曖昧さ回避
- インド神話に登場する聖仙(リシ)。
- 工具の商標にも「アンギラス」というものがある。
DATA
別称 | 暴竜(暴龍) |
---|---|
身長 | 60m |
体重 | 3万t |
概要
「ゴジラの逆襲」から登場しており、東宝怪獣の中ではゴジラにつぐ古参でもある。
ゴジラが初めて戦った怪獣であり、以後もシリーズに度々登場するようになる。
初代と二代目、さらに「FINAL WARS」に登場した3体目が存在し、初代はデビュー作でゴジラに倒され、二代目は「怪獣総進撃」~「ゴジラ対メカゴジラ」までの作品で5度登場した。
生態
ゴジラと同様に水爆実験により復活した恐竜が怪獣化したもので、背中全体が固い甲殻に覆われており、鋭い棘がびっしり生えているのが特徴。当初は、この甲羅は後ろ半分が二股に分裂し、胴体とも固定されていない設定だった。
- 実際、当時の雛型原型では背中の棘付き甲羅が二列に分かれ、反り返って威嚇を見せている。この造形物の写真は、いくつかの宣材に用いられた。現在は甲羅は固定されている。
「アンギラス」という名前はかつて地球に生息していた鎧竜の一種・アンキロサウルスの通称……という設定であり、初登場作品『ゴジラの逆襲』にて第一目撃者の証言がアンキロサウルスと一致した事が名前の由来である。
- だが、作中「アンキロサウルスの資料」として提示されたイラスト・生態は通説とまるで異なるものであり、狂暴な肉食性であり体長もなんと45mとして紹介されるなど、現実世界のアンキロサウルスとは完全に乖離している。そのため、あくまでも名前だけ借りたオリジナルの恐竜だと考えるべきである。詳細は余談を参照。
性格
研究によるとアンキロサウルス(アンギラス)は「暴竜」の異名を持つ体長150フィート(45m)ほどの肉食恐竜であり、性格は極めて獰猛、自分以外の生物に対して強い憎悪を抱いていたされる。
確かに性格は初代は同族以外には容赦のない暴龍に恥じない凶暴な性格であったが、二代目は温厚で献身的な性格をしており、シリーズでもゴジラの相棒役として登場することが多かった。そのため、今でもファンからは『ゴジラ』の名脇役として親愛されている。
能力
全身の至る所に脳髄が分散しており、ゴジラ以上の体格ながら素早い動きができる。
- 平成ゴジラシリーズのゴジラに見られた「第二の脳」に通じる設定である。
主な攻撃は、噛み付きや突進や尻尾による打撃の他、『ゴジラ FINAL WARS』では全身をボールのように丸めて突撃する「暴龍怪球烈弾〈アンギラスボール〉」という技を披露している。下記の通り、これは某ゲーム作品から逆輸入された技である。
初期には、ゴジラと同様に白熱光を吐ける設定が示唆されていたが、「ゴジラの逆襲」映画劇中では使用されず、以後も白熱光および光線を放つ事はなかった。ただし、小説や少年誌では吐く様子が見られている(詳細は下記余談を参照)。
いくつかの図解では甲羅や爪から敵をしびれさせる毒を発するとされる。
また、初代アンギラスの咆哮は超音波を発生させ、大阪城にひび割れを発生させており、これが後の各ゲームでの音波攻撃の由来かもしれない。
ゴジラの逆襲
先述の通り、ゴジラにとって初の対戦怪獣として登場。
水爆実験で復活・変異を起こした恐竜、という共通点を持ちながら、激しく争う。
時期は不明だが、岩戸島にて2代目ゴジラと戦いを繰り広げているのを、島に不時着した主人公らによって目撃されている。その後海中に没したかに見えたが、ゴジラと共に大阪へ上陸。大阪湾岸部~心斎橋~淀屋橋~大阪城公園と熾烈な戦いを繰り広げながら、大阪のど真ん中を蹂躙した。
互いに喉ばかりを狙って噛み付き攻撃を行うという非常に動物的な戦闘を行ったが、隙を突かれてついに自らが喉を食い破られてしまい、さらに(それまでは効果の無かった)白熱光を浴びて炎上し、大阪城と共に炎の中で絶命する。
資料によっては、シベリアを出身地とするものがある。
怪獣総進撃
いわゆる2代目アンギラス。
凶暴だった初代と違ってゴジラや他の怪獣に協力的で、後のゴジラの良き相棒となる。
キラアク星人に操られて怪獣ランドを抜け出し、ゴジラとともに伊豆でキラアク星人の基地を攻撃しようとした攻撃部隊に襲い掛かった。
