概要
天酒之瓢著のファンタジー小説。原題は「Knight’s & Magic」。
小説投稿サイト「小説家になろう」において2010年より連載され、その後大幅な加筆を行った書籍版がヒーロー文庫より2013年に刊行された。イラストは黒銀。(メイン画像も黒銀氏)
ヒーロー文庫敢行の小説としては初のメディアミックス作品であり、2016年から2022年までヤングガンガンでコミカライズ(作画:加藤拓弐)が連載。
同年秋にはTVアニメ化が決定。2017年夏に放送された(小説家になろう作品では初となるロボットアニメでもある)。アニメ化はヒーロー文庫の出版元である主婦の友社の100周年記念作品としての側面も持つ。
コミカライズ版は、主婦の友社の運営するコミックウェブサイト「コミカワ」(後述の外部リンク参照)でも配信されている。
またWEB版が2022年3月4日からカクヨムで連載開始。
既刊は2022年3月時点で、原作小説が既刊11巻、コミカライズ版が全17巻(小説単行本で1~5巻に相当、キッド離脱というキリのいいタイミングで漫画版連載終了)。
また、なろうでは本編の他にも外伝に当たる「Knight's & Magic SideStories」も投稿されている。ただし、書籍版に準じるためweb版の内容とは若干異なっている。
現代日本で命を落とした主人公が前世の記憶と人格を持ったまま異世界に転生し、第二の人生をスタートする、いわゆる「異世界転生」を題材とした小説だが、主人公が前世で極度のメカオタクだった事に加え、転生した先の異世界に幻晶騎士(シルエットナイト)と呼ばれるロボットが存在した事から、主人公はそれに乗る事を目指し幼少から暴走を繰り返す事になる。
そんな前置きはあるものの、世界観を形作る設定(どうして魔法があるのか、どうしてロボが必要なのか、どうやってロボットが動くのか等)が十全に作りこまれており、本文中の説明も相俟って内容を理解しやすいストーリー展開になっている。
ロボットの開発史としての側面も強く、魔法や魔力を動力にするロボットと、設定こそファンタジー要素が強いが、ロボットの開発過程は非常にリアル(試作機より高性能な制式量産機や、専用機は量産機をベースとしたカスタマイズ機である等)。
また、主人公の持つ知識や戦闘能力は凄まじい物があるものの、それが逆に不利に作用する場面(操縦技術が高すぎて機体が先に使い物にならなくなる、新技術を試したら予想外の事態に見舞われる等)や初見殺しの敵に痛手を負うなどの場面も多く、戦闘や機体開発などが主人公側の完全なワンサイドゲームにはならない流れであるのも特徴である。
そのような事もあり「きれいなショット・ウェポンが主人公の聖戦士ダンバイン」と一部のファンから例えられることも。
そんな中で、2021年7月11日にはスーパーロボット大戦30に参戦することが発表された。その詳細は後述。
あらすじ
とある一人の日本人が事故でこの世を去った。彼の魂は、異世界において『エルネスティ・エチェバルリア』として転生する。
しかも、前世である日本人としての記憶を受けついだままで。
・・・そしてエルの趣味嗜好も前世に倣ったものだった。というのも前世の彼は、極度の『メカオタク』であったのだ。
そんな生まれ変わった世界で、実在する巨大人型兵器である幻晶騎士と出会ったエル。
彼は狂喜乱舞しながら、その操縦者となるべく行動を開始する。
この世界での幼なじみを巻き込みつつ、メカオタクとしての暴走は続いていく。
登場人物
フレメヴィーラ王国
本作の主人公で愛称は「エル」。少女と見紛う程に小柄で容姿の整った少年にして生粋の狂人(メカオタク)。
不慮の事故で命を落とした日本のプログラマー「倉田翼」の生まれ変わりであり、彼の記憶と経験、そしてメカオタクとしての気質を持ち込んだまま、幻晶騎士に乗り、そして自身の専用機を開発する為に暴走していく。
CV:菅原慎介
愛称はキッド。エルの幼なじみ。アディは双子の妹。
幼少より(幻晶騎士に乗るという目標の為に)魔力と体力を付けるべく鍛錬を行ってきたエルから魔法の手ほどきを受けている為、人並みならぬ魔力を持つ。
フレメヴィーラ王国貴族であるヨアキム・セラーティ侯爵の庶子。妾である母とその子供を疎む侯爵の正妻への配慮から父から援助を受けつつライヒアラ学園街で生活を送っている。
