2003年にS&W社が発売した、.44マグナム弾の3倍の威力を持つ.500S&Wマグナム弾(弾薬メーカーCOR-BON社が開発)を発射できるリボルバー。
反動が桁外れにキツく、日本のフィクション作品では「ネタ銃」扱いされることが多い。「骨折する、関節が外れる」などと噂になるが、実際にはリコイルによる痙攣等の後遺症が出る、反動で指にサムピースが当たる、エッジで指を切る、親指付け根の皮が剥ける程度であり、射手が骨折脱臼する銃が量産品として流通することはない。
下記の通り、過剰と言える火力を有するため、一部では「ハンドキャノン」という俗句でその他の拳銃と区別される場合があり、フィクションでも当該カテゴリーの代表のような扱いを受けることが多い。
概要
弾薬メーカーとタッグを組み、米国の大口径拳銃オタクの意見を参考に、M29の再来を目指して最強の拳銃として開発された。3DCADの採用により、設計は短期間で完成。
「S&Wの経営がM500で立て直された」とまで言われるほどの爆発的な売り上げとなり、発売後しばらくは製造が追いつかない事態に陥った。
超重量弾を反動を吸収する機構なしに発射するため、体格の大きい人でも制御は難しい。デザートイーグル等の自動拳銃とは比べ物にならない。
6インチモデルのマズルブレーキは役に立っておらず、パフォーマンスセンター・カスタムや3+1インチ(3インチ銃身と1インチマズルブレーキ)モデルからは改良が加えられた。下手な市販カスタムパーツより効果が高いことが「Gun」誌(2005年4月号)の実験で明らかになっており、マズルブレーキを外した状態で撃つと、額に銃身が打ち当たるほどの反動が射手を襲うことになる。
交換用の大型マズルブレーキを販売している会社もあるが、社外品は品質がピンからキリまである事に加え、想定する弾薬が異なる、恰好良ければそれでいいんだよと細かい事を無視した製品もあるので効果は不明。
最強の拳銃を目指して作られただけはあり、2021年に.500ブッシュワッカー弾が開発されるまでの18年間、世界で最も強力なリボルバーとして君臨した。非常に重く、バレルが長く、携行性に欠けるが、3+1インチモデルの登場で命中精度を犠牲に大分改善された。大きさを逆手に取り、銃身に反動制御目的のスリングを付属させ、実猟における実用性を向上させた物が人気を博している。
2-3/4インチ銃身を持つ熊等の危険な生物に遭遇した際の護身用であるM500ESも登場しており、こちらは民間の航空機が墜落した際のサバイバルキットに入っている例もある。
キーロック機構が備え付けられており、ロック側に廻すことでハンマーの作動が固定されて発砲ができなくなる。ロック時にはハンマー側面に小さなインジケータが飛び出すので、(一応)使用可能かどうかはすぐわかるようになっている。
ちなみにこのキーロック、穴がいかにも後付という見た目でデザイン上不恰好となった事に加え、ハンマー側面の溝と噛み合って動作を防ぐ構造のためにユーザーには不評で、ダブルアクションで撃つ際にトリガーへの抵抗となって感触が悪くなる、発砲時の衝撃によってロック機構が動いて次弾が撃てなくなるといった問題を抱えてしまった。
外見はどうしようもないとしても動作に関してはロック機構の排除という手もあるが、違法となってしまう可能性がある、対人で自衛に使用した場合は正当防衛とならない可能性がある、メーカー保障が受けれなくなってしまうといった問題がある為、不満を持つユーザーの殆どは不満を抱えながらもそのまま使用している。
同じXフレームを使用したモデルとしてM460 XVR(Xtreme Velocity Revolver)が登場している。
.460S&Wマグナム弾を使用し、弾頭重量13gの弾の初速は700m/sと、AK47の7.62mmx39弾並みである。
緒元(M500 8-3/8in)
全長 | 381mm |
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銃身長 | 213mm(8 3/8inch) |
重量 | 2kg |
口径 | .50 |
弾薬 | .500S&Wマグナム弾 |
装弾数 | 5発 |
.500S&Wマグナム弾
.454Casull弾と.500Linebaugh弾を参考に、拳銃のプラットフォームの枠内ギリギリで設計されている。
M500で発射する限り.454Casull弾とさして変わらないと言う意見もあるが、口径と弾頭重量が大きい分、破壊力では大きなアドバンテージがある。弾頭重量を大幅に増した弾も登場している。
弾薬がフラットノーズであることを生かして最近ではレバーアクション・ライフル等カービン向け弾薬としての使用例が増えており、.308win弾や12番スラッグ弾よりもマイルドなリコイルで発射できるため、愛好するシューターも増えている。
ある意味、拳銃弾薬での実用限界に達し、気軽に撃てないレベルの苦痛が伴うため、「撃ちやすい大口径・大威力の弾薬」の開発競争という、新たな局面を生み出している。
2005年に発表された.500WyomingExpress弾などはその代表格で、人気を博している。
ちなみに一部のメーカーからはまだM500しか使える銃が無いにもかかわらず既存のトレーを流用したためか5の倍数の10ではなく6の倍数の12発の弾が収まったパッケージで売られたことがあり、M500で用いると1パックでは余ってしまう事になった。
登場作品
バイオハザード4、5:B.O.W.とかゴミみたいに感じる性能。どちらも無限弾化可能で無双プレイのお供
バイオハザードRE:4:バイオハザード4をリメイクした作品でも隠し武器として登場したが、本作ではかなりの弱体化を受けている。旧作同様、限定改造で無限化可能だが、最終的なステータスでは、本作で入手可能なブロークンバタフライより威力が劣ってしまっている。
デビルメイクライ4、5:ネロが魔改造を施したブルーローズが登場する
あそびにいくヨ!:パフォーマンスセンター・カスタム
ラストスタンド:シュワちゃんが持った拳銃の中でようやくまともに見える拳銃
SAOフェイタル・バレット:悲劇のヒロインだったはずのサチの武装としてまさかの採用。納得行く理由があるのだがギャップが酷い。
COD:MWII:「Basilisk」という名称で登場、実物と若干デザインが異なる。続編のMWIIIでも引き続き登場するが、より強力なリボルバーであるTYRの後塵を拝している。(TYRの方が威力で勝っている為)
後に.357マグナム仕様のコンバージョンキットが追加、装弾数と連射性能が強化される代わりにクイックローダーが使用不能になる。
KillingFloor2:「500マグナムリボルバー」という名称で登場、なんと二刀流が可能である。