている上、クローン・トルーパーの音声を合成する機能まで搭載されている。そのためアーマーを装着して音声を変更すれば、容易に敵を欺く事が可能となる。
が、B1などに比べればAIもかなり向上しているとはいえ、咄嗟の場面ではドロイド特有の喋り方を発してしまうなど、やはりドロイド故に思考の柔軟性に欠ける。そのため観察眼に優れたトルーパー相手には容易に見破られたりしている。
弱点は頭部。
「バッド・バッチ」にて、頭部以外似たフォルムを持った「インペリアル・ポリス・ドロイド」がいるが、関連性は不明。
その他
他にも映画やその他の派生作品ではグリーヴァスの護衛として高い格闘能力を持つマグナガードや、作戦立案とその指揮を目的として設計され高い知能を持つタクティカル・ドロイドなど、さまざまな用途に合わせた多くの機種が登場している。
クローン戦争後のバトルドロイド
クローン戦争終結直前、ムスタファーから発信された停止信号により、前線などで活動していた大半のバトルドロイドは停止、戦争は終結を迎えた。
しかし、金と資源さえあれば一定の練度を持った兵士を大量に揃えられるという点を帝国は危惧し、戦後バトルドロイドの開発製造は法的に全面禁止となり、戦場で撃破されたバトルドロイドは回収され廃棄処理施設に運ばれていった。
だが、これはあくまで「戦争するため」のドロイドが禁止になっただけで、「警備」や「保安」といったものに関してはほぼ対象外だったため、名目上「護衛」や「歩哨」などを用途として掲げながらも、バトルドロイドのノウハウを受け継いで武装したドロイドは生産、運用された。(これに関しては、古戦場で帝国以外の勢力に回収されて廃棄処理を免れ、再プログラミングされたバトルドロイドも同様である)
帝国軍でもストームトルーパーの装甲服に酷似した黒い強化装甲を施したダーク・トルーパーやセキュリティ・ドロイドのKXシリーズ、プロトコル・ドロイドやアストロメク・ドロイドに偽装した暗殺ドロイド等を開発していた他、クローン大戦終結時に国有化したインターギャラクティック銀行グループの子会社にクローン大戦で投入したIGシリーズの後継機種となるIG-88等の開発を命じたりといった活動を行っており、こうした「規制の穴」自体が意図的に仕組まれたものである可能性も高い。
また、「反乱者たち」ではクローン大戦終結時に発信された停止信号を敵の罠と判断し、独断で命令拒否して起動し続けていたバトル・ドロイドの一団が登場している。
なお、廃棄処分を免れた一部のバトルドロイドは闇市場に流出したり、再プログラミングされて平和利用されていることが後年の作品で描かれている。
- 小説『アフターマス』では反乱軍パイロットの息子であるテミンが、一体のB1を改造して「Mr.ボーンズ」という名前をつけて護衛として利用している。
- 『マンダロリアン』season3ではドロイドにより支えられている植民コロニーで、B1、B2が大量に運送業務に従事していることが描かれた。そのうち一体のB2が暴走したことで物語が大きく動き出す。
- 余談だが、荒廃した惑星マンダロアで合流した『ナイトアウル』一派の一人の肩アーマーがB2の頭部を再利用したものだったりする。
- 『スケルトン・クルー』では、損傷したSM-33が囚われているジャンク屋にB1が一体保管されていた。ジョドの手で再起動されたが、「勝ったのか?!」と言った直後バラバラに壊れてしまった。
関連項目
Incredibox:Arpegというバトルドロイドが元ネタになってると思われるキャラクターがいる。