概要
本来「スカッとする」という言葉は、胸のつかえがとれたような爽快な気分になる、という状態を表現するものであるが、ここではそのような気分になることを目的として創作されたショートストーリーのジャンルとしての「スカッとする話」「スカッと系」について述べる。
もともとインターネット上では、2ちゃんねる(および、後継の5ちゃんねる)に投稿された内容をまとめた「まとめサイト」などで、「理不尽な目にあった主人公(投稿者)が、機転の効いた行動や周囲の助けなどで理不尽を跳ね除け、事態が解決する」という「勧善懲悪」の流れをもった体験談(※いわゆる創作実話も含む)やショートストーリーが存在し、これらが「スカッとする話」という一つのジャンルとして認知されていた。
また、ブログやTwitter、小説投稿サイトなどでも同様の内容が投稿されていた。
その後、2014年からテレビ番組『痛快 スカッとジャパン』(フジテレビ)で、視聴者からの投稿をもとに「スカッとする話」を主題に取り上げた再現ドラマが制作・放送されたことをきっかけに、一般にも「スカッとする話」というジャンルが知られるようになった。
YouTubeでも、先述の掲示板への投稿・まとめ記事の転載動画が投稿されていたが、徐々に転載ではない創作で、特定の役割に応じてキャラを配置したり、アニメーションを活用したりといった形でショートストーリー動画が投稿されるようになり、そのような動画を専門的に投稿するチャンネルが多数開設されたことで、YouTube上での「スカッとする話」のジャンルが確立されるようになった。
本項では特にYouTubeにおける「スカッとする話」にまつわる内容を紹介する。
YouTubeにおける「スカッとする話」
序盤では立場が低い主人公が立場が高い悪役にあらゆる形で理不尽を強いられるが、中盤以降に立場が逆転して結果悪役が破滅するというのが基本的な流れとなる。
ストーリーは多岐にわたるが、夫婦・親子(嫁姑など義理の親子)の関係悪化や、近隣住民・職場での人間関係、ママ友同士のいさかい、子供のいじめなど、身近な場でのトラブルが題材にされることが多い。
YouTubeにおける「スカッと系」は、先述の『スカッとジャパン』の影響も大きいと考えられるが、同作よりも悪役の行為が浮気やDV、窃盗、恐喝などといった社会的に許されない行動や完全な違法行為であることが多く、それ故に散々な結末を迎えることが大半である。
チャンネルごとに表現方法が異なり、概ね以下のように分けられる。
これに加え、「文字スクロール」動画も存在するが、これは多くの場合掲示板やまとめサイトなどからの引用・転載であると考えられている。(後述)
また、複数の形式を組み合わせた動画も存在する。具体例としては、登場人物の対面での会話はVYONDアニメで、LINEなど文章でのやり取りはトークシミュレーターで表現する、といった形式が挙げられる。
※アニメーション映像制作プラットフォーム。用意されたアセットを組み合わせ、さまざまなキャラクターや動き、状況のアニメーションを簡単に作成できる。
各チャンネルで創作されたフィクションも少なくないと思われるが、先述のWeb掲示板に投稿された内容に着想を得た(場合によっては、登場人物の名前や年齢などを入れ替えただけ)と思われる話も多数存在する。このため、別のチャンネルで題材としたエピソードが被ることは少なくなく、同じ管理者によるいわゆる「姉妹チャンネル」同士でも同様のことが起こる場合もある。
ただし、同じ元ネタの話でもチャンネルごとに絵や声、作風の違いが発生するため、いかに各チャンネルの持ち味を出すかで運営者の力量が試されるといえる。
同一のチャンネル内であっても、ある元ネタのエピソードを投稿した後、後日同じ元ネタのエピソードが登場人物や細かな設定を変えた状態で再び取り扱われる事は良くあり、動画投稿ペースの早いチャンネルではその傾向が高い。
以前は、掲示板やまとめサイトから引用(転載)した文をエンドロールのように流す「文字スクロール動画」(※文章が字幕・キャプションの形で表示される、ナレーターや音声読み上げソフトによる朗読を併用したものなども含む)がYouTubeには無数に投稿され、「スカッとする話」も当時からこのような形で存在していた。
のちにYouTubeのシステムの変化などでこのような動画の収益化は規制されるようになり、2018年頃からは漫画動画という技法やVYONDなどのツールが一般化したことで、上記の専門チャンネルが注目されるようになっていった。
スクロール動画は今も存在しているが、キャラクターが登場したり声優が声を当てる動画の方が印象に残りやすいだろう。
特徴
多くの場合、キャラクター同士のやりとりを通してストーリーが展開される。
男性キャラクターを含め、女性声優が一人多役を演じる事が多い傾向にある。(一部チャンネルでは、男性キャラクターは男性が演じていたり、一人一役が割り振られる形で複数の声優が担当していたりする)
キャラクターを複数動画で使い回す、スターシステムを用いた動画・チャンネルも増えており、キャラクターに魅力を持たせることで知名度を得るチャンネルも多い。(後述)
ことpixivにおいては、「スカッとする話」のタグは、以前からの用法である「体験談やショートストーリーを描いた作品」に用いられるだけでなく、これらのチャンネルに登場するキャラを描いた作品にも用いられている。
問題点
過度に暴力的な描写、法律・社会的制度への調査不足、特定の職業や地域などへの差別的な表現、脚本および声優の能力不足といった点が問題視されている。
2021年の夏頃に入ると、上記のような問題点が原因でスカッと系動画への悪評が高まった事、後述するスターシステム移行の迷走、同チャンネル及び派生チャンネル内でのネタ被り、元ネタとして使われる大型掲示板のまとめサイトの認知、再生時間の引き延ばし、そもそものスカッと系チャンネル自体の飽和など様々な要因から多くのスカッと系チャンネルの再生回数が右肩下がりになり始め、この時期に更新を停止するチャンネルも増えてきている。
ここでは大きく分けて二つの問題点について述べる。
過激化
一部のチャンネルにおいて「後になれば笑い話の種にできるような犯罪になるかならないか微妙な迷惑行為」をネタにした動画から「笑って済まされない(例として、殺人未遂、傷害、放火、強盗、不同意堕胎致傷、保護責任者遺棄致傷、監禁、略取誘拐、恐喝、詐欺、虐待など)明確な犯罪行為」をネタにした動画が増加している。
スカッとする話というジャンルで一般的であった「はた迷惑な人間を粋な善人が機転やウィットを働かせて撃退する、見るとスカッとする」動画というより、「悪役が自身の行為を犯罪と自覚しないまま問題行動を起こして暴れ、それに激昂した主人公と協力者が被害届の提出や賠償請求などの然るべき手段をとり、その結果(法的・社会的制裁から逃れる為に)最後にみっともなく許しを請うが、結局許されずに制裁を受ける」という社会的に当たり前の結末を迎えるだけの動画へと方向性が変化することで、行為自体のもたらす不快感や恐怖心が強く、視聴後に「スカッと」というよりは「モヤっと」した気持ちを抱くコメントも見受けられる。後者の動画では前者の様に機転を利かせた反撃をせずとも悪役自身の言動が原因で勝手に自滅する形になりがちなのも大きい。
一方で、制裁が甘く社会的に当たり前の結末すら迎えなかったり、逆に制裁の度が過ぎていて語り手側が罪に問われかねなかったりする場合と比較し、社会的に当たり前の結末を歓迎する声も一定数存在する。
