GODZILLA(アニメ映画)
ごじらあにめえいが
同タイトルのハリウッドで展開しているシリーズについては“GODZILLA”を参照。
この<地球>を必ず取り戻す
2017年から公開および展開予定のゴジラシリーズのアニメーション映画作品。
本作は元より全三部作構成での制作であるとし、その第一章に当たる『GODZILLA 怪獣惑星』は2017年11月17日に公開。第二章の『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は2018年5月18日に、第三章の『GODZILLA 星を喰う者』は2018年11月9日に公開。
公式の通称は「アニゴジ」。
各章は劇場公開後にNetflixでの配信が行われており、第1章は2018年1月17日、第2章は2018年7月18日、第3章は2019年1月9日より同サイトで配信されている。
発表は2016年の8月18日と、同年7月より公開された『シン・ゴジラ』の大ヒットで世間が湧いている中での公表であり、しかも今度は従来の特撮ではなくアニメーションとして制作されるというゴジラシリーズの中でも異例の作品であることから話題を呼んだ。
本作の監督はTVアニメ版『シドニアの騎士』および2011年以降の『劇場版名探偵コナン』シリーズを手がけた静野孔文と、劇場版『亜人』で映画初監督を務めた瀬下寛之の二人体制。
さらに原案と脚本においては斬新な世界設定、衝撃的なストーリーが話題を呼んだ『魔法少女まどか☆マギカ』で一躍有名になったニトロプラスの虚淵玄が当てられていることも発表された。
アニメーションは『シドニアの騎士』のアニメ制作も行ったポリゴン・ピクチュアズが担当する。
発表当初公開されていたキービジュアルイラストはというと、“飛行艇らしきメカニックが停まっている丘の上から3人の人間が霞に包まれた深い森林が広がる大地を見下ろしているだけ”というはっきり言ってタイトルがなければまずゴジラ映画だとはわからないようなものであり、その後に公開されたコンセプトアートも“密林の中を歩く多脚戦車と人型兵器を含めた歩兵部隊”や“宇宙船とその内部か格納庫らしきスペース”といった世界観背景のイメージを描いていた物が多く、この時点で怪獣映画であること以上にSF要素を前面に押し出していた。
2017年3月25日~26日開催のアニメイベント「AnimeJapan2017」にて正式に公開された情報によると、巨大な宇宙船や大型のパワードスーツ、さらにエアバイク風のビークルと言った各種メカニックがガジェットとして登場する他、キャラクターには人間以外の人型種族である「エクシフ」「ビルサルド」と呼ばれる異星出身の種族も存在し、さらにストーリーに至っては現代よりも遥かに未来の地球を舞台にしているということなど、徹底した現代劇が特徴だった『シン・ゴジラ』とは対照的な『怪獣総進撃』や『ゴジラ FINALWARS』以上の未来史物的な作品であることが明らかにされた。
実際、一般的な怪獣映画とは作風が大きく異なり、いわゆる「怪獣プロレス」をあえて避け、人類の進化や宗教・価値観、文明進歩の功罪、怪獣の定義などを主題にした人間ドラマを中心に描かれるSF映画としての側面が非常に強い作品となっているが、これは決して予算不足で派手な映像を作れなかったという理由ではなく、企画の初期段階で東宝から監督2人と虚淵玄に「いわゆる怪獣プロレスではなく人間ドラマを描いてほしい」というオーダーが出されたためで、最初から怪獣プロレスを描かないと決めた上での意図的な作風である(複数の怪獣同士の戦いよりも怪獣と人間の相克が主軸という構図は前作の『シン・ゴジラ』もそうであったが、本作はそれとはまた違う方向性を示した作品となっている)。