そんな境遇もあってか、貴族の子だが言動はガサツで、身体強化魔法による力押しの戦闘を得意とする。
CV:大橋彩香
キッドの双子の妹。愛称はアディ。
彼女もエルから鍛錬を受けている為、常人ならざるスペックを誇る。兄のキッドとは異なり繊細な魔法制御の才能を持つ。
可愛いものが好きで隙あらばエルに抱きつこうとする。
CV:興津和幸
ライヒアラ騎操士学園騎操士学科の騎操士(ナイトランナー)の一人。幻晶騎士グゥエールを操る。愛称はディー。
気分屋でひねくれ者かつ神経質な性格をしており、学園内でも騎操士として上位の腕を持つにも拘らず、成績が気分によるため安定しない。
生き残るためには裏切りすら辞さない面を持つが、良心の呵責を感じたり後悔の念に駆られたりする為、根っからの悪人という訳ではない。
その後の事件で性格は丸くなり、むしろ(主にエルの影響で)若干戦闘民族化しつつもエドガーと共にライヒアラを代表する騎操士の一人として成長していく事になる。
CV:内匠靖明
ライヒアラ騎操士学園騎操士学科の騎操士の一人。幻晶騎士アールカンバーに乗る。
質実剛健を地で行く正統派の騎士。歳の割に彫りの深い顔立ちをしており、若いながらもそれなりの貫禄を持つ。
学園でもトップクラスの実力の持ち主であり、正騎士と同等以上の技量を発揮し、旧式の機体を改修したアールカンバーで開発中の最新鋭機と互角の渡り合いを見せるなど、その操縦技術と判断能力はベテランの域に達する。
CV:伊藤静
ライヒアラ騎操士学園騎操士学科の騎操士の一人。幻晶騎士トランドオーケスに乗る。
優れた腕前を持つ女騎士で、負けん気の強い性格からか先陣をきる事もしばしば。
エルが考案した試作型幻晶騎士「テレスターレ」の開発の際には試験騎操士(テストランナー)を務めた。
web版ではテレスターレ開発までしか出番が無いが、書籍版ではレギュラーに昇格し、エドガー達と共に銀凰騎士団の一員として活躍する。
CV:伊丸岡篤
ライヒアラ騎操士学園鍛冶学科に在籍するドワーフ族の青年。ドワーフ故に髭を生やしている事と筋骨隆々とした体格、そして荒々しい言動から高齢に見られるが、れっきとした青年である。なお、アニメ及び漫画版では髭を剃っており、髪形もドレッドヘアーに変更されている。
騎操鍛冶師(ナイトスミス)のリーダー的存在であり、「親方」と呼ばれる。
腕力が強く、彼の振るうハンマーは並みの魔獣であれば一撃で粉砕可能だが、動きは鈍重。
種族柄、根っからの技術屋である為にエルの持ち込む技術に興味を抱くが、それ故に(物語の舞台となる異世界における)常識から外れたエルのアイデアに一番驚かされている人物でもある。
CV:藤原夏海
エル、キッド、アディの幼馴染のドワーフの少年。
鍛冶屋の息子で、エルの発明の試作を任される事もある。
幼い頃にいじめられていた所を助けられて以来、エル達と行動を共にする事が多い。
後にライヒアラ騎操士学園鍛冶学科を経て銀鳳騎士団に入団。ダヴィードと共に整備や開発にも携わる事となる。
web版では学園編以降出番が無いが、書籍版からレギュラーに昇格。
CV:千本木彩花
ライヒアラ騎操士学園の生徒会長を務める女性。フレメヴィーラ王国貴族であるヨアキム・セラーティ侯爵の正妻の娘で、キッドとアディの異母姉でもある。
エルの様な「可愛くて賢い子」がストライクゾーンとの事で、学園に入学する前のエルの事も把握していた程。疲れた時には癒しと称してエルに抱きつく事もあるが、その場にアディが参戦して取り合いになる事も。貴族と庶子という出生の壁があるものの、キッドとアディの事を本当の兄弟・姉妹として見守っている。
フレメヴィーラ王国第10代国王。
一般には「獅子王」の異名を取る名君として知られるが、若い頃はエルにも似た暴走癖で家臣達の肝を幾度も冷させており、その気質と性格は孫のエムリスにそのまま受け継がれている。
また、その性格は即位後も変わらず、エルの活躍を知り彼の望みと引き換えに新型幻晶騎士の開発をけしかけるなど所々でその鱗片を覗かせる。
後に長男リオタムスに王位を譲り、以降はエルの開発した「ジルバティーガ」を駆る。