中には実際に起きた事件、特に全国区のニュース番組でも報道されたような重大事件を元ネタにしていながら、悪役の言い訳や後日談が実際の事件の被害者の心情を逆なでしたり、その際に受けたPTSDを軽く考えているような配慮に欠けたものであった為、「さすがに不謹慎すぎる」「不快」と批判が殺到し、YouTube運営から非公開処分を受けた動画もある。
さらには悪役の言動にも過度な誇張がされ、「主人公=善」という立場を強調するため、極端に非常識で自分勝手、衝動性が高く短絡的な思考の持ち主が登場することもある。学歴・社会的地位が高かったり、本来なら対人マナーが重要な接客業や強い倫理観が求められる職業(警察官などの公務員・医療従事者など)の人物であったとしても、悪役として設定されれば例外ではない。
- 銀行員に至っては論外。預かるにも貸すにも銀行側の信頼がなければ、営業が成り立たず、そんな行員を雇い続ける金融業者など存在しない。無知・意識が低いでは済まされない。
- 他人の命を自分勝手な理由で危険に晒し、そのことについて何の反省もしない人命軽視
- 極端なまでに他人への共感性(思いやり)に欠けるサイコパス的な言動
- 金銭に異常に執着し、時に他人の財産を奪うことも当たり前と考える「銭ゲバ」的な思想
- 一般常識から大きく逸脱した知識や思考、周囲の状況が全く見えていないような言動
- 学歴や年収などにばかり重きを置き、一家や悪役自身の体面しか考えず主人公などを迫害するなど
製作者の調査・認識・能力の不足
上記の過激化も含め、脚本担当者の法律や社会的制度などへの調査・認識不足が指摘されているチャンネルも少なくない。
あくまで「スカッとする」事を目的に視聴すべきであり、法律の学習のために視聴すると間違った知識を習得する可能性が高く、まさに動画でよく出てくる「自己責任」となる点に注意する必要がある。
世に出ているドラマ・映画・漫画・ゲーム等において、世界観が現実に近く、かつ法律が主要なテーマとなっているものにおいては、弁護士等の法律職が「法律監修」というスタッフとしてストーリーが実際の法律や社会的制度から矛盾・乖離していないか等をチェックしているが、こちらはあくまでアマチュアによる個人ないし少人数での動画制作がほとんどのため、そのような専門のスタッフを雇う余裕が取りにくいという事情もある。
※具体的には地域ぐるみで加害者が引っ越しせざるを得ない状況に追い込む、SNS等に無修正のまま加害者の動画・画像を投稿、拡散し、ネットによる個人特定・バッシング・炎上を誘発させ、将来に渡って加害者本人やその家族らの生活権を不当に侵害する(言うまでもなく日本は法治国家であり、被害者だからといって加害者に対して何をしても無原則に許されるわけではなく、大前提として法を犯した者は等しく法によって制裁を受けなければならないという基本的な社会のルールの存在を制作者が無視している)、自業自得とは言え、悪役の親類が絶縁をしない代わりに性格矯正の為と称して、加害者本人の意思を無視して危険な漁や出家させるなど隔絶された場所へ連行し、重労働に従事させる、(同じく法的根拠・権限無しに)私有地に無断駐車された悪役の車を当事者に無許可で破壊する等。
その一方で、主人公が心身共に当人にしかわからない苦しみを味あわせたことから、「これくらい痛い目に遭わないとわからない」などと擁護する意見も少なからず存在する
また、特定の職業や地域などへの差別的思想が強く見られる動画・チャンネルも多い。
悪行を制裁され、結果として損害賠償や慰謝料などで多額の借金を背負い、会社も解雇された悪役が生活の糧を得る為に(悪事を重ね御用になる悪役もいるが)行きつく先は大体出家して僧侶となり厳しい修行で心身を鍛え直す、親戚の紹介での農業、漁業、旅館などでの見習い従業員、「(深夜の)コンビニなどでのアルバイト」、「清掃員」、「工場や倉庫の住み込み従業員(軽作業従事者)」、建設業や道路工事員、いわゆるキャバクラや性風俗店などでの仕事(※)である
(もちろんこれらの給与は全額被害者に振り込まれるか、給与から一定額を差し引かれるため自由に使えるお金はほとんどない)。
実際にこれらの業種に従事している、あるいは経験したことのある視聴者からは「自分たちのしている(いた)仕事は、このような反社会的な思考を持った人物が簡単にできるようなものではない。製作者側から一方的に底辺のする仕事だと見下され、馬鹿にされているように感じる」といったコメントも散見される。
また、外での労働は行っていなくても、例えば同居家族の介護や看護・育児を1人に「制裁として」押し付けるような展開の動画も存在する。
※ただし、(勤まるかどうかはさておき)悪事が原因で会社をクビになってその悪評から再就職できなくなった人間や、まともな就職経験がない人間が、人手不足な深夜の仕事や肉体労働を選んだり、莫大な借金を返すために時給の高い夜の街に行きついたりすること自体はそれほど不自然とは言えない。
建造物である住宅に対しても同様の傾向が見られ、「築50年」「ボロ屋」といった差別的表現が主人公サイドから軽く飛び出す事が多い。築50年を超える木造戸建住宅はザラにあるということを認識していない。逆に成功者をタワマンに住まわせたがるが、戸建住宅に慣れている地方居住者(といっても隔絶されたような地域まで行かずとも、首都圏通勤60分圏である土浦市・小山市・前橋市などですでに)にとっては、基本的に共同住宅そのものが魅力的にうつらない。逆に武蔵小杉のタワマン水害事件などもあって、旧くても戸建住宅のほうが良いと考える者は少なくない。
このほかにも、地方出身者を「田舎者」、裕福ではない家庭で育ったり、外見が裕福そうに見えなかったりするような人を「貧乏人」と一方的に決めつける悪役はもちろんだが、それに対する反撃が「実は海外の都市で生まれ育った帰国子女」、「服装にこだわりがないだけで会社の経営者」など、悪役がマウントを取ってくるのと同じような考えに基づくものとなっており、結果として「田舎」「貧乏」という言葉はフォローされず、生まれ育った環境や立場を軽蔑したままの描写に終わっている動画も多く存在する。
※本社が東京23区内・大阪府以外の著名大手企業
児童養護施設出身者・父子家庭出身者・母子家庭出身者・障害者など、悪役側が見下す要素として使われるが、究極的にはそうしたシナリオが作れる時点で脚本家がハンディキャッパーを差別的に見ているという意見も少数ながら存在する
また、動画によっては(悪役ではなく)主人公側や味方キャラクターが「妻は美味しい料理が作れて当たり前」「育児は妻がする事」と言った男尊女卑、逆に「夫は妻のわがままを聞いて当然」「夫は稼ぎだけを持ってくれば良い」と言った女尊男卑の考えが根強く現れている動画も多く存在する(いずれも最後は自業自得の結末を迎えるか、主人公が善人側の場合は味方に諭されて妻に偏見を謝罪し家事・育児を進んで手伝うなど関係が改善する結末になることもある。
ジャンル全体の変化によってアニメ・漫画チャンネルにおいてもこの傾向が強まっている様で、「暴力を振るわれたので暴力でやり返す」だけの作品を延々と公開し続けているようなチャンネル、さらには「正当防衛とは言えないようなレベルでの過剰な反撃を行う」動画ばかり公開しているチャンネルすら存在しており、もともと人によって好き嫌いが分かれる「スカッとする話」というジャンルそのものの悪評を高める一因となっている。
脚本や声優の能力の問題
漢字の読み間違いや、慣用句・敬語表現などの言葉遣い、イントネーションなどに不自然な点があっても、そのまま投稿しているチャンネルが多いという点も度々指摘されている。
例えば「身辺調査(しんぺんちょうさ)」を「みのべちょうさ」だったり「石女(うまずめ)」を「いしおんな」と読んだり、「力不足」とするべきところを「役不足」としたり、といったことが挙げられる。