その後、富士の裾野にて、地球怪獣軍団の一員としてキングギドラと対戦し、噛み付き攻撃を行ってダメージを与える。結果としてキングギドラは史上稀に見る悲惨なリンチの末に死亡し、地球の平和は守られた。
様々な説こそあるものの、この映画が時系列的に言えば昭和シリーズの最も未来の出来事を描いているとしている書籍も多い。つまり、後述の「ゴジラ対メカゴジラ」に登場したアンギラスの後の姿が描かれているとも解釈できる(付け加えると、「ゴジラ対ガイガン」に登場したキングギドラについても、同様のことが言える)。
オール怪獣大進撃
一郎少年の夢に登場する怪獣島に住む怪獣として登場
地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン
本格的にゴジラの相棒としての描かれ方が強くなる。
東京郊外からの不審な音波(地球侵略をもくろむM宇宙ハンター星雲人の信号テープを入手した主人公たちが再生してしまったもの)を察知したゴジラに頼まれ、怪獣島から東京へと偵察に出撃し、相模湾から上陸するが、何も知らない人類側がメーサー殺獣光線車を中心とした大部隊で迎撃を行った為、撤退を余儀なくされる。
その後、人類側がM宇宙ハンター星雲人の野望に気づくも、信号を察知したガイガンとキングギドラが飛来する。これをうけて迎撃を決意したゴジラと共に東京へ上陸し、2対2の激闘を展開する。
当初は、M宇宙ハンター星雲人の指示をうけて巧みに戦う敵怪獣達に苦戦を強いられるが、人類側の作戦によってその指示系統が壊滅すると形勢は逆転。
ゴジラと連携して、トゲの生えた背中で体当たりをかますなどの攻撃によって相手側を追いつめ、ついには宇宙へと追い返す。
ゴジラとの会話内容は、吹き出しとなって観客にも見える。ゴジラの相棒として偵察任務を忠実にこなしたが、会話の内容などを見る限りどちらかというとその扱いは子分である。媚びへつらうわけではなく、タメ口だったが。
また、ピンチのゴジラを助けたかったのか、ガイガンの腹部ののこぎりに自分から当たりに行くシーンがある。
ゴジラ対メガロ
本筋には殆ど絡まないが、すこしだけ登場。
物語の発端となる水爆実験が行われた際、怪獣島にもその影響が及んで地割れが発生し、これに飲み込まれひっくり返るという憂き目を見る。
ゴジラ対メカゴジラ
2代目アンギラス最後の出演。
吹雪の中に姿を現し、咆哮するシーンから映画がスタートする(このことから、かなりの低温下でも行動が可能のようだ。ちなみに劇中のラジオの音声から、この地が根室であると推測される)。
その後、富士山から出現したにせゴジラ(メカゴジラ)の正体を真っ先に見破り、御殿場に出現。地底から現れてにせゴジラを転倒させる、体の棘で切りつけ金属部分を露出させるなどして奮戦するも、顎を裂かれて吐血する(裂かれた部位からの流血にも見える)、何度も地面に叩きつけられるという惨いやられ方で撤退した。
この時には人類側にも「ゴジラと最も仲が良い怪獣」として認知されていた。
昭和シリーズではこれ以降の作品では登場していないため、その後の消息は不明。だが、その時土の中に逃げた事ためなんとか一命をとりとめ、その後怪我も全快して平和に暮らしているらしい(※)。
※:撤退後の描写はされていないが、「テレビマガジン1979年10月号」にこの撤退後の事が載っていたのだ。これに関する詳細はアンギラス還暦60周年でもある2015年4月24日に投稿されたTwitterのこの記事を参考されたし。
ゴジラ FINAL WARS
3代目(?)アンギラス。
今回は純粋に敵怪獣軍団の1匹としての登場であった(アンギラスが敵として登場するのは「ゴジラの逆襲」以来49年ぶり)。
更にこの作品の怪獣は前世期の平成シリーズの怪獣の大きさを意識したのか、昭和時代に比べるとはるかに大きく、そのほとんどが全長100mを超えている。アンギラスも例外ではなく、全長・体重も以下のようなものになっている。
全長 | 160m |
---|---|
体高 | 40m(直立時:90m) |
体重 | 6万t |
ちなみに腹部のデザインはバラゴンをモチーフにしており、尻尾の先には小さいながらもアンキロサウルスらしいハンマーがついている。
