概要
コルト・ファイヤーアームズ社とならび、アメリカを代表する銃のメーカー。
1852年、ホレース・スミスとダニエル・ウェッソンによって設立された。
リボルバー(回転式拳銃)の評価が高い一方、オートマチック(自動式拳銃)はあまりパッとしなかったが、近年はM&Pの登場などにより評価されつつある。
南北戦争期の大量の需要の中で設立され、二度の世界大戦で巨大な利益を得た。
西部開拓時代のガンマンにも愛用されており、この会社の製品は、コルト社のリボルバーと並んで、西部劇には欠かせない。
一方、戦争が終わる度に経営難に追い込まれており、経営的にはあまり良くない状態が続いている。
カスタム部門であるS&Wパフォーマンスセンターは社内の腕利きの職人を集めている。
パフォーマンスセンターの製品は、専用部品やカスタマイズした部品への交換、調整加工を施され、市販品ながらガンスミスが最適化した製品に迫る品質を持ち、値段は通常モデルよりも高いものの、PC専用の部品を用いる事で通常モデルとは異なる外見や機能(調整式バレルウェイトの搭載等)を持ったものが多い。
多くの銃器メーカー同様にブランドロゴや自社製品画像を用いた衣類等を製造しているが、法執行機関との縁が深いためか手錠等の法執行機関向けのアクセサリーの製造している。
また、他社の物をリスペクトする事でも知られている。(こらそこ、パクりなんて言うんじゃない。)ネタ的視点で言っても事欠かない会社でもある。
代表作
リボルバー
M1
S&W初の金属薬莢を使用したリボルバー。
後に口径を変更した改良型のM2が登場。
坂本龍馬が持っていた拳銃はコレ。
M3
ブレークオープン(中折れ)式の.44口径リボルバー。軍への制式採用を念頭に開発された。
.45口径とした改良型はコルト・ファイヤーアームズ社のシングルアクションアーミーに敗れ、制式採用拳銃の座を逃した。
M10
.38口径Kフレームリボルバー。
軍や警察向けに開発されたものではなかったが、軍用に.38LC弾用モデルを出した事からミリタリー・アンド・ポリス"Military & Police"の愛称が付けられた。
M15
M10を元に開発された競技用リボルバー。
通称コンバット・マスターピース"Combat Masterpiece"。
M19
70~80年代のポリスアクションに欠かせない。
通称コンバットマグナム"Combat Magnum"。
M21
民生向けのリボルバー。
日本では民間市場向けの銃なので影が薄いが、米軍の要求で.45ACP仕様に改修されたM1917リボルバーが日本の警察に供与されて使用されていたのでこちらの方が有名かと。
M29
.44マグナム=S&W M29というほど、知名度の高い大口径リボルバー。
映画『ダーティハリー』で、ハリー・キャラハン警部が愛用したことから人気を得た。
ベトナム戦争時にはM29をベースにトンネルピストルが少数作られた。
M36
その携帯に有利な小ささと、信頼性で、各国の警察で愛用された。
通称チーフス・スペシャル"Chiefs Special"。
我々がよく見かける身近な拳銃でもある。(これのカスタムモデルであるM360J SAKURAを日本警察が採用し、一般警察官に貸与しているため。)
ゴルゴ13が使う拳銃はコレ。
M500
2003年に開発した、.500S&W弾を使用する大口径リボルバー。
M586
M19を改良した.357マグナムリボルバー。
シルエット的にはパイソンと瓜二つだが、性能的にはS&Wらしくダブルアクションのキレがよく実用的。言ってしまえばパイソンの欠点をS&Wが改良したと言える。
現代で.357マグナムを撃つならこれがメジャー。最高傑作と呼ばれるあたり実銃の評価は良いらしいが、如何せん日本ではマイナーで知る人ぞ知るレベル。
バリエーションはオードソックスな装弾数6発の通常モデルの他、装弾数を7発に増やしたプラスモデル。パフォーマンスセンターによるカスタムモデルなど、現行のS&Wマグナムリボルバーの主力。
通称ディスティングイッシュド・コンバットマグナム"Distinguished Combat Magnum"
フィクションでは脇役がよく持っている。あとはあぶない刑事の鷹山敏樹が使ってたり。
ガバナー
ロングシリンダーを持つ6連発リボルバー。
使用可能な弾種は.410ボア2.5インチシェル、.45ロングコルト、.45ACP(クリップが必要)。
護身用のリボルバーだが、野生動物から身を守ったり、カージャック時の自衛などの至近で撃つ事を想定しており、離れた距離での命中精度はそれほど求められていない。