滑舌が悪い、発声方法が悪く声が通らない、声に抑揚がなく棒読み(もしくは、過剰に演じすぎて不快感を煽っている)に聞こえる、間の取り方が不自然などといった、声優担当の演技力や発声技術の不足も多くのチャンネルで指摘されている。
また、例えば「義父」と「岐阜」のような同音異義語において、イントネーションが共通語と異なることで意味が通じにくくなっている動画も存在する。特に方言を話すキャラクターの場合、声優自身の方言や共通語が混ざることでイントネーションが不自然なものとなっていることもある。
これらは脚本・声優ともアマチュア・セミプロ的な存在で力量が低かったり、動画の投稿頻度を重視した結果十分なチェックが入っていなかったり、といった事情が考えられる。
(ほとんどの場合)無料で公開されている以上、ある程度は仕方がないと言えるが、基本的に主人公が言葉で説明する物語である為に文章に違和感があると内容よりも気になってしまう視聴者も多い。
一方、LINE系動画では、本来文字でやり取りするだけの内容であるのが当然のはずだが、音声がついて完全に対面で話している状態という、明らかに不自然なやり取りとなってしまっているものがこのジャンルの殆どを占める。
引き伸ばし
DQNや悪人の問題行動のシーンがねちっこい、もしくは長く、被害者役が早々に彼らに対応出来るタイミングに実行せず冗長になり視聴者のストレスが溜まってスカッとしきれない。
その他の問題点
これはスカッと系動画に限らずYoutubeの動画全体に言える問題だが、少しでも視聴者の関心を惹きつけたいのかサムネの時点で内容のネタバレになってしまっている動画も多い。
スカッと系動画のサムネは2コマの漫画形式(例として1コマ目は悪役が悪事を働いて愉悦に浸るシーン、2コマ目は悪役が反撃を受けて驚愕・絶望するシーンという即堕ち形式)が多いが、2コマ目で主人公の素性や反撃の詳細など核心となる部分がはっきりと描写されてしまっている事がある。
ストーリーの例
※あくまで一例である。前述の通り大本となるストーリーは掲示板等に投稿された内容を元にしているものもあるが、ストーリーの大本は同じでもそこに別々の要素(実は社会的地位が高かった、等)を加えてアレンジされるという事が多い。
- 下請け業者を見下して暴力を振るう社員が、実は元請けに欠かせない企業の一員であると上司に知らされ解雇(または降格、左遷)される。
- 上司が気に入らない部下を不当解雇したが、実はその部下が会社にとって重要な役割を担っていたため部下が抜けた影響で業績が急降下し、上層部に不当解雇を含めた上司の不正(主に横領)がバレて自分も懲戒解雇される。
- ある男性が低学歴、非正規社員、貧乏などを理由に婚約を破棄した女性が、実はその男性は超大金持ちであると知るやいなや手のひら返しをしてよりを戻そうとするが当然断られ、挙げ句並行して付き合っていた他の男性からもふられる(その女性の他の悪事が発覚して破滅する場合も多い)。
- 社宅のボスママが主人公の主婦に地位などでマウントを取っていたが、ボスママの夫よりも自分の夫の方が地位が高いことを知らされ、同時にボスママの悪行が発覚して夫に離婚されたり夫婦ともども失脚する。
- 貧乏臭い見た目あるいは障害者というだけで入店ないし商品購入を拒否されるが、実はそのお店のオーナーやお得意様の家族であることが明らかになり拒否した店員が解雇される。
- 店員でなくエリートを自称する客が上記の客を見下すパターンもあり、この場合は見下された客だけでなく店側からも怒りを買って制裁を受ける形となる。
- 別パターンとして、悪役を咎め謝罪をさせたのが実は彼らの担任や部活動の顧問、内定先の重役であったり、後日談ではその後母親と赤ん坊を罵倒した彼らを見かけることがなくなるか、見かけることはあっても身だしなみや言葉遣いを改めて車内で困っている人に席を譲ったり飲食を控えるようになるなど異なる場合もある。
- 気に入らない作品を破る美術教師が生徒の絵を破ろうとしたところを目撃した担任教師がその生徒の絵を完成させて市の絵画コンクールに出したところその作品が見事に賞を取り、美術教師は左遷される。
- 姉からいじめや両親からの差別に耐えかねて家出した妹が結婚することになり両親に挨拶に行くと姉が「私より先に結婚するなんて許さない」と彼氏を寝取ってしまう。さらに両親も「お姉ちゃんに譲ってやれ」と姉の味方をしたため結局別れさせられてしまう。しかしそれから数日後、姉と元カレが事故に遭い姉は顔に一生消えない傷を負ってしまう。それを皮切りに姉の悪行が次々明るみに出て彼女の評判はガタ落ち、整形手術をしても傷は消えずに結局姉は引きこもりになり親の金を食いつぶしながらニート生活をつづけ、元カレも何事もなかったかのように主人公とよりを戻そうとするが結局振られる。
- 他にも美人で優秀だけど性格の悪い姉に虐められていた妹がある日彼氏にプロポーズするから手伝ってほしいと言われるが、彼の目の前で姉の悪行を全部ばらしてしまう。その後妹は両親に姉に謝るよう言われるが大抵は昔姉にされたように誠意のない謝罪文を送るというパターンもある。
- 少年時代乱暴な性格の従兄弟に何度も殺されそうになった主人公が成人してからその従兄弟が難病にかかり、臓器移植が必要になったことと主人公の型が一致したことを告げられるも拒否、発狂する親戚一同に今まで受けてきた仕打ちを告げると共に絶縁を宣言する。
- 優秀な兄弟姉妹ばかりを贔屓する両親に家を追い出された主人公だったが、その後必死に努力して成功を収める。それからしばらくして成功を知った両親が訪ねてきて兄弟が受験に失敗したり職場や学校に馴染めず引きこもってしまい生活が苦しいから助けてほしいというがこれまでの仕打ちを覚えていた主人公はそれを拒否して追い返し、残された家族は惨めな生活を送る羽目になる。
- 別パターンとして、家では家族からのけ者にされたり召使いのように扱われているが外では善人ぶっている主人公の妹や弟の結婚式で同僚や友人の協力で作った兄弟や両親の悪行や愚行をスピーチやお祝いVTRで暴露して婚約者や親族などの怒りを買って結婚式が中止となり、家族はキャンセル料や慰謝料の支払いで極貧生活を強いられることになる。
- 障害者、もしくは持病持ちの主人公がバスに乗ると、席に座れなかった中年の女性たちが席を譲れと因縁をつけてきて拒否するとさらに言いがかりを付けてさらには運転手にバスから降ろせと頼むが運転手は彼女たちに降りるよう指示する。納得いかず抗議すると他の乗客たちも主人公の味方をして降りろコールを食らってしまい赤っ恥をかいた女性たちはバスを降りる羽目になる(主人公の危機を救った乗客から諭され、主人公を馬鹿にした発言や他の乗客に迷惑をかけたことを謝罪する場合もある)。
- 主人公の妊娠後に、主人公の夫が職場の先輩の証言やネット上情報から主人公の不倫と托卵を疑い、出産直後に子供のDNA鑑定を行った結果主人公との子供であることが判明し、真実を知った主人公が激怒して夫と半ば強制的に離婚。その後夫は家族や知人にも見捨てられて惨めな生活を送るはめになる。
- 別パターンとして、主人公が第一子を出産するが、主人公とその夫とは異なる血液型であったため、夫一家や主人公の両親から白い目で見られたうえ不倫と托卵を疑われるが、偶然居合わせた医師や看護師から「ごく稀に親世代からの遺伝で異なる血液型の子供が生まれてくる」と説明され、とたんに手のひら返しで主人公に仲直りを迫るも主人公は一切拒絶し、夫との離婚に加え主人公の両親も主人公から勘当され惨めな生活を送るハメになる。
- 生理は病気じゃないと言って体育の授業を休ませない体育教師のせいで途中で主人公は体調を崩して倒れてしまう。追及されても体育教師は自分の非を認めないが、女性である校長や教頭にこの件が知られてしまい体育教師は厳罰に処される。