ちなみにこれまででアニメ版のゴジラ作品というと、アメリカで制作された1978年版のカートゥーンアニメ(日本未放送)と1998年版の続編的な『ゴジラ・ザ・シリーズ』があるが、日本でかつ映画として制作されるゴジラを題材としたアニメーション作品は本邦史上初である(あとはせいぜい子供向けビデオとして作られた『すすめ!ゴジランド』くらいしかない)。
なお、本作はゴジラシリーズとしては平成最後の作品でもある。
評価
端的に言えば、公開当初は大きく物議をかもし賛否両論となった。詳しくは後述するが、難解な作風が理由である。
ゴジラなどの怪獣がどうして生まれるのか、その存在が人類にとって何を意味するのか、そして怪獣を前にして人類はどうするべきかといったテーマ性の強いストーリーは、初代ゴジラからシリーズを通して連綿と描かれてきた過剰な科学進歩へのアンチテーゼを前面に押し出したものとして、特にゴジラ作品のテーマ性そのものを重要視してきたファンから評価の声が挙がっている。
本作においてゴジラを含む登場怪獣が、オリジナルとは面影がないほど姿形が変わっていたり斬新な設定が盛り込まれたりと、特撮版からは想像もつかないような活躍をしており、一貫して『各種族にとっての象徴であり概念でもある神的存在』として描かれている。これについては既存の伝統に囚われない前衛的なアイディアとして、好意的に受け止める向きも存在している。
一方で、アニメなりの派手な『怪獣プロレス』を期待して劇場に足を運んだ観客からは大きな不満の意見が上がっており、上記の姿形が変わった怪獣達においても同様の声が少なからず存在する。とりわけ、モスラがシルエットしか登場しなかったり、第2章の主役怪獣としてポスターなどで大々的に宣伝されていたメカゴジラがロボット怪獣としては結局活躍しなかったことは、宣伝との相違があったと批判の声が大きいのが実情である。
結果的に言えば「怪獣映像による娯楽性をあえて捨て、人間ドラマによるテーマ性に特化したゴジラ映画」であり、ゴジラ映画としては評価の大きく割れる作品となった。また「これまで反核や反戦をテーマにしてきた『ゴジラ』という題材を、アニメなりの解釈で描いた異色作」であるとも言える。
とはいえ、先鋭的かつ意欲的な本作のアプローチは、過去の斬新な作品の再評価にも一役買っており、それまでの閉鎖的だったゴジラ界隈に新たな風を吹き込んだ点は何より偉大な功績といえる。
実際、本作で初めてゴジラを知った若いファンもおり、怪獣映画ではなくSFとしてみれば面白いという声も聞こえる。
本作は、アニメーション大国日本において、初めての長編アニメゴジラ映画という非常に大きな期待を一身に背負っていたからこそ、予想外のものが出てきて旧来のファンから批判を受けた面が大きく、実写特撮に興味のないファン層に訴求できた点は、制作者側の狙い通りだったともいえる。
なお、本編とは別に旧作のマニアックなネタを盛り込み歴代の東宝怪獣が総登場した(一部除く)前日譚ノベライズ2作『怪獣黙示録』及び『プロジェクト・メカゴジラ』の人気・評価は総じて高く、「こちらも映像化してほしかった」という声も多い。
以下は2019年5月の時点で公表された数字であり、最終的な興行成績は明らかにされていない。
なお、カッコ内は公開館数を示す。
- GODZILLA 怪獣惑星(155館) 約3.4億円。
- GODZILLA 決戦機動増殖都市(159館) 約1.5億円。
- GODZILLA 星を喰う者(159館) 約1.7億円。
見ての通り、残念ながら単作はおろか三章合計で歴代最低の結果となっている。
それまでのワーストだった「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」の12億円や「ゴジラ FINAL WARS」の12億6000万円と比較しても非常に厳しい成績といえるだろう。
