2005年にS&W社が発売した、ポリマーフレームのオートマチックピストル。
ぱっとしない自社製自動拳銃の評価を一変すべく、現場の声やシューターたちから意見を取り入れて設計し、かつてのベストセラー「M10ミリタリー&ポリス」から名を引き継ぎ、軍や法執行機関での採用を狙った。
ロングバレル・モデルやコンパクト・モデル、マガジンをシングルカラムとした極薄モデルなど様々なバリエーションがあり(詳細は後述)、9mmパラベラム弾、.40S&W弾、.357SIG弾、.45ACP弾、.22LR弾などに対応する。その後10mm弾や5.7mm弾に対応するモデルも登場した。
2009年、アメリカの麻薬取締局(DEA)で採用され、その後も数多くの警察署で使用されている。
ベルギー国家警察にM&P9 LTCLが採用された他、カナダ、オーストラリア、コロンビア、インドなどの法執行機関で採用されている。
AR-15のクローンモデル(M&P15/M&P10)やJフレームリボルバー(M&P340)、ショットガン(M&P12)などにも同様にM&Pの名が用いられており、シリーズの一つとして数えられている。
ちなみに現行のS&W社の商品でM&Pと名付けられた場合、基本的には「警察機構で採用してね♪」という意味である。前述のとおりM&P(拳銃)はもちろん、M&P15もボストン市警での採用実績がある。
通常分解時にはテイクダウンレバーを操作するだけでは分解できず、スライドを開放状態にしてツールを使ってシアディスコネクトレバーを押し下げ、前方へ引く抜くという少々手間のかかる方法となっているが、トリガー操作しつつスライドを引き抜くという非公式な方法もある。
2017年に改良型のM2.0が登場。
スライドロックレバーが容易に動いてしまいマガジン装填時にスライド解放されて装填ミスが起きてしまう、重量弾使用時に弾道が不安定となる、といった旧型の問題点を改良している。
2021年には新型トリガーとセレーション(滑り止めの溝)が前部にも追加された新型スライドを備えたモデルが登場し、現行型となった。
バリエーション
M&PL
5インチバレルのロングバレルモデル。
M&PC
3.5インチバレルのコンパクトモデル。
M&P Shield
3.1インチバレルとシングルカラムマガジンのコンシールドキャリー(隠し持つ)モデル。
M&P Shield EZ
操作しやすくなった新型スライドと装弾数の増加した新型マガジンを備えたShield。
M&P Shield Plus
ダブルカラムマガジン仕様のShield。
M&P Bodyguard
Shieldと同様のコンシールドキャリーモデルだが、こちらはダブルアクションオンリーのハンマー式となっている。
M&P Metal
フレームが金属製(アルミ製)のモデル。
M&P Competitor
スライドと一体型のコンペンセイターを備えたMetal。
M&P5.7
P90やFive-seveNの5.7×28mm弾を使用するモデル。装弾数は22発でネジ切りバレルを標準で備えている。