幻晶騎士への関心が強く、操縦技術の練度も年老いた今でも並はずれた腕前を誇り、槍術に至ってはトップクラスである。また、かつては幻晶騎士の改良やテストにも首を突っ込んでおり、そのたびにクヌート達から止められていたらしい。
- リオタムス・ハールス・フレメヴィーラ
CV:相馬康一
アンブロシウスの長男であり、彼の跡を継いでフレメヴィーラ王国第11代国王となる。
性格はアンブロシウスにはあまり似ず冷静沈着であり、彼自身もまた王として有能。
一方で父アンブロシウス、次男エムリス、エルの暴走に振り回されることも。
クシェペルカ王国(後の新生クシェペルカ王国)のフェルナンド・ネバレス・クシェペルカ大公に輿入れしたマルティナは、実妹。
「Knight's & Magic 設定資料兼備忘録」によると、作中未登場の弟(名称未設定)と長男・ウーゼル、長女(名称未設定)、次女(名称未設定)がいる。
CV:小野大輔
アンブロシウスの孫。リオタムスの次男。
王族でありながら「脳筋」と呼ばれる程に粗野な言動が目立ち、それを矯正する為に隣国のクシェペルカ王国に三年程留学させられていた(が、効果の程は薄かった)。
帰国に際してエルの開発した新型機に興味を持ち、祖父アンブロシウスに便乗する形で自らの専用機開発を依頼する。
若い頃のアンブロシウスに似ていると言われており、その行動原理も祖父と非常に似通っている。
- ウーゼル・ファルク・フレメヴィーラ
リオタムスの長男。エムリスの実兄。
web版本編のアンブロシウス王退位表明御前会議・謁見のシーンで名前のみ登場していたが、新章【白銀の鬼神編】において初登場。
落ち着いた性格と王族に相応しい品位の持ち主とされ、破天荒な弟・エムリスからも強く慕われている。
生まれ付き病弱な体質で、これまでの人生の大半を療養院で過ごしていた。
しかし、その内心では騎士の国であるフレメヴィーラに生まれながら、病に蝕まれてただ朽ちていくだけの己の病弱さを恥じ、「どうせ死ぬのであれば魔獣に殺されて死にたい」とまで考えるほど鬱積を抱えている。
余命幾ばくも無い中、ふとした事からエムリスを通じてエルと知り合い、彼の乗るイカルガに興味を持つが・・・
CV:加隈亜衣
フレメヴィーラの間者集団「藍鷹騎士団」に属する騎士。
カザドシュ事変後、ライヒアラの新入生という形で銀鳳騎士団に連絡要員として派遣された。
諜報・潜入工作のエキスパートであり、幻晶甲冑の特性に目をつけて隠密仕様の「シャドウラート」を発案、運用している。
- クヌート・ディクスゴード
フレメヴィーラ王国の公爵にしてアンブロシウスの側近。若いころは暴走癖のあったアンブロシウスを諌める役割を担っていた。
- ヨアキム・セラーティ
CV:木下浩之
フレメヴィーラ王国の侯爵にしてキッド、アディ、ステファニアらの父。
CV:松岡禎丞
国立機操開発研究工房の所長。見た目は青年という容姿に落ち着いた性格で皆を纏めている。
容姿こそ青年であるがアルヴの民であり実際は80代。
(アルブの民特有の触覚などはターバンで隠している)
- ガイスカ・ヨーハンソン
CV:麦人
国立機操開発研究工房第一開発工房の工房長。新型機開発に情熱を燃やす。
当初はエル率いる銀凰騎士団をライバル視していたが、御前試合をきっかけにエルと意気投合。
長年停滞していた幻晶騎士の技術の爆発的な発展を目の当たりにした事で失われつつあった情熱を取り戻す。
現在は高齢により引退しているものの、情熱と好奇心は未だ衰えず工房によく顔を出しているらしい。
- キトリー・キルヤリンタ
CV:潘恵子
森都(アルフヘイム)に住まう住むアルヴの民の大老(エルダー)の女性。
クシェペルカ王国
CV:田村ゆかり
クシェペルカ王アウクスティ・ヴァリオ・クシェペルカの一人娘。
アウクスティに溺愛されて育ったため根っからの箱入り娘であり、それ故に他者の悪意に慣れていないため心が弱く、ジャロウデク王国の侵攻で父が死に国が滅びた事で心が折れ、逃亡の末にジャロウデクの手に落ちる。
その後も立ち直る事が出来ずにいたが、銀鳳騎士団によって救出され、キッドと出会った事で次第に王女として成長し、彼に思いを寄せていく。
CV:田中敦子
王弟フェルナンドに嫁いだリオタムスの妹。
イザドラの母親で、エムリスとエレオノーラの叔母にあたる。