X星人に操られて中国の上海を攻撃するが、地球防衛軍の前に敗退しかけるが直後にX星人に消滅(回収)される。
その後再度出現すると先述の暴龍怪球烈弾〈アンギラスボール〉を披露して防衛軍の戦艦「火龍」を撃墜する。
その後、進撃するゴジラを食い止めるために富士の樹海でラドン・キングシーサーと共にこれを迎え撃つ。
暴龍怪球烈弾〈アンギラスボール〉となってゴジラを攻撃し、1回目は当たってゴジラをよろけさせるものの、次の攻撃は難なく避けられてラドンへと命中してしまい、さらにそれを拾ってキングシーサーが決めたシュートもダメージを与えるに及ばず、岩盤にめり込んでしまう。
ここに飛び蹴りをゴジラに避けられたキングシーサーが勢い余って衝突し、3匹とものびてしまった。
ただし、ラスボス的存在であるモンスターXとカイザーギドラ以外の怪獣では唯一ゴジラによろめくほどの一撃を与えており、そういう意味では他の怪獣よりはいい扱いだった。
ちなみに最後の攻撃のみ、何故かゴジラは避けようとせずにゴールキーパーよろしくセーブを試みた(?)が、幸か不幸かシュートは決まってしまった。
2代目がゴジラの相棒として活躍したのが理由なのか、とどめを刺されなかったが、これは脚本上ではキングシーサーやラドンと共に負けたところを放射熱線で焼き尽くされるはずだったのだがオーディオコメンタリーでの監督によると「可哀想だからやめよう」という理由で中止になったらしい(なので最終決戦後もゴジラ、ミニラ、モスラ同様に生き残っていると思われる)。
GODZILLA 怪獣惑星・GODZILLA 怪獣黙示録
複数の個体が出現したという怪獣として登場。
2005年のシベリアの凍土から1体目が出現し、南東に移動しながら同時期に白頭山から出現したラドンと北京で合流したところを人民解放軍が放った生物化学兵器ヘドラによってヘドラの毒素による北京と天津の壊滅という代償と引き換えにラドンと共に倒される。
尚アニメ版第1章である怪獣惑星では冒頭で資料映像という形でラドンと共に崩壊した万里の長城に巨大な白骨死体として登場している。
2006年に2体目(アンギラスII)が南アフリカ共和国に出現し、アフリカ大陸に(公式上では)初めて出現した怪獣として記録されている(それ以前にも小型の個体が目撃されていたらしい)。
4体目が出現した際には「すでにアメリカや同盟国で駆除した経験がある」と記載されていたので、2体目や3体目も倒されたようだ。
2030年に4体目(アンギラスIV)がバラン・バラゴンと共にロサンゼルスを襲撃するが実際は怪獣さえ恐れる脅威から逃げていただけで背中の棘はその脅威によって既に損壊されており、最後はその脅威によってロサンゼルスもろとも殲滅された。
本編ではボツになったものの、『怪獣惑星』にて「草原を駆け抜けるアンギラス1000頭の群れ」という案もあったという。
怪獣人形劇 ゴジばん
第5話『「ひみつの特訓道場」の巻』から登場。
ゴジラ三兄弟の長男・ゴジラくんとは親友の間柄で、声に出さずとも吹き出しを用いて会話できる。
容姿は2代目がベースで、特技は丸まって転がること。
穏やかな性格で争い事を好まないが、ここぞという時には勇気を出して困難に立ち向かう。
ゴジラS.P
なお、エンディングムービーでは初代準拠のアンギラスが登場している。
怪獣王ゴジラ(漫画)
河本ひろしの漫画『怪獣王ゴジラ』に登場したアンギラス。
怪獣を用いた世界征服を目論むマッド鬼山と25世紀の未来から来た彼の子孫が、タイムワープ光線を照射して全身骨格から復元させたアンキロサウルスに怪獣進化促進剤を与えることで進化した個体。
始めはアンキロサウルス状態でタイムワープ光線でゴジラから退化させられたゴジラザウルスと交戦するが、怪獣進化促進剤によって100mクラスのアンギラスに変貌することでゴジラザウルスを押しつぶし、勝利の雄叫びを上げる。
しかし、衝撃を受けたガス管の爆発がタイムワープ光線の効力を打ち消した事により、元の姿を取り戻したゴジラとの第2ラウンドに突入。手足を引っ込めた状態からの素早い回転アタックでゴジラを翻弄し、元の姿に戻ったばかりでまだ熱線が出せないゴジラの首を締めてあと一歩まで追い詰める。
だが、そこに自衛隊Gチームがゴジラに加勢。ゴジラはGチームの放ったミサイルをアンギラスの口腔に無理やり挿入。怯んだところを尻尾の攻撃加え、怪獣花火として打ち上げられて鬼山らの乗るタイムマシーンごと爆発を遂げた。
