「竜退治はもう飽きた!」
親記事について
後述の事情もあって、Cygamesに移動しています。
シリーズ概要
「大破壊」と呼ばれる世界的かつ大規模な文明崩壊が起こった後の時代に、大破壊前の遺物である戦車を駆って、突然変異によって凶暴化したモンスターや無法者達を倒すモンスターハンターとして世界を旅するのが主な世界観である。
かつての文明の残骸を食いつぶす形のサバイバルだが、それでも人間は逞しく生きている。
そのキャッチフレーズの通りに当時主流であったRPGの世界観のハイファンタジー路線を真っ向から否定し、現実世界をモチーフにポストアポカリプスとなった重厚な世界観をRPGに持ち込んだことは、国内のゲーム業界(特にRPG部門)に大きな衝撃を与えた。
それと同時に、ストーリーに拘束されるゲームの自由度の無さにメスを入れ、ストーリーは自発的に各地の登場人物と出会うことで展開させつつも、必須のイベントを極力減らして攻略・果ては放棄してエンディングへ走る選択さえ提示する高い自由度を実現させた。
ただしフィールドマップの設計はかなり一本道に近いため、どこへ行ったらいいかわからないような場面はかなり少ないだろう。目の前の事件を無視して次の町へ進んでもいいけれど、実は一本道の物語形式をトレースする自由もある。
また、人間には超常的な能力を持たせず、武器と手持ちの道具でしか戦えない非力さを表現しつつも、オーパーツとなった「戦車」に乗った際の圧倒的な戦闘能力を魅せることによって、荒廃した世界で生き抜き戦い抜く人間の逞しさが滲み出るゲームバランスになっている。
あくまでも武器と兵器での戦いとなる以上、HPの回復手段などには他のRPGより大きな制限があると考えていい。戦闘中の回復は特にそれが顕著。したがって、強敵相手の戦いであっても、回復を前提とした長期戦ではなく、最初から敵に確実に勝てるだけの戦力を準備した上で戦いを挑むのが定石。
RPGとしては所持金の使い道がかなり多いため、「稼ぎ」は重要であり、ゲームシステムとしても所持金のチェック機能などがあったりする。その分、地道に鍛えたり戦車の改造を入念に行えば、手間を掛けた準備の分だけキッチリと結果になって返ってくるRPGなのである。
世界観は色々とカオスで、世紀末なセリフ回しやゲームバランス、独特の持ち味を持ったキャラクター(特に『メタルマックス2』のテッドブロイラー)が語り草である。
戦車の改造もかなり自由であり、一般的な常識からかけ離れた装備の組み合わせにすることも全く珍しくない。ゲパルトのレーダー部分に大砲をくっつけてドリルまでこしらえたり、1台の戦車に大砲を5門もつけたりと、史実と大きくかけ離れた改造は日常茶飯事。
戦車に関する前知識がなくても全く問題ない。
また、秩序が失われ荒廃した代わりに自由が手に入ったことにより、人々の科白は逞しく活き活きとしており、モブキャラクター1人1人まで「自分の意思で生きる」というメッセージがかなり強い。同時にそれは、価値観の違う者同士が当たり前に共存している世界なのである。
ちなみに世界観設定については、作品同士での繋がりがなんとなく見えてくる程度には作られているが、開発者としては作品同士がパラレルワールドとして作っているつもりであるとのこと。したがってその辺はあまりカッチリと考え過ぎなくて大丈夫なのである。
戦車(クルマ)について
このゲームの特徴の一つが戦車。作中ではクルマと呼ばれており、事実現実で戦車として使われているものだけでなく、人が乗れるうえに兵器を搭載できて自走できる車両すべてが該当する。
たとえば装甲車も含まれるし、バギーやバスなども条件に合えば戦車として扱われる。極端なものになると御輿まで出てくる始末。戦車という固定観念をひっくり返す車両に乗るもよし、オーソドックスに戦車らしい戦車を選ぶもよし。
圧倒的な戦闘能力を持つポテンシャルを秘めたハイテク兵器だが、兵器だけに人間の装備とは全く異なる注意点がある。各パーツに分かれて構成されており、これを組み合わせることで初めて「運用可能な1台の戦車」になる。
このように各パーツを閲覧できるようになっている。- シャシー - いわゆる戦車のボディ。基本的に戦車ごとに固定。
- エンジン - 戦車にどれだけ兵器を積み込めるかの最大容量。つまり、より強い武器を装備したい場合でも、まずは最初に高性能なエンジンを積み込むことから始めよう。
- なお、重過ぎてシャシーごと搭乗者が潰されるんじゃないかという心配はまったく必要ない。エンジンの容量以内であれば、バギーに100tの兵器を積んでも大丈夫!
