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白金

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はっきんまたはしろがねなど

一般的には原子番号78番の元素。その他地名や人名など複数の意味を持つ。

曖昧さ回避

  • 元素の1つ。本項ではこちらを解説する。
  • 日本の地名。読みは「しろがね」「しろかね」「しらかね」。各地に存在する。
  • 人物またはキャラクター名。

人物・キャラクター

その他

概要

白金とは、原子番号78番、元素記号はPtの元素である。

いわゆる貴金属の1つであり、白金族元素の代表。

78番元素の和名は学術的には白金が正しくこちらの使用が推奨されているが、日常用語としては英語名 "Platinum" をカタカナ表記したプラチナと呼ばれる事が圧倒的に多くなっている (ただし英語の発音的には、最後のナはほとんど発音しない) 。

金を主体とする合金「ホワイトゴールド (白色金)」 と混同されるが、両者は全く異なる金属である。

性質

単体の白金は銀白色の固体金属であり、柔らかく展性・延性に富むが、同じ貴金属のより劣る。比重21.45はオスミウムイリジウムに次ぐ全元素中3番目の高密度である。

化学的反応性には乏しく、高温の王水には侵されるが塩酸硝酸には反応せず、反応性の高いフッ素塩素酸素とも高温でのみ反応するなど、化学的な安定性に富んでいる。

天然に存在する白金の同位体は6種類あり、5種類は安定同位体である。1種類、白金190のみは放射性同位体だが半減期が6500億年と非常に長い。白金195はスピンの値が0ではない物としては唯一知られている安定同位体である。

天然での存在

白金は地殻中では希少な存在であり、平均的な存在量は5μg/kgであり、金と同程度である。地域的な偏りも激しく、南アフリカ共和国で世界の白金の80%を生産している。その希少性から、毎年わずか数百kgしか生産されていない。天然では単体であるか、ニッケル、および他の白金族元素との合金状態で産出する事がほとんどで、化合物は稀にヒ化物や硫化物が存在する程度である。

用途

白金と言えば貴金属のイメージが強く、実際に装飾品としての白金の使用量は全生産量の3~4割を占める。

しかしながら5割近くは自動車向けに、1割は石油化学工業に、残りのほとんどはハードディスクなどの電子産業に使用されている。

貴金属であるが故に金融市場では投資の対象にもなっているが、価格は金より不安定で乱高下しやすい。

これは工業用途が多く、景気状況に左右されやすいためである。

金よりプラチナが上というイメージがあるが、価値としては金の方が安定して上である。

白金の最も多いの用途は触媒であり、特に身近なのは自動車の排ガスを浄化する用途である。19世紀から使用されており、高効率である事と白金の化学的な安定性が、高価な金属であるにもかかわらず他の触媒を退けている理由である。ハクキンカイロやコンタクトレンズの消毒システムなど、触媒としての白金の用途は身近に多く存在する。

高温に安定である事から、温度によって電気伝導度を利用した高温用途の温度計に使用される。同じ理由で医学や生物学で使用される白金耳は、名前の通り白金製のものがある。手術で使われる医療用インプラントの一部には白金製の物がある。また白金の化合物の1つであるシスプラチンは良く使用される抗がん剤の1種である。

純粋な白金試料が得やすいという関係から、標準水素電極には白金が使用されている。また国際単位系における定義に白金が登場した事もある。メートルキログラムの定義はいずれも原器が基準とされていた時代があり、当初は純粋な白金、次いで白金90%とイリジウム10%の合金として作成された。またカンデラは光源として加熱した純白金が基準とされていた時代がある。国際単位系における使用は、いずれも2019年の改定における国際キログラム原器の廃止を最後に現存していない。

歴史

白金は、紀元前にその存在が認識されていた金や銀と比べると、貴金属としての歴史は浅い。紀元前1200年頃の古代エジプトや10世紀頃の南米など、使用例はいくつかあるが、その時代に他の金属と異なる認識で扱っていたかどうかははっきりしておらず、古代エジプトにおいてはかなり怪しいとされている。

ヨーロッパで白金が未知の金属として初めて認識されたのは1557年が記録に残る最後である。スペイン人による南米への侵略の際に発見されたものであるが、当時はヨーロッパで珍重されていた銀と勘違いされた。当時の技術では溶かす事ができず、不純物があると展性を示さず砕けてしまい、使い物にならなかった。その結果白金は大量に廃棄され、金製品に対する混入を禁じる公式令が出された程であった。

白金が正しく認識されたのは1735年であり、アントニオ・デ・ウジョーアとホルヘ・フワンが子午線弧長の測量隊の一員として南米に渡り、8年間過ごした際の記録からである。コロンビアのピント川河畔で、銀に似た金属を発見し、これが銀とは異なる金属であり、かつこれ以上分離できない事を突き止めた。「platina del Pinto (ピント川の小さな銀)」と呼ばれたこの金属が、後に元素名 "Platinum" の語源となった。

毒性

白金の単体は反応性に乏しい。米国食品医薬品局 (FDA) の調査では、医学的用途で単体の白金が体内に混入する可能性がある事から毒性を調査したが、今のところ毒性の証拠は見つかっていない。

一方で白金の塩類は短期的暴露、長期的暴露のどちらでも粘膜などに炎症を引き起こす事が知られている。またシスプラチンなどの白金化合物の抗がん剤は、同時に発がん性物質である事も知られている。

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