余談
- このアンギラス編は単行本では酷い乱丁がある。
- 鬼山の子孫が乗るタイムマシーンは『ゴジラVSキングギドラ』のKIDSと同型。
- このアンギラスの元になったアンキロサウルスの骨格は「今まで発見されたことのない新種みたい」という、先述の生態の項で記したように、現実世界のアンキロサウルスとは異なる存在と思わせるようなセリフがある。
未登場作品
平成以降の出演回数が少ないが、実は何度も登場が企画され、その度にボツになっているという哀れな経緯を持つ。度々検討されながらも、結局は「ゴジラ FINAL WARS」まで実現に至らなかった。川北特技監督曰く「四足のためゴジラと並んだ時に絵にならない」「膝をついて動くため、スピード感が出せない」とのことである。
「ゴジラVSデストロイア」が「ゴジラvsゴーストゴジラ」という企画だった時期にはゲスト怪獣としてアンギラスの登場が検討されており、デザイン画も描かれていた。また、デストロイア(企画段階では「バルバロイ」という名前)の一形態としてアンギラス型の怪獣「アンギラス・ハウンド」やバラゴンとの合体形態「バラギラス」の登場も検討されていた。
「ゴジラ・ザ・シリーズ」にも、企画書にはアンギラスの名前が記されていた。
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」には、護国三聖獣の一体として、「とある黄金の冷凍怪獣」が登場が予定されていたが却下されたのは有名な話である。
「ゴジラ×メカゴジラ」では機龍と戦う案が出された(対メカゴジラの時のような前座としての立場での登場だったようだ)。更に「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」では死骸での登場が検討されたがカメーバに変更された。
後者の脚本を担当した横谷昌宏によれば、製作の富山省吾が人気怪獣であるアンギラスに死体役をやらせることを反対したという。
『×メカゴジラ』の背景設定として製作補の山中和史により執筆された「特生自衛隊前史」では、劇中世界の1972年に出現するが、特生自衛隊により横須賀への上陸を阻止されたとのこと。
「GODZILLA King of the monsters」の予告編にて、「山を突き崩しながら現れる恐竜のような怪獣」が登場した。「メインで登場するゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ以外にもサプライズで怪獣が登場する」というマイケル・ドハティ監督の発言もあり、ファンの間では「アンギラスのハリウッドデビューか!?」と話題になった。
- しかし、実際の劇中に登場したのはメトシェラという名前の怪獣であり、四足歩行の恐竜のような怪獣であることはアンギラスと似ているものの、それ以外の共通項はないオリジナル怪獣であった。アートブックの内容やドハティ監督の発言を併せて考えると、アンギラスの登場自体は検討されていたものの「ライセンス料が高いため」という理由から今回も登場が見送られてしまったようである。
- ただし、ドハティ監督はTwitterで「ゴジラの海底神殿の入り口で、アンギラスかもしれないし、そうじゃないかもしれない生き物の骨が一瞬だけ映るワンショットがあるよ。」と発言しており、実際該当するシーンにはアンギラスに酷似した怪獣の骨が映り込んでいる(但し全身がわかるのは核を起爆させた後の一瞬のみ)。
名称に関して
「ゴジラの逆襲」製作時
当時、アンギラスという名称の決定までは色々と紆余曲折があったらしく、東宝は社内募集を行っていた。決定前には、募集された幾つかの名称が新怪獣名として実際に宣伝に使用されたらしい。その一例として判明しているのが、以下の名称。
名称 | 理由 |
---|---|
ギョットス | ギョッとする面構えから |
ゾットス | 同じくゾッとするから |
オソロス | 「恐ろしい」から |
スゴン | 凄味=スゴみのある顔から |
ゼイダー | ゼイ=税金より怖いものは無い |
ビグロ | 「ビ」キニ産のマ「グロ」から |