亡国の危機に対して気丈に振る舞い、反ジャロウデクを主導する。
(画像右)
CV:朝井彩加
マルティナの娘。
エレオノーラとは対照的に勝ち気でしっかりとした性格の持ち主。
エレオノーラにとって数少ない同年代の友人で彼女の相談に乗る事もあるが、王女としての自覚を持たないエレオノーラを叱咤する一幕も見せる。
ジャロウデク王国
- カルリトス・エンデン・ジャロウデク
CV:綿貫竜之介
ジャロウデク王国第一王子。
病に倒れた父バルドメロに代わりジャロウデクの内政を担っており、「世界の父」復活の大義名分の下に西方諸国各国に宣戦布告を行った。
- カタリーナ・カミラ・ジャロウデク
CV:櫻井浩美
ジャロウデク第一王女。カルリトスの妹でクリストバルの姉。
戦よりも政治で優れた才能を発揮するが、騎士ではない為自分に充てられた機体をグスターボに譲る一面も。
ジャロウデク軍敗北後は、脱出しても逃げられないことを悟ると、抵抗することなくクシェペルカ軍に捕らえられた。
書籍版から登場したキャラで、web版には登場しない。
- クリストバル・ハスロ・ジャロウデク
CV:千葉進歩
ジャロウデク第二王子。カルリトス、カタリーナの弟。
戦上手で自分から前線に立つ事もあり、騎操士としても優秀だが直情的な性格が目立つ。
ジャロウデク軍の総大将および前線指揮官を務め、飛空船艦隊でクシェペルカ王都を強襲しこれを制圧した。
しかし、銀鳳騎士団の参加したクシェペルカ残党軍との戦闘でエルの乗るイカルガと交戦、圧倒的な性能に恐れを抱きエルを懐柔しようとしたものの、その時点で彼が持っていた常識の埒外にある権力の大きさを読みきれず精神的にも敗退、自暴自棄に陥り自ら死を選び飛空船から機体ごと飛び降りて戦死した。
(アニメ版ではエルの返答に涙目になって激昂し、飛空船を破壊して飛空船諸共墜落する形に変更され、より自暴自棄な印象が強くなっている)
エレオノーラを無理矢理妻にしようとする、任務に失敗したドロテオに暴行を加える、クシェペルカを「腑抜け」呼ばわりするなど、いかにも悪役然とした言動が多いが、自軍においては人望はあったらしく、彼が戦死した際、姉のカタリーナや一部の部下は涙を流し、腹心であるドロテオは仇討ちを誓っている。
- ドロテオ・マルドネス
CV:稲田徹
クリストバルの参謀。
元は騎士として名を馳せていたが、高齢に伴いクリストバルの指南役を命ぜられて以降彼の腹心の部下として行動している。
ジャロウデクでも五指に入る実力者の一人で、騎士時代の部下や養子のグスターボを率いて大西域戦争に参戦した。
一度は銀鳳騎士団の前に敗走を喫し謹慎の身となるが、クリストバルの戦死の報を受け、オラシオの開発した飛竜戦艦(ヴィーヴィル)を駆り銀鳳騎士団と激突。最期はエレオノーラを道連れにしようとしたが、キッドに討たれた。
- グスターボ・マルドネス
CV:松風雅也
ドロテオの養子。
剣に魅入られ、「剣は強いからたくさん付けた方がもっと強い」という持論を持つ。幻晶騎士は元より着用する衣服にも剣を盛っている変わり者であり戦闘狂。
戦場で相対したディーからも「馬鹿」と言われるその趣味思考は、その実力をもって周囲に認めさせたものであり、騎操士としての力量は高い。
ディーやエドガーなど銀鳳騎士団の腕利きの騎士達と互角の戦闘を繰り広げながらも大西域戦争を生き延び、ジャロウデク帰還後は周辺諸国の侵攻を受ける本国を救う活躍を見せた。
浮遊大陸騒乱編で再登場し、エルと初めて対面する事になる。
エルとはお互いに機体が万全でないながらも互角に渡り合うなど、騎操士としての実力は作中トップクラス。
搭乗機はソードマン及びデッドマンズソード。浮遊大陸騒乱編での愛機はブロークンソード。
CV:井上喜久子
間者集団「銅牙騎士団」の団長。隻眼の女性。
没落したジャロウデク貴族ヒエタカンナス家の出身。
フレメヴィーラ王国に潜伏し、諜報活動の末にテレスターレを強奪、最新技術をジャロウデクにもたらした。
自身も凄腕の騎操士で、その操縦技術はライヒアラ最強の騎士であるエドガーも圧倒する。
後に、クシェペルカ侵攻にも参加するが、以前とは逆にエドガーに討たれ、戦死する。
アニメ版では戦死の時期が前倒しされている。
CV:中村悠一
ジャロウデク中央開発工房の工房長。