ロングシリンダーであることを活かして規格外の.45LCが製造されており、薬莢長は変わらないが弾頭部分が長く従来の.45CL使用銃では使用できない専用弾も生まれている。
.410ボアシェルを使える都合上、ソウドオフのような規制長以下の短銃身ショットガンとして規制対象となっている地域もある。
セミオートマチック
39
S&Wの初のダブルアクション方式セミオートマチックピストル。
日本では警察が3913(コンパクトモデル)を、海上保安庁が5906(ステンレスモデル)を使用している。
フィクションでは
- 太陽にほえろ!の西條昭が59(多装弾仕様)
- AngelBeats!の日向秀樹が645(.45口径)
- ネイキッド・スネークがMk22(特殊部隊向け)
- アンフェアの雪平夏見が3913レディスミス(女性の護身用)
など、それなりに露出がある。そしてやけにバリエーション豊富、豊富過ぎてディーラーも困るほどに。
シグマ
S&W初のポリマーフレームのセミオートマチックピストル。
グロック社にグロック17のデッドコピーとして訴えられる程似せているが、肝心のトリガー・システムは独自のもので、グロック17が何故売れたのかを理解できていなかった。
グリップはグロックより薄くて握り易く、そこそこ安い事もあって意外と人気機種であった。
M&Pの下位機種としてSDが登場したことで販売が終了した。
M&P
M10の愛称を引き継いだポリマーフレームのセミオートマチックピストル。
AR-15やJフレームのリボルバーにもM&Pの名を冠するものがある。
SW1911
コルトM1911のクローンモデル。
昔はM1911のフレームにM4506のスライドを組み込んだ945というモデルがあったが、いつの間にかオリジナルをリスペクトしていたとさ。
なお、SW1911販売以前からM1911のフレーム等を製造して各社に供給しており、製造自体の実績は重ねていた。
ライフル
M&P15
いわゆる、AR-15クローン。ただそれだけ。
ぶっちゃけ本当に書くことがない位、ごくごく普通のライフル。
特に独自の機構を持たず、基本的なパーツのみで構成されたモデルが主なので基本性能なども特筆する点はない。オリジナルのAR-15を忠実にリスペクトしている。(パクリとも)
だが、それだけに品質もそこそこで値段も安いので、S&Wブランドということもあり、安定したセールスを上げているらしい。
ショットガン
M&P12
2021年に発表されたブルパップ式ショットガン。
これまでもショットガン事業に2度ほど参入していたが、間もなく撤退。3度目の正直と言わんばかりに投入された。
口径は12ゲージ。ダブルチューブ機構を採用し大容量化を図っている。
え? 何か似てる気がするって? 細かいことを気にしてはいけない。
ちなみにこのモデルは近代化改修されており、細かい意匠は異なる。
その他
元々はトンプソン/センター・アームズ社の製品だが、買収によりS&Wハンティングの一部門となっている。
他にもありましたら追記をお願いします。
コルト製リボルバーとの違い
- シリンダーの回転方向→左回り(コルトは右回り)
- ライフリングの切り方→ライトハンド"左回り"(コルトはレフトハンド"右回り")
- シリンダーの開け方→ラッチを押す(コルトはラッチを引く)
- シリンダーキャッチ→シリンダー側についている(コルトはフレーム側)
- フレームの開け方→右から開ける(コルトは左から開ける)
逆に出来る所は逆にしまくっている。
メカニズム的にはダブルアクションの評価が高い。(コルトはシングルアクションの評価が高い。)中の構造が全く違う為なのだが、ここでは割愛させていただく。
リボルバーのフレーム名
1896年以降のS&W社製リボルバーのフレームは規格化されている。
- Iフレーム
初期に開発されたリボルバー用フレーム。
現行製品ではJフレームに統一されている。
- Jフレーム
小型リボルバー用。
M36などに使用。
- Kフレーム
中型リボルバーでも比較的小型なモデルで使用されている。
M10、M19などに使用。
- Lフレーム
マグナムカートリッジを使用するにはKフレームでは強度不足のため開発された。
M586等に使用。
- Mフレーム
小型リボルバー向け。
レディスミスなどに使用されたが、現在は使用されていない。
- Nフレーム
大型リボルバー向け。
M29等に使用。
- Xフレーム
大口径超大型リボルバー向け。
M500等に使用。
K、L、Xフレームはグリップサイズが同じであるため、ラウンドタイプグリップであれば共通で使用可能。
- Zフレーム
.410ショットシェルや.45ロングコルト等を使用するロングシリンダー用。
ガバナーに使用。