- アレルギーをただの好き嫌いだと言い張る親類に無理矢理食材を食べさせられた主人公が病院に運ばれるが、悪びれる様子のない親類に両親と医者が激怒、厳重注意された挙句主人公の両親からも絶縁を宣言される。
- 主人公が結婚することを妬んだ兄弟姉妹や同僚、上司が結婚式を台無しにしてやろうと花嫁を誘拐してしまう。相手が主人公にこれで結婚式は台無しだなと高笑いしていると攫った花嫁が別人だったことが判明。しかも誘拐したのはヤクザの娘で、相手は落とし前として漁船に乗せられることとなった。
- 他にも、家族からぞんざいに扱われ家を出た主人公が結婚することになったが、家族が結婚式に呼ばれなかったことに腹を立てて結婚式場に乗り込んできてウエディングドレスをボロボロにしてしまうが、そのドレスは主人公のものではないことが判明。おまけに被害者は家族の上司の娘で、しかもドレスはレンタル品だったことが判明。結婚式を台無しにされて怒った上司に家族は解雇され、ドレスの弁償代や慰謝料の支払いの為に家や車、家財道具を全部売っても足りず、ボロアパートに住みながら必死でアルバイトする羽目になる、というパターンもある。
- 突然主人公の自宅に警察官がやって来て、主人公の身内に被害届、あるいは逮捕状が出ていると告げてくる。しかしその身内は加害・犯罪行為を行うのが物理的に不可能な状態であり主人公は困惑する。そのような食い違いが発生した原因は悪役側の主人公の家族構成のリサーチ不足が殆どで、そこからボロが出る形で最終的にその悪役が制裁を受ける。
- 被害届or逮捕状の対象となる人物が主人公の兄弟姉妹・親といった同年代以上の身内が対象なら、その人物は病気・怪我による寝たきりなどで外出できず、犯罪行為をするのが困難である。息子or娘が対象なら、生まれて間もない乳児であったり、そもそも主人公が妊娠中でまだ生まれてすらいないなどで、犯罪行為はおろか単独では日常生活すらまともに送れない状態である。
- 誰が悪役になるかは大きく二つのパターンがあり、悪意ある第三者が主人公を陥れるためにでっち上げの被害届を送り付けたというパターンと、訪ねて来た警察官は実は偽物で、示談金と称して金をだまし取る詐欺行為を働こうとしていたというパターンが主体である。
- 警察官以外にも弁護士からの訴訟や店側の支払い請求だったり、直接自宅には来ずに電話越しでやり取りするなど、このストーリーにも色々と派生がある。
- 主人公と友人たちが最近話題になっているバイキングレストランにくると店主にいきなり大盛りメニューを出され、「これを食べきったらバイキング食わせてやる」と無理難題を押し付けてくる。結局完食できずに店を後にした主人公たちはほかにも被害者がいると知るとみんなでこの店の真相をネットに投稿すると店の評判はがた落ち、しばらくして店を訪れると店はつぶれていた。
- 他にも、友人たちが実はかなりの大食漢で大盛りメニューを完食されてしまい、店員たちが慌て始める。実は以前からこの店は初めに大盛りメニューを食べさせてバイキングにたどり着かせず、料金だけ払わせるという詐欺まがいの行為で儲けていたことが判明。客たちから大ブーイングを受けてしまい当然店の評判は悪化、閉店に追い込まれるというパターンもある。
- 両親と一緒に暮らしている主人公が実家に戻って来た兄弟姉妹(およびその配偶者家族も含む)に「自分たちが実家で親と暮らすからお前は出ていけ」と告げられ、言われるまま家を出る。しかし数日経って、両親の貯金残高があまりにも少ないのを知り兄弟姉妹は驚愕する。実はその家の収入源は主人公の職に依存しており、職は自宅でも可能な在宅ワークあるいはフリーランスだが収入は並の企業を上回るほどであり、その事実を知った家族たちが主人公に復縁を迫るもこれを拒絶する。最終的に残された家族も収入減を失ったことなど諸々の理由でそれまで暮らしていた家を失い一家離散となる。
- 主人公は元々幼少期から両親から愛されておらず無関心を決め込まれていて、一方で出戻って来た兄弟姉妹は溺愛されている上、在宅ワークをニート扱いする等、主人公にとって家族との関係は初めから最悪とも言える状態であり、それもあって家族とは何の未練もなく縁を切る結末になるのが殆どである。
- 諸々の理由で家族と一時的に離れている主人公がビデオ通話で家族とやり取りしていると、家族の動きが不自然なことに気づき急いで家族の元へ向かう。そしてその原因となった出来事を解決する。
- 不自然な動きの理由は悪役に気づかれないようにこちらへ助けを求めるためで、主に縦読みや絵での表現・身振り手振りだったりと声を出さない手段である。そうせざるを得ない理由は子供が一緒にいるビデオに映っている配偶者から虐待を受けていたり、悪役に不法侵入されてビデオの見えないところに居座られているなど、そのままでは助けを呼ぶ声を大っぴらに出せないからである。
- 各種店舗や取引先等で受付担当の人物から待ってもらうよう指示を受ける、あるいは飲食店で注文を頼むが、いつまで経っても呼び出されず(飲食店なら注文が来ない)、それが担当の職務怠慢だと分かりその担当が制裁を受ける。
- 単なる職務怠慢以外の理由として、受付担当がもう一人の悪役とグルになっており、その悪役の悪事のために主人公を足止めする目的でいつまでも呼び出しをしないというパターンもある。
- 飲食店等での予約を無断キャンセルされるが、店側の機転やフォロー諸々でキャンセルによる損失を回避することに成功し、無断キャンセルした相手も相応の制裁を受ける。
- ストーリーとしては全く連絡をよこさないよりも予約時間間近になってから電話越しでキャンセルの連絡を入れる「ドタキャン」のパターンの方が多く、厳密には「無断」ではない事が多い。その性質上簡単に犯人の足が付く。悪役側はそれでも自分は支払う必要はないと高をくくっているが(自身の社会的地位の高さ、もしくはその地位の親族である事を根拠としているのが殆ど)、結局目論見は外れてキャンセル料を支払う羽目になる。
主な人物
語り手
所謂主役である。
非情な人間に振り回されたり、損な役回りをさせられる被害者としての登場が多い。悪人を当目で見る立場の場合もある。相手に抵抗して打ち勝つ時もあれば、耐え忍んでいたら事態が改善していた、という場合もある。
悪役
悪意を持つ身勝手な人格で、主役や周囲を陥れる人物。動画タイトルの文章や作中内の人物から「DQN」と称される事もある。一方、被害者との価値観の違いで衝突する場合もある。
立ち絵のあるVYOND・漫画形式では目つきの悪いいかにもな悪人面をした人物、あるいは派手な見た目で軽薄そうな雰囲気の人物であることが多いが、一見人畜無害に見えて悪行はかなり悪辣というパターンもある。
浮気や不倫をする、主役や彼らの子どもに殺人未遂の暴行を加える、不当に主役を解雇する、エリート、セレブを自称しマウントをとるなど傍若無人に振る舞うが、SNSや防犯カメラに証拠が残り上司や両親(主役にとっては義両親)、取引先などになじられる。命乞いや主役に謝罪する手のひら返しをするが、それまでの所業に激怒した主役の怒りを買うなど、因果応報の結末を迎える(逮捕、解雇、退学、左遷、降格になったり、多額の慰謝料を請求される、実家に強制送還され、監視下に置かれて家業を手伝わされるなど)。
後日談では引きこもったり家族から勘当されてホームレスになる、慰謝料を払うためにヤミ金に手を出し、返済のために昼夜問わず働くなど散々な目に遭っている。話によっては保身抜きで反省し、主役達と和解することもある。しかし中には主人公を逆恨みして報復を企てたりお礼参りを実行する悪役もいるが、大抵は事前に阻止されたり失敗して逮捕されたりする。