補足として余談の経緯が関係しているからか、本三部作はゴジラ映画としては異例ともいえる小規模公開であったこと、難解なSFであったこと、初のCGアニメーション映画でのゴジラ作品だったことなど、異例づくめの作品展開があげられる。
小規模公開で興行収入が伸び悩んだ例としては、2014年のハリウッド版ゴジラが427館、シン・ゴジラが441館で公開されたのに対し、本三部作はいずれも160弱ほどの館数での公開となっている。
映画は館数に応じて宣伝量も決められているため、公開規模は興行収入を大きく左右する。
また、SF映画はスターウォーズやエイリアンなどの特大ヒット作が出るまでは映画業界でもヒットさせるのが難しいジャンルとされていた。
三部作作品は基本的に1作目の興行収入が最も高く、あとは右肩下がりになっていく事が極めて多い。事実本作はSF設定説明シーンが多く、客の間口が狭くなり1作目以降伸び悩む理由になったと推測される。
配信成績としては『日経エンタテインメント! 2018年4月号』掲載のゴジラ戦略会議のインタビュー画像によれば、Netflixで第1章が「世界でトップ10に入る視聴数」を記録したことが明かされているが、本作の前衛的な内容に関係してか、トップ10中の具体的な順位の内容および以降の章の配信に関する成績については現時点までは未公表となっている。
第一章
1990年代後半より現れはじめた正体不明の巨大生物“怪獣”の脅威に晒されるようになった地球。
その中でも2030年に出現した他の怪獣をも駆逐する最強の怪獣“ゴジラ”によって、地球人類は多大な被害と犠牲を強いられていた。
人類は2035~36年に地球を訪れた異星種族“エクシフ”および“ビルサルド”らと共同で“地球連合”を発足させ、総力を上げてゴジラ対策に当たったが、それでもゴジラを倒すことはできず、やがてほとんどの生存圏を失い、残った人口も10億を切るなどもはや絶滅寸前まで追い詰められた人類は、種の存続を図るため地球から脱出し、他星に移住するという計画を実行に移す。
そして2048年、政府の人工知能に選別された人類からなる移民船団が結成され、その計画のために建造された恒星間移民船の一つである“アラトラム号”は地球から11.9光年の彼方にある“くじら座タウ星e”を目指して旅立った。しかし、それから20年かけて辿り着いたタウ星eの環境は予想以上に地球との差異が大きく、とても人類が入植できるような場所ではないことが判明する。
物資も尽きかけ、これ以上の船内生活も限界に近づきつつある中、船では幼い頃に両親をゴジラに殺され、その復讐を誓う青年ハルオ・サカキら地球帰還派が主流となり、最終的にアラトラム号は地球に引き返すことを決定。前例のない長距離亜空間航行を地球に向けて敢行し、出発の時よりも遥かに短い時間で地球に戻ることに成功するが、その影響で生じたそれぞれの時間の流れの歪みによって到達した地球は既に2万年の歳月が経過しており、地上はゴジラを頂点とした生態系が広がる未知の世界となっていた。
第二章
苦闘の末にゴジラを倒したと思ったハルオらであったが、それは“フィリウス”という派生種に過ぎず、直後に2万年もの間地球で生き続けていたオリジナルの個体“ゴジラ・アース”が出現し、その圧倒的猛威により地球降下隊は壊滅。生き残ったメンバーも離散してしまった。
アースの攻撃で負傷し、意識を失っていたハルオは地球人類の生き残りと思われる“フツア”と呼ばれる種族の少女、ミアナに助けられる。ミアナらフツアの民は「フツアの神もゴジラに敗れ、現在は卵だけが残されているのみ」と語る。
一方、ビルサルドのガルグはフツアの鏃に使われている金属が、2万年前に地球連合が開発した対ゴジラ最終決戦兵器“メカゴジラ”を構成していた自律思考金属体・“ナノメタル”であることに気付く。それはメカゴジラの建造プラントがまだ生きているという証拠であった。
