曖昧さ回避
- ダンテの叙事詩「神曲」に登場するマレブランケと呼ばれる悪魔たちの内の一人で、その名前は「犬のようなひしゃげた顔をした者」を意味する。
- 『ファイナルファンタジー4』に登場する敵キャラクター。本記事で解説。
概要
初出はFF4。
主人公セシルたちと敵対するゴルベーザ四天王のひとりで、全身青一色の皮膚に亀のような甲羅を背負ったリザードマン(ファミコン通信170号より)。普段の姿勢も四つん這い。
「クカカカカ」「ヘエッヘッヘ!」などの下卑いた笑い声が印象的で、事実性格の悪さは四天王の中でも随一。
実は意外に寂しがり屋らしい。
水を操る力を持ち、自身の周囲に大量の水を集め、強力な津波を起こして敵を押し流す。
また、HPが減ると頭と四肢を甲羅の中に引っ込めて防御姿勢を取り、その間に回復して体制を立て直そうとする。
なお、水を操るため雷属性が弱点と思われがちだが、通常は爬虫類らしく冷気が弱点で、雷は津波のために水を集めた時にだけ威力が増す。さらにサンダーなどの魔法なら水を散らせて津波の発動を防ぐことも可能。
作中での活躍
登場自体はストーリー冒頭からで、すでにセシルの主君にして育ての親であるバロン王を暗殺し、王に化けて成り代わっていた。
そして主君ゴルベーザの目的であるクリスタルを集めるため、セシルが率いる飛空艇部隊「赤い翼」を魔導士の国ミシディアに派遣。また、城下町の踊り子の活動を禁止するなど無駄に王権を乱用している模様。
その後、王の方針に疑問を抱いたセシルを有無を言わせず解任。召喚士の村ミストに「ボムの指輪」を届ける任務を与える。これが後に仲間となるリディアの母をセシルが殺めてしまい、村が焼き払われてしまう原因となった。
そして、王に反旗を翻し、パラディンとなったセシルたちと玉座の間で対面。
バロン「セシル ぶじであったか! ずいぶん たくましく なったな」
セシル「へいか・・・・」
バロン「そのすがたは パラディン。そうか パラディンになったか。だがな いかんぞ パラディンは」
セシル「へいか・・・・いや バロン!」
バロン「バロン? クカカカカ・・・・だれだ そいつは?」
バロン「おお そうか おもいだした。たしか このくには わたさんなどと いっていた おろかな にんげんか」
バロン「そいつに なりすましていたんだっけなあ おれは・・・・ヒャアッヒャッヒャッ!」
セシル「きさま へいかを!」
バロン「あいたいか? おうに あいたいか? おれは スカルミリョーネのように ぶざまなことは せんぞお」
バロン「なにしろ あいつは 4てんのうに なれたのが ふしぎなくらい よわっちいヤツだったからなあ。グヘヘヘヘ!」
セシル「ということは きさまも!」
「いかにも! ゴルベーザ4してんのう みずのカイナッツォ!」
死闘の末セシルたちに敗れ消滅。自分が殺したバロン王の玉座が死に場所になるという皮肉な結末を辿った。
しかし、セシルたちが玉座の間を出た直後に不気味に語りかけ、通路の出入口を封鎖。
そして……
「死してなお凄まじい、この水のカイナッツォの恐ろしさ、とくと味わいながら死ねえ!」
と、見下していた相手と同じようなセリフを吐きながら壁が迫る仕掛けを発動。道連れにセシルたちを圧殺しようとする。
これを防ぐため、パーティーキャラクターのパロムとポロムが自身の身体を石に変えて迫る壁を止めることになってしまう。
多くの人々に不幸をもたらし、年端もゆかぬ子供まで犠牲にするなど、最後まで外道のまま地獄に落ちていった……。
しかし、終盤に真の黒幕ゼムスの手によって復活。バブイルの巨人内部で他の四天王たちとの総力戦を迎える。
この時に戦う順番は三番手。最初から水を集めた状態で、事前準備なく、より強力な「大津波」を引き起こす。
なお、HPが減っても防御姿勢になることはない。
二度目の敗北を喫した後は、ゼムスにもう一度チャンスを請うも叶うことなく消滅していった。
音声のついたDS版では故・青野武氏の声が当てられている。
後日談FF4TAではクリスタルから再生されて登場。再生されて無理矢理戦わさせられている現状を地獄と呼ぶ姿に卑劣漢としての面影はもはや無く、倒されると穏やかに消滅する。
加えてパーティー内にゴルベーザがいると、死後に自分も地獄へ逝くとの言葉に感激するなど、主君への高い忠誠心を感じさせるセリフが聞ける。
戦闘能力
最大の攻撃である津波はパーティーが半壊するほどの威力のため、雷属性の魔法で発動前に防ぐことが重要。弱点を突いて大ダメージを……と大魔法を使うと間に合わない可能性が高いため、発動の早い下級魔法のサンダーやアイテムを使うのが無難。
