キャッチコピー
読むな危険!キノの旅のファンは絶対に読んではいけない。
概要
キノの旅(以降、「原作」と表記)のスピンオフ作品だが、ほぼストーリー上の繋がりは無い。
タイトルどおり、原作の面々が学校の生徒や教師になっている。既刊7巻。
作者は「仮に本編が最終回を迎えたとしても、学園キノにつながることは絶対にありません」と断言している。
2020年10月28日発売の『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』 Blu-ray BOXの特典CDとしてドラマCD化された。メインキャストはアニメ第2作と同様。
世界観
原作と異なり、世界観は実在の世界になっている(学校は神奈川県横浜市、JR大船駅の近くにある中高一貫校)。メンバーはとある星の女神の怒りを買って(頼みを聞いてくれなかったから)、記憶と人格を操作されこの世界に飛ばされてきてしまったという設定。
しかしどういうわけかこの世界では魔物が頻繁に出没する。
「魔王」が手下を使って人間を魔物に変化させてしまうのである。「魔の誘い」は序盤は人間の心の闇を付け込むという正統派特撮によくあるモノだったが、生徒達が用心深くなった影響で中盤以降は「夢の中で騙された」「トイレを流しただけで『YES』と見なされた」など詐欺まがいの手法が乱立することになる。
話が進むにつれ町の人々は魔物の出没に慣れており、出ると速やかに避難している。
魔物を人間に戻すには、木乃が「謎の美少女ガンファイターライダー・キノ」に変身し、「ビッグカノン〜魔射滅鉄〜」を撃ち込まなければならない。
また、魔物が毛を引っこ抜くことで分身体「化け物」を生み出すこともある。
このように、原作のややダークで風刺的な作風は完全に排除されており、パロディやギャグをふんだんに織り交ぜたコミカルな作風になっている。
いくら原作と関係ないとはいっても、キャラクター設定には原作から引き継がれたものが多数ある。
登場人物
木乃
キノが変化させられた姿。学園の4年(高校1年)。高等部からの入学。
セーラー服にスパッツといういでたち。ただし腰にマガジンポーチ(中身は大量の銃器に変わっている)とホルスター(モデルガン)をつけているところはキノのまま。
原作のキノより女の子らしくなっており、一人称は「ボク」ではなく「わたし」。キノと異なり、口数が多くドジでおバカ。しかし大食いなのは原作のまま・・・というか原作以上。しかも原作より食べ物が簡単に手に入る状況にいる事から殆ど常に食べることばかり考えている。
「ビッグカノン〜魔射滅鉄〜」を掲げ「フローム・マイ・コールド・デーッドハンズ!」と叫ぶと「謎の美少女ガンファイターライダー・キノ」に変身し、魔物退治ができるようになる。但し見た目の変化はほぼ無い。
変身後の名前が長いので周囲にはもっぱら「謎のキノ」呼ばわり(サモエド仮面からは「謎の」とだけ呼ばれる事もある)されているが本人はそれを嫌がっている。
エルメス
金属板にバイクの形の型押しがされたストラップになっている(女神に「スクラップにでもなってもらう」と脅され、その際「できればストラップがいい」と答えたため)。
人格は原作と変わらないが、木乃があんな性格なのでややしっかり者に見える。木乃には見られないようにしているが、実は飛べる。
必要時にはバイクに変身できるが、かつての古典的なモトラドではなく現代的なオフローダーバイクになる。唯一の常識人(人?)かつ人前で喋れないため出番が少なく、作者でさえ悩んでいたがもう途中で諦められた。
静先輩
シズが変化させられた姿。したがって帯刀している。
学園の6年(高校3年)で、木乃の先輩に当たる。イケメンで女性に人気があるが、なんだか胡散臭い。文武両道で眉目秀麗。男子生徒からは「辻斬り男」等と呼ばれている。
普段は物静かで紳士的に見えるのだが、「謎のキノ」がピンチになった(と勝手に判断した)とき、白い鳩とともに「サモエド仮面」(第2話以降は名前の後ろにαなどが付くが見て分かる通りネーミングが壊滅的)として現れる。
このときはマント(シルク製)をはおり、仮面をかぶって犬耳をつけ、頭にリンゴを載せている。
本人としては木乃を救いにきているつもりだが、傍目に見ると邪魔をしているだけで木乃が魔物を追い詰めたときに限ってしゃしゃり出てきて、その場にあるあらゆるもの(と言うよりも建物そのもの)を刀で切り刻む上、魔物は取り逃がしてしまう。
そのため木乃にはとても嫌われており、まともに相手にされないばかりか魔物同様に撃たれる。ちなみに刀で弾丸を弾く上、マントが防弾仕様なので銃はほとんど効果が無い。なにより、仮に当たっても出血するだけで死なない。しかも銃弾を手持ちのトマトで弾いたりする。
ただ木乃は静先輩がサモエド仮面だということを知らないため変身していない静先輩には割と好意的である。
犬山・ワンワン・陸太郎