問題点の「過激化」の項目にも書いてある通り、言動は過剰なまでに短慮かつ軽挙妄動で、それは悪事を行なう際も変わらず悪事の証拠隠しも本当に隠す気があるのかと思うほど杜撰で、話によってはあっけなく悪事がばれる事も多い。
主役が事情を知らなかったとはいえ問題行動を取ってしまうこともあり、その場合は真相を聞かされて当事者(例としては低学歴を承知で家族のために働いてくれた兄弟や見下されても家族のために頑張ってくれた親など)に謝罪の上、和解する。
脇役
中立の役割を担うことが多く、主役の味方を務めて悪役への制裁に協力する役割を担う。
場合によってはやむなく悪役(主犯)の取り巻きになることがあるが、最後には反省して主犯を説得し、共に謝罪する。
初期は悪役として登場したキャラクターが、人気の上昇と年数の経過によって主役・もしくはどちらも務めることもある。
※具体例を挙げると主人公側のキャラクターだけでなく任侠や不良少年がその役割を担うことが多く、粗野な言動に違わぬ良識を弁えた人物として描かれ、主役の成長と悪役の更生に大きな役割を果たすことがある。
スターシステムについて
登場人物を固定しないチャンネルと登場人物を固定し、回ごとに設定や役回りが異なる「スターシステム」を導入しているチャンネルがある。
また、スターシステムにも以下のようなパターンがある。
- 男版主人公と女版主人公だけ固定している
- 主人公と悪役を固定している
- 善玉と悪玉の人物をそれぞれ複数用意し、主役と悪役をそれぞれ持ち回りにしている
- 複数の世界観(または世界観は同じで舞台が別)でそれぞれに固定の人物を設定している
当初は登場人物を固定しなかったが、その後スターシステムに移行する動画も多い。
スターシステムを導入する利点としては以下が挙げられる。
- 作る側が毎回名前や顔を考える必要がなくな
- 登場人物の立ち位置を把握しやすくなる
- 登場人物に感情移入しやすくなる
- 動画が終わっても次の動画を見ればまた人物を見られる
- 登場人物を介してチャンネルを覚えてもらったり新たなファンを獲得したりできる
欠点としては以下が挙げられる
- 設定や役回りが不定であるのが強みのはずが、過剰なキャラ付けが足枷となり役柄を却って狭めてしまう
- 人物が少ないと配役で不足するが、多すぎるとその分役柄が細分化され上記の問題の悪化に繋がりかねない
- 役柄を善悪で分けていると視聴者は過去の動画の行動を切り離して公平な目で見ないといけなくなる
- 人物設定にある程度の特徴が明確になると人物像がある程度悟られてしまい、ネタバレに繋がってしまう
- 人物の不幸や死による悲壮感、王道の大団円や更生による感動も次の動画での人物の再登場で削がれてしまう
中にはスターシステムとして利用していなくても登場人物の顔と名前を毎回考えるのが大変で、主人公だけは固定したというパターンも少なくない。その場合「いつの間にか主人公の名前が毎回同じになっている」という流れになる。また、当初はそうであっても徐々に登場人物を増やした結果、登場人物の個性を掘り下げたり、最初から個性を持った人物を登場させたりする余裕が出てくる。
逆にシステムを導入した場合、登場人物のイメージに合わない立ち位置を与えない注意が必要になる(特に急に悪役をするなど)。
システムの導入により、登場人物の個性を描くために本編とは関係のない描写が増え、視聴者から敬遠されるパターンがある一方、登場人物の魅力が浸透し、個性の描写をもっと見たい、題材が何であっても関係ないというところまで達するパターンもある。また、このことは同じ題材を扱っていても他チャンネルとの差別化の手助けにもなる。
ただし、長らく登場人物を固定していなかったチャンネルで突然導入すると拒否反応を示したり、導入前を懐かしむ声が上がったりする。最初は主人公の名前を固定するだけ、あるいは下手に個性を掘り下げようとせずシステム導入前の脚本に人物を当てはめただけ、という状態からスタートしたチャンネルは移行が成功しやすいのに対し、安易に他チャンネルの真似をしようとする、手っ取り早く人気を得ようとして本編とは関係のない描写を増やすなどの対応をしたチャンネルは失敗しやすい。
ここまでの事情を考慮して、スターシステムと登場人物を固定しない動画を併用しているチャンネルも存在する。
いずれにしてもスカッとする話におけるスターシステムは動画時間を間延びさせず、ちょっとしたやり取りで登場人物の魅力を引き出す手腕が必要となる。
モヤっとする・イラッとする話
先に挙げたように、「スカッとする」として投稿されていながら、問題の根本的な解決に至っていなかったり、「やられる側(≒善役側)」の主人公にも問題行動が見られたりといった部分から「スカッとしない」・「モヤっとする」・「イラっとする」という感想を抱かれる作品も存在する。
あくまでどのような感想を抱くかは受け取り手の主観によるが、以下のようなキャラクターの言動やストーリー展開などが「モヤっと」として取り上げられることが多い。
主人公の行動に問題がある
例:悪役に手を出されたが、その動機は過去に主人公が故意にした心無い行動が原因だった、など。
※直接悪役の悪事とは無関係でこそあるものの、悪事が判明する前から悪役を蔑ろにしていたり敬意がない、二枚舌・大きな子供などそもそも主人公の性格にも問題がある、特に酷い場合は置かれた立場が違うだけで本質は敵対している悪役と何ら変わりない人物であるケースや、挙句には(下記の「被害を回避しようとしない」主人公はまた別問題として)主人公・悪役どころかそもそも真面と言える人物が誰一人として居ない、所謂「登場人物全員キチ」のケースもある。
※特に性質の悪い主人公だと散々悪行の限りを尽くしながらも自分の立場が悪くなった途端、自分の行動は棚に上げてあたかも悪役から手出しされたかの様に被害者面をする、再び立場が逆転してマウントを取る等、ヘタな悪役よりもよっぽど悪役じみている主人公も居る。
主人公側の地位・立場の方が実は高かった
例1:実は自身が(あるいは自身の配偶者・親族が)社長・オーナー等の立場の高い地位だった。
例2:ひょんなことから助けた相手が悪役の上司にあたる人物だと後に判明し、その人からの恩返しという形で悪役から助けてもらう。
「序盤では立場が低い主人公が立場が高い悪役にあらゆる形で理不尽を強いられるが、中盤以降に立場が逆転して結果悪役が破滅するというのが基本的な流れとなる」と冒頭で述べたが、
その立場の逆転の手法として、実は主人公(もしくは協力者)の方が悪役よりも高い立場だったと明かされるという展開も多く、その場合は本当の意味で立場が低いとは言い難い。そのためこの設定だと元から立場の高い主人公側が、そうとも知らずに身の程知らずな言動をとる立場の低い悪役を自身の地位を利用して成敗するだけになりがちで、結局問題解決には悪役より更に高い地位や立場(およびそのような人物とのコネ)でねじ伏せればいいというオチになるのもモヤっとする理由として大きい。
とは言え、周りに隠していただけで実は地位が高かったという設定は往年の勧善懲悪をテーマとした時代劇でも使い古された手法であり、
それらと同じく実際の立場が高いからと言って普段から傲慢な態度を取ることはしないなど、悪役と異なり周囲からの印象は良好である事が殆どである。
報復の度が過ぎている
例:自分自ら悪役の命を脅かす、悪評を流す、虚偽の被害を申し出るなど、主人公が犯罪者となるような報復をする、主人公自身や主人公の身内が悪役の勤める会社の重役(社長・会長など)だった場合(通常なら減俸や出勤停止程度で済むようなやらかしに対して)私怨たっぷりの報復人事で左遷・降格・解雇する、悪役の会社の取引先の重役という設定なら、(悪役憎しの)感情で取引を停止し、悪役以外の従業員のことなどお構いなしに悪役の会社を倒産に追い込む(まともな従業員は自社で引き受ける、または就職を斡旋するというパターンもあるが)、主人公が悪役である妹の彼氏の前で妹の愚行を暴露して妹の結婚を破談に追い込むも、親の逆鱗に触れ主人公が理不尽な返り討ちを受けた挙げ句家族から勘当され、家を追い出されるなど。