【地球人】
マーティン・ラッザリ (CV:杉田智和)
アダム・ビンデバルト (CV:梶裕貴)
エリオット・リーランド (CV:小野大輔)
タケシ・J・ハマモト (CV:山本兼平)
ジョシュ・エマーソン (CV:石谷春貴)
「決戦機動増殖都市」
本作は、歴代のゴジラ作品の中でも飛びぬけて難解な設定や用語が多い。
以下主要な用語を解説する。
種族
- 怪獣
西暦1999年ごろから地球各地に出現するようになった巨大生命体の総称。
出現する度に大規模な破壊活動を行っては人類の文明に甚大な被害を与えて同時に多くの人命を奪い、最終的な文明崩壊と人類滅亡の要因となった。
前日譚小説での説明によると都市など人口密集地に現れる傾向があり、ほとんど全ての種類に電波を吸収する性質があるため発見こそ容易ではないが、基本的には通常の生物の延長であり、火炎を吐くなどの特殊能力もなければ生命力もそれほどではなく、先進国の軍事力ならば十分対処が可能であったという。また、小型の怪獣は難民が食料にできるレベルだった。しかし、2030年に現れたゴジラだけは例外で、通常の火器どころか核兵器すら通じない超絶的な存在として全ての怪獣の頂点に立つ「怪獣王」と畏怖された。
一般的には急激な環境の変化に起因する大規模な生物淘汰により各生物に生じた突然変異が出現の原因とされているが、一方でメトフィエスは怪獣の出現とは「驕れる文明種族に対する自然からの復讐」であるとし、これまで地球以外の多くの惑星文明でも怪獣による災害とその果ての破滅が待っていたと語っている。
西暦2035年に地球へ飛来した異星人種族。
母星はペルセウス座BD+48°740恒星系第4惑星「エクシフィルカス」で、色白の肌に日本で言う弥生時代の人間のような髪型や服装が特徴。
自身の星は地球と同様とある怪獣の猛威により失われてしまったとされ、地球には怪獣に苦しめられる人類を救うという名目で降り立った。
「自己犠牲と奉仕による魂の救済」を教義とする独自の宗教観を持っており、既存の宗教的価値観の失われた現在では多くの地球人がこれに帰依している。
ある種の未来予測すら可能にするという“ゲマトロン演算”と呼ばれる独自の演算技術を有しており、それによって地球の電子系技術は飛躍的に向上した。
西暦2036年に地球へ飛来した異星人種族。
はくちょう座V1357恒星系第3惑星「ビルサルディア」出身で、黒人のような色黒な肌をした屈強な体付きが特徴。
母星は過去にブラックホールに飲み込まれて消滅したとされ、放浪の果てに地球を訪れると怪獣対策への全面的な協力の見返りに地球への移住許可を求めてきた。
長年の宇宙生活に耐えられる頑強な肉体と科学および合理性を重んじる堅実な精神構造が特徴で、さらに体内の器官の多くが人工臓器に移し替えられているという。
地球脱出以前に対ゴジラ最終決戦兵器としてメカゴジラを開発していたが、その起動に失敗したため使用する間もなく破棄してしまった。
人類、エクシフ、ビルサルドの何れとも異なる第4の種族。
地球に残留した人類の末裔と思われる種族で、白い髪に褐色の肌を持ち、その肌からは鱗粉が生成されて鮮やかな模様を描き出している。
昆虫のものに近い怪獣と思しき生物の遺伝子を取り込むことで現在の地球環境に適応進化しているとされ、さらにテレパシーによる言語を介さない交信能力も有している。
かつての人類文明と科学技術は既に失われているため使う武器は槍や弓矢で、火山地質の地下洞窟を住居にしているなど極めて原始的な生活を送っているものの、基本的な文化水準は決して低くはなく、現在の地球においても優れた身体能力および後述のナノメタルを利用した武器で対応している。
かつて彼らにとっての神に当たる存在が居たらしいが、それも既にゴジラに駆逐されて今ではその卵が残されているだけだという。