- Cユニット - 現実世界では戦車は数人のスタッフが役割分担をして初めてまともに兵器として機能するのだが、それを1人でも動かせるよう、細かな指示を代替してくれる精密機器。つまり、メタルマックスの世界において戦車はこれがあるからこそ、1人1台という運用ができる。
- 主砲 - 多くの局面で主力となる武器。セオリーとしては「大砲」を積み込む事が多い。大砲は、弾数は制限されているが、威力は高く、砲身に詰め込まれた通常の弾だけでなく、シャシーに積み込んだ特殊な効果の砲弾を発射できたりもする。
- 副砲 - ザコ戦で役に立つ武器。セオリーとしては「機銃」を積み込む事が多い。機銃は、威力は低い代わりに弾数に制限がなく、いわゆる「戦車の通常攻撃」という運用が中心になる。
- S-E - 特殊な武器。セオリーとしては「特殊砲」を積み込む事が多い。特殊砲は、火炎放射器やミサイルなど多彩な兵器の数々で、攻撃範囲が広かったり、1発の破壊力が非常に高かったりする。
- SP(装甲ポイント) - エンジンの馬力で運用できる最大積載量のうち、装備品すべての重量をあわせてもまだ余裕がある分だけ、装甲に充てることができる。このSPは、いわば戦車のHPにあたるため、積載量に余裕がない状態だとSPに充てる分が少ない≒HPが少ない状態になる。SPは0にされてもいきなり戦車を壊されるわけではないが、残りSP以上のダメージを受けた場合、基本的にどんなダメージでもパーツを壊される確率判定が追加されるため、格段に戦車を壊されやすくなる。
そして、これらを支える重要な要素が「多彩な改造」である。大砲・機銃・特殊兵器等の武装や、重量上限を規定するエンジン等のパーツの換装、また各パーツをある程度チューンナップして強化することが出来る。
また本体(シャシー)の装甲や弾倉数の強化も可能。
つまり、同じエンジンでもよりパワーを増やして積載量を多くしたり、大砲を長期戦に耐えうるよう弾数を増やしたり、パーツが壊れにくくなるよう頑丈にしたりと、強敵を相手に戦えるだけの性能を引き出すのが「改造」と言える。
基本的には強いパーツほど重量があり、改造しても重量が増える。このため使いようによっては、序盤で手に入る軽戦車が終盤の重戦車よりも役に立つこともある(特に初期の作品ではこの傾向がかなり強い)。
人間のメンバーについて
戦車が戦闘の中心になるRPGであるが、戦車そのものが戦うのではなく、あくまでも現実と同じく戦車に乗り込んだ人間がその意志によって戦っている。そして、舞台の全てを戦車で巡れるわけではなく、時には戦車から降りて狭い場所を生身で探索しなければならない局面も出てくる。
しかもそのような場面は決して少なくない。
しかし、戦力のウェイトが戦車に置かれているため、人間のできることは限られている。それこそ「ただの人間」が強力無比なモンスターに立ち向かうことは容易ではない。だからこそ、生身での戦闘準備や役割分担は、時に戦車以上に重要視されてくることもある。
装備品は武器と防具各種に分かれており、戦闘中の装備換装は自由に行える作品が多い。
初期の作品では、防具の中でとりわけ異彩を放つのが「プロテクター」だろう。いわゆる防弾チョッキ的な位置づけで、守備力は他の部位に装備する防具と比較して頭一つ抜きん出ているのだが、一定以上の破壊力のダメージを受けてしまうと壊れてしまう使い捨て。
もちろん装備しているに越したことはないのだが、プロテクターが壊された攻撃ではダメージを受けることはない仕様を利用して、時にはプロテクターを壊させること前提の戦術が有効になることも。
作品によるがキャラクターにはクラスが割り当てられており、クラスごとに得意分野が異なる。
