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遠山の金さん

とおやまのきんさん

『遠山の金さん(とおやまのきんさん)』は、江戸町奉行・遠山金四郎景元を主人公にした、陣出達朗の時代小説及びそれを原作とする時代劇。本記事では主にNET~テレビ朝日にて放送されたドラマ、及び原形となった劇場映画『いれずみ判官(はんがん)』シリーズについて触れる。
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概要編集

江戸町奉行・遠山金四郎景元が身分を隠し、遊び人の「金次」に扮して江戸の町に蔓延る悪人の悪事を暴き、法の下で裁く痛快時代劇。

作品のハイライトが殺陣シーンでは無く江戸町奉行の業務としての裁判シーンである為、首謀者格であっても悪党達が無闇に殺害される事は基本的に無い珍しい作品(判決上で死罪を言い渡される事は多いが、実際に刑死のシーンが描かれる事はない)。

ほとんどの作品では、景元は北町奉行として登場するため、裁判シーンの開始は、

北町奉行・遠山左衛門尉様、ご出座〜!

となっていることが多い。


背景編集

遠山景元の、キャラクターとしての映像デビュー作は1938年に公開された片岡千恵蔵主演、日活制作の映画『弥次喜多道中記』とされる。しかしこの作品はいわゆる「金さん」ものではなく、十返舎一九東海道中膝栗毛』の主人公コンビ・弥次さんと喜多さんがお互いの素性を知らない若き日の景元と鼠小僧であったなら…という設定のIFものであった。


現在に連なる「金さん」のフォーマットが確立した最初の作品は、同じく片岡を主演に迎えた東横映画(合併を経て現在の東映に)制作の映画『いれずみ判官 桜花乱舞の巻』である。

『いれずみ判官』は12年に渡り計18作が作られる人気シリーズとなったのだが、「金さんの生みの親」というイメージの強い陣出達朗の原作者としての初登板は第8作『喧嘩奉行』で、郷田悳子母沢寛川口松太郎に次ぐ4代目となる(「原案」として小国英雄がクレジットされた事はある)。その後は第15作『江戸っ子判官とふり袖小僧』を除く全作品(通算10作)で原作者を務めている。


…のだが、実は1957年に初めて30分ドラマ化された際に原作者としてクレジットされたのは山手樹一郎であった。山手原作はその後2本の30分枠作品、1本の60分枠作品(市川新之助=後の十代目海老蔵主演・NTV系放送)と続き、中村梅之助が主演した東映制作・NET(現・テレビ朝日)系放送のTVシリーズ第1作において陣出が初めて原作者クレジットされる。劇場版最終作から実に8年のインターバルを経て、満を持しての登板となった。

以降、市川段四郎橋幸夫杉良太郎高橋英樹松方弘樹松平健らの主演作品へと続く、この一連のシリーズが本流の「金さん」としてファンの間で認知されていくのである。

特に松方弘樹は10年に渡って金さんを演じ続け、彼を代表するシリーズの一つとなっており、金さんというと真っ先に彼を連想する人も多い。


劇場映画シリーズ一覧編集

シリーズ名としては『いれずみ判官』。全作、片岡千恵蔵主演。

通算No.タイトル制作年監督原作備考
1いれずみ判官 桜花乱舞の巻1950渡辺邦男郷田悳※1
2いれずみ判官 落花対決の巻※1
3女賊と判官1951マキノ雅弘萩原遼(小国英雄)※2
4お馴染み判官 あばれ神輿萩原遼※3
5飛びっちょ判官1952渡辺邦男子母沢寛
6血ざくら判官1954(なし)
7勢ぞろい喧嘩若衆1955佐伯清川口松太郎
8喧嘩奉行佐々木康陣出達朗※4
9荒獅子判官
10長脇差奉行1956小沢茂弘
11海賊奉行1957深田金之助
12はやぶさ奉行
13火の玉奉行1958
14たつまき奉行1959マキノ雅弘
15江戸っ子判官とふり袖小僧沢島忠(なし)
16御存じいれずみ判官1960佐々木康陣出達朗
17さいころ奉行1961内出好吉
18さくら判官1962小沢茂弘※5

※1:2作で前後編の扱い

※2:東横名義での制作最終作

※3:東映名義での制作最初作(本作のみエノケンプロとの共同)