ハルオら移民団の人類のことを「ワタリガラス」と呼ぶ。
メカニック / テクノロジー
- 恒星間移民船アラトラム号
地球脱出を決意した地球人類がエクシフ、ビルサルドと共同で開発した恒星間移民船の第二番艦。
全長約1kmの巨大宇宙船。
「地球連合軍タウe方面旅団」の母船で、三種族合わせて総勢5000名以上もの人員を乗せている。
亜空間航行機能が搭載されているが、後述の理由から長距離での使用は制限されていた。
- 恒星間移民船オラティオ号
移民船の第一番艦。
全長3kmもの大きさを誇る超巨大船で、10000人以上もの人員を乗せ白鳥座方向に約1400光年離れたケプラー425系を目指していた。内部に冷凍睡眠装置を備えている。
現在では音信不通で以後の動向は不明になっている。
- 揚陸艇
アラトラム号に多数格納されている中型シャトル。
単独での大気圏突入および離脱が可能な船であり、母艦から惑星地表への行き来に使われ、人員の他にパワードスーツやホバーバイク、戦車などの物資を搭載して地上に送り込む。
ちなみにコクピットブロックは分離が可能で、緊急時の脱出艇にもなる。
- ホバーバイク
一人~二人乗り用の空中飛行型バイク。
下部に装備されている機関砲が武器。
前日譚小説によると正式名称は47式汎用航空艇で、2万年前の時代よりゴジラを引きつける囮役として運用されていた。
- 多脚戦車
四足の多脚構造型装甲戦闘車両。
脚部は可変式かつクローラーがついており、地形に合わせて歩行と走行を使い分けられる。
主兵装は二門の電磁加速砲だが、対ゴジラ戦術に基いてゴジラの電磁気増幅器官を確実に破壊できるよう出力を上げた改造型も存在している。
前日譚小説によると地球連合時代に開発された「G-HED」と呼ばれる戦車がベースになっているという。
- パワードスーツ
地球連合軍の地上兵器。
本来は惑星開発用重機だったが、地球帰還後に対ゴジラ作戦へと実戦導入された。
メイン武装は20mm口径レールガン。
前日譚小説によると地球連合時代に開発された38式機動戦闘服「ジャガーJ」という有人機動兵器の技術が応用されているとのこと。
- ヴァルチャー
『決戦機動増殖都市』で登場。
ビルサルドがナノメタルを応用し上記のパワードスーツを強化した戦闘用機動兵器。
その名の通り鳥のそれに似た頭部および背中に取り付けられた巨大な飛行用のウイングが特徴。
両腕のロングバレルライフルが武器で、ホバーバイクとは比較にならない火力と機動性を有する。
一方で操縦に当たってはビルサルド以外の種族には身体的な負担が激しく、さらに地球人には知らされていない恐るべき機能が隠されている。
2万年前に地球連合が開発した、意思を持つ自律思考金属体。
当時、日本の富士山麓で建造が行われたメカゴジラを構成する物質素材として生み出されたもので、自己生成および自己改造機能を有しており、コマンドによって様々な機器や機械をその場で自在に製造、生産することが可能になっている。
核とも言うべきメカゴジラ本体のシステムはまだ生きており、メカゴジラの残骸を中心とした地域には2万年掛けて自己増殖を続けていたナノメタルの鉱脈が形成され、フツアはそれを鏃などの武器のコーティングに利用し、そして旧メカゴジラ建造プラントの跡地にはその増殖したナノメタルによって構築された巨大要塞が存在している。
精製には100ギガワット級の熱核融合炉を何基も必要とする。
- オムニエレクティオ
中央政府が設置した人工知能。
移民船の乗員はこの人工知能に選ばれた、人類生存に必要な能力値を満たした人間に限られている。
- 亜空間航行
移民船団が宇宙を超高速で移動するための一種のワープ航行。