エルネスティに負けず劣らずの天才(と同時に変わり者)で、一族の秘術を持ち出して飛空船とその中心となる源素浮揚器を開発した。
エルにとって大西域戦争でのライバルと言える存在で、エルの開発したイカルガや対空装備に敵愾心を燃やし、報告による情報のみでこれらに対応する為の技術を手がける(アニメでは直接最前線に赴いてイカルガ等を目視した上で対策を講じている)。
アニメ版では原作以上にエルのライバル的存在であることが強調され、原作とは口調などに違いがある。
浮遊大陸騒乱編で再登場、半ば成り行きからエルと共闘することになる。
ボキュース大森海
- 小魔導師(パールヴァ・マーガ)
巨人族(アストラガリ)の「カエルレウス氏族(ゲノス・デ・カエルレウス)」出身の四つの目を持つ少女。
先代の急死と氏族の危機により、まだ成人前であるが氏族の長である魔導師(マーガ)となった。
エルとアディとの出会いをきっかけに、魔導師としても、一人の人間としても大きく成長していき、周囲の大人からも一目置かれる存在になっていく。
エル達からは「パール」という愛称で呼ばれる。
- 三眼位の勇者(フォルティッシモス・デ・ターシャスオキュリス)
勇者と呼ばれるカエルレウス氏族の戦士。先代の魔導師が逝去したこともあり、実質的に氏族をまとめる。
エルとの出会いを経て、彼もまた自身の価値観に変化が生じていく。
- ナブ
小魔導師の幼馴染の少年。氏族が壊滅しかけたときに何もできなかったことを悔いており、小魔導師を守ることを誓っている。
- 小王(オベロン)
小鬼族(ゴブリン)と呼ばる人間族(第一次森伐遠征軍の末裔)の王。カエルレウス氏族と敵対している「ルーベル氏族」に隷属しているが、氏族への反逆を企んでおり、エルに同盟を持ちかける。
虫型魔獣「穢れの獣(クレトヴァスティア)」を操ることができる。
実はアルヴの民であり、自身の目的のために小鬼族だけでなくエル達をも利用しようとしていた。
エル達に敗れ行方不明となっていたが、生き残った穢れの獣と共に浮遊大陸に流れ着き、ハルピュイアの一勢力の王となり再起したところでエルと再会。かつての恨みとばかりにエルと戦う……はずだったが、状況がそれどころではなくなってしまい、傘下のハルピュイアたちを守るためにも止むを得ずエルと(渋々ながらも)共闘する。
浮遊大陸
- ホーガラ
新発見された浮遊大陸の原住民ハルピュイアの少女。浮遊大陸に来たキッドを捕らえた。
- スオージロ
ホーガラのいる集落の長を務めるハルピュイア。エムリス以上の大男。
作中用語
技術関連
本作に登場するロボットの総称。
作中世界における人間の構造を模して作られており、本作の舞台であるフレメヴィーラ王国では主に隣接するボキューズ大森海から現れる魔獣への対抗手段として用いられる。
- 騎操士(ナイトランナー)
幻晶騎士を操る騎士のこと。試作機のテストを行うものは試験騎操士(テストランナー)と呼ぶ。
エルネスティが作り上げた幻晶騎士を模したパワードスーツ。
騎操士の魔力・体力増強と操縦訓練のために考案し制作したところ、予想外の普及を見せた。
オラシオが一族の秘術である純エーテル作用論を応用して作り上げた世界初の本格的な航空戦力。
「源素浮揚器(エーテリックレビテータ)」によって高濃度のエーテルを生成し、そこに発生する浮揚力場(レビテートフィールド)により浮遊する。
- 魔法
大気中に漂うエーテルを魔力(マナ)に変換し、更に触媒と魔法術式(スクリプト、所謂魔法陣)を使って現象に変換する技術。
魔獣や幻晶騎士もその根幹は魔法によって支えられている。
- 魔術演算領域(マギウス・サーキット)
魔法術式を構築して処理するための仮想器官。
人間や魔獣をはじめ作中の世界の生物は脳内にこの魔術演算領域を保有している。
エルネスティはこれを脳内に用意された仮想のコンピュータとして、そして魔法はそこで構築されたプログラムとして捉えており、やがて他者とは違う使い方をするようになる。
- 触媒結晶
魔法を行使する際に使われる結晶体。
人間は体内に触媒結晶を持たないため、これを取り付けた杖などで魔法を行使する。
幻晶騎士を構成する結晶筋肉はこれを錬金術で加工した物。
主に地下から採掘されるが、それ以外に討伐した魔獣の体内からも収集可能。
