- 東宝の特撮映画「海底軍艦」に登場する万能戦艦(ドリル戦艦)。艦首の巨大なドリルが特徴。海底軍艦 轟天号。
- 東宝の特撮映画「惑星大戦争」に登場する宇宙戦艦。宇宙防衛艦 轟天。
- 東宝の特撮映画「ゴジラ FINAL WARS」に登場する万能戦艦。轟天号及び新・轟天号。
- 角川の小説「GODZILLA -怪獣黙示録-」に登場する潜水艦。
- 東宝の特撮映画「超星艦隊セイザーX」に登場する戦艦。迎撃戦艦 轟天号。
- 漫画『究極超人あ~る』のR・田中一郎が自分の自転車に付けた名前。→轟天号(究極超人あ〜る)
- 漫画『突撃!パッパラ隊』に登場する忍犬。→轟天号(突撃!パッパラ隊)
- 痛車『高崎くす子』の公式イラストを手がけているgo_ten_go氏。
本項では1~5について記載する。
なお、そのどれも艦首に巨大なドリルが付いており、もはや海底軍艦=ドリルという図式が成立しつつある。
海底軍艦
全長 | 120m |
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重量 | 10000t |
最高飛行速度 | マッハ2 |
最高水上速度 | 80ノット |
最高水中速度 | 50ノット |
最高地中速度 | 20km/h |
武装 | 艦首ドリル(冷線砲) 3連装電子砲×4 帯艦電撃 |
第二次世界大戦末期に大日本帝国海軍が建造する予定だった新型戦艦。
円柱状の艦体に加えその先端となる艦首部分に巨大なドリルを取り付けているという当時の戦艦の概念を根底から覆す形状をしているのが特徴で、艦体前部には鋸状の回転カッターも仕込まれている。計画策定は連合艦隊が壊滅し、もはや海軍そのものが形骸化したレイテ沖海戦の直後であったと思われ、正に帝国起死回生の秘密兵器として計画されていた。
船体はどちらかというと潜水艦に近い形態をしているが、本機は水上および水中のみならず空中から地中まであらゆる場所を航行できる機能を有しているのが最大の特徴で、後部に4基の海中空中兼用ターボジェットを搭載し、水中と空中を超高速で移動できる他、艦首ドリルを用いて硬い岩盤を砕いて地中をも容易く掘り進むことが可能。なお、艦橋部は胴体内に収納することができ、高速移動時と地中潜行時に艦橋を保護する。
また、宇宙航行をしているスチール写真があり、この通りのスペックであれば、正に万能戦艦である。
最大の武器は艦首ドリルに内蔵された冷線砲で、これで標的を瞬時に凍結させられる。
艦橋付近には副砲として約4基の三連装電子砲が設置されている他、万が一に敵に接触された際には艦体全体に高圧電流を流して相手にダメージを与える帯艦電撃機能も備わっている。そして艦首ドリルおよびカッターも攻城戦や対艦戦においては高い威力を発揮する。
初期の設定では魚雷発射菅なども装備されていたが、映画版デザインではオミットされた。
海軍の神宮寺大佐率いる「轟天建武隊」が建造計画を進めており、終戦間際の8月時点で設計図は完成しており、同部隊は神宮寺大佐が終戦間際に部隊ごと反乱を起こし、まだ帝国が保持していた南太平洋の地下秘密施設に逃れ、そこで年月をかけて少しずつ建造が行われた。当初、神宮寺はこの轟天号を消滅していた大日本帝国と大日本帝国海軍再興のために使おうと考えていたが、紆余曲折あった末に当時の世界で暴れていたムウ帝国と戦うために出撃、ムウ帝国の守護神マンダも下して帝国中枢へ突撃し、見事帝国撃破を果たした。
格闘ゲーム『ゴジラ怪獣大決戦』にも隠しキャラとして登場。対戦前のカットインでの名義は映画タイトルにならって海底軍艦。同作にマンダは登場しないが、ビオランテの触手を絡ませてマンダとの対決ごっこをさせたり、ムウ帝国の代わりにシートピア海底王国人の守護神・メガロとは対決させられる。
惑星大戦争
全長 | 175m |
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全幅 | 31m |
最高巡航速度 | 180000km/h |
最高宙航速度 | 光速の90% |
武装 | ダイヤモンドファイバー製超高速ドリル(エーテル爆弾) メインレーザービーム砲 前部レーザー砲×6、艦橋レーザー砲×2、サイドレーザー砲×2 リボルバービーム×2 アクティブ・レーダーミサイル(34発) 多目標レーザー爆雷(57発) |
国連宇宙局が南海の基地で建造した宇宙戦艦で、正式名称は「宇宙防衛艦 轟天」。
全体的にシンプルだった『海底軍艦』の轟天号とは対照的に、実在の海上戦艦に近い形状の艦体を持ち、微妙に反り返った艦首の下にドリルが取り付けられている。艦体後部はエンジンブロックになっており、加えて艦橋部のすぐ後ろには煙突のようなものもそびえていたりする。
