カタログスペック
全高 | 9.8m |
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重量 | 18.9t |
型式 | 東方様式・試験機 |
分類 | 近接戦仕様機 |
所属 | フレメヴィーラ王国・ライヒアラ騎操士学園 |
主搭乗者 | ヘルヴィ・オーバーリ |
概要
物語主軸国であるフレメヴィーラ王国、その所属のライヒアラ騎操士学園の当時の学生達が開発した新型幻晶騎士 。
後の新世代機の雛型となった機体。
親方ことダーヴィド・ヘプケンがエルネスティ・エチェバルリア(エル)から陸皇(ベヘモス)事変におけるグゥエールの経緯を聞き、その対策を求めた時に彼が発案したアイデアを基に、同じく大破した幻晶騎士(サロドレア)達を改修することが発端となっている。
その際の1号機が派生型のトランドオーケスだった為、試験騎操士(テストランナー)も引き続きヘルヴィ・オーバーリが務めることになった。
なおベース機のパーツ共有率は二割にも満たず、事実上の新型機として生まれ変わっている。
結晶筋肉(クリスタルティシュー)の新形態綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)、魔導兵装(シルエットアームズ)使用の効率・高速化を目的とした補助腕(サブアーム)と背面武装(バックウェポン)など、エルの前世の記憶を元に生み出された様々な革新的な技術が投入されている。
結果当時の常識を覆す高性能機となるが、同時に稼働率等の問題も発生。
当時のエル達にはこの難点を解決しきれず、後に国立機操開発研究工房(シルエットナイトラボラトリ・以下ラボ))に丸投げすることになる。
後に当機体を巡って、様々な思惑が大きく動くことになる。
(なおここで培われたの技術は後に東方様式(イースタン・モード)と呼ばれ、これ以降の機体は多かれ少なかれこの技術を踏襲している)
性能
当時の幻晶騎士における常識や倫理観を打ち破った上で新技術を投入しただけに、性能もまた常識破りなものとなった。
・出力・膂力
ベース機対比で1.5倍強。
(例えるなら「ザク の5倍のエネルギーゲイン」)
綱型結晶筋肉への変更により、汎用機でありながら旧世代機における団長専用の重量型以上の出力を得る。
実戦でも従来機を吹き飛ばしたり、投げ飛ばしたりできるようになる。
・武装力
補助腕(サブアーム)により保持できる装備が倍に。
そこに魔導兵装(シルエットアームズ)(通常は「炎の槍(カルバリン)」を2門)を持ち合わせることで、格闘と砲撃両方の戦闘力を獲得(背面武装)、戦術の幅が拡大した。
後に選択装備(下記)機能追加により、対応可能な武装も増加・拡大した。
・耐久性
こちらも綱型結晶筋肉と全身の力学バランスの見直しにより目算値10倍以上に。
従来機と拳がぶつかり合っても腕が続けて稼働できる程になった(相手は深刻なダメージ)。
・操縦性
出力が上がったことで、歩かせるだけで跳ね回りそうになる程に難化。
(搭乗者の言を借りるなら「じゃじゃ馬」「暴れ馬」)
またそれまでの機体と比べても違う感覚も併せ、全員訓練をやり直しになる可能性が出てしまっている。
・稼働率
本機最大の問題点。
あらゆる機能追加による燃費増加に伴い稼働時間が従来機の半分にまで低下、機体として致命的な欠点に。
当時は改善策として複層式の外装を構築や板状結晶筋肉を外付け・分割したりしたが完全な改善には至らず、最終的に他機関に丸投げする形になった。
・影響(当時)
模擬試合にて格上の相手であるエドガー・C・ブランシュから「何て常識外れな力」「近距離砲撃が厄介すぎる」と嘆く程に、機体性能が歴然となる結果を生んだ。
また正騎士団の騎操士からも、性能を目の当たりにしたほぼ全員が導入を希望される程の高評価を受けた。
このような機体を学生達(中心のエル)が開発したという前例の無い事実は、国内のあらゆるところで波紋を呼ぶことが懸念された。
(新型機開発は本来国家事業とされており、また前主力機から100年もの間更新が無かった為)
事実幸運にも情報を得たディクスゴード公爵がエルの権力獲得への危機感を募らせ、収集・質疑応答に持ち込んだことからもそれが窺える。
(もっともエルはロボット関連以外に興味はなく、またこの時国王への献上機体も別のものであることを伝えているが)
機能・装備
・綱型結晶筋肉(ストランド・クリスタルティシュー)
次世代機の力の源。
結晶筋肉数本を綱の様に縒り合わせる事で、繊維ごとの耐久性・全長が上昇する。
三割を差し替えるだけでも効果的面だが、従来機ではそのまま替えても骨格強度が耐えられないため、外見レベルで根本的に設計しなおす必要があった。
力学バランス修正後における、従来機と同じ差し替えからくる修正差は上記の通り。
・補助腕(サブアーム)・背面武装(バックウェポン)
背面に新しく取り付けられた小型の腕(サブマニピュレーター)。
武器換装の効率・高速化を目的としたもので、魔導演算機(マギウスエンジン)に専用のスクリプト(プログラム)を打ち込むことにより機能する。
所持させる主武装は魔導兵装だが、そこに火器管制システムを構築し補助腕からも使用可能したのが背面武装である。
それによる魔導兵装による法撃力上昇度は、旧世代機対比で最大4倍(なおその際の法撃態勢を「4連装形態」と呼称したことがある)。