国・組織
セッテルンド大陸の中央にそびえるオービニエ山脈の東側を国土とするエルネスティ達の母国。
ボキュース大森海に隣り合うため、大森海から現れる魔獣に対する対策として幻晶騎士の配備と騎操士の育成を進めている。
長年魔獣被害に悩まされているが、エルが開発した様々な新型機の普及に伴い、国内が安定しだしている。
高度な技術を次々と発案するエルネスティの護衛を兼ねてライヒアラ騎操士学園の騎操士学科、鍛冶学科の卒業メンバーを中心に編成された騎士団。
技術開発を行う開発者集団で、幻晶騎士はエルネスティや鍛冶師たちが作り上げた試作品を装備して戦闘に赴くことも多い。
幻晶騎士部隊は守勢に強い第一中隊、攻勢を担当する第二中隊、新型機のテストを行う第三中隊に分けられる。
後に、第一中隊は「白鷺(はくろ)騎士団」、第二中隊は「紅隼(こうじゅん)騎士団」として銀鳳騎士団傘下の部隊として独立した(第三中隊は解体)。
- 森都(アルフヘイム)
幻晶騎士の最重要部品である魔力転換炉の生産地。
アルブの民(後述)が住んでいる。
森都とフレメヴィーラの間には「法」と呼ばれる厳格な取り決めが存在し、一般にはその存在が秘匿されている最重要地区。
同様の地は他の国にも存在している。
- 西方諸国(オクシデンツ)
オービニエ山脈の西側に存在する諸国家群。
大陸西側は過去に魔獣が一掃されており、またボキュース大森海からはフレメヴィーラとオービニエ山脈とを挟んでいる事もあって魔獣被害は少ない。
フレメヴィーラ王国とはオービニエ山脈を挟んで隣あう王国。西方諸国の一国。
フレメヴィーラとは友好国という関係にあり、リオタムスの妹マルティナが大公フェルナンドの下に嫁いでいる他、エムリスもこの国に留学していた経験がある。
一度は滅びるが、新生クシェペルカ王国として再興する。
西方諸国内の大国。
クシェペルカとはロカール連合諸国を挟んで向かい合うように位置している。
世界の父の後継を名乗り、西方統一の為に強大な軍事力でクシェペルカに侵攻。大西域戦争を引き起こした。
銅牙騎士団がフレメヴィーラから強奪した技術で幻晶騎士を開発、量産しているが、盗用した技術以外にも源素浮揚器(エーテリックレビテータ)を使用した飛空船(レビテートシップ)、高濃度のエーテルの供給を行う源素供給器(エーテルサプライヤ)など独自の技術を持つ。
当初は新型幻晶騎士と飛空船による技術差で周辺国を圧倒し、クシェペルカ王国を滅ぼすも、銀凰騎士団の介入で息を吹き返したクシェペルカの反撃によって戦況を覆されてしまい、結果として歴史的大敗を喫する事となる。
大西域戦争の敗戦が元で、すっかり落ちぶれてしまった。
- 世界の父(ファダーアバーデン)
西方諸国とフレメヴィーラ王国の大本となった超大国。
西域から魔獣をほぼ駆逐し、更にボキュース大森海への森伐遠征軍を派兵したが、敗退。その際東側に残した占領地がフレメヴィーラ王国の土台となった。
西方諸国の国々もまた、世界の父から分離独立して成立した国家である。
ジャロウデク王国は世界の父の後継を自称しており、世界の父復活を大義名分に周辺国に宣戦布告した。
魔獣関連
- ボキュース大森海
フレメヴィーラ王国の東側に広がる樹海。魔獣の生息地。
ここから魔獣がフレメヴィーラに現れるため、王国は森との境界に砦を建設して幻晶騎士を配備している。その奥地には、後述の巨人族(アストラガリ)の集落が複数存在することが後に判明する。
巨人同士の抗争が発端となった巨人戦争(魔眼の変)とそれにエル達が関わったことをきっかけに、少しずつ社会体制が変わりつつある。
- 浮遊大陸
南方の海の彼方で発見された文字通り空中に浮いている大地。後述のハルピュイアをはじめとする独自の生態系を持つ。
地中に飛空船の燃料にもなる鉱石「源素晶石(エーテライト)」を大量に含んでおり、それを目当てとする各国に狙われるようになる。
終盤でエーテル生命体“魔法生物(マギカクレアトゥラ)”が浮遊大陸の大地に眠っていたことが判明。これが目覚めると浮遊大陸が崩壊、セッテルンド大陸に漂着・墜落し、内包していた源素晶石を巡り大陸そのもので大戦が勃発する恐れがあるなど世界崩壊レベルの大惨事となる事が判明したため、エルを中心として敵同士が手を組む羽目になる。