- 戦車が得意 - 「ハンター」に代表されるクラス。運転Lvの成長が優秀で、戦車に乗り込んだ場合の戦闘能力は抜群。そのため、戦車前提のボス戦などでは主戦力になる。
- 生身が得意 - 「ソルジャー」「レスラー」に代表されるクラス。戦闘Lvの成長が優秀で、戦車から降りて戦った場合には頭一つ抜けた攻防性能を発揮する。強靭なHPを持っているため、狭い場所での探索におけるパーティの生命線。
- 修理が得意 - 「メカニック」に代表されるクラス。戦闘行為自体は他のクラスと比べて抜きん出た部分がないものの、最大の長所は戦闘以外で発揮される。戦車の修理という、通常なら町へ戻らなければ行えない重要な役割を道中で発揮できるため、いざという時にこそ欠かせない。
- 回復が得意 - 「ナース」「メディック」に代表されるクラス。白兵戦での回復のスペシャリスト。これの存在が継続戦闘能力を飛躍的に引き上げる。蘇生ができたり回復アイテムを全員に使ったりと、起死回生の手段すら持つ。
- オールマイティ - 「アーチスト」「ギャングスタ」に代表されるクラス。白兵戦・戦車ともスキルを持っており、場面場面に応じて違った活躍が期待できる。
- アイテム生成が得意 - 「料理人」「サバイバー」に代表されるクラス。回復アイテムを材料から即時生成できるため、探索中に負傷しても思わぬ形で命を繋ぐことも。
まんべんなくこれらのクラスで構成されたバランスのいいパーティでは、誰が欠けても困るので、パーティの戦力が傾かないよう、いかにして誰も死なずに立ち回るかシビアな判断を要求される場面は多い。
「ボス戦」ではなく「賞金首戦」
自由度の高い本シリーズは、戦う事が決定付けられているボス戦そのものが少ない。その代わり、強敵との戦いはその多くが「自分で探して戦いを挑む」スタイルになっている。
賞金を目当てに武装を整え、探索の果てに居場所を突き止め、戦いへとなだれ込む流れはかなり多く、該当BGMお尋ね者との戦いはそれが流れただけでもプレイヤーに良い意味で背筋に衝撃を走らせる。
ハンターオフィスなどの情報源となる施設もあるため、世界の仕組みにじっくりなれていけばこの独特のシステムにも自然に馴染むだろう。
もちろん、戦わない自由もある。
そして、討伐を自由にしておいてそこへドラマを入れることにより、強敵を「ゲームを進める過程での障害物」ではなく「プレイヤーが倒したくなる目標」へと、その存在意義さえも変えたのである。
ターン制RPGだからこそ可能な演出
本シリーズのジャンルは基本的にクラシックなターン制RPG。このジャンルだからこそ可能であろう特徴が、戦闘モードの変更である。
通常、ターン制のRPGでは敵味方の誰かが行動している間、特殊な理由でもない限り他のキャラクターは動かない。
しかしメタルマックスシリーズでは、戦闘モードを高速に変更すると、敵味方が一斉に砲撃して、最後にまとめてダメージ報告がなされる。
それぞれの戦車から一斉に飛び出す砲弾、入り混じって敵モンスターからも絶え間なく飛んで来る攻撃は、ターン制RPGに爽快感・臨場感をもたらした。
このモードの搭載は演出だけではない。敵味方の行動タイミングが近い場合、互いに同時に行動を起こすことがあり、戦闘展開に大きく影響することも。
- 戦車から一瞬だけ降りて修理を試みたら、その瞬間に敵から銃撃を受けた
- 敵の攻撃を先読みして回復を試みるも、先手で回復が発動してしまったが、回復アイテムの発動エフェクトより敵の銃撃スピードが速かったので、回復アイテムが被弾後に効いた
- 敵の砲撃を迎撃するにしても、エフェクトの速度が迎撃精度に直結しているため、エフェクトのスピードが速い武器が重宝する
