概要
敷設された地雷や、飛行機搭乗時など犯罪者の検挙やその被害者の救助が困難な公共交通機関に搭乗する際における拳銃やナイフなどの凶器を持っていないかの検査、衣服に紛れ込んだ針の有無検知といった金属でできたものが危険を及ぼすものに対して保安用途に使われることが多い装置。
他に埋設された水道管や建築物の鉄筋や鉄骨の探査、考古学調査にも使われる。金属の性質上、電磁誘導によって検知を行う。
ちなみに、最近の地雷は金属探知機対策としてプラスチック、セラミックなど非金属を多用するようになり、更に探知機の磁気に反応して起爆するようになったものもあるので、検知が難しくなっている。
原理
二つのコイルの片方に交流を流しもう一方のコイルで変化を検知する。
検知範囲内に金属がないときは、何の変化もなく検知側のコイルに交流が電磁誘導で伝わっていくだけだが、金属があるとその金属が探知機からの磁場で電磁誘導による渦電流が発生し、そこでも交流磁場が発生するため検知側のコイルに電磁誘導で伝わっていく誘導電流が変化する。この原理によって検知ができる。
コンピューター化
近年では目的の材質や大きさのものを検知するため、コイルに流す電流の工夫をしたり、検知された電流からどのような物が検知されたのか解析できるものも登場している。
創作物では…
米コメディ映画では、飛行機に乗る前の金属チェックで財布やベルトで誤検知されるというよくあるアクシデントに引き続き、近くに何故かいる音真似の巧い脇役の人(何故か音真似をする俳優は黒人俳優が多い)が何回通っても検知音を口真似で「鳴らす」ため、最終的にはパンツ一枚にされてしまうネタがよくある。
RPG『メタルマックス』シリーズでは宝探しの必携アイテム。周囲25マス程度に何か埋まっていないか調べることが出来、特に廃墟っぽいところや砂漠には戦車パーツが埋まっていることが多いのでフィールドを移動しながら調べまくるのがお約束。ただし、反応があったからと喜んで調べに行くと地雷が埋まっていて踏んでしまうこともある。
メタルマックス2では何故かよく冷えた状態で売られている。
類似用途・類似原理のもの
ループコイル式検知器
舗装の下にコイルを一つ埋設しておく。上に自動車が来ると車が大きな金属であるためコイルの誘導係数(インダクタンス)が変化する。それを検知して車の存在・通過を検知する装置。駐車場の在車検知や踏切内で立ち往生した車の検知(積雪地で使われている)、速度超過した車への「記念撮影」(補足参照)に使われている。
補足
速度超過した車への「記念撮影」・・・もといオービスの場合は一定距離をあけてコイルを二つ埋設しコイル上を通過した際の時間差から速度を算出するが、実際は誤検知を防ぐためもう一つ増やして三つコイルが埋設してあり測定が二回行われる。このとき二回の測定結果が著しく異なるときは計測結果を機械が無効と判断する)
非接触型回転角センサー
突起や凹みをつけた金属製の回転子の周りに交流磁場発生用コイルと検知用コイルを設置したもの。回転子が回るとコイル側からは金属が近づいたり遠ざかったりするものと等しい事になるため誘導係数が変化し、これを信号処理して現在の回転角を算出する。この方法はハイブリッド自動車や電気自動車に採用例がある。(使用するモーターが同期モーターのため正確な回転角を検知する必要がある)
更に進歩したものでは同期モーターの固定子コイルに駆動用の交流よりも高い周波数の交流を流し、その時の電流を解析して回転子の磁石の角度を調べるものもある。この方法は複雑な演算が求められるがモーターからの逆起電力による検知が困難または不可能な停止~低速回転時でも回転角センサーなしにモーターを滑らかに回すことができる。