※「妹の愚行を暴露~」の後日談として、数十年後に学生時代の親友と久々に再会した際、親友から主人公が家を追い出されたあと妹が別の男性と結婚して子供が産まれたことと妹がガンでつい最近亡くなった事実を初めて知り、主人公もネット上の情報から「そろそろ親が介護を理由に自分との勘当を撤回して自宅や職場に凸撃してくのでは」と心配して今の仕事を辞めてどっか遠い所に引っ越すことを本気で考えるというオチがほとんどである。
収入・住居を失いホームレス化
心身に問題がないにも関わらず最初から労働意欲がない悪役が家を叩き出される事もあるが、主人公の報復の結果失業して収入を失うケースが同じくらいに多い。この場合、悪役側に勤労意識がまったく喪失しているわけではない。生活保護って何。
報復が不十分のまま終わる
例1:人の命や人権を侵害した悪役が非を認め、主人公が無暗にそれを許した。など
(特に悪役が取り返しのつかない事をした、主人公以外の人物にも被害が及んでいるにも関わらず主人公一人の匙加減で償うべき罪をなかったことにしたこと、他にも明らかに保身の為の形だけの謝罪などが重点。)
※ただし改心END自体は本来は全員が幸せになる、なれる可能性がある、良い終わり方である。
※あるチャンネルでは「主人公を散々利用した悪役が危機的状況に陥り主人公に縋るも主人公は悪役を見捨てたが、それでも尚主人公の溜飲は下がらなかった」有名なエピソードを上記の様に改変した動画を投稿しており、加えて改変しているにも関わらず実話と銘打っていた為に低評価と批判コメントが殺到する事態となった。
※特に「主人公以外にも〜」の話は上記の「主人公の行動に問題がある」にも該当しており、主人公一人が悪役の弱みを握って優越感に浸り、主人公以外が受けた被害には一切考慮していなかった為に「主人公も結局自分の事しか考えてない」「これまで被害を受けた人達は泣き寝入りか」と批判されていた。
例2:複数人で悪事を働いてたり悪役の肩を持っていた場合、主犯だけが悪者扱いされ、他の悪役や取り巻きには何の報いもない。
※更に性質が悪いと悪役の味方をしていた人物が謝罪や贖罪どころか反省もせず、掌だけ返して主人公サイドに着く・主犯に八つ当たりするケースもある。
※主人公サイドに着く場合、その時点で今更感が強いタイミングで着く事が多く、当然視聴者からは煙たがられたり拒絶される。時には掌返した人物も悪役と同罪で報復するべきだと言う声も挙がる。
※また、下記の「報復する相手を間違えてる」にも書いてある通り、逆に実行犯だけが制裁されて黒幕は誰か分かっていながら何の報いも受けないパターンもある。
例3:悪役の自滅で満足し、主人公側は制裁をしなかった。
※但しこの例に該当するのは莫大な金額相当の被害を被った、学校に行かせなかった・心身を削る仕事に就かされた・大怪我や自殺未遂で入院した・果てには本当に死亡した等の人生を狂わされた・潰されたにも関わらず悪役に搾取されるだけされて話が終わるケースである事が条件。
また、製作者の判断で「動画時間を抑える」「悲惨な描写を割愛する」などの理由で報復の有無がわからないまま終わりを迎えた場合も視聴者からは同様の反応を示される。
最後の最後で悪役に逆襲される
稀なパターンだが主人公自身またはその家族が逆恨みした悪役にお礼参りされケガさせられたり最悪命を落とすバッドエンドを迎えるケースもある。
※類似ケースとして主人公が悪役を撃退し、悪役に虐げられてた人物を助けたが、実はその人物は第二の悪役とも言える人物であり、主人公の人柄に漬け込み陥れる、主人公と関係のある権力者だった場合は自身の権威を脅かされる猜疑心から主人公を組織から追放するなど最終的に恩を仇で返されるケースも存在。
報復する相手を間違っている
例:本当に既婚者と知らなかった浮気相手、悪役に脅され手を出した相手だけを報復をする、悪役と間違えてヤクザや半グレに報復するなど。
※本当に既婚者と知らない場合は下記の「法的にあり得ない展開」にも該当し、本当に報復しようものなら逆に自分が訴えられる側になってしまう。
※脅されていた場合、上記の「報復が不十分」の例2に該当する形で脅していた主犯を誰か分かっていながら何の制裁や報いがないケースすらもある。
法的にあり得ない展開
例1:現実的に考えれば裁判で明らかに主人公が不利な立場なのに勝訴、逆に有利な立場なのに敗訴する
※前者は終盤に多いが上記通りそもそも作り手が法律を理解していない可能性が高く、後者は序盤・中盤に多く話を盛り上げる為に引き延ばしてるものと思われる。
※但し、自身の裁量で判決を下せる裁判官が主人公に親身であった・逆に悪役に肩入れしていた等の説明がある場合はこの限りではない。尤も、後者の場合にこの説明があった場合は裁判官にもヘイトが向けられるのは言うまでもなく、上記の「報復が不十分」の例2にも職業柄、必然的に該当する(法律上、誤審や悪人への肩入れを理由に裁判官を処分に下すのは不可能)為ますますタチが悪い。
※後者の稀なオチとして、裁判で主人公に浮気の罪を擦り付けた悪役の妻が健康診断である性病に感染していた事が判明し、浮気相手が感染源と知って主人公との復縁を迫るも、主人公に見捨てられてしまうなど。
例2:裁判所を挟んでいるのに法外な慰謝料・養育費を支払わせられる。
※支払う側が裁判に出廷しなかった、前者の場合は悪質性が高い事が説明されている、そもそも裁判所を挟まない示談などの場合はこの限りではない。
托卵児の処遇
こちらは「モヤッと」と言うよりも、この話に展開した以上はどちらに転んでも賛否両論になりやすい話である。
例1:血の繋がりがないと知った途端、妻子共に追い出した。
※托卵児が物心がついた頃合いだと男性主人公が余程托卵児に対して葛藤する描写があるか、気付いたのが産まれる前・産まれて間もない頃の「嫡出否認届」が効く、取り返しがつく期間内である場合でない限り、主人公は少なからず批判に晒されてしまう。
※このケースの多くの動画は血の繋がりがない事を知っただけであっさり捨てる事を決意するパターンが多く、主人公の人物像を「元から大して子供を愛しておらず、愛情よりも血縁で子供を見ていたサイコパス」とも受け取れる。また、捨てた時に「愛情はない訳じゃないけど〜」と言った八方美人な独白が見られる場合もあるが、捨てた行動こそが大して愛してなかった何よりの証拠と見れる。
※ 更に「親子関係不存在確認の訴え」や「嫡出否認届」を裁判所に提出する、正式な手続きを経ていない動画が多い為、多くの主人公は養育費や遺産の問題を抱えたままとなってしまっている。尤も、後者は兎も角として、前者は托卵児だと言う理由だけで手続きが通るハードルも高過ぎるのも事実なのだが…。
※托卵児が主人公に悪態をつくケースもあるが、こちらは血縁の有無以前に「主人公は普段から子供の面倒を見ていなかったのでは?」「子供の世話の大半を不倫していた妻・義両親に丸投げしていたのでは?」と(悪態をつくのはこれまで主人公が躾をして来なかった結果と見られて)主人公も育児をサボってた疑惑を向けられやすい。主人公による、托卵児が悪態をついてない頃の過去の回想シーンや「俺の方が育児をしていた」等の独白が入る事もあるが、あくまで「主人公の主観」であり「自身を美化した偽りの思い出に陶酔している」だけと見られて、やはり先述を疑われてしまう。実際に被害者気取り一辺倒の主人公本人は自覚してないものの、上記の「主人公の行動に問題がある」にも該当する形で明確にこの部分が描写されている動画が存在している。