陸である。普段の見た目は変わらないが、いつでも白髪の美少年に変身できるようになっている。夏休み前に木乃のクラスに転校してきた。
「陸は四大魔王宇宙のスパイだった」ことになっており、あらゆる手段を使ってサモエド仮面と静を付けねらう。
特技は木乃同様射撃。
女子に大変に人気があるが、当人は木乃にのみ猛烈にアプローチをかける。木乃からは全く相手にされていないが、決してやめようとしない。
戦闘時はさらに「ワンワン刑事」に変身する(地の文では明言こそされないが明らかにそうである)。
ガン=カタっぽい特技「銃七乗の拳法」(じゅうしちじょうのけんぽう)の使い手。
ワンワン刑事は迷惑なサモエド仮面を引っ込ませてくれるので木乃には好意的に見られている。一方で陸太郎同様、サモエド仮面を付けねらう。また、ワンワン刑事も当然木乃が好きなのだが、陸太郎のときと違ってなぜか奥手になる。
黒島茶子
ティーが変化させられた姿で、教師であるため静より年上にされている。2巻より登場。
英語担当として学校にやってくるが、実は政府直轄の対魔物特殊部隊「KAERE」のリーダー。しかし大変弱く戦力にならない。
ところがピンチになると突如子供化してティーになり、手榴弾を投げまくる恐ろしい娘になる。
元がティーであるので陸太郎を大変気に入っており、いつも(授業中でさえ)彼の頭の上に顎を乗せている。
木乃、静、陸太郎を集めて「すぐやる部」を設立した。
イーニッド・スミス
イーニッドであるが、金持ちのアニメオタク少女になっている。3巻に登場。
アメリカの某大企業のCEOの令嬢で、執事・メイド・ボディーガードを従えている。
陸太郎に次いで原作からの変化が激しい人物。
おばあちゃん
木乃の祖母ということになっているがどう見ても師匠である。北海道在住。
変身すると美老婆銃士「ヴァヴァア・ザ・スーパー」になる。
怒らせたら怖い人(マジで)。某国軍法では彼女から逃げても敵前逃亡に当たらないとも。
銃刀法に縛られず銃を携帯しちゃってたりする。師匠がベースゆえ、作中最強の人物として君臨するがやっぱりお化けには弱い。
その武勇伝が幾度となく映画化されているという超有名人だが、木乃はヴァヴァア・ザ・スーパーの正体が自分の祖母だとは知らないまま。
エリアス
エリアスだが臆病で内気になっている。日本育ちの外国人。学園の1年(中学1年)。4巻より登場。沙羅の事情を唯一知っていて、沙羅を助けるため自ら魔物になり彼女の歌により姿が戻る。
本人にその時の記憶は無いが、その余波なのか(木乃には劣るものの)大食いになり、時折魔物同等の身体能力が発揮できるようになった。
すぐやる部の臨時部員。沙羅とはリア充。
沙羅
サラであり、こちらも内気になっているが芯は強い。原作同様ゴーストシンガーをやらされていた。学園の1年(中学1年)。4巻より登場。
ティーの計らいによりすぐやる部ぐるみでバンド大会に出場し、そこで歌い堂々事実を公表した。以降は単独で歌手活動をするようになる。
歌を担当していただけあって歌唱力はかなりのもの。
すぐやる部の臨時部員。エリアスとはリア充。
帆戸(ほと)
フォトであるが、原作より直情的で言葉が荒く暴走しがちになっている。
学園の5年(高校2年)。中等部時代から学園に通っている。5巻ラストを経て(実は原作の「フォトの日々」より先に登場していた)6巻で本格登場する。
かつては写真部に入っていたが廃部後は一人で写真愛好会に所属。
木乃の変身の一部始終を偶然カメラに収めてしまう。
実は変身ヒロインにとても憧れており、気持ちを吐露した結果変身資格を得るが、本人の理想に反してメタルヒーローまんまの『銀河特捜・フォトン』になってしまった。しかも一度変身すると魔物を倒すまで元に戻れず、一時間以上経てば二度と解除できなくなってしまう。キノと異なり本来の武器では魔物を殺すことしかできない(宿主を人間に戻せない)ため、彼女が到着するまで捨て身で魔物とぶつかり合うことを選択した。木乃はフォトンの存在を知らぬまま。
ちなみに実家暮らし。
ソウ
柔らかいビニール素材にバイクの絵が描かれたキーホルダーになっている。6巻より登場。
エルメス同様人格は原作と変わらないが、帆戸があんな性格なので呆れ気味にツッコミを入れることが多い。
実は惑星国家集合体“銀河共和国”の“警察機構”から遣わされた存在であり、変身資格を得た帆戸をフォトンに変身させシステムを指南した。
例えがいちいち微妙。
コミカライズ
原作よりも早くコミカライズされている。
時雨沢恵一・黒星紅白コンビの直接の著作ではなく、二人の監修のもと脚本担当の矢咲さなえ・作画担当の東くまこのユニット「電脳桜蛙団(でんのうおうわだん)」が製作した。ストーリーはオリジナル部分もあるが、基本的にはライトノベル版を踏襲している。
連載期間は2010年8月~2012年6月。当初は「電撃G's Festival! COMIC」で連載され、その後は「電撃G'sマガジン」で連載された。単行本全3巻。