無理に大技を狙わなくても、この時点のパーティーには魔導士や属性武器を扱えるキャラが多いため攻め手には困らず、防御姿勢時の回復量も微々たるもので、そのまま押し切ることが可能。
戦闘前にスカルミリョーネのことを「四天王になれたのが不思議なほど弱っちいヤツ」と蔑んていたのだが、攻略法を知り尽くしたプレイヤー視点ではむしろスカルミリョーネより楽と言われる始末である(ちなみにスカルミリョーネはエリクサー1発で倒せてしまう)。
DS版ではSFC版から大幅に強化されており、HPば約2倍の1万超え。津波も威力が跳ね上がっている上即死効果付与という同会社作RPGの魔貴族様を思わせるものとなった。
加えて通常攻撃には毒付与。パーティー全体やカウンター行動で様々な状態異常魔法を繰り出すなど、その性格にふさわしい嫌らしい攻撃を多用する。
行動速度も大幅に上がっているため、サンダガなどで一撃必殺を狙っていると間違いなく津波の直撃を受けてしまう。ここは必ず発動の早いサンダーで阻止することを優先しよう。
なお、バブイルの巨人内部での連戦では2番手に変わっている。
FF1
リメイク版ではゲストとして登場し、追加ダンジョンのボスとして待ち構える。
スカルミリョーネとの択一になるのだが、本作ではあちらが四天王全員の中でも頭一つ抜けて強いため、戦力がよほど充実していない限りはこちらと戦った方が無難。
FF14
「暁月のフィナーレ」パッチ6.1「新たなる冒険」のラストで、まさかの登場。黒甲冑の大男と相対する地水火風のモノリスが登場し、特徴的な台詞から速攻で特定された。
パッチ6.3「天の祝祭、地の鳴動」では、ガレマルド北方に開いたヴォイドゲートから多数の妖異が出現する。駆けつけた光の戦士一行はリーパーの隠れ里「ラピス・マナリス」へ赴くが、そこにヴォイドゲートを通じてカイナッツォが顕現し、戦いを挑んでくる。
この時開かれたヴォイドゲートのリソースはゴルベーザに囚われた月竜アジュダヤの「竜の眼」で、ヴリトラは「アジュダヤに何をした!」と激昂した。
根っからの戦闘狂であり、水や津波を操る。甲羅に身を隠して高速回転しながら縦横無尽に暴れ回る「ハイドロラミング」や履行技「水渦の呪い」などで光の戦士を翻弄するも敗北。
だがカイナッツォは自分が囮であると白状し、当初の目的を達成できた事、全力で戦った事に満足しながら消滅した。直後、光の戦士達の不在をついてアルタザール海底遺跡のヴォイドゲートがルビカンテに破壊された事で、一行は第十三世界へ渡る術を失ってしまった。
ほとんどエーテルの尽きかけたアジュダヤの「眼」はヴリトラの手に渡り、まだ彼女が生きている事を辛うじて一行に伝える事となる。
ちなみにコンテンツサポーターで挑む場合、アルフィノとアリゼーがメンバーに加わる。
男女の双子ということで、事前に二人を心配するヒカセンは相当数にのぼったが、幸いにもブレイクする事はなかった。よかったね。
サイドクエスト「ヴォイドの傍観者」では、かつてヒトであった時代の四天王が描かれた。
それによるとかつてヒトであった頃のカイナッツォはルガディン族の漁師で、メモリア戦争の最中にも釣り糸を垂れるがさっぱり釣れず無聊を囲っていた。しかしある時「強い奴をぶちのめせばいい」と思いつき、メモリア使い達の戦いに殴り込みをかける。己の力のみを頼りにして戦場を渡り歩き、どのような相手にも食らいつく彼はいつしか「野良犬」すなわち「カイナッツォ」と呼ばれるようになった。
妖異となった後もひたすら力を求めて暴れ回っていたカイナッツォに対し、ゴルベーザはその渇望を認めてエーテルを分け与える。かくして野良犬は首輪を受け入れ、四天王に数えられる事となった。
余談
その性格の悪さから「カイナッツォなんかに殺されたバロン王が不憫(不名誉)」「高名なナイトだったバロン王がカイナッツォに負けたのは不意打ちでもされたのだろう」という意見も。
なぜカイナッツォがバロン王の暗殺を任されたのかは特に語られていない。化けることが出来るなら暗殺者として選出された可能性もあるが。
ファルコン号にドリルを着け地下世界から帰ってきた直後から、バロン王が転生した召喚獣オーディンと戦えるようになる。終盤の隠しボスということもありその強さはカイナッツォを凌駕する。
奇しくも雷が弱点という点は同じである。
関連イラスト
関連タグ
ゴルベーザ四天王
他作品
ギード:ゲーム『ファイナルファンタジー5』の登場人物。亀繋がり。