ワニブル | ワニとブルドッグの混血 |
ゲテモ | 下手物=げてものから |
ジカカオ | 地震、雷、火事、親父の頭文字から |
当然ながら、これらは全て没になった。
なお、「ゴジラの逆襲」の台本内では「アンギロス」とされ、66年の怪獣ブームの図鑑内では「アンギュラス」の記述もあったらしい。
マンガへの流用
後に、これらの名称の一部は、杉浦茂が手がけたゴジラのマンガ「大あばれゴジラ」にて、同作オリジナルの怪獣の名前に用いられる。
流用されたのは、ギョットス、ゾットス、オソロス、スゴン。これら4匹の怪獣は、アンギラスの子分的な存在として同盟を結び、日本に弟の仇討(同作のゴジラは、初代ゴジラの兄という設定)に向かったゴジラを追い日本へ。5対1でゴジラに挑む。
ギョットスは、真ん丸な顔にアルマジロのような甲羅を持つ怪獣。ゾットスはピーナツのような体に、顔と手足を付けたような姿(一人称が「あたい」なので、メスかもしれない)。オソロスは耳が無い象のような姿で、鼻は太く4つの鼻孔を持つ。スゴンはクラゲのような頭部に、縦に3つの目が並んだ4つ足の怪獣。
最後は、芹沢博士(本作では存命しているが、新たなオキシジェンデストロイヤーは作れていない様子)の作った薬により、ゴジラ、アンギラスともども、山根博士の作った怪獣公園に仲良く住み着く。
名前の意味
特撮ライター、ヤマダ・マサミ氏は自身の著作の中で、「アンギラス」の命名とその意味合いに関し、いくつかの推測や解釈を述べている。
※ただし以下は、あくまでも推論であり、公的設定ではない事に注意。
- 「アングィス(angus)」⇒「締め付ける、噛みつく、爪」という語源から転じた、「蛇」や「竜」を示すラテン語から、「アングィス・ザウルス」の略称として「アンギラス」
- ラテン語にて「鋭角的な武器・武装」や「角ばった・角度」を意味する単語、「アングィルス(angulus)」
- ゴジラ(Godzill)を構成する単語、「Zilla」のラテン語読みの「ギラ」。これはトカゲの学名として用いられている。この「ギラ」から、「anti・zilla(s)」すなわち『アンチ・ギラス』⇒『神なるトカゲ(God+Zilla)と背反(Anti)する存在』という意味から「アンギラス」と命名
ゲーム作品での活躍
- 「暴龍怪球烈弾<アンギラスボール>」は、スーパーファミコンソフト『ゴジラ怪獣大決戦』から逆輸入された珍しい技である。ゲームでのキャラ性能はと言うと、他の怪獣のような飛び道具こそないが、それを補える素早い動きが特徴。更に体高が低いため、防御態勢を取って敵の光線技を回避することも可能。また、ゲーム内屈指のチートキャラ・モスラに優位を取れる数少ないキャラでもある。超必殺技は体を丸めて体当たりをかます急降下体当たりで、これが暴龍怪球烈弾の元ネタ。ゲームシステムが類似しているSuperCD-ROM²ソフト『ゴジラ爆闘烈伝』にも登場している。
- アンギラスは射撃武器が無く、四足歩行(というよりはハイハイ歩行)で機動性にも難がある為かゲーム等ではかなり弱いキャラにされている傾向が目立つ。しかし、『ゴジラ怪獣大乱闘』では、光線技にあたる技として、ビル等の遮蔽物を無視して攻撃できる「咆哮衝撃波」を使用できる。また、四足歩行時には姿勢が低くなるので上段への攻撃が通じにくくなり、ガードやうつ伏せで倒れている状態の時(つまり背中部分)に格闘攻撃を仕掛けられると相手が怯む上に微量のダメージを与えられる(ゴジラ等生身の怪獣はおろか、機械であるはずのメカゴジラ系も何故か思いっ切り痛がる)等、かなり独特な性能を持つので一概に「弱い」とも言い切れない。ゲームキューブ版では、なんと背中の針からビームを発射していた。
- プレイステーションソフトの『ゴジラトレーディングバトル』では怪獣カードとして登場。相手に大ダメージを与える「アーマータックル」と、(攻撃力自体は低めだが)相手の防御力を無効化してダメージを与えることができる「ニードルアタック」という技を持っており、地底移動能力もあるため、器用に立ち回ることができる。
- アプリゲームの『ゴジラバトルライン』では、初代がバトルピースとして登場。ビオゴジを一回り弱くしたようなステータスだが、それでも高耐久、低コストと言う強みがあり、壁役として重宝する。