※4:陣出参加の第1作

※5:2016年時点で、片岡主演作としてのみならず「金さん映画」としても最終作


TVシリーズ一覧編集

下表は全て東映制作・NET⇒テレビ朝日放送となる。

それ以外の登場作品については遠山景元の記事を参照の事。


通算No.タイトル主演放送時期話数備考
1遠山の金さん捕物帳中村梅之助1970年7月~1973年9月169日20
2ご存知遠山の金さん市川段四郎1973年10月~1974年9月51
3ご存じ金さん捕物帳橋幸夫1974年9月~1975年3月27※1
4遠山の金さん杉良太郎1975年10月~1977年9月101木20※2
51979年2月~10月30
6遠山の金さん高橋英樹1982年4月~1985年9月156木20
7遠山の金さんII1985年10月~1986年9月42火21
8名奉行 遠山の金さん松方弘樹1988年4月~1988年11月23木20
91989年5月~1989年11月24
101990年7月~1991年3月27
111991年11~1992年7月26
121993年3月~1993年12月31
131994年6月~1995年1月23
141995年9月~1996年3月21
15遠山の金さんVS女ねずみ1997年2月~7月20土20
16金さんVS女ねずみ1998年3月~10月22※3
17遠山の金さん松平健2007年1月~3月9火19

※1:近畿地区における毎日放送でのOA最終作。

※2:近畿地区における朝日放送でのOA、また基幹局クレジットが「NET」から「テレビ朝日」へ変更(1977年4月より)された最初作。

※3:本作に続く『暴れん坊将軍』第9シリーズを以て土曜20時台時代劇枠が終了、『金さん』も長らく休止へ入る。


漫画作品一覧編集

  • 金四郎無頼桜

時代劇漫画の専門誌の一つ『刃』(小池書院出版)にて連載されていた、永井豪ダイナミックプロによる漫画版。


  • 桜奉行 遠山金四郎

ごま書房から独立し電子書籍を中心に事業展開しているゴマブックスで配信されている。原作は東史朗(西脇英夫)、 作画はももなり高が担当。


定番のシーン編集

被害者「金さんなら…遊び人の金さんがこいつらの悪行を見ております!」

遠山「ほぅ…その『遊び人の金』とやらが証人であると申すのだな?」

悪人「お奉行様、そのような者がどこにいますかな?もし本当に居るのならば今すぐに出してもらいたいものですな!」

悪人共「そうだそうだ!出してみろ出してみろ~!」


遠山「じゃかましぃ!!…おうおうおうっ!!黙って聞いてりゃ言いたい放題しやがって…そんなに会いたいなら会わせてやるよ!」


この遠山桜…

今まで有難う。安らかにお眠り下さい。


悪人共「( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)」


余談編集

遠山景元の記事でも触れている通り、テレビ朝日以外でも「金さん」の活躍は描かれているのだが、実はテレビ朝日の金さんが他局に出演した事例がいくつかある。


その1:『伝七捕物帳』1973年版(日本テレビ)

原作者は金さんと同様に陣出達朗。中村梅之助が主人公・黒門町の伝七との二役で演じた。第1話放送日はテレ朝『金さん』第1シリーズ最終回の2日後だった為、視聴者は「あの金さん」がそのままスライドしてきたかのような感覚を味わう事になった。


その2:『そば屋梅吉捕物帳』(東京12Ch)

こちらも梅之助が主人公・梅村源之丞との二役で演じた。既にテレ朝版では4代目・杉良太郎が登場していた事もあり、前例のような混乱は起こっていない。


その3:『新五捕物帳』(日テレ)

原作者は金さんと同様に陣出達朗。スペシャル版「大江戸桜吹雪、八千両の舞」において、杉良太郎が主人公・駒形の新五との二役で演じた。一応は降板後の事であった前二例と異なり、なんと今回はテレ朝版放送中の出来事である。当時のテレ朝・日テレ両局の関係に例えるならば、アントニオ猪木全日本プロレス中継に登場するレベルの大事件であり、視聴者に与えた衝撃は相当なものであった


その4:『伝七捕物帳』2016年版(NHK)

唯一、二役ではない事例。黒門町の伝七は梅之助の実子・二代目中村梅雀が引き継ぎ、遠山景元はテレ朝版最終作を担った松平健が演じている。


関連動画編集

中村梅之助


杉良太郎


関連タグ編集

遠山景元 時代劇 奉行 桜吹雪

遠山の金さん(楽曲) 華のうちに


東京駅···八重洲口に、史実で景元も勤めていた北町奉行所の跡地を示す石碑があり、景元についても言及されている。なお景元はのちに南町奉行も務めたが、有楽町駅近くにある南町奉行所跡の石碑ではこれについて特に言及されていない。


大江戸ファイト···実写取り込み格ゲー。登場するキャラクタの1人・金四郎がまんま『遠山の金さん』。


大和探偵···遠山の金さんもとい遠山景元が元ネタになっているキャラ。

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