片道で数十年かかる距離をそれよりも遥かに短い時間で移動することができるが、長距離での移動であればあるほど転移空間の予測が困難になるうえ、さらにその分亜空間と通常空間の時間の差異も激しくなるなど想定外の事態を招きやすいといった危険性を孕んでいる。
- ゲマトロン演算
エクシフ独自の数学体系をベースにした未来予測演算技術。
その名前は地球側の数理物理学者が、古代ヘブライ神秘主義「ゲマトリア」を訳したもので、エクシフ側も地球側の贈り物としてこの名称を受け入れている。
エクシフが持つ神器「ガルビトリウム」による神託、亜空間航行、怪獣の生態系解明、索敵、移民船乗員の選別などに応用された。人類にはほぼ予測不可能な科学で、「予測」あるいは「予言」と解釈されている。
これによるコードで構成された人工知能をビルサルド製の量子コンピューターに実装する事で、人類の兵器は一気に進化した。
その他
- 中央委員会
アラトラム号内にある地球連合軍の統治機構。
地球人のウンベルト・モーリ大将、エクシフのエンダルフ枢機卿、ビルサルドのハルエル・ドルド中将が幹部を務め、艦全体の組織運営を担っている。
- 地球連合
人類、エクシフ、ビルサルドが設立した統一政権。
ロゴマークは太陽系にエクシフとビルサルドのエンブレムを重ねたもの。
史上初の地球統一政権で、発足に伴いかつての国家は自治区となった。
前日譚小説で語られた所によると成立以後は総力を上げてゴジラを含む怪獣対策に当たったが、あらゆる手段を講じてもゴジラの殲滅には至らず、度重なる作戦の失敗とそれに伴う多大な犠牲から人類はゴジラ打倒を諦め、後述の人類地球脱出計画に着手した。
脱出計画完了後は二度目の本部壊滅や反乱を起こした過激派との抗争といった事態の末に崩壊の一途を辿ったとされ、2048年に残存勢力がゴジラに対して行った最終作戦以降の連合の状況については不明である。
- 地球外惑星移民計画
ゴジラを含む怪獣の猛威による人類絶滅の危機に際し、地球連合が人類種の存続のために発動した他の惑星への移住計画。
ゲマトロン演算を利用した人工知能「オムニエレクティオ」によって選出された計15000名の人類を異星種族と共にアラトラム号とオラティオ号の二隻の宇宙船で地球から脱出させ、地球に近い環境があると予想された別の惑星に移住させることを目的として進められた。
前日譚小説では元は地球への隕石衝突の危機に際して始まった計画を転換したものであるとされ、一方で計画の本格的な推進においては定員15000人以外の全ての人間達を事実上見捨てるということから多くの反発を呼んだともいい、その反対派によるテロ攻撃や搭乗予定者への傷害事件といったトラブルの発生が相次いだとのこと。
なおオラティオ号の方は現在交信不通になっており、そちらの成否は不明。
監督 | 静野孔文、瀬下寛之 |
---|---|
シリーズ構成 / 脚本 | 虚淵玄、村井さだゆき |
キャラクターデザイン原案 | コザキユースケ |
副監督 | 森田宏幸 |
演出 | 吉平"Tady"直弘 |
音楽 | 服部隆之 |
プロダクションデザイン | 田中直哉、Ferdinando Patulli |
CGキャラクターデザイン | 森山佑樹 |
造形監督 | 片塰満則 |
美術監督 | 渋谷幸弘 |
色彩設計 | 野地弘納 |
音響監督 | 本山哲 |
アニメーション制作 | ポリゴン・ピクチュアズ |
主題歌
第一章 | 「WHITE OUT」 XAI |
---|---|
第二章 | 「THE SKY FALLS」 XAI |
第三章 | 「live and die」XAI |
小説
外伝小説第一弾。1999年の怪獣初出現から2048年の人類の地球脱出計画始動までの約49年間におけるゴジラをはじめとする怪獣達によって人類が翻弄されていく様と二種の異星人との出会いを経て怪獣への反撃の体制を整えていく様をオーラル・ヒストリー形式で描いている。