- 戦闘モードを高速にして連射武器を叩き込むことで、敵の迎撃頻度よりも多くの弾を迎撃される暇もなく一瞬で当てることができる
時に戦術の主要な部分さえ左右するのである。
作品展開
初代作『メタルマックス』は1991年にデータイーストよりファミコン向けソフトとして発売された。続いてスーパーファミコン用として『メタルマックス2』および『メタルマックスリターンズ』を発売。
データイーストの倒産後、サクセスがメタルマックスシリーズの流れを汲む『メタルサーガ』シリーズを発売した。
2010年になりメタルマックスの権利を獲得した角川ゲームスによって、17年ぶりのナンバリングタイトルである『メタルマックス3』の製作が発表された。それから3年後、『メタルマックス4』がニンテンドー3DS用ゲームソフトとして発売された。
さらに2015年にはiOS及びAndroid向けスマホアプリとして『メタルマックスファイアーワークス』がリリースされた。
SIEハードにて新作『メタルマックスゼノ』が2018年に発売、PS4・Switch向けには2019年冬に『メタルマックスゼノリボーン(ゼノのリメイク)』が発売。
その続編として『メタルマックスゼノリボーン2(ゼノの続編で後に副題をワイルドウエストに変更)』が発売が予定されていたが、2022年6月に開発中止を発表。
2021年には、メタルマックスシリーズ30周年を記念し、『コードゼロ(仮称)』を構想中とのこと。
余談
1996年頃にプレイステーション用として、後にDSで発売されたものとは別な『3』が試作され、1999年頃にも商標を借りたアスキーからドリームキャストで『メタルマックスワイルドアイズ』が企画されたが、両作とも諸事情により完成までにはいたらなかった。
2003年にナウプロダクションがGBA向けに『2』『R』の移植作『メタルマックス2改』『メタルマックスR改』を制作したものの、先に発売された『2改』があまりにもひどい劣化移植と呼ばれる出来でファンの怒りも買ったため、『R改』は発売中止になってしまった。
(一説にはデータイースト倒産の混乱で原作の完成版データが手に入らず、バグ取り前の版を使わざるを得なかったらしい……結局あまりの酷さに破産処理への悪影響を恐れた管財人が、ナウプロへの許諾を取り消したとも。)
『メタルサーガ』は許諾をもらったサクセスが、『メタルマックスレガシー』という題名で開発していたものだが、上記のデータイースト倒産により商標が浮いてしまったため名称変更となった。
なお本作が製作されていたことは当初クレアテック側は知らなかったが、途中から合流して協力している。(クレアテックの代表・宮岡寛はその後、理解のあった管理会社から商標を買い戻しており、角川ゲームズ所属となっている。)
製作者である宮岡寛は、メインキャラクターデザイナーである漫画家山本貴嗣と中学時代の同級生で、ともに故小池一夫主催の劇画村塾の一期生でもある。
音楽はさまざまなアーティストに楽曲を提供している門倉聡が担当。宮岡とは別なゲーム企画で知り合い担当することになった。特に賞金首戦「WANTED!(お尋ね者との戦い)」は名曲と名高い。
古くからアレンジして公開するものが途絶えず、動画サイトでも多数投稿されている。
そして、2022年
2022年7月29日にはCygamesが関連事業を譲受したことが発表された。
コンシューマー機での発売予定を発表している事以外、現段階では何か特別なプロジェクトが動いているわけではないのだが、続報を待ちたい。
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