主な武装は艦首先にあるメインレーザービーム砲の他、艦上部に多数備え付けられている各種砲塔群、さらに胴体には拳銃のリボルバーを彷彿とさせるカタパルトブロックが内蔵され、これを展開して艦載機のスペースファイターを発進させられるだけでなく、これ自体がビーム砲を兼ねており、そこからも高出力のビームを発射しての攻撃が可能となっている。
最大の武器はやはり艦首のドリルだが、本機はこれ自体がミサイルになっており、しかもこのミサイルはエーテル爆弾という特殊なもので、その威力たるや一撃で一つの惑星を破壊してしまうほど。更に大規模なものを製造すれば銀河系そのものを吹き飛ばすことも可能だが、その威力ゆえに開発者でもある滝川艦長は出撃を躊躇っていた。
突如巻き起こったUFO騒動を受けて宇宙から侵略を予測した国連宇宙局により建造が進められたが、この時の騒ぎはすぐに収束したことから建造作業が途中で止まったため、完成には約8年もの歳月を要することとなった。完成後は地球侵略を企むヨミ惑星人を率いるヘルが操る大魔艦との激しい対艦戦を繰り広げた。互角の戦いを繰り広げた末に大魔艦の重力砲で窮地に陥るが、最終的には滝川艦長がエーテル爆弾搭載のドリルミサイルで特攻し、金星とエーテル爆弾の秘密もろとも大魔艦を爆砕した。
ゴジラ FINAL WARS
本作では2隻の轟天号が登場する。
- 新・轟天号
全長 | 150m |
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全高 | 45m |
全幅 | 25m |
重量 | 10000t |
武装 | 艦首鋼鉄ドリル(冷凍メーサー砲 ドリルスパイラル・メーサー砲) 小型メーサー砲×多数 プロトンミサイル発射管×10 |
本作では地球防衛軍所属の戦艦となっており、20年前のゴジラとの決戦で大破した旧轟天号の後継機とされ、艦名も先代からそのまま引き継いでいる。
漆黒色の独特な曲線系のラインで構成された実にサイバーパンクなデザインの艦体が特徴で、艦首部にはドリルの他に2対のパネルのような装甲板が取り付けられ、エンジンブロックは同作に登場する他の空中戦艦と同じく機体下部に付いているなど、上記の二機以上に斬新な設計となっている。
これもオリジナルと同じく空中、海中を自在に航行できる機能を持つ。
艦首ドリルは相手を一瞬で凍らせる冷凍メーサー砲と通常のドリルスパイラル・メーサー砲の使い分けが可能で、他にも小型メーサー砲やプロトンミサイルランチャーなどの武装を内蔵している。
艦の下部にはハッチがあり、そこから艦載機のドッグファイターを発進させる。
冒頭ではマンダに襲われた上に艦長であるダグラス・ゴードン大佐の無茶な操艦指揮の所為で艦体の70%以上を損傷したためしばらくオーバーホールを余儀なくされるが、皮肉なことにそのおかげでX星人による破壊を免れ、再びゴードン艦長の指揮により南極に眠るゴジラを蘇らせるべく出撃する。
ゴジラを復活させた後はゴジラをX星人の母艦まで誘導し、そして自らもX星人の母艦に突撃をかけるが、敵の妨害によって攻撃は失敗、艦長を含むクルー全員が囚われてしまう。その後クルーとX星人の激戦の末にX星人は全滅し、轟天号は沈む敵母艦から離脱してカイザーギドラ相手に苦戦するゴジラにG粒子エネルギーを与えてゴジラを再起させ、勝利へと導いた。
しかし、直後には本艦もまたゴジラの攻撃を受けて大破、不時着してしまい、さらにゴジラに迫られるも、駆けつけたミニラに説得されたことでゴジラが戦意を放棄したためにそれ以上の被害は避けられた。
ちなみに、地球防衛軍に所属する生物学者で神宮寺博士(演:佐原健二)という人物が登場するが、これは『海底軍艦』で轟天号の艦長であった神宮寺大佐へのオマージュである。
- 旧・轟天号
20年前の地球防衛軍が運用していた轟天号。設定は『海底軍艦』とは異なり、怪獣災害に対処すべく結成された頃の地球防衛軍が当時の技術力を結集して建造したものと言う事になっており、長きに渡って幾多の怪獣と戦ってきたと言う。また轟天号のクルーになる事は防衛軍兵士にとっては名誉と言われている。
デザインは『海底軍艦』の時のものとほぼ同じだが、艦橋基部が現代のイージス艦のような台形のものに変化しているほか、VLSや機銃群の増設、「轟天砲」と銘打たれた主砲塔や舵類の形状など細かなところで差異がある。また主砲は艦橋を挟んで前方に3連装1基と連装2基、後方に連装2基の計11門という変則的な配置がなされている。
