概要
『Fate/Zero』にて衛宮切嗣が扱う魔術礼装にして、魔術師の天敵ともいえる凶悪な魔弾。
師であるナタリア・カミンスキーが手術によって取り出した切嗣の肋骨の一部を、粉状に磨り潰した後で霊的な工程を経て作成したもので、この弾丸を撃ち込まれた相手には、切嗣の起源である「切断」と「結合」が同時に現れる。
その効果は「修復ではなく、紐を切って結び直すようなモノ」と称され、普通の銃弾が起こすような出血などの傷は生じないのに、撃ち込まれた部分は古傷のように変化し、元の機能を失ってしまう。
撃たれた者が魔術を使っていた場合、この効果は魔術回路とそれにリンクする魔術刻印にまで及ぶ。回路が「出鱈目に繋ぎ直される」ことで暴走し、その余波で術者は命に係わるレベルのダメージを受けた上、魔術回路と刻印の機能も失われるという、たとえ奇跡的に生き残っても肉体に後遺症を残す事は免れず、魔術師としては再起不能になるという二重の意味でヤバい性質を持つ。
その威力はナタリア曰く「相手が魔術師として優秀であればあるほど脅威」。
この特性上、魔術の行使など、相手が魔術回路を全開にして魔力を回しているところへ撃ち込む事で最大限に効果を発揮する為、.30-06スプリングフィールド弾をベースとし、物理的な防御をほぼ不可能にしている。この銃弾は軍用や大型動物猟用に使われるライフル弾であり、貫通を防げるのは最上級クラスの軍用防弾チョッキといった極一部の装備に限られる代物である。
また、狙いの正確さを重視して、発射する銃には狩猟・競技用銃として精度に定評のあるトンプソン・コンテンダーを採用している。
ケイネス戦で使った際には、万全を期して最初は通常の弾頭を使用することで攻撃と防御を兼ね備えた月霊髄液をたやすく撃ち破れる様を見せつけ、相手が魔術的な防御をするように仕向けた所へ起源弾を放った。
これに被弾したケイネスは凄まじい苦痛に襲われた末、「一命は取り留めたものの、一生魔術が行使できなくなった上に車椅子生活」という、屈辱的な結果へと追い込まれている。
後に判明したが、ケイネスの死後に回収されたエルメロイ家の魔術刻印は1割程しか残っていなかった上、残った部分も伝説とまで謳われた調律師でさえ完全な修復までおよそ半世紀近くという途方もない時間を要する程に破壊されていた。
作成された全六十六発の弾薬のうち第四次聖杯戦争までに三十七発を消費しているが、その三十七回全ての相手を一撃で仕留めている一発必中かつ一撃必殺の切り札だった。切嗣の生涯で効果を発揮しなかったのは、聖杯戦争の最終局面で奇策を用いて戦った言峰綺礼ただ一人である。
『Fate/Grand Order』では
その起源は切断と結合。
多くのものを切り捨て、
より多くのものを繋ごうと足掻いてきた。
ひび割れた窓に映る残像よ。
どうか、あの美しい日々のままに。
特攻付与は基本的に人型や神性といった属性によるものが多く、現在の星5礼装でクラス限定特攻となると、これとアトラスの嬰児(防御無視かつバーサーカー特攻)くらいしか存在しない。
その為、キャスター限定ではあるものの非常に強力な礼装であり、ライダーやバーサーカー、アルターエゴなどのキャスター有利クラスに対しての特攻を伸ばせる他、第一部終盤のボスの第一段階にモロに効果が刺さるために、持っていたマスター達からは重宝された。
無敵貫通が有用かつ特攻が刺さるのが妻だったり、平行世界の娘だったりするのはひどい皮肉と言えるかもしれないが…。
また、無敵貫通は少し前に実装された月霊髄液の礼装に対するメタ効果となっている。
シナリオではキリシュタリア・ヴォーダイムがこれの類似品、または劣化品の攻撃を受けたと思われる描写がある。衣服の下が痩せ細っているなど、少なくとも表面的な肉体に影響を及ぼしている事は見て取れるが、具体的にどの程度の損傷を受けたのかは不明。
余談
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のドラマCDに、かつての時計塔全体基礎科の重鎮にしてエルメロイ教室の客員講師を務めたディンベルグ卿という人物が登場しているのだが、彼の息子であるレイノルドはフォークランド紛争に参加し戦死した際に、死因である銃弾を受けた際に魔術回路が暴走を起こしたのだという。この事からレイノルドも切嗣の起源弾の餌食になったのではないかと推測されている。
関連タグ
エミヤ・オルタ:彼の使う宝具が「銃から発射される魔弾」など共通している。なお、起源弾の現物を見ていた場合、投影魔術によって作成することは可能らしい。
クロエ・フォン・アインツベルン:衛宮士郎から託される。
イカサマ(ポケモン):身も蓋もない言い方をすればこれの特攻版に近い