※子供が幼い兄弟や姉妹で、片方が主人公の実子・もう片方が托卵児だった場合、裁判で主人公は実子だけの親権を主張・親権を得る動画が存在するが、こちらも上記の「法的にあり得ない展開」の例1に該当する。ただでさえ一般的に母親が育児に携わる割合が高い以上、親権で不利になりやすい父親が托卵児の親権を放棄するのは「兄弟(姉妹)不分離の原則」が適用されて実子の親権すら放棄するも同意味であり、更に戸籍上は実子のままである托卵児を「差別する父親」に実子だけの親権を渡す事は絶対と言って良い程あり得ない事である。
例2:托卵児への愛情は消えなかった為、離婚はしたが托卵児は主人公が引き取った。
※こちらの例で批判が起きないパターンは「托卵児が血縁の有無を知った上で、托卵児自身がはっきり物事を決めた」ケースしかない。
※批判する視聴者は「養育費と遺産」、「思春期以降の態度」を懸念しているが、前者は親権を放棄すれば全部から逃げられると勘違いしている節が見受けられる(上記通り手続きもしなければ逃げ切る事はほぼ不可能)。後者に関しても上記通り親としての向き合い方の問題が強く、それは同じ立場になった場合の(批判する)視聴者の意思が弱いだけでは?と見れる。
親権問題に関する例外
子どもが満15歳に達している場合は、その親権を父母どちらに帰するか子ども自身の判断が尊重される。
実態例としては、それ以下でも裁判所も子ども自身の意見を聴取した上で判断する場合も多い。上記に「兄弟(姉妹)不分離の原則」と書いたが、実際に子ども自身の意思で他の兄弟姉妹とは別に母方の親権に残ったがために虐待を受け死亡に至った事件はある。
西淀川区女児虐待死事件(2009年):Wikipediaの記事には被害女児が死亡に至った経緯しか書かれていないが、被害女児の双子の姉は虐待が始まって早期に実父が保護している。が、被害女児は自身の意志で実母宅に残った。検索すれば当時の2ちゃんねるのログや週刊誌の回想記事などがヒットするが、かなりの胸糞案件なので要注意。なお当時、実母と内縁の夫を殺人罪で起訴しなかったことで大阪地検は社会からかなり強いバッシングを受けた。
すぐ海外に逃げる
日本人で、普通に生活していてWebを利用している多くの人間をイラッとさせるオチ。現状が理想であるなどとは到底言うつもりはないが、実態として日本ほど税率に対して社会保障制度が充実している国はほとんどない。
よく主人公を成功者として飛ばせたがるアメリカなどは基本的に自己責任の国だから、向こうで解雇されても誰も責任は取ってくれないし、それどころか911ですら任意で保険に加入していないと後々の請求で行き倒れる、なんてそれこそ珍しいものではない国である。さらに銃社会であるため日本の空き巣よりはちょっと少ないか程度の頻度で発砲事件が起きる(日本で報道されるアメリカの銃乱射事件は、銃の絡んだ事件・事故の氷山の一角である)。
アメリカほど極端ではないにしても、一点だけを見て日本より快適な国であるかのように書くが、大半は現実を知らない理想論で終わっている。なぜ高税率と言われながら日本の資本家は日本から出ていかないのか。
これは上に挙げた通り脚本家の認識が不足している例と言えよう。
被害を回避しようとしない
例:警察・労基などに相談すれば最初の被害で済むのに我慢、その後も被害を受け続けた。など
(物語の最後に回避できる報復を受け続ける悪役に当てはまる場合も)
相談しない理由としては下記のパターンがある。
親や配偶者に心配をかけたくないから被害を相談しない
殊勝な考えではあるが、それに固執して「どうすることが最善か」という考えが抜けているなど、基本的に主人公の独りよがりな考えでも判断な事が多く、むしろ心配をかけたくない人に対する裏切りでは?と受け取られることもある。
相手に強く出られて言い返せず相手の非常識な要求を聞き続ける
気弱な主人公が暴力に屈し言うことを聞き続けるなど、性格のことなどは強く言うものではないが、そのことを含めモヤモヤする原因にも。
※また、類似ケースとして言い返せず、上記の「報復する相手を間違えてる」にも該当する形でその相手とは違う人物に八つ当たりするケースもある。
騒ぎを起こしたくないから引き下がる
家に警察が来ると近所で噂されるから、店内で揉めて他人に噂されてるからその場を去る、など。
引き下がると主人公側が悪者に見られたり、警察を呼ぶことで原因究明ができるのに、見栄の為にそれをしない主人公に疑問を持ってしまう視聴者も。
頑として119番通報(救急)を使わない
2つのケースで多く、1つ目は「主人公が産気づいた妊婦」、2つ目は「子供の急病に対して地元の開業医に執拗に診察を求める」。
前者については、日本には助産婦による出産の時期から、安定期頃から妊婦の様子を知っている助産婦・産院に頼る風潮があり、119番通報ではなく自家用車やタクシーで向かう場合が多い。
だが、これは以下の4つの要件を満たしている場合の行動と言える。1つ目に破水したがまだ陣痛がそれほど強くなく、妊婦がある程度動ける事。2つ目にすぐ動かせる(公道走行可能な)自家用車がある事。3つ目に普通自動車運転免許証をもつ介添者がいる事。4つ目に当該の医療機関の通常診察時間である事。
タクシーだが、時間帯によっては断られることも多い。東京23区内ではあまりないが(ただし、深夜はこの限りではない)、地方ではどこの会社でも断られるというケースがよくある。当節の執筆者の居住地である茨城県土浦市の場合、地場系の小規模タクシー会社は迎車を断らる事があり、茨城県南~県西地区に広域展開している私鉄系の関鉄タクシーは完全に断ることはまずないが、「すぐに来てくれ」と言っても配車状況によっては20~30分待たされることもある。この間に状況が急転する可能性は充分に考えられる。
妊婦が自分で自家用車を運転して向かうのは御法度である。最悪、自分と胎児の命だけでは済まず、無関係の人間の命まで奪いかねない。
医療機関の通常診療時間外に押しかけても、急に対応できないことが多い(例外は、その医療機関が救急指定の総合病院で、その中の産婦人科で健診などを受けている場合)。何らかの要因で帝王切開に切り替える必要などが生じると、開業医程度では対処できず、外科のある救急病院まで結局救急車、という事になり、単に時間をロスして状況が悪化する。
後者は論外。確かに医療従事者には助命の義務がある。だが同時に、医療従事者も人間である。医療従事者にとって医療行為は労働なのであって、地元開業医にオーバーワークを強いるのはその方が外道である。また診療時間内であっても、急患だと言って割り込めば、結局他の患者にストレスを強要することになる。何のための救急医療なのか。
また、高熱を発して脱水症状になりかけているような子どもを自家用車等で連れ回すなど、これはもう児童虐待、ネグレクトの類と言って差し支えない。
特にLINE形式の動画の場合、手元にスマホがあるんだからLINEなんか長々やってねぇで119番しろ、となるのは当然なのだ。
離婚した相手の証拠固めと言って児童虐待・ネグレクト状態にある子どもに我慢を強いる
ネグレクトは日本において保護責任者遺棄罪(刑法第218条)と言って立派な犯罪であり、その事実がわかっているなら即110番通報事態である。また現在では児童虐待専用の緊急ダイヤルとして189番が設置されている。
刑法第218条における保護責任の定義は先行行為によるとされていて、これに基づくと親権を持っていない側にも保護義務が生じていると考えられる。つまり、これを刑事事件とした場合主人公側ももれなく共犯となって3年以上5年以下の懲役となる。なお、刑法第218条は非親告罪(被害者からの告発がなくとも検察の判断で起訴できる犯罪)である。