20年前の南極にてゴジラとの決戦に臨むが、ゴジラの熱線をまともに受けて不時着してしまった所、偶然発生した地震でゴジラが動けなくなった瞬間にミサイルでゴジラの近くにそびえていた氷山を攻撃、それによって起こした雪崩でゴジラを封じ込めることに成功した(ちなみに、この時ミサイルの発射を担当したのが、当時ブリッジクルーだった若かりし日のゴードンである)。
この時の艦長役は中尾彬、副艦長役は上田耕一と、平成ゴジラシリーズで散々ゴジラに辛酸を舐めさせられた二人がついにゴジラを倒すという中々に熱いシーンになっている。
ちなみに、この「ゴジラ対轟天号」という夢の対決シーンは元々予定にはなかったものだが、映画前半におけるゴジラの出番がほとんど皆無なのをフォローするために北村監督が強引にねじ込んだ。本当はもっと長くやりたかったそうだが、富山プロデューサーに止められたため完成版の長さに落ち着いた。
また、実を言うとゴジラ対轟天号の対決は、このずっと前に小学館の書籍『決定版 ゴジラ入門』で行われたことがあったりする。前述したように格闘ゲーム『ゴジラ怪獣大決戦』でも再現可能。アンギラスやガイガンとも戦えるぞ! ちなみに同ゲームの轟天号はバランスブレイカーもいいところである。
怪獣黙示録
アニメ映画版『GODZILLA』の前日譚小説『怪獣黙示録』にも登場。
こちらは純粋な潜水艦で、(おそらくは)艦首ドリルとかは積んでいないと思われる。
地球連合軍の対怪獣殲滅計画「オペレーション・エターナルライト」に基いて2039年頃に建造された兵器で、艦種が和風名なのは対潜技術の進んだ日本がその製作を担ったためである。
建造においては異星文明の技術が用いられており、エクシフのゲマトリア演算を応用した特殊な索敵システムにより深海にいる怪獣も素早く発見でき、加えてビルサルドの技術で組み込まれた特殊合金性装甲およびキャタピラードライブにより従来の潜水艦以上の機動力と潜行能力を発揮する。その他に艦内は多数の特殊潜航艇を搭載している。
艦長を務めたのはシングウジ大佐で、欧州の海域を支配するマンダを駆逐するために出撃、特殊潜航艇部隊との連携で見事マンダ殲滅に成功した。
その後は震天、驚天といった同型艦も建造された模様。
このうち、驚天は『プロジェクト・メカゴジラ』において、北極で発生した原因不明の海水温上昇の調査の際に消息不明となり(恐らく、北極海に潜伏していたゴジラによって撃沈されたと考えられる)、震天はメカゴジラ開発基地を守る為にゴジラへの特攻同然の核攻撃を仕掛けて消滅した。
一方、轟天はインド洋で消息を絶っていたが、核兵器でゴジラ諸共滅びようとするカルト集団「総攻撃派」を阻止するためにフォークランド諸島へ出撃。敵を道連れに轟沈したものの、シングウジ大佐ら乗組員は生存している。また、彼らが身を隠していたのは、人類を滅ぼそうとする真の黒幕の存在に気付いていた為だったらしい。
劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち
同世界の防衛軍の主力兵器として作られた迎撃戦艦。
プロップは『GFW』の旧轟天号を引き続き用いておりデザインもおおむね準ずるが、主砲塔のデザインと配置が『海底軍艦』版に近いものに戻されているのが特徴である(門数は二番砲塔をのぞいて連装となっている)。
ボスキートとの戦いに苦戦するセイザーら超星神戦士の支援のために使われニューボスキートが変貌した偽ケンライザーに得意のドリルを使い撃破するが一時的に機能停止、そしてボスキート最終形態であるマンモスボスキートのバリア攻撃で苦戦する中再起動を果たし冷凍砲を使ってマンモスボスキートを氷漬けにして最大の弱点である角(マンモスボスキートのバリア発生源)を狙わせる健闘を見せた。
なお、本編(超星艦隊セイザーX)にはこれに酷似した変形式ロボット「ドリルアングラー」が登場している。
余談
『ウルトラマンメビウス』では海洋学者のジングウジ・アヤとその弟のジングウジ・タカトが登場するが、彼らの名字である“ジングウジ(神宮寺)”は言うまでもなく、『海底軍艦』の神宮寺大佐が元ネタ。
同作では、GUYSの最高総議長タケナカ役として、『FINAL WARS』で神宮寺博士を演じた佐原健二が出演しており、さらにジングウジ姉弟はタケナカの孫という設定になっているため、こうした事情に因んで名づけられたのだろう。
なお、「劇場版 超星艦隊セイザーX」の国防省司令官の名前は神宮寺翼である。
関連タグ
インペライザードリルミサイルに特技監督の原口智生が所蔵していたドリルが流用された。