外伝小説第二弾。2042年以降に活動を活発化させたゴジラに対する地球連合の切り札となるはずだった最終兵器メカゴジラの開発を巡る経緯が綴られる。
前2作とは異なり、映画本編のノベライズ。全2巻で第1章から第3章までを含めた内容になっており、映画では語られなかったキャラクター描写の行間を補完する。
ウェブコミック
- GODZILLA -怪獣惑星-
- 作者:倉橋ユウス
ウェブ漫画サイト“少年ジャンプ+”および“Z”にて隔週配信中の第一章のコミカライズ版。ストーリー自体はほぼ映画と同じだが、映画では省かれていたシーンや各キャラクターそれぞれの過去といった本作独自のドラマが描かれている。単行本は小説版と同じ11月2日発売。
- 2018年3月開催のAnimeJapan2018では前回のアレに倣ったのか今回は脚本家繋がりで本作とTVアニメ『PSYCHO-PASS』のコラボレーションとなる“GODZILLA × PSYCHO-PASS”というクロスオーバー企画が行われた。
- 2018年4月11日には第二章および『パシフィック・リム:UR』の公開を記念して本作とのコラボイラストが制作、公開されている。
- 2018年10月8日には第三章および『機動戦士ガンダムNT』の公開を記念して本作とのコラボイラストが制作、公開されている。
- 発表当初はGODZILLAだけの表記だったが、第一章の副題は2017年3月22日発売の『シン・ゴジラ』BDセットに特典として付属していた本作のポストカードにより判明した。ちなみに“怪獣惑星”と書くと1994年から1998年までサンリオピューロランドにて3Dシアター型のアトラクションとして公開されていた“怪獣プラネット ゴジラ”っぽいが、おそらくは無関係である。
- 劇場パンフレットによると本作に登場する種族の内、エクシフは『怪獣大戦争』や『GFW』などに登場したX星人がモデルとされ、一方のビルサルドは『対メカゴジラ』などに登場したブラックホール第3惑星人、そしてフツアの民は『モスラ』などに登場したインファント島民がモデルであるという。
- 雑誌のインタビューによると当初はテレビ(およびnetflix)で放送するアニメとして制作する予定だったが、『シン・ゴジラ』のヒットを受けてそのまま映画シリーズという形で作られることになったとのこと。全3部作という連続ドラマ形式になっているのはその名残と思われる。
- 物語冒頭でアラトラム号が辿り着いた人類の移住先として選ばれた「くじら座タウe星」は現実でも“地球に最も近い恒星系に浮かぶ生命体が存在する可能性のある(=地球と共通する環境があると考えられる)惑星の一つ”とされており、これまで『ジュブナイル』や『ミニスカ宇宙海賊』、そして『スタートレック』といった様々なSF作品にて使われている(参照)。
- 本編の歴史設定における“断続的な怪獣災害によって人類が滅亡の危機に瀕した世界観”という部分は過去のシリーズ作品で比較するならば『GFW』に近く、あるいは他の怪獣系映画で言えば『パシフィック・リム』もそんな内容であったが、本作はそれらとは対照的に“その果てに行き着いた最悪の結末”のさらに先を描いた物語となっている。
- 本作の評価は先述の通り非常に賛否に分かれたものの、独特の世界観に病みつきになるファンもおり、刺さる人には非常に刺さる作品となっている。さらに主人公の項目でも詳しく述べられているが、ラストに(程度の差はあれど)ゴジラ復活を示唆する展開が近年多い中、本作においてはゴジラが二度と“怪獣”として現れなくなる=ゴジラと人類の戦いに完全な終止符を打ったという点も注目すべきところである。
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