逆に、保護する目的で自宅に連れ帰ったりしても、それが実子であるか、その時点までに法律上の親子関係が(過去に遡って)成立していた場合、正当防衛(刑法第36条)もしくは緊急避難(刑法第37条)と見なされ、罪は免じられる可能性が高い。刑事事件に発展する状況の場合は、まずは子どもの保護、その後に警察や弁護士に相談するべき。
なお、刑事事件全般に言えることだが、日本では明文化はされていないものの、刑事裁判においては慣例的に被告人の法定代理人無しでの裁判は行わないことになっている(国選弁護人制度)。
事態を軽視している
悪役の悪事を自分の目で見たり自分も仕打ちを受けたり、周囲の人から相談されているのに「別の用事が優先だから」「〇〇がそんな事をする筈がない」「みんなも我慢して通ってきた道だから」などと問題に向き合わないケース。
他にも悪役のターゲットにされ、一度突撃されたり盗みに入られており、住処を知られているのに「もう来ないから」と決めつけて引っ越しや対策をしない、など。
但し、主人公以外の人物(特に多いのが女性主人公の夫、次に多く有名な話もあるのが主人公の両親及びいずれかの親)が上記の対応を取った場合、主人公に悪役と同罪と見做され、悪役諸共制裁されるケースが大半となっている。
とはいえ、上手く立ち回った結果、簡単に事態が収束してしまっては盛り上がらないという側面がある。これについては「盛り上がりがないと面白くない」という意見と「無理矢理盛り上げるために引き延ばすくらいならサクっと終わらせてしまった方がいい」という意見が存在する。
特に後者については自白+LINEのスクリーンショットという悪役を撃退するのにこれ以上はない証拠が取れているにも拘わらず、ダラダラと理不尽かつ不愉快なラインに応じ続け、何とか諭そうとする主人公の方にイライラするという意見もあり、この辺りのバランスの兼ね合いが制作側の腕の見せ所、といえるだろう。
製作者はもちろんスカッとする話を作っているが、
「ここまでしなくていい」「ここまでしなきゃスカッとしない」
「主人公が幸せになって欲しい」「悪役にひどい目に合ってほしい」
など考えは人それぞれ、自分がスカッとしないからと批判することは絶対に避けるように。
最後に
本記事で述べるようにチャンネルもストーリーも無数にあるコンテンツであるが、以下の点にも注意を向けた方が良いだろう。
1.語り手の行動が適切か考える
上記でも述べたが主役やそれに味方する人物だからというだけで善人あると絶対視してはならない。問題に対して真剣に向き合わない、過剰な制裁に及ぶ、相手のことを考えない身勝手な性格など、主役にも反省すべき点のある人物の場合もある。掲示板に書き込んだ人物が主役と同じならば、その人物が自分を客観視できていなかったという事もあり得る。また、主役に感情移入して視聴すると贔屓目に観てしまうこともある。親しい友人の話す根も葉もない噂を信じて、無実の人を叩く野次馬の状態をイメージするとわかりやすいだろうか。公平に見て善悪を正確に判断するのは難しいが行動を見て考える癖をつけることは大事である。
2.悪役の何がいけなかったか理解する
悪役のふるまいの問題点も考える必要もある。主役に悪いことをしたから、嫌がらせをしたからといった理由だけでも良いときもあるだろう。しかし漠然とし過ぎると「それは主役が相手を気に入らなかっただけではないか」という反論も出かねない。相手の実力や結果を理解しようとしなかった、自分の価値観だけを他者の意見を聞き入れず押し通した、暴力を振るい怪我をさせたなど何の行動や考え方が悪かったか説明できることが望ましい。そうすれば悪しき人間の一つ一つのパターンを知ったり、視聴している己の悪いところに気づけたりするときもあるだろう。あるときには、悪役とされた人物の事情や境遇に同情するときもあるかもしれない(もちろん悪事を許せるかは別である)。
3.ストーリーが実話と信じ過ぎない
ストーリーの出所にも気を付けなくてはならない。チャンネル側の創作も十分考えられる話である。またチャンネル側に落ち度がなくても、掲示板などの引用先の内容が作り話だったという事もある。書き込んだ人物でさえ事実や真相を把握していない、噂を耳にしただけである場合も起こりえる。そう言ったことが現実に起きたというよりは、そういう事も起こりえる話だといった程度に考えたほうが無難である。このコンテンツは人々の日常に限りなく近い都市伝説ともいえるのだ。またチャンネルが全てノンフィクションと明記していなければそのチャンネルを非難するのは控えておこう。
4.ネタ被りは当たり前のように起こる物
各専門チャンネルはチャンネル間で交流がなければ、連盟、組合といったものがないことがほとんどである。そのため一つの引用先の物語が無数のチャンネルで動画として作られてしまうことが頻繁に発生する。その時に「このチャンネルは別のチャンネルから剽窃した」とコメント欄にクレームを入れてしまう視聴者がまれに存在する。このコンテンツの性質を理解しているならば、一方のチャンネルに文句は言えない筈である。頭に血が上る前に立ち止まって考えよう。文句を言えるのは無断でチャンネルに利用された掲示板の書き込んだ者くらいであろう。
一方で上記にも書いてある通り、同じ元ネタの話でも絵や作風・細かい描写の違いを比べてみるのも醍醐味だろう。
ただし。後発側がプレミアム公開など金銭的なやりとりが発生しうる場合は、投稿する側もどうしても顰蹙を買うのは覚悟の上でやるしかないだろう。
5.人間不信に陥らない
上のストーリー例でも述べた通り残忍かつ非情な悪人が登場するのは避けられないコンテンツである。SFやファンタジーの悪役と異なり、かなり現実味のある生々しい蛮行も少なくなく周囲の人間が信じられなくなる人もいるかもしれない。しかし世の中そのような悪辣な人間ばかりと思わないでほしい。衝撃的な出来事こそニュースとなり掲示板に載り、人々に注目されているのである。他人事と済ませるのも良くないが絶対にある当たり前と考えすぎるのもいけない。家族や友人が悪人ばかりかと言えばそうでない人の方が多いだろう。周りがそうである人も確かにいるがその場合は警察やカウンセリングなどに頼るのも手である。このような悪人がいる、これはやってはいけないことだ、などと教訓にする程度が丁度良いと言える。
主なスカッとする話専門チャンネル
- VYOND方式
詳細はスカッと系チャンネル一覧(VYOND)を参照。
- 漫画方式
- アスカちゃんの逆襲
- アンズの森とナツの夜
- いぬパンダCOMIX
- エトラちゃんは見た!
- 鬼滅の仕事人
- 公式なんで
- 進撃のミカ
- セカイノフシギ
- ソプラノ漫画
- 七夕ドロップ
- 暇くまラボ
- ぽぽん東西
- 毎日ショコラ劇場
- マニマニピーポー・俺はアントン(旧名:2代目マニマニピーポー)
- 漫画アパート皐月荘
- 漫画エンジェルネコオカ
- マンガ戦隊スカッとレンジャーZ(旧名:パラノーマルライブラリー)
- 漫画ぷらーざ
- モナ・リザの戯言
- line方式
- アンフェア大学
- ダメてんちゃんねる
- LINE_EARTH~松原もえの通信録~
- しゅらまるline
- エキパソ(エキセントリックパーソンの略。2021年11月現在、更新停止中)
- ぴっとく(スカッと話のみではなく、感動系も扱っている)
- 話題のLINE
- ミドリのネタ帳
- ミドリサンバ
- line劇場
- lineサロン
- 疑惑のパンドライン
- 東京lineストーリー
- スッキリLINEなう(要所ではVYONDも取り入れている)