- 魔獣
体内に触媒結晶を持ち単独で魔法を使える大型生物の総称。
討伐に必要な戦力によって決闘、旅団、師団の等級が定められており、姿や生態も様々。
大型のものであれば体内の触媒結晶も大型化し、巨大な魔獣はその魔力リソースを使って身体強化魔法で自重を支えている。
- 呪餌(カースド・ベイト)
魔獣を呼び寄せる秘薬を混ぜた餌。これを食べた魔獣は極度の興奮状態に陥り凶暴性が増す。
局地的に重大な魔獣災害を引き起こす可能性があるため、魔獣の出現頻度の高いフレメヴィーラでは製造法は厳重に秘匿され、製造、所持、使用の何れかの行為を行った事が判明した場合、極刑レベルの重罪となる。
種族
※本作独自の種族のみ記載する。
- アルヴの民
体内に触媒結晶を持ち、魔法の使用に長けた一族で、魔力転換炉を作れる唯一の種族(エルは例外)。
長い耳と500年程の長寿が特徴だが、100歳を超えると、眠りと思索の間に生きるようになる。
人間の事を「徒人(あだびと)」と呼ぶ。
※web版ではエルフだったが、書籍化に伴い、独自の種族に設定が変わった。
- 巨人族(アストラガリ)
ボキュース大森海の奥地に住む種族。成人の身長が約10メートルにもなる巨体と、一つ~六つの目を持つ。百眼(アルゴス)という神を崇め、何かにつけ「問い」という決闘を行う独自の文化を持つが、言語は人間の物と同じで意思の疎通も可能。
- ハルピュイア
浮遊大陸の先住民族。髪が羽毛状になっており、翼にして飛行できる。人間を「地の趾(ちのし)」と呼ぶ。
その他
- 西方暦
劇中で使われている暦。書籍版ではエルが約3歳時で西方暦1268年、中等部卒業時に1280年と表記されている。
※web版では書籍版に比べて8年ほどズレがあったが、現在では書籍版準拠に修正されている。
TVアニメ
2016年秋にアニメ化が発表。
2017年7月〜9月末・全13話。
放送局はTOKYO MX・サンテレビ・KBS京都・AT-X・BS11。
原作のイラストレーターを務める黒銀氏がアニメ版のメカデザインも務める。
サブタイトルが原作の『○○をしよう』」から、『○○&○○』に変更されている。
なお第1話のみ、本放送終了後すぐにオーディオコメンタリー方式の解説実況特番『第1話 大事な事なのでもう一度放送しますスペシャル!』が放送された。
原作をなぞる内容ながら所々アニメでの改変がなされており、上手くマッチングして纏めたロボアニメとして評価された。
だが予算等の都合で省かれたロボもあり、全てが再現されたわけではない。
また最終話付近になると所々で他のロボアニメのネタが散見されるので注意。
BD全3巻。
第1巻が2017年10月27日発売。
第2巻が2017年12月22日発売
第3巻が2018年2月23日発売。
制作スタッフ
原作 | 天酒之瓢 |
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原作イラスト・幻晶騎士デザイン | 黒銀 |
監督 | 山本裕介 |
シリーズ構成 | 横手美智子 |
脚本 | 横手美智子・木村暢 |
キャラクターデザイン | 桂憲一郎 |
総作画監督 | 桂憲一郎・福永智子・山田裕子 |
エフェクト作画 | 梅田貴嗣 |
メカニックデザイン | 天神英貴 |
コンセプトデザイン | 宮武一貴・岸田隆宏 |
プロップデザイン | 入江篤 |
美術監督 | 益田健太 |
美術設定 | 藤井一志 |
色彩設計 | 藤木由香里 |
2Dデザイン | 荒木宏文 |
CGディレクター | 井野元英二 |
3DCG | オレンジ |
撮影監督 | 佐藤洋 |
編集 | 内田恵 |
音響監督 | 明田川仁 |
音楽 | 甲田雅人 |
プロデュース | ジェンコ |
アニメーション制作 | エイトビット |
製作 | ナイツ&マジック製作委員会 |
主題歌
オープニングテーマ「Hello!My World!!」
作詞 - 林英樹 / 作曲 - 佐藤純一 / 編曲 - fhána、A-bee / 歌 - fhána
エンディングテーマ「ユー&アイ」
作詞 - 中村彼方 / 作曲・編曲 - 秋浦智裕 (onetrap) / 歌 - 大橋彩香
各話リスト