発案当初は幻晶騎士への認識から忌避感を持たれていたが、エルの説得と実用性の実証により快く受け入れられた。
だが作成時相当難解なスクリプトを組んだらしく、手にした他の機関はどこも自力で解析しきれずデッドコピーで終わる羽目になっている。
・板型結晶筋肉(クリスタルプレート)・蓄魔力式装甲(キャパシティフレーム)
本機の燃費対策から生み出された副産物。
まず動かさない筋肉の量だけを増やす目的で魔力貯蔵量に特化した板状(板型結晶筋肉
)が開発されたが、着膨れしたり機体バランスを崩したりと難航。
最終的には複層式外装として装甲の裏に備える形(蓄魔力式装甲)になったが、それでもまだ解決には至らなかった。
・選択装備(オプションワークス)
上記の補助腕の稼働力を高めた上で、そのものを武装化できる様にした機能。
これによりサブマニピュレーターとしての機能が発揮できる様になり、様々な武装を生かせる様になった。
この機能によって、搭乗者の好みに合わせた本格的なカスタマイズができるようになる。
- 可動式追加装甲(フレキシブルコート)
補助腕の先端に、盾のような大型の装甲を搭載したもの。
盾のとして使うだけでなく、分割して隙間から攻撃したり飛び道具としても使用できる。
- 直接電撃兵装(ライトニングフレイル)
アニメ限定。原作ではグゥエール改の装備だった。
・紋章式認証機構(パターンアイデンティフィケータ)
カサドシュでの事件(下記参照)後に搭載された盗難防止機能(端的に言えば車のエンジンキー)。
紋章術式を鋳込んだ短剣を正しい組み合わせのスリッドに差し込むことで、機体が可動するようになっている。
後に機体の認識品=騎操士の身分を表す代名詞となる。
なお短剣の形になったのは「製作者がエル=銀鳳騎士団に因んだのと紋章術式を刻むのに少し面積が必要だった為。あと少し洒落」。
劇中での扱い
完成当初は全五機(アニメ版では三機)が建造され、それらを製作者達と共に国立機操開発研究工房(シルエットナイトラボラトリ)に持ち込む算段だった。
だが機体の情報を聞きつけたクヌート・ディクスゴード公爵によりカサドシュ砦に輸送される(その際エルとの質疑応答が行われた)。
それと同時期に、国内に潜伏していたジャロウデク王国の間者部隊「銅牙騎士団」による本機の強奪事件(カザドシュ事変)が発生。
砦の騎士達やエドガー達が奮戦するも、銅牙騎士団長ケルヒルトによって一号機がジャロウデクへ持ち出されてしまう。
これにより一つの雛型を祖とする二ヶ国が別々に機体を改修・次世代機を誕生させ、後に戦争でぶつかり合うことになる。
- フレメヴィーラ王国
大破・奪還したテレスターレはラボに持ち込まれ、その技術を解明し再設計される。
完全に解析出来ない技術もあったが、結果として欠点の改善に成功したカルダトア・ダーシュが開発された。
また銀鳳騎士団でも国王に披露する機体と共に、新機能を搭載した新造テレスターレを製造。
それらが御前模擬試合で激突し、そこから得たデータを反映されカルディトーレという形で結実する。
これによって本機の役目は完了し、下記の派生機の出番を最後に劇中から退役した。
- ジャロウデク王国
国の気質を反映した機体の開発母体にされ、大西域戦争(ウエスタン・グランドストーム)の遠因となってしまう。
登場してから1.2年程度の活躍ではあったが、歴史の変革を担った「正しく劇中における名(試作)機」であった。
派生機
テレスターレ(カルダトア・ベース仕様)
銀鳳騎士団設立時に配備されたカルダトアをそのままテレスターレにした機体。
最初期のものよりも性能は上がっており、また新たに開発された選択装備が追加されている。
劇中では後述のエドガー機と下記のトイボックス(漫画版ではモブ機)が登場した。
なお模擬試合後はカルディトーレが優先で配備されたため、トイボックス以外の出番はない。
エドガー機
ラボとの御前模擬試合でエドガーが使用した機体。
背部に可動式追加装甲(アニメ版では直接電撃兵装も追加)を装備しており、防御力が高い。
エドガーの前機同様の白メインカラーであり、アルディラッドカンバーのプロトタイプともとれる。
トイボックス
エルネスティが思いつきで作った様々な装備の実験台として改修を重ねられた機体。
(web版ではラーパラドスという別の機体になっている)
カルディトーレ
当機を再設計したカルダトア・ダーシュを更に調整し、最終調整された次世代の制式量産機。
ティラントー
当機をベースとしたジャロウデク王国軍次世代量産機。
黒をメインとしたカラーリングが施されていることから黒騎士とも呼ばれている。
余談
- 次世代機としての見方がメインである機体だが、本来の製作目的は「エルの直接制御(フルコントロール)に耐えうるだけの強度を持たせる」こと。
完成により「幻晶騎士がエルにようやく追いついた」とも言える。
- アニメではまだ取り付けられていない蓄魔力式装甲が取り付けられていたり、ともすればまた消えたり現れたりと繰り返してる場面も…
- アニメ版では、ヘルヴィ機のみ識別しやすく補助腕と蓄魔力式装甲が赤く塗装されている。(そのため『格納庫においてあるテレスターレを一機づつ確かめたから』という台詞がよりわかりやすくなっている)
- アニメのOP/EDにも出演しているが、そこで改修前の姿と本機が一緒に出演している…あれ?
関連タグ
ランスロット……従来の機体を凌駕し、後の技術に影響を与えた試作機
ガンダム試作2号機……強奪された試作機(その代表格)