余談
- 前述の通りアンキロサウルスが原形という設定である…が、アンキロサウルスの主な特徴と言えば背中全体を覆う甲殻とハンマーのように先端が固く肥大した尾だが、アンギラスに受け継がれているのはこのうち前者のみであり、正直なところあまり似ていない。百歩譲っても、まだサウロペルタやエドモントニアなどのノドサウルス系統の方が似ている。
- 『ゴジラの逆襲』の劇中では、アンキロサウルス(アンギラス)は凶暴な肉食恐竜であったと作中語られているが、現実のアンキロサウルスは大人しい草食恐竜というのが通説である。
- ゴジラの最初のライバル怪獣でその後も映画に何度も登場しているが、映画タイトルに名前が出たことは一度もない。
- 先述のゲーム『ゴジラ怪獣大決戦』では対戦前に〇〇VS☓☓という、映画タイトル風のカットインが出るため、そこでなら映画タイトル調のフォントでアンギラスの名前を見ることができる。
- アンギラスは(ゲームなどの特殊な例外を除いて)光線や飛び道具は持っておらず、近年に至るまでこれは続いている。しかし上述の通り、55年「ゴジラの逆襲」が公開された当時の少年向け雑誌の挿絵の一部には、ゴジラ同様に白熱光を吐いているアンギラスがあった(少年クラブ、昭和30年5月号付録)。ノベライズでも「互いに白熱光を吐き~」という描写があり、ゴジラ同様にアンギラスにも、白熱光を吐かせる予定だった事を予想させている。後に設定が整理され、白熱光を吐く設定はお蔵入りとなって現在に至っている。
- また、「白熱光への耐性も有している」とされているのは、この設定の名残である。
- 『ストリートファイターII』シリーズのフェイロンのステージでは対戦が終了すると背景の鳳凰と龍の彫像(?)が動いて鳴き声を上げる演出があるが、この時に流れる鳴き声はアンギラスのものである。
- ゴジラシリーズおなじみの怪獣モスラの声はラドンの声とアンギラスの声を合成しかなりの早回し加工をしたものである。アニメ作品の『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』に登場したシャドウビーストの声は逆にモスラの声をスロー再生したものであったため、アンギラスの声に近いものとなっていた。ちなみにウルトラ怪獣のドドンゴとバニラもアンギラスの声の早回しである。
- 『五星戦隊ダイレンジャー』に登場する、超気伝獣・ダイムゲンの鳴き声もまた、このアンギラスの声の流用である。
- ソフビ・『ゴジラアイランド』シリーズではボウリュウアンギラスという商品名である。つまり肩書が名前にくっついて離れない珍しい形で商品化された。
- 『地球防衛軍5』に登場した怪獣アーケルスは見た目と行動がアンギラスに似ているだけでなく、名前が発表されるまでは「Not アンギラス」と呼ばれていた。
- 地味な印象を持たれがちのアンギラスだが、ファンからの人気はかなり高く、ゴジラ総選挙では「6位」に入る程の人気を誇る。ちなみに彼より上の5体は「モスラ」「キングギドラ」「ミニラ」「ラドン」「メカゴジラ」と言った、主役を演じた事がある者や複数作品でボス役になった事がある事がある怪獣というそうそうたる面々で、アンギラスは「ガイガン」「スペースゴジラ」「デストロイア」と言ったメジャーなボス役を務めた怪獣を抑えてのランクインである。
- 『ゴジラの逆襲』の公開当時、昭和30年(1955年)には、ビクターより青木晴美が歌うお座敷小唄風のコミックソング「ゴジラさん」が発売された。そのB面には、野澤一馬とのデュエットで「うちのアンギラス」が収録されている。
- 恐竜博2023では、ゴジラと恐竜を比較するコンセプトの展示が催されているが、本イベントの目玉展示が鎧竜ズールであることからアンギラスも注目され、西川伸司氏によって描き下ろされたゴジラとアンギラスのイラストが宣材として使用されている。
- 『パシフィック・リム:アップライジング』では、イースターエッグとして、討伐されてきた Kaiju のリストにガメラ、ヨンガリ、ギャオス、ジグラ、ギロン、ジャイガー、HAKAISHA、バラゴン、バラン、バトラ、ガイガン、MUTOなどと共に、アンギラスの名前を捩った怪獣が含まれている(参照)