話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル |
---|---|---|---|
第一章 | Robots&Fantasy | 第二章 | Hero&Beast |
第三章 | Scrap&Build | 第四章 | Light&Shadow |
第五章 | Hide&Seek | 第六章 | Trial&Error |
第七章 | New&Old | 第八章 | Secret&Quest |
第九章 | Force&Justice | 第十章 | War&Princess |
第十一章 | Hit&Away | 第十二章 | Knight&Dragon |
第十三章(最終話) | Heaven&Earth |
関連動画
関連イラスト
スパロボ参戦
2021年10月28日発売のスーパーロボット大戦シリーズ最新作『スーパーロボット大戦30』において参戦枠の1つとしてナイツ&マジックが決定した。
スパロボシリーズとしては初となるなろう系の参加(ライトノベル系原作スパロボ作品は前例があったが、WEB小説に限定すれば本作が初になる)であり主人公のエルを演じる高橋李依も本作でスパロボ初参戦となる。
これにより、本作はweb小説出身でありながらロボットアニメの祭典とも言うべきスパロボに参戦するという快挙を成し遂げた。
また、本作では同じ、異世界ロボットものの観点から「魔法騎士レイアース」やサイバスター(DLC限定)、ロボット大好きキャラの観点から冴島十三やリュウセイ・ダテ(DLC限定)、さらに彼のアンチ的存在キャラであるこの自称神など本作との関連が期待されている。
さらに、本作の参戦作品には機動戦士Vガンダム含まれているため、(メタ的な視点では)転生前と転生後エルが同時に存在するような状態となっており、さらに言えば参戦作品の1つがプラモデル枠である。
そして、2022年1月26日にBlu-rayBoxの発売が決定、それと同時に幻晶騎士の紹介動画が久しぶりに行われた。
本作における世界観は前述のレイアースの「異世界セフィーロ」がある世界の中の一国と言う扱いがされている(オートザムなどと同様の扱い)。
話で見るとアニメ版10話前半のエレオノーラ救出作戦以降に当たるが、原作とは違いザガート勢が存在する影響からか救出に失敗している。
その後、ザガート勢と結託したジャロウデク王国の調査を行っていたエル、キッド、アディ、ダーヴィド、バトソンの5人が逆に異世界(前世のエル=倉田翼が生きていた世界とは別)に転移されてしまう。そして案の定、様々なロボットを見たエルは興奮していた。
その後、ダーヴィドとバトソンと合流後、保護に近い形でドライクロイツ(主人公部隊)の傘下に加わる(ダーヴィドとバトソンはサポートとして参加)。
また、レイアースの魔法騎士3人とはこの少し前に知り合っている。
なお、本作はツェンドリンブルのロールアウトが遅れているのか、キッドとアディはツェンドルグに搭乗している(おそらく心を持つ変形合体ロボや鉄の城、宇宙世紀の機動兵器の技術に幻晶騎士の技術を使うことは無謀と考えられる。その代わり、キッドとアディは出撃中に交代することが可能)。
他にも、エドガー、ディー、ヘルヴィの中隊長に直接の出番がない、一部の幻晶騎士が登場しないなど、(仕方がないといえば仕方がないが)省略された部分も少なくない。
また、DLC限定であるためか、リュウセイとのシナリオ上での絡みは残念ながら会話が若干あるだけにとどまった(その代わり、意外な人との絡みがある)。
総じて、原作再現は低めだが、いろんな意味でエルが目立ちまくっており、性能面でも全ユニット中トップクラスのイカルガ、陸Sの上に二人乗りのツェンドルグ、MAP兵器の鬼ゴルドリーオと総じて高性能機揃いと扱いが悪いというわけではない。
ジャロウデク側も性能面が軒並み強化されており、原作ではイカルガに手も足も出なかった筈のティラントーやアルケローリクスが明らかに原作より強くなっている。
関連タグ
プログラマー ロボット 剣士 魔法 剣と魔法の世界 異世界転生 ロボットアニメ
ナイツマ100users入り→ナイツマ500users